老後が心配な人へ|2025・26年年金改正と老後資金の不安解消ガイド

老後が心配な人へ|2025・26年年金改正と老後資金の不安解消ガイド

「今の貯金だけで足りるのだろうか」「年金は本当にもらえるのか」など、ふとした瞬間に老後の不安を感じることはありませんか。実際、多くの意識調査において、年代を問わずお金に関する悩みの第1位は「老後資金」であることが判明しています。

しかし、その不安の正体は、実は「制度や現状を正しく知らないこと」による不透明さにあります。この記事では、2025年や2026年に予定されている年金制度の大きな改正や、70歳までの就業環境の変化、さらにインフレに負けない資産形成までをわかりやすく解説します。将来の見通しをクリアにして、漠然とした不安を解消するための準備を一緒に始めましょう。

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目次

なぜ「老後が心配」なのか?不安の正体と最新の経済実態

「老後が不安だ」と感じていても、具体的に何がどのように足りないのかを数字で把握できている人は意外と少ないものです。まずは、私たちが抱える不安の正体を解き明かし、日本全体の経済実態と照らし合わせることで、現状を客観的に整理してみましょう。

老後資金の不安は「生活費と受給額」の不透明さが原因

多くの人が抱える老後不安の根本的な原因は、将来の収支が見えない「暗闇」の中にいることにあります。三井住友トラスト・ミライ研などが実施した1万人規模の調査によると、老後生活に不安を感じる最大の理由は「公的年金がいくらもらえるかわからない」、次いで「老後の生活費がどれくらいかかるかわからない」というものでした。

つまり、資金が足りないという確定した事実よりも、自分が必要とする金額と入ってくる金額の予測がついていない状態こそが、精神的な負担を増幅させているのです。現役時代とは異なり、老後は収入源が限られるため、この不透明さが解消されない限り、いくら貯金をしても「これで安心」という気持ちにはなりにくいのが現実です。

主な不安の要因を整理すると、以下の3点に集約されます。これらを具体化することが、不安解消の第一歩となります。

  • 生活費の不明確さ:今の生活水準を維持するのか、ダウンサイジングするのか決まっていない
  • 受給額の認識不足:ねんきん定期便などで自分の受給予定額を確認していない
  • インフレへの懸念:物価上昇により、現金の価値が目減りすることへの恐怖

「長生きリスク」と予備的貯蓄が消費を抑制している

日本人の家計において特徴的なのが、消費を極端に抑えて貯蓄に回そうとする傾向です。内閣府の経済財政報告などを見ると、家計の「平均消費性向」は低下傾向にあり、その背景には「長生きリスク」への備えがあることが指摘されています。平均寿命が延びること自体は喜ばしいことですが、経済的な側面から見ると「想定よりも長生きしてしまい、死ぬ前に資産が枯渇する」というリスクになります。

実際に、現在の日本では90歳まで生存する確率が男性で約25%、女性では約50%にも達しています。つまり、女性の2人に1人は90歳を迎える時代において、従来の「80歳くらいまで生きる」という想定での資金計画では破綻する可能性があります。

そのため、多くの人が老後の医療費や介護費用、そして日々の生活費が足りなくなることを恐れ、「予備的貯蓄」として現金を積み上げようとします。この「いつまで生きるかわからない」という不確定要素が、現在の生活を楽しむための消費を抑制し、将来への過度な心配を生み出す大きな要因となっているのです。

2025年・2026年の年金・雇用制度改正で変わる「老後の働き方」

私たちの不安を解消する鍵の一つが、国の制度改正を正しく理解し、味方につけることです。これからの数年間で、年金制度や雇用環境は大きく変わろうとしています。特に2025年から2026年にかけての改正は、働くシニア層にとって追い風となる内容が多く含まれています。

