「お寺や神社は税金がかからない」というのは、もはや過去の常識になりつつあるのをご存じでしょうか。2026年現在、高市政権下において新たな財源確保の観点から、これまで聖域とされてきた宗教法人への課税が本格的な議論の俎上に載せられています。
なぜ今、このような動きが活発化しているのかというと、税負担の公平性を求める世論の高まりに加え、国の財政健全化が待ったなしの状況にあるためです。実際に現場レベルでは、法改正を待たずして国税や地方自治体による監視の目が非常に厳しくなっています。
具体的には、宿坊の運営や駐車場経営、さらには宗教用具の販売に至るまで、これまで見過ごされがちだった活動が収益事業とみなされ、課税されるケースが急増しています。本記事では、激変する政治動向の背景と、判例に基づく課税・非課税の境界線をわかりやすく解説します。
高市政権で加速する「宗教法人課税」議論の背景
ここ数年、永田町では宗教法人に対する課税強化の議論がかつてないほどの熱を帯びています。その最大の要因は、高市政権が掲げる経済政策と、それに伴う財源確保の必要性です。食料品など生活必需品への税率引き下げや社会保障の充実を求める声が高まる中、その代替財源として宗教法人が保有する莫大な資産が注目されているのです。
一部の試算では、宗教界全体で動く資金に対する課税が実現すれば、年間で4兆円から5兆円規模の新たな税収が見込めるとも言われています。これまで宗教法人への課税は政治的なタブーとされる側面がありましたが、税制の公平性を重視する国民感情がその壁を崩しつつあります。
また、連立与党内での力学の変化も無視できません。かつては慎重姿勢を示していた公明党との関係性が、中道改革を志向する新たな連立の枠組みの中で変化したことで、聖域なき改革への道筋がついた形です。政治的な配慮よりも、実質的な税の公平負担を求める流れは、今後ますます加速していくことでしょう。
すでに始まっている「税務調査」の厳格化トレンド
政治の場での法改正議論が進む一方で、税務署などの現場レベルではすでに変化が起きています。それは税務調査の厳格化です。財務省や国税庁は、宗教法人の優遇税制が悪用されるケースを問題視しており、本来の宗教活動とは無関係な脱税行為やマネーロンダリングへの監視を強めています。
特に近年では、テロ資金供与対策という国際的な要請もあり、資金の流れに対する透明性が強く求められるようになりました。お布施などの非課税所得が不透明な形で個人の私腹を肥やすことに使われていないか、あるいは名義貸しによって第三者の脱税に加担していないかといった点が、徹底的にチェックされています。
以前なら見過ごされていたような些細な記帳漏れや、どんぶり勘定とも言える会計処理も、今では重加算税の対象になり得ます。宗教法人だからといって調査が入らないという安心感は、完全に捨て去るべき時代が到来しているのです。
【要注意】課税対象となる「収益事業」の境界線
では、具体的にどのような活動が税金の対象となるのでしょうか。多くの宗教関係者や一般の方が疑問に思うのは、どこからが宗教活動で、どこからが収益事業になるのかという境界線です。基本原則として、宗教活動そのものや、そこから得られるお布施などは非課税ですが、法人税法で定められた34業種の収益事業に該当する場合は課税対象となります。
たとえば、参拝客が泊まる宿坊や、境内の駐車場などは判断が分かれやすい代表例です。単に信者を宿泊させるだけでなく、一般の観光客を広く受け入れ、アメニティを充実させて宿泊予約サイトなどで集客している場合は、旅館業と同じ収益事業とみなされます。駐車場についても同様で、参拝者専用の無料駐車場は問題ありませんが、月極契約やコインパーキングとして一般開放している場合は課税されます。
また、物品販売についても注意が必要です。お守りやおみくじは、対価ではなく喜捨(お布施)としての性格が強いため非課税ですが、線香やろうそく、絵葉書などを定価で販売する場合は、一般の物品販売業と同じ扱いになります。以下の表で、具体的な線引きを確認してみましょう。
| 項目 | 非課税となる可能性が高い活動 | 課税対象(収益事業)となる可能性が高い活動 |
| 宿泊施設 | 修行を目的とした信者のみの宿泊 (実費程度の料金設定) | 一般観光客の受け入れ 観光ホテル並みの設備・料金 予約サイトの利用 |
| 駐車場 | 参拝者専用の無料駐車場 (短時間の参拝利用) | 近隣住民向けの月極契約 時間貸し(コインパーキング) 参拝者以外も利用可能な有料駐車場 |
| 物品販売 | お守り、お札、おみくじ (喜捨としての性格が強いもの) | 線香、ろうそく、数珠、絵葉書 (一般の商品として定価販売するもの) 骨董品や陶器の販売 |
| 不動産 | 境内地の宗教用建物 (本堂、社務所など) | 境内の土地を一般企業へ賃貸 マンションやアパート経営 |
このように、形式上は宗教法人の活動であっても、実態が一般企業と競合するようなビジネスであれば、容赦なく課税されるのが現在の運用実態です。うっかり収益事業の申告を漏らしてしまうと、後から多額の追徴課税を求められるリスクがあります。
固定資産税が課税される「落とし穴」とは?
