ドローン事業とマイニング装置販売で急成長を遂げた「株式会社ドローンネット」が、負債総額1445億円という巨額の負債を抱え倒産しました。2025年最大規模となるこの破産劇の裏には、実質経営者の死去という衝撃の事実が隠されています。なぜこれほど被害が拡大したのか、その真相は複雑な資金の流れにあります。本記事では、登記上の代表者と実質経営者の関係や、引き金となった所得隠しの問題、そして債権者が確認すべき破産管財人の情報を整理して解説します。
ドローンネットの倒産背景と1445億円の巨額負債
ドローン事業からマイニング装置販売への急拡大
ドローンネットの倒産は、事業の軸足をドローンから暗号資産へ移したことが主因です。
当初は「SKY FIGHT」や「DRONE the WORLD」などのブランドで、ドローンスクール運営や店舗展開を行い知名度を高めました。
しかし、収益の柱は1台約990万円という高額なマイニング装置販売へと急激に変化しています。
節税効果をうたったこれらの商品は飛ぶように売れ、売上高は一時977億円まで急拡大しました。
しかしその実態は、後述する買い戻し特約に依存した自転車操業だったのです。
所得隠しと追徴課税が招いた信用毀損の引き金
経営破綻の決定的な引き金となったのは、国税局による巨額の所得隠しの指摘でした。
調査の結果、約30億円もの所得隠しが発覚し、重加算税を含め約8億円の追徴課税が命じられています。
この事実は金融機関や取引先の信用を失墜させ、資金繰りを急速に悪化させました。
結果として2025年11月には支払い不能となり、事業継続困難な状況に陥ったのです。
今回の倒産劇は、以下のような構造的欠陥を抱えていました。
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投資家が装置を購入:節税目的などで高額なマシンを購入
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会社が管理・還元:運用益を投資家に支払う
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買い戻しの約束:数年後に販売価格と同額での買い取りを保証
この「買い戻し」を続けるには新規販売を続けなければならず、資金が止まれば即座に破綻する仕組みだったのです。
ドローンネット「実質経営者の死去」と代表者の謎
登記上の代表・村上一幸氏と実質経営者の違い
今回の騒動で混乱を招いているのが、表に出る代表者と実際の権力者が異なる点です。
登記上の代表である村上一幸氏に対し、経営の実権を握っていた人物は別に存在しました。
以下に、その複雑な権限構造と現状を整理します。
| 項目 | 登記上の代表者 | 実質経営者 |
| 氏名 | 村上一幸氏 | 非公表(一部報道で言及あり) |
| 役割 | 書類上のトップ・対外的な顔 | 資金調達・事業方針の決定権 |
| 現状 | 破産手続きの当事者として対応 | 2025年12月に死去 |
この二重構造が、責任の所在や資産の追跡をより困難にしています。
なぜ実質経営者の名前は伏せられているのか?
報道各社が実質経営者の実名を伏せるのは、確実な裏付けと法的配慮が必要だからです。
本人が死去しており、公式な逮捕や立件の段階ではないため慎重な扱いとなっています。
ネット上では過去にジャパンライフ等に関与した上瀧氏の名前が憶測で飛び交っています。
しかし、これらは現時点で未確定情報であり、東京地裁や管財人からの正式発表を待つ必要があります。
従業員の解雇通告も突然行われており、社内でも情報の混乱が続いている模様です。
株式会社ドローンネットの債権者・利用者が取るべき対応
破産管財人公式ホームページの確認方法
債権者への対応は、全て選任された破産管財人によって一元管理されています。
債権者が多数にのぼるため、個別の電話対応は行われておらず、パンク状態を防ぐ措置が取られています。
必ず以下の公式情報を確認し、指定された手順に従ってください。
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管財人:本山正人弁護士(岩崎・本山法律事務所)
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注意点:事務所への直接訪問や電話問い合わせは控えること
情報の錯綜を防ぐため、公式HPの更新を定期的にチェックすることが重要です。
マイニングマシン・スクール契約の今後の見通し
残念ながら、マイニング装置の買い戻しやスクール費用の全額返金は極めて困難な見通しです。
会社資産が枯渇しており、千葉や埼玉などの店舗も相次いで閉鎖・営業停止状態にあるからです。
今回の倒産は、豪華な帆(ドローン事業)を張った巨大な船が沈没したようなものです。
実は船底にマイニング事業の負債という巨大な穴が開いており、船長(実質経営者)が不在となった瞬間に転覆しました。
影響を受けた主なエリアとブランドは以下の通りです。
| 都道府県 | 影響が出ている主なエリア |
| 埼玉県 | 川越、川口、志木など |
| 千葉県 | 千葉市内など |
管財人HPには、これらに関する「Q&A」が順次掲載される予定となっています。
まずは自身の契約状況を整理し、自己破産手続きの中での債権届出に備えてください。
被害に遭われた方は、直ちに破産管財人の専用サイトを確認し、今後の手続きに関する最新情報を入手してください。