2025年年金改正:パートの社保拡大と「106万円の壁」撤廃

2025年には、パートやアルバイトとして働く人々にとって非常に重要な改正が本格化します。これまで従業員数が少ない企業で働く短時間労働者は、社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務がありませんでした。しかし、制度改正により加入対象となる企業の規模要件が段階的に撤廃され、より多くの人が厚生年金に加入できるようになります。

これに伴い、いわゆる「106万円の壁」に関しても議論が進んでいます。社会保険料を払うことで手取り収入が減ることを避けるための就業調整ですが、国は企業への助成金などを通じて、この壁を実質的に無効化し、働き控えを解消しようとしています。目先の手取りは減るかもしれませんが、厚生年金に加入することで「将来受け取る年金額が増える」「傷病手当金などの保障が手厚くなる」という大きなメリットが生まれます。

今後の年金制度改正のスケジュール感を把握しておきましょう。

時期概要影響・ポイント
2024年10月社会保険適用拡大従業員数51人以上の企業まで拡大
2025年〜次期制度改正の法案審議企業規模要件の撤廃や第3号被保険者の見直し議論
2026年4月在職老齢年金の見直し働きながら受給できる年金の基準緩和(予定)

2026年4月:在職老齢年金の基準緩和で「働き損」がなくなる

もう一つの大きな注目点が、2026年4月に予定されている「在職老齢年金制度」の見直しです。これは、働きながら年金を受け取る際、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全額が支給停止(カット)される仕組みのことです。これまでは、この制度があるために「働くと年金が減らされるから損だ」と考え、就業を控える高齢者が少なくありませんでした。

現在の支給停止基準額は月額50万円ですが、改正案ではこれを62万円程度まで引き上げる、あるいは制度そのものを撤廃する方向で調整が進められています。基準額が引き上げられれば、正社員並みの給与を得て働いても年金が満額受け取れるケースが増え、「働き損」の解消につながります。

企業側にも70歳までの就業機会確保が努力義務化されており、実際に約35%の企業が制度を導入済みです。60代以降も元気なうちは働き続け、収入を得ながら年金の繰り下げ受給を検討するなど、選択肢は確実に広がっています。この制度改正は、老後資金の不足を「長く働くこと」で補いたいと考えている人にとって、非常に強力な後押しとなるはずです。

老後資金の不安を解消する「資産形成」と「インフレ対策」

制度の改正で「働く環境」が整っても、それだけで全ての不安が消えるわけではありません。昨今の物価上昇は、現役世代だけでなく年金生活者の家計も直撃しています。これからの時代は、ただ節約して現金を残すだけでなく、お金そのものの価値を守る対策が不可欠です。

新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)の最新活用術

「貯金があれば安心」という常識は、インフレ時代には通用しなくなりつつあります。物価が上がれば、銀行に預けている現金の価値は実質的に目減りしてしまうからです。そこで重要になるのが、新NISAやiDeCoといった非課税制度を活用した資産形成です。特に新NISAは、非課税保有期間が無期限化されたことで、老後を見据えた長期運用に最適な制度へと進化しました。

また、iDeCoに関しても制度の拡充が進んでいます。加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられる議論や環境整備が進み、60代からでも老後資金の上積みを目指せるようになりました。長い老後を支えるためには、現金と投資信託などをバランスよく持ち、資産寿命を延ばす工夫が求められます。

インフレに負けない家計を作るためのポイントは以下の通りです。

  • 長期・積立・分散:リスクを抑えながら、世界経済の成長を取り込む基本戦略です。
  • 70歳までの運用期間:60代は「取り崩す時期」ではなく、まだ「増やす時期」と捉え直しましょう。
  • 公的年金の補完:iDeCoなどの私的年金を作ることで、公的年金の不足分をカバーします。

独居老人の賃貸問題と「改正住宅セーフティネット法」

お金や健康と並んで大きな悩みとなるのが、「住まい」の問題です。特に持ち家のない単身高齢者の場合、賃貸住宅への入居を断られるケースが後を絶ちません。しかし、この問題に対しても法改正による新たな解決策が動き出しています。