「境内にある建物なら、すべて非課税になるはずだ」と思い込んでいないでしょうか。実は、ここにも大きな落とし穴が存在します。たとえ由緒あるお寺の境内地であっても、その使用実態によっては固定資産税や都市計画税が課税されるリスクがあるのです。
特に注意が必要なのが、近年増えている境内の有効活用です。参道の一部をおしゃれなカフェに改装したり、宿泊施設としてリノベーションしたりする事例が人気を集めていますが、これが課税の引き金になることがあります。法律上、非課税となるのはあくまで「専ら本来の(宗教)用に供する」場合だからです。
実際に、ある寺院が参道に建設した信者向けの休憩所を、一般客も利用できるカフェやホテルとして運営していたケースで、大阪高裁が「宗教活動との一体性は認められない」として課税処分を支持した判例があります。単に場所が境内にあるというだけでは、免罪符にはならないという司法の判断が定着しつつあるのです。
これから境内の活用を考えている、あるいはすでに何らかの事業を行っている場合は、以下のポイントを必ずセルフチェックしてみてください。これらに該当する場合、そこは「聖域」ではなく「店舗」とみなされる可能性が高まります。
【重要ポイント:境内のカフェ・施設利用はここがチェックされる!】
- 専有面積の割合: 宗教活動(休憩所など)よりも、収益事業(客席・厨房)のスペースが広くないか?
- 営業の恒常性: 行事の時だけでなく、定休日を設けて年中無休に近い形で営業していないか?
- 利用者の属性: 信者や参拝者以外の、一般の観光客や近隣住民が主な客層になっていないか?
- 収益の管理: 売上が宗教法人の会計とは別の財布(住職個人の口座など)に入っていないか?
宗教法人が今すぐ確認すべき対策とコンプライアンス
高市政権下での議論や税務調査の厳格化を受けて、宗教法人はこれまで以上の透明性を求められています。「昔からの慣習だから」という言い訳は、もはや通用しません。法人を守り、未来へつなぐために、今すぐ取り組むべき対策は大きく分けて3つあります。
まず1つ目は、会計区分の明確化です。お布施や寄付金などの「本来事業」と、駐車場や物品販売などの「収益事業」を、財布の中身からきっちりと分ける必要があります。どんぶり勘定は税務調査で最も疑われる要因になりますので、専用の口座を設けて資金の流れをクリアにしておきましょう。
2つ目は、テロ資金供与対策(FATF)への意識を持つことです。「ウチのような小さな寺には関係ない」と思われるかもしれませんが、財務省や金融機関はマネーロンダリングの観点から現金取引に非常に敏感になっています。多額の現金を動かす際は、その出所と使途を明確に記録する記帳義務を徹底してください。
3つ目は、契約書や帳簿の整備です。境内地を貸す場合や、業者に業務を委託する場合など、口約束ではなく必ず書面に残します。これは税務対策であると同時に、トラブルを未然に防ぐための基本でもあります。
まとめ:聖域なき課税時代に備える
2026年、私たち宗教法人を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。高市政権による法改正の議論は、宗教法人であっても「稼ぐなら相応の負担を」というメッセージであり、現場での税務調査の強化はその予行演習とも言えるでしょう。
政治的な動きと実務的な監視強化というダブルパンチが来ている今、最も危険なのは「知らなかった」と放置することです。しかし、恐れる必要はありません。公益性の高い活動を堂々と行い、収益事業についてはルール通りに納税すればよいだけの話です。
大切なのは、透明性の高い運営を行い、社会からの信頼を維持することです。もし、自坊の運営状況や収益事業の区分について少しでも不安があるなら、宗教法人の会計に詳しい税理士に一度相談してみてはいかがでしょうか。専門家の目線でリスクを洗い出し、適切な対策を講じることが、これからの時代を生き抜くための一番の近道です。
