2026年は、私たちの資産にとって非常に重要な分岐点になる可能性が高いです。なぜなら、再登板したトランプ大統領による関税政策と、米国債の大量償還という2つの大きな波が重なり、これまで経験したことのないような「インフレ(物価上昇)」がやってくるリスクがあるからです。
実際に、スーパーでの買い物が以前より負担に感じたり、止まらない円安のニュースを見て将来に不安を感じたりすることはありませんか。それは、私たちの現金の価値が目減りする「見えない増税」がすでに始まっているサインかもしれません。この記事では、トランプ政権が経済に与える影響を分析し、ブリックス諸国の動きが金(ゴールド)価格をどう押し上げるのか、そして具体的な資産防衛術までをわかりやすく解説します。
トランプ政権がもたらす2026年経済への影響と「ドル不安」の正体
2025年に発足したトランプ新政権下で、世界経済は大きな転換期を迎えています。多くの人が「株価が上がるのではないか」と期待する一方で、専門家の間ではアメリカの通貨であるドルの価値が揺らぐのではないかという懸念が広がっているのです。
その背景にあるのは、トランプ氏が掲げる極端な経済政策です。アメリカを第一に考えるあまり、世界中から輸入品に関税をかけたり、巨額の財政出動を行ったりすることで、結果的にアメリカ国内の物価が激しく上がる恐れがあります。これが回り回って、日本に住む私たちの資産にも影響を及ぼすことになるのです。
まずは、トランプ政権が推し進める主な政策を見てみましょう。これらはすべて、将来的なインフレやドルの価値を下げる要因になり得ます。
- 輸入品への高関税: 中国だけでなく、同盟国も含めた輸入品に高い税金をかけ、国内産業を守ろうとします。
- 大規模な減税の恒久化: 法人税などを下げて景気を刺激しようとしますが、国の借金(財政赤字)は膨らみます。
- AI・エネルギー分野への投資: 次世代技術の覇権を握るため、国として巨額の資金を投入します。
- 軍事費の増額要求: 世界各地の紛争に対応するため、あるいは同盟国への負担を求める交渉材料として軍事費が意識されます。
- FRB(中央銀行)への利下げ圧力: 景気を良く見せるために、無理やり金利を下げるよう圧力をかける可能性があります。
トランプ関税と「TACO理論」の落とし穴
市場の一部には、「トランプ氏は過激なことを言うけれど、最後は現実的なところで譲歩してくれるはずだ」という楽観的な見方があります。これを、交渉の過程で最終的には合意(Compromise)に至るだろうという意味を込めて、一部で「TACO(タコス)理論」と呼ぶような見方がありますが、今回ばかりはその通りにいかないかもしれません。
なぜなら、トランプ氏が掲げる「トランプ関税」は、単なる脅しではなく、本気でアメリカの貿易赤字を解消しようとする手段だからです。輸入品に高い関税がかかれば、アメリカ国内の物の値段は当然上がります。物価が上がると、お金の価値は相対的に下がってしまいます。これは、税金という名目ではありませんが、実質的に国民が負担を強いられる「インフレ税」と同じことなのです。
もしアメリカで激しいインフレが起きれば、ドルという通貨の信用が揺らぎます。これまでは「何かあればドルを買っておけば安心」と言われてきましたが、そのドル自体が安くなってしまう「通貨安」のリスクを、私たちは真剣に考える必要があります。
2026年に集中する米国債償還とドルの増刷リスク
さらに、2026年には「米国債(アメリカの借用証書)」に関する大きな問題が待ち受けています。実は、コロナ禍の対策として2020年から2021年にかけて大量に発行された、期間の短い国債(借金)が、2026年に一斉に返済期限(満期)を迎えるのです。
国は借金を返すために、また新たに借金をする必要があります。これを「借り換え」と言いますが、2026年はその規模があまりにも巨大です。もし買い手が少なければ、アメリカの中央銀行が高い金利をつけて無理やり買ってもらうか、あるいはお金を刷って借金を帳消しにするような手段に出るかもしれません。
この状況が招くリスクは以下の通りです。
- ドルの大量増刷: 借金を返すためにお金を刷れば刷るほど、1ドルあたりの価値は薄まります。
- 金利の高止まり: 国債を買ってもらうために金利を高く維持せざるを得ず、これが経済の重荷になります。
- 世界的なドル離れ: 「ドルを持っていても価値が下がるだけだ」と判断した国々が、ドル以外の資産へ逃げ出します。
このように、2026年はトランプ政権の政策と過去の借金問題が重なることで、ドルの価値が大きく毀損されるリスクが高まっているのです。
2026年の金(ゴールド)価格予想:ブリックスの「脱ドル化」が加速
ドルの先行きに不安が広がる中で、輝きを増しているのが「金(ゴールド)」です。かつてないペースで金価格が上昇している背景には、中国やロシア、インドなどを中心とした新興国グループ「ブリックス(BRICS)」の存在があります。
彼らは、アメリカのドルに依存する経済体制から抜け出そうとする「脱ドル化」を急速に進めています。もしドルが使えなくなったり、価値がなくなったりしても困らないように、自分たちの資産を守るための準備を着々と進めているのです。
なぜブリックス諸国は中央銀行で金を買い増すのか?
