日本の防衛力を抜本的に強化するため、政府は財源確保策として「防衛増税」の実施方針を固めました。ニュースで耳にして「結局いつから始まるの?」「自分の会社や家計にはどれくらい影響があるの?」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、2026年4月から「法人税」と「たばこ税(加熱式)」の増税が先行してスタートする見通しです。本記事では2025年度の税制改正大綱などの情報を基に、各税目の導入時期や具体的な増税額についてわかりやすく解説します。石破政権下での最新スケジュールや負担額の目安を把握し、今のうちから資金繰りや家計の備えを進めていきましょう。
防衛増税はいつから?2026年4月開始の税目と全体スケジュール
昨今の厳しい安全保障環境に対応するため、日本政府は2023年度からの5年間で総額43兆円という規模の防衛費を投じる計画を立てています。この巨額の資金を賄うためのパズルのピースとして組み込まれたのが、今回の防衛増税です。
増税と聞くとすべての税金が一斉に上がるイメージを持つかもしれませんが、実際には税目ごとに開始時期が異なります。まずは全体像を把握するために、主要な3つの税金がいつから上がるのかを整理しました。以下のスケジュール表をご覧ください。
| 時期 | 税目 | 概要 |
| 2026年4月 | 法人税 | 防衛特別法人税として開始(4%の付加税) |
| たばこ税 | 加熱式たばこの課税方式見直し等による値上げ開始 | |
| 2026年10月 | たばこ税 | 加熱式たばこの2段階目の増税 |
| 2027年以降 | 所得税 | 防衛特別所得税の導入(時期は柔軟に検討) |
| たばこ税 | 紙巻たばこ含む段階的な引き上げ(2029年まで) |
2026年4月は「法人税」と「加熱式たばこ」が先行
スケジュールの中で最も早く影響が出るのが、企業の利益にかかる法人税と、近年利用者が増えている加熱式たばこにかかるたばこ税です。これらは2026年4月の施行が予定されており、準備期間は残りわずかとなっています。
特に法人税に関しては、3月決算の企業であれば新年度のスタートと同時に新しい税制の影響を受けることになります。たばこ税についても、2026年4月と10月の2回に分けて加熱式たばこの価格改定が行われる見込みであり、愛煙家にとっては負担感が増す一年になりそうです。
所得税は2027年から?防衛力強化に向けた43兆円の財源確保
一方で、私たちの給与などにかかる所得税については、開始時期が少し後ろ倒しになる可能性があります。政府は防衛力強化の財源として法人税、たばこ税、所得税の3つを柱としていますが、所得税に関しては個人の家計への配慮や、デフレ脱却を目指す日本経済の状況を見極めながら慎重に判断される見通しです。
現在のところ2027年以降の実施が有力視されていますが、具体的な開始時期は今後の政治情勢や経済動向によって左右されるでしょう。とはいえ、将来的な負担増は避けられない情勢ですので、長期的な視点での家計管理が求められます。
【法人税】2026年4月施行「防衛特別法人税」の仕組みと対象
ここからは、最初に施行される法人税の増税内容について詳しく見ていきましょう。今回導入されるのは「防衛特別法人税」と呼ばれるもので、今ある法人税額に対して上乗せで課税される仕組みです。これを専門用語で「付加税」と呼びます。
企業経営者や経理担当の方にとっては、資金繰りや決算業務に直結する重要な変更点です。単に税率が上がるだけでなく、一定の控除枠が設けられるなど中小企業への配慮も盛り込まれていますので、自社がどの程度の影響を受けるのかを正しく理解しておく必要があります。
法人税額に4%上乗せ!基礎控除500万円の適用ルール
新しい制度では、企業が支払う本来の法人税額に対して一律で4%〜4.5%程度の税率が上乗せされる予定でしたが、最終的には「4%」という数字で調整が進んでいます。たとえば本来の法人税が1,000万円だった場合、その4%にあたる40万円が追加で徴収されるイメージです。
ただし、すべての企業がこの4%を丸ごと負担するわけではありません。中小企業への配慮として、課税の基準となる法人税額から年500万円を差し引くことができる「基礎控除」が設けられます。つまり、本来の法人税額が500万円以下の企業であれば、この付加税は発生しないことになります。
中小企業への影響は?利益2,400万円が課税のボーダーライン
この基礎控除500万円という枠は、多くの中小企業にとって大きな意味を持ちます。法人税の実効税率などを考慮して逆算すると、年間の課税所得(利益)がおよそ2,400万円程度の企業であれば、法人税額が500万円前後に収まる計算になるからです。
