2025年12月28日、北海道小樽市の朝里川温泉スキー場で5歳男児が亡くなる痛ましい事故が起きました。屋外エスカレーターに右腕が巻き込まれ、本来動くはずの安全装置が作動しなかったことが原因と見られています。後藤飛向くんは、駐車場からセンターハウスへ向かう途中で転倒し、装置の隙間に巻き込まれました。本記事では事故の経緯と安全装置の不備、今後の安全対策について詳しく解説します。
朝里川温泉スキー場で発生したエスカレーター死亡事故の概要
2025年12月28日の午前10時頃、北海道小樽市の朝里川温泉スキー場で悲劇は起きました。
移動用のエスカレーターで、遊びに来ていた5歳の男児が亡くなるという重大な事故が発生したのです。
現場は駐車場からゲレンデの拠点となる建物へ向かう、屋外に設置された移動設備でした。
この事故の痛ましい詳細は、以下の表にまとめた通りです。
| 項目 | 内容 |
| 発生日時 | 2025年12月28日 午前10時頃 |
| 発生場所 | 朝里川温泉スキー場 駐車場〜センターハウス間 |
| 被害状況 | 後藤飛向くん(5歳)が死亡 |
| 事故原因 | ベルトコンベアへの巻き込みおよび安全装置の不作動 |
事故の発生状況と場所|小樽市のスキー場駐車場付近
事故が起きたのは、雪道を歩かずに移動できるベルトコンベア式の歩行設備です。
多くのスキー客が駐車場からセンターハウスへ向かう際に利用する便利な設備でした。
北海道特有の厳しい寒さや雪の中でも稼働できるよう設計されています。
しかし、本来は安全であるはずのこの場所が、一瞬にして危険な現場へと変わってしまいました。
被害に遭った後藤飛向くん(5歳)の状況
亡くなったのは、家族で訪れていた岩見沢市の後藤飛向(ひなた)くんです。
事故直後、周囲の大人によって消防への通報がすぐに行われました。
現場では懸命な救出作業が試みられましたが、その甲斐なく命が失われました。
楽しい冬の思い出を作るはずだった休日が、あまりにも残酷な結果となってしまいました。
なぜベルトコンベアに巻き込まれたのか?事故の原因と安全装置の不備
なぜ、命を守るための最後の砦である安全装置は機能しなかったのでしょうか。
事故の決定的な原因は、ベルトコンベアに異常な負荷がかかった際に停止する仕組みの不備にあります。
スキー場の移動設備は、重い雪や人を運ぶために極めて強力なパワーを秘めています。
それは**「一度噛んだら離さない巨大な顎」のようなもので、抗うことは不可能です。
だからこそ、異常を察知して即座に止まる非常停止**機能が不可欠でした。
降り口付近での転倒と右腕の巻き込み
事故当時、飛向くんはエスカレーターの降り口付近で転倒したと見られています。
その際、厚手のスキーウェアを着用していた右腕が機械の隙間に吸い込まれました。
ベルトが吸い込まれていく終端部分は、非常に狭い隙間になっています。
巻き込みが発生した瞬間、機械が停止していれば被害は最小限に抑えられたはずでした。
非常停止ボタンと自動停止装置が作動しなかった疑い
この設備には、異物が挟まった際にセンサーが反応する自動停止機能が備わっていました。
しかし、警察の調べでは、事故発生時にこの装置が作動せずに動き続けていた疑いが強まっています。
当日の朝の点検では異常なしとされていましたが、実態は異なっていた可能性があります。
警察は現在、管理体制に問題がなかったか、業務上過失致死の疑いも含めて調査を急いでいます。
救助までに40分|当時の救急体制とスキー場の点検状況
事故発生から救助が完了するまでには、約40分もの長い時間を要しました。
強固な機械に体が挟まれた場合、人力で引き抜くことは極めて困難だからです。
消防への通報後、レスキュー隊が専用の器具を用いて慎重に救出作業を行いました。
迅速な対応が求められる現場で、これほどの時間を要したことが被害を大きくした可能性があります。
消防への通報から救出までの経緯
事故直後の現場は混乱を極め、居合わせた人々が必死に助けを呼びました。
駆けつけた救急隊員は、ベルトコンベアの構造を確認しながら慎重に作業を進めます。
しかし、金属製の部品が複雑に絡み合い、後藤飛向くんを助け出すまでには40分が経過していました。
救出後、すぐに病院へ搬送されましたが、命を繋ぎ止めることはできませんでした。
事故当日の朝の点検では「異常なし」の報告
スキー場側は、事故当日の朝に実施した点検では「異常はなかった」と説明しています。
それにもかかわらず、本番で自動停止装置が作動せず、最悪の事態を招きました。
点検項目が十分だったのか、あるいは形式的な確認になっていなかったかが問われています。
現在、警察による現場検証と、管理体制に関する詳しい調査が続けられています。
スキー場におけるベルトコンベア・エスカレーターの安全対策
便利なスキー場の移動設備ですが、常に巻き込みの危険と隣り合わせです。
特に子供が利用する場合、大人には想像できないような挙動が事故に繋がります。
過去にも、他の施設でエスカレーターにスキーウェアが挟まる事故が報告されています。
機械の強力なパワーに対して、人間の力はあまりにも無力であることを自覚すべきです。
過去の類似事故事例(動く歩道での巻き込み)
過去には、10歳の男児が「動く歩道」でウェアのフードを巻き込まれる事故がありました。
この際も、降り口付近の隙間に生地が吸い込まれたことが原因です。
厚みのあるスキーウェアは、一度噛み込むとベルトの回転に逆らうことができません。
今回の朝里川温泉スキー場の事故と同様、機械側の停止機能が重要視される事例でした。
子供連れでスキー場の移動設備を利用する際の注意点
子供と一緒にベルトコンベアを利用する際は、以下のポイントを必ず守りましょう。
- 足元を注視する:降り口付近では絶対に立ち止まらず、一歩大きく踏み出す。
- ウェアの紐を確認する:長く垂れ下がった紐やマフラーは、事前に収納しておく。
- 保護者が手を繋ぐ:万が一転倒した際、すぐに引き上げられる距離を保つ。
- 非常停止ボタンを確認:周囲の大人も、いざという時の停止ボタンの位置を把握しておく。
まとめ:朝里川温泉スキー場事故の教訓と今後の安全管理
今回の事故は、安全装置という命綱が機能しなかったことで起きた悲劇です。
後藤飛向くんの命を無駄にしないためにも、施設側の徹底した点検と管理が求められます。
非常停止ボタンが正しく作動するか、定期的な負荷テストを行うなどの対策が不可欠です。
また、利用者側も「機械は止まらない可能性がある」という危機感を持つ必要があります。
冬の楽しい思い出が悲しい記憶にならないよう、一人ひとりが安全意識を高めましょう。
スキー場を利用する際は、まず周囲の安全設備を確認し、お子様から目を離さないようにしてください。