ブリックス諸国の中央銀行が、こぞって「金買い」に走っているのには明確な理由があります。それは、ウクライナ情勢などをきっかけに、アメリカがドルを使った経済制裁を行ったことが大きな衝撃を与えたからです。
「もしアメリカと対立したら、持っているドル資産を凍結されてしまうかもしれない」。そう考えた国々は、誰の借金でもなく、どの国の支配も受けない実物資産である「金」へと資金を移し始めました。これは単なる投資ではなく、国家としての安全保障、つまり資産防衛のための行動なのです。
特に中国人民銀行などによる大量購入は、金価格を押し上げる強力な要因となっています。個人投資家が買う量とは桁が違うため、彼らが買い続ける限り、金相場の下値は非常に堅いものになると予想されます。
金5,000ドル到達の可能性と新通貨「Unit」の衝撃
さらに注目すべきは、ブリックスが検討しているとされる新しい共通通貨「Unit(ユニット)」の構想です。これは、裏付けのない紙幣ではなく、価値の40%を金(ゴールド)、残りの60%を加盟国の通貨で構成するという、非常に安定性の高い通貨を目指していると言われています。
もしこの「Unit」が貿易決済などで本格的に使われ始めれば、金を必要とする需要はさらに爆発的に増えるでしょう。こうした背景から、多くの大手金融機関が2026年の金価格に対して非常に強気な予想を出しています。
以下は、主要な金融機関や専門家による金価格の予測イメージです。
| 金融機関・専門家 | 2025-2026年の金価格予想(トロイオンスあたり) | 予測の根拠・ポイント |
| ゴールドマン・サックス | 3,000ドル超 | 中央銀行の買い継続と米国の利下げによる後押し |
| J.P.モルガン | 2,800〜3,000ドル | 地政学的リスクの増大と安全資産への逃避 |
| 強気派のアナリスト | 4,500〜5,000ドル | ブリックス新通貨「Unit」の稼働とドルの信認低下 |
| 標準的な市場予測 | 2,600〜2,800ドル | インフレの継続と実質金利の低下 |
現在の価格水準から見ても、将来的には4,000ドル、5,000ドルを目指す展開も決して夢物語ではありません。ブリックスによる「脱ドル化」の動きは、金という「究極の安全資産」の価値を再評価させる歴史的な転換点となっているのです。
AIバブル崩壊に備える資産防衛術:エヌビディア・ソフトバンク株のリスク
ここまでは金や通貨の話をしてきましたが、私たちの資産運用の主役とも言える「株式」についても見ていきましょう。特に、ここ数年市場を牽引してきた「AIバブル」の行方は、2026年の資産防衛を考える上で避けて通れません。
エヌビディアやソフトバンクGといったAI関連企業は、確かに素晴らしい技術革新を起こしています。しかし、投資の世界には「期待が膨らみすぎると、実態とのギャップで崩れる」という怖い一面があります。もしAIブームが急速に冷え込んだ場合、関連銘柄が大きな下落局面を迎えるリスクがあるのです。
AIデータセンター投資の収益性と「収益還元法」の壁
現在、世界中の巨大IT企業(マグニフィセント・セブンなど)が、AIを動かすためのデータセンター建設に莫大な資金を投じています。しかし、ここで冷静に考えなければならないのが「その投資に見合うだけの利益が出ているか?」という点です。
これを不動産投資に例えてみましょう。「収益還元法」という考え方があります。1億円で建てたマンションが、月に1万円しか家賃を生まないとしたら、その投資は失敗ですよね。今のAI業界は、これに近い状態になりつつあると懸念されています。
「すごいAIを作ったけれど、電気代ばかりかかって誰も高いお金を払ってくれない」。そんな事態になれば、期待だけで上がっていた株価は支えきれません。エヌビディアのGPU需要が一巡したり、ソフトバンクGの投資先が利益化に苦戦したりするシナリオは、決して無視できないのです。
2026年11月の中間選挙が相場のターニングポイントになる理由
そして、このAIバブル崩壊の引き金になり得るのが、2026年11月に行われるアメリカの「中間選挙」です。
株式市場は、政治の安定を好みます。もしこの選挙でトランプ大統領率いる共和党が負け、議会の主導権を失うようなことがあれば、政権の力が弱まる(レームダック化する)ことが懸念されます。