高齢者の入居拒否を防ぐ「見守りサービス」と法的な備え

大家さんが高齢者の入居を敬遠する最大の理由は、家賃の滞納ではありません。「孤独死(孤立死)」による事故物件化や、亡くなった後の「残置物」の処理に不安を感じているからです。身寄りのない独居老人の場合、誰が荷物を片付けるのかが不明確だと、契約を結ぶことが難しくなります。

こうした課題を解消するために注目されているのが、改正住宅セーフティネット法に基づいた仕組みです。居住支援法人が提供する「見守りサービス」や、死後事務委任契約とセットになった「残置物処理のモデル条項」を利用することで、大家さんの不安を取り除けます。

法的な後ろ盾がある契約を結べば、入居審査も通りやすくなります。

  • 見守り機能:定期的な安否確認で、万が一の発見遅れを防ぎます。
  • スムーズな契約解除:入居者が亡くなった後、円滑に契約を終了させる手続きを定めます。
  • 残置物の処理:あらかじめ指定した業者が荷物を片付けるため、大家に迷惑をかけません。

後回しで後悔しない!今すぐ始める「終活」と「生活設計」

制度や住まいの対策が見えてきても、実際に自分がどう動くべきか分からなければ意味がありません。多くのシニアが口を揃えて言うのが、「もっと早く準備をしておけばよかった」という後悔です。漠然とした不安を消す最後の鍵は、自分自身と向き合う「具体的な行動」にあります。

終活の最大の壁は「何から始めるか分からない」こと

「終活」という言葉は定着しましたが、実際に取り組めている人はまだ少数派です。終活協議会などの調査によると、多くの人が必要性を感じながらも行動に移せていません。その原因は、何から手をつければいいのか分からないという戸惑いにあります。いきなりお墓や遺言書の話をするのはハードルが高いものです。

まずは、これからの人生をどう楽しみたいかという「生活設計」を立てることから始めましょう。今後20年、30年の収支をシミュレーションし、いつどんなイベントがあり、いくら必要なのかを可視化します。これだけで、「何となく不安」という感情が「これだけあれば大丈夫」という確信に変わっていきます。

2026年の今、最初に取り組むべきリストを整理しました。

  • 家の片付け(断捨離):不用品を減らすことで、転居もしやすくなり、つまずき転倒のリスクも減ります。
  • 資産の棚卸し:使っていない銀行口座を解約し、資産全体を把握しやすい状態にします。
  • 家族会議の実施:延命治療の希望や、実家の管理について、元気なうちに家族と話し合います。

まとめ

老後の不安は、正体の見えない「お化け」のようなものです。しかし、照明をつけて正体を見れば、それは「制度への無理解」や「準備不足」という、対処可能な課題であることが分かります。

今回解説したように、2025年から2026年にかけての年金制度改正は、働く意欲のあるシニアにとって追い風となる内容です。また、新NISAやiDeCoを活用した資産形成、改正住宅セーフティネット法による住まいの確保など、私たちを守るための選択肢は確実に増えています。

大切なのは、国や社会の変化を知り、それを自分の生活設計に組み込んでいくことです。「どうせ無理だ」と諦めるのではなく、使える制度をフル活用することで、豊かな老後を手繰り寄せることができます。

さあ、まずは「現状把握」から始めましょう

この記事を読み終えた今が、不安を安心に変える絶好のタイミングです。まずは、ご自身の「ねんきん定期便」を確認するか、マイナポータルにログインして、将来の年金受給予定額をチェックしてみませんか?

あるいは、今週末に家族と「これからの住まい」について少しだけ話してみるのも良いでしょう。小さな一歩を踏み出すことで、霧が晴れるように視界が開けてくるはずです。あなたの老後が、笑顔と安心に満ちたものになることを心から応援しています。

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