「子供の教育資金、ジュニアNISAが終わってしまってどうすればいいの?」と不安を感じていませんか。実は、2026年度から「こども支援NISA(仮称)」という新たな制度の創設が予定されています。
本記事では、独立系FPの視点も交え、新制度の内容やジュニアNISAとの違い、そして今からできる具体的な準備方法を分かりやすく解説します。この記事を読めば、大切なお子様の将来に向けた最適な資産形成のステップが明確になります。
こどもNISA(こども支援NISA)の概要と最新スケジュール
多くの親御さんが待ち望んでいるのが、2026年または2027年の導入を目指して検討されている「こども支援NISA(仮称)」です。これは、未成年者のための非課税投資制度であり、事実上のジュニアNISAの後継制度と言えます。
金融庁の税制改正要望によると、新制度は資産形成の機会を全世代に広げることを目的としています。最大のポイントは、子供一人あたり年間60万円、総額で600万円までの非課税枠が設けられる予定である点です。
制度の詳細は今後詰まっていきますが、現時点での基本スペックを整理しました。
- 対象者:0歳~18歳未満の未成年
- 年間投資枠:60万円(つみたて投資枠のみの想定)
- 非課税保有限度額:最大600万円
- 開始時期:2026年度以降(予定)
これらはあくまで要望段階の情報ですが、実現すれば教育資金作りの強力な味方になることは間違いありません。
旧ジュニアNISAとの決定的な5つの違いを徹底比較
新制度を理解するには、2023年末に終了したジュニアNISAとの比較が欠かせません。もっとも大きな変更点は、資金の引き出し制限が「18歳」から「12歳」へと大幅に緩和される見込みであることです。
これにより、大学費用だけでなく、中学・高校の入学費用や塾代など、柔軟な使い方が可能になります。また、非課税期間が無期限化されることで、より長期的な視点での運用が可能になります。
旧制度と新制度の違いを一覧表にまとめました。
| 項目 | 旧ジュニアNISA | 新・こどもNISA(仮称) |
| 対象年齢 | 0~17歳 | 0~18歳未満(未成年) |
| 年間投資上限 | 80万円 | 60万円 |
| 最大投資枠 | 400万円 | 600万円 |
| 引き出し制限 | 18歳まで原則不可※ | 12歳(中学生)から可能へ |
| 非課税期間 | 最長5年 | 無期限 |
※制度終了に伴い現在は制限解除されています。
この変更により、「使い勝手が悪い」と言われた旧制度の弱点が大きく改善されそうです。
こどもNISAで教育資金を準備するメリットとデメリット
この制度を活用する最大のメリットは、時間を味方につけた複利効果です。子供が小さいうちから投資信託などで運用を始めれば、元本に利息がつき、その利息がさらに利益を生む「雪だるま式」の資産増加が期待できます。
一方で、投資には必ずリスクが伴います。特に株価暴落時には元本割れを起こす可能性があり、必要な時期に資金が減っているリスクも考慮しなければなりません。
また、口座内の資産は法的に「子供のもの」となります。親の都合で勝手に使えない点は、管理上のデメリットとも言えます。
メリットとデメリットのまとめ
- メリット
- 長期間の運用で、預金よりもお金が増える可能性が高い。
- 利益に対する税金(約20%)がかからないため、効率的に増やせる。
- 12歳以降の引き出しが可能になれば、中学受験費用にも充てられる。
- デメリット
- 市況によっては、教育費が必要なタイミングで元本割れするリスクがある。
- 資産の名義は子供にあるため、親が生活費などに流用することはできない。
【年齢別】こどもNISA活用シミュレーション
ここでは、児童手当などを原資に、新制度を活用した場合のシミュレーションを行います。大学進学などの目標に向け、どのくらいのペースで積み立てればよいか見てみましょう。(※年利3%で運用できたと仮定)
0歳から18年間フル活用する場合
もっとも複利効果を享受できるパターンです。生まれた直後から月2.5万円を積み立てると、無理なく大きな資金を作れます。
- 積立期間:18年
- 月額積立:約2.7万円(年間約33万円)
- 元本総額:600万円
- 18年後の評価額目安:約790万円(+190万円)
小学生(6歳〜12歳)から始める場合
小学校入学と同時にスタートする場合です。運用期間が少し短くなるため、積立額を増やして対応します。
- 積立期間:12年
- 月額積立:約4.1万円(年間約50万円)
- 元本総額:600万円
- 12年後の評価額目安:約720万円(+120万円)
中学生以降(13歳〜17歳)の短期間運用
開始が遅くなった場合、運用期間が短く、価格変動のリスクが高まります。無理に投資信託だけで準備せず、預金との併用が賢明です。
- アドバイス:投資割合を下げ、安全資産(現金)の比率を高めましょう。
失敗しないための注意点!贈与税と出口戦略の落とし穴
こどもNISAを活用する際、見落としがちなのが「税金」と「出口」の問題です。通常、年間110万円までの贈与は非課税ですが、これはこどもNISAへの入金だけでなく、お年玉や祝い金なども合算されます。
また、いざ大学費用として使おうとした年に、金融ショックが起きる可能性もゼロではありません。数年前から徐々に現金化する「出口戦略」が必須です。
残念な親にならないためのチェックリスト
- [ ] 贈与税の基礎控除(110万円)を超えて入金していないか確認する
- [ ] 教育資金が必要になる3〜4年前から、相場が良い時に少しずつ売却する
- [ ] 祖父母からの援助がある場合、非課税枠の重複に注意する
- [ ] 口座開設の手続きを先延ばしにせず、早めに情報を集める
制度開始までに今すぐ親ができる2つの準備
新制度の開始は2026年以降ですが、指をくわえて待っている必要はありません。今すぐに始められるアクションがあります。
親名義の新NISA枠を先行して活用する
まだ親自身の新NISA枠(つみたて投資枠など)が余っているなら、そちらを優先して使いましょう。親名義であれば管理がしやすく、家計全体の資産形成として柔軟に対応できます。まずは親の口座で運用し、新制度が始まったら子供の口座へシフトするのも有効な戦略です。
正しい投資知識を身につけ情報収集を行う
制度が始まってから慌てて口座開設をすると、機会損失につながります。今のうちに金融庁のサイトをチェックしたり、投資の基礎本を読んだりして知識を蓄えましょう。「お金のなる木」を育てるには、まずは土壌(親の知識)作りが大切です。
こどもNISAは、お子様の未来の選択肢を広げるための「最強の苗木」になり得ます。
まずは親御さん自身の新NISA枠の確認から始めて、2026年のスタートダッシュに備えませんか?