- 2025年〜2026年前半: トランプ政権への期待とAI投資ブームで株価は高値を維持。
- 2026年後半: 中間選挙に向けた不透明感と、AI企業の決算で「稼ぐ力」への疑問が噴出。
- 選挙後: 政治的混乱とバブル崩壊が重なり、大きな調整局面へ。
このように、政治イベントと企業の業績不安が重なる2026年後半は、株式投資において「守り」を固めるべき重要な時期になると予想されます。
初心者でもできる具体的対策:金・銀・スイスフランへの分散投資
「ドルも不安、株もバブル崩壊が怖い。じゃあどうすればいいの?」と思われた方もいるでしょう。ここからは、プロが実践する具体的な資産防衛術をご紹介します。
キーワードは「分散」です。特定の国(アメリカや日本)や、特定の資産(株や現金)だけに偏らず、性質の異なる資産を持つことで、どのシナリオに転んでも資産を守れるように準備しましょう。
現金は「インフレ税」で目減りする!安全通貨スイスフランの活用
まず認識していただきたいのは、「現金のまま銀行に置いておくこと」自体がリスクだということです。先ほど触れたように、インフレとは実質的な増税(インフレ税)であり、何もしなくてもお金の価値が削られていく現象だからです。
そこで注目したいのが、究極の安全資産と呼ばれる通貨「スイスフラン」です。スイスは永世中立国であり、独自の堅実な経済運営を行っているため、世界的な危機が起きたときに買われる傾向があります。
- 円やドル: 政府の借金が多く、インフレリスクが高い。
- スイスフラン: 金の裏付けを持つかのような高い信用力があり、価値が下がりにくい。
もちろん、全ての資産をスイスフランにする必要はありませんが、資産の一部を「避難場所」として持っておくことは、非常に有効な保険となります。
金・銀の「ドルコスト平均法」による積立投資のススメ
次に、やはり王道となるのが金(ゴールド)や銀(シルバー)といったコモディティ(実物資産)です。特に銀は「貧者の金」とも呼ばれ、金に比べて価格が安く、産業用需要も多いため、金以上に値上がりする可能性を秘めています。
これらに投資する際、初心者の方に最もおすすめなのが「積立投資」です。
価格が高い時も安い時も、毎月決まった金額(例えば1万円や3万円)を淡々と買い続ける方法を「ドルコスト平均法」と呼びます。これなら、「今が買い時かな?」と悩む必要がなく、高値掴みのリスクを抑えながら、自動的に資産を積み上げることができます。
最近では「新NISA」の成長投資枠を使って、金や銀のETF(上場投資信託)を購入することも可能です。税金がかからないメリットを活かしつつ、守りの資産を作る。これが2026年を乗り切るための賢い戦略と言えるでしょう。
まとめ
2026年の経済は、トランプ政権によるインフレ政策、米国債の大量償還、そしてAIバブルの正念場という、いくつもの火種が重なり合う複雑な状況です。
現在の状況を例えるなら、「巨大なインフレという火が燃え広がっている中で、トランプ政権がさらにドルの薪(増刷)を投げ込もうとしている状態」と言えます。この火の粉が降りかかったとき、無防備な現金だけの家(資産)はひとたび燃え上がると守る術がありません。
しかし、私たちは「防火壁」を築くことができます。それが、国や企業のリスクに依存しない金(ゴールド)であり、歴史あるスイスフランであり、時間を味方につける積立投資です。
- トランプ関税と米国債問題は、ドルと円の価値を同時に下げる可能性があります。
- ブリックスの脱ドル化は、金価格を長期的かつ強力に押し上げます。
- AIバブルの崩壊リスクを警戒し、株式一本足打法からの脱却が必要です。
今すぐできる、最初の一歩
記事を読み終えた今、まずはご自身の「資産の内訳(ポートフォリオ)」をチェックしてみませんか?
もし資産のほとんどが「日本円の預金」か「米国株」のどちらかに偏っているなら、それは黄色信号かもしれません。まずは資産の5%〜10%程度からでも構いません。金や銀、あるいは安全な通貨への分散を検討してみてください。
未来の安心は、今日の小さな行動から生まれます。大切な資産を守り抜くために、まずは「守りの資産」をひとつ、ポートフォリオに加えてみましょう。
