2026年2月、住友化学(4005)の株価が市場の注目を集め、急伸を見せています。
その最大の理由は、2026年3月期通期業績予想の上方修正と、それに伴う増配の発表があったからです。ここ数年、巨額の赤字や構造改革の痛みに耐えてきた同社ですが、半導体材料の好調などを背景に、いよいよ本格的なV字回復フェーズに入ったのでしょうか。
本記事では、最新の決算修正内容や増配の詳細、証券アナリストによる目標株価などをもとに、投資家が気になる今後の見通しをわかりやすく解説します。
住友化学が2026年3月期業績予想を上方修正【最新ニュース】
投資家の皆様にとって、待ちに待った明るいニュースが飛び込んできました。住友化学は2026年2月、2026年3月期の通期連結業績予想を上方修正しました。
この発表を受け、株式市場では後場に入ってから株価が急伸する展開となりました。これまで慎重な見方が多かった市場心理ですが、会社側が示した数字が予想以上にポジティブだったことで、買い安心感が広がったようです。
具体的にどの程度の修正が行われたのか、主な数値を以下の表にまとめました。
| 項目 | 修正前予想 | 今回の修正予想 | 増減額 |
| 売上収益 | 2兆2,900億円 | 2兆3,000億円 | +100億円 |
| 営業利益 | 1,600億円 | 1,650億円 | +50億円 |
| コア営業利益 | 修正前数値 | 改善傾向 | – |
このように、売上収益と営業利益の双方が引き上げられています。特に営業利益がしっかりと上積みされたことは、本業の稼ぐ力が回復しつつあることを示唆しており、市場から好感されています。
上方修正の要因は?半導体材料と合理化の効果
では、なぜ今回の上方修正が実現したのでしょうか。単に製品が値上がりしたからという一時的な理由だけではありません。
最大の要因は、半導体プロセス材料の出荷が増加している点です。半導体プロセス材料とは、スマートフォンやパソコン、AIサーバーなどに使われる半導体チップを作るために不可欠な特殊な薬品や材料のことです。世界的なデジタル化の波に乗り、この分野の需要が力強く回復しています。
また、これまで進めてきた構造改革による合理化の効果も見逃せません。不採算事業の見直しやコスト削減が進んだことで、利益が出やすい体質へと変化し始めています。売上の増加以上に利益が伸びる「質の高い」回復が見えてきたことが、今回のポイントと言えるでしょう。
期末配当の増額修正と年間配当利回り
業績が良くなれば、株主への還元も期待されるのが自然です。今回の発表には、しっかりと配当の増額も含まれていました。
会社側は業績改善に伴い、期末配当を従来計画よりも1.5円増やし、1株あたり7.5円に修正しました。これにより、すでに実施された中間配当と合わせると、年間の配当金は13.5円となります。
前期の年間配当が9円だったことを踏まえると、明確な増配基調にあることがわかります。中期経営計画では「将来的には年間24円レベル」を目指す方針も掲げられており、現在の株価水準から見た配当利回りの魅力も、徐々に高まってきていると言えます。
プロの評価は?アナリスト目標株価とコンセンサス
個人投資家だけでなく、プロの証券アナリストたちは今回の発表をどう評価しているのでしょうか。
現在の大手証券会社のアナリストたちの判断を集計すると、「買い」推奨が優勢となっています。複数のアナリストによる平均目標株価は529円と算出されており、現状の株価と比較しても、まだ上昇余地があるという見方が強いようです。
特に、強気な「買い」判断を示す意見が増えてきています。これは、目先の数字だけでなく、構造改革が進んだ後の成長ストーリーが評価され始めている証拠かもしれません。プロの目から見ても、住友化学の復活シナリオは現実味を帯びてきているようです。
【今後の見通し】ラービグ・医薬の「爆弾」処理は進んでいるか
投資家の皆様が最も懸念しているのは、やはり「負の遺産」とも呼ばれる事業の現状ではないでしょうか。
具体的には、長らく業績の足を引っ張ってきた石油化学事業の「ペトロ・ラービグ」と、特許切れなどの課題を抱える「住友ファーマ」の動向です。今回の業績回復が本物かどうかを見極めるには、これらのリスク要因がどう処理されているかを確認する必要があります。
現在、会社側は新中期経営計画に基づき、痛みを伴う構造改革を断行しています。
特にラービグに関しては、債権放棄による損失処理や持分比率の引き下げなど、リスクを切り離すための手続きが進められています。損益計算書上では一時的に大きなマイナスに見えることもありますが、これは将来の不透明感を払拭するための必要な「手術」と言えるでしょう。
医薬品事業についても、提携パートナーの探索やコスト構造の見直しが進んでいます。
これらは、不採算部門を整理し、成長が見込める分野へ経営資源を注ぎ込む「選択と集中」の一環です。財務体質を健全化させるための「リハビリ期間」は順調に消化されつつあり、投資家が抱いていた過度な警戒感は少しずつ和らいできている状況です。
まとめ:住友化学は「買い」か?復活への期待とリスク
ここまで、住友化学の最新ニュースと今後の展望について解説してきました。
結論として、2026年3月期の業績上方修正と増配は、同社が目指すV字回復に向けた大きな一歩であることは間違いありません。特に半導体材料を中心とした事業の好調さは、短期的な株価上昇の強力な材料となります。
しかし、長期的な視点での投資判断には、もう少し冷静な目も必要です。
汎用的な化学品メーカーから、高付加価値な製品で稼ぐ「スペシャリティケミカル」企業へと完全に生まれ変われるかが、今後のカギを握っています。単なる市況の回復頼みではなく、キャッシュフローを生み出す力が構造的に強くなっているかを継続してチェックしていく必要があります。
2026年は、同社が完全復活を遂げるための重要な通過点です。
アナリストの評価も高く、配当利回りの改善も魅力的ですが、リスクが完全にゼロになったわけではありません。今回のニュースをきっかけに、まずは少額から投資を検討してみるのも一つの戦略かもしれませんね。