したがって、年間の利益が2,400万円を下回る多くの中小企業にとっては、今回の防衛増税による直接的な負担増はないと言えるでしょう。しかし、それを超える利益を出している企業にとっては、超えた部分に対して4%の税金がかかってくるため、納税資金の確保が必要になります。
0円でも必要!申告義務と中間申告の開始時期
「うちは利益が少ないから関係ない」と安心するのはまだ早いです。たとえ基礎控除の範囲内で納税額が0円になる場合でも、税務署への「申告義務」自体は残る可能性が高い点に注意が必要です。税制改正の詳細が決まれば、申告書の様式も変更になるでしょう。
また、2026年4月以後に開始する事業年度から適用されるため、対象となる企業では期中の「中間申告」から影響が出てくることも考えられます。経理実務においては、単に税金を払うか払わないかだけでなく、申告の手間やスケジュールの管理も重要なタスクとなります。
- 課税対象となる法人のポイント
- すべての普通法人が対象となります。
- 基準となる法人税額から年500万円が一律で控除されます。
- 法人税額が500万円を超える部分に対して、4%の税率が課されます。
- 結果として、年間所得が約2,400万円以下の中小企業は実質負担なしとなる見込みです。
【たばこ税】2026年4月から段階的に値上げ!加熱式も対象
法人税と並んで2026年4月から先行実施されるのが、たばこ税の増税です。愛煙家の方にとっては耳の痛い話ですが、今回は特に「加熱式たばこ」と「紙巻たばこ」で実施のタイミングや内容が異なるため、少し複雑になっています。
これまでのたばこ税増税は一律で行われることが多かったのですが、今回は数年かけて段階的に引き上げられる計画です。いつ、どれくらい値上がりするのか、長期的なスケジュールを把握しておくことが大切です。
加熱式たばこの課税方式見直し(2026年4月・10月の2段階)
まず直近で変更されるのが、加熱式たばこの課税ルールです。これまで加熱式たばこは、紙巻たばこよりも税負担が軽く設定されていましたが、この「割安感」を是正し、紙巻たばこと同等の水準まで引き上げる調整が行われます。
具体的には、2026年4月と10月の2回に分けて、段階的に税額が引き上げられる予定です。これにより、メーカー各社も価格改定を行う可能性が極めて高く、普段加熱式たばこを愛用している方は、春と秋にそれぞれ値上げの波を感じることになるでしょう。
2027年4月からは3段階で増税!1本あたり計1.5円の引き上げ
加熱式たばこの調整が終わった後、2027年からはたばこ税全体(紙巻たばこ含む)の本格的な「防衛増税」がスタートします。ここでは、防衛力強化の財源確保を目的として、1本あたり計3円相当の引き上げが計画されています。
ただし、いきなり3円上がるわけではありません。急激な価格変動による消費の冷え込みを防ぐため、数回に分けて少しずつ税率を上げていく方式が採用されました。まずは2027年4月頃を目処に第1段階の引き上げが実施され、家計への負担が分散される形になります。
1箱1,000円超えはいつ?2029年までの値上げスケジュール
最終的には2029年までの時間をかけて、たばこ1本あたり3円(1箱20本入りで60円)の増税が完了する見通しです。これにメーカーの本体価格値上げが加われば、銘柄によっては1箱1,000円の大台に乗る日もそう遠くないかもしれません。
これからの数年間で予定されている値上げのスケジュールを、以下の表にまとめました。ご自身が吸っているたばこがいつ対象になるのか、チェックしてみてください。
| 時期 | 対象・内容 | 影響の目安(1箱あたり) |
| 2026年 4月 | 加熱式たばこ | 課税方式の見直しによる値上げ(第1段階) |
| 2026年 10月 | 加熱式たばこ | 課税方式の見直しによる値上げ(第2段階) |
| 2027年 4月〜 | 全たばこ | 防衛財源確保のための増税開始 |
| 〜2029年 | 全たばこ | 段階的に合計60円程度の増税完了へ |
【所得税】2027年開始の「防衛特別所得税」と復興税の関係
続いて、私たちの給与や事業所得に関わる「所得税」について解説します。法人税やたばこ税に続いて導入されるこの税制は、多くの国民に関係するトピックですが、実は「今払っている税金の総額」は当面変わらないという特殊な仕組みになっています。
これは、現在東日本大震災の復興財源として納めている「復興特別所得税」との調整が行われるためです。複雑に見えるこの仕組みを、できるだけ噛み砕いて見ていきましょう。
所得税額に1%付加。復興特別所得税の引き下げと期間延長
新たに導入される「防衛特別所得税」は、所得税額に対して「1%」を上乗せするものです。しかし、これと同時に現在2.1%課されている「復興特別所得税」の税率を1%引き下げ、1.1%にする措置が取られます。
つまり、**「防衛分で+1%」して「復興分で-1%」**するため、差し引きゼロとなり、毎月の手取り額自体は変わらない計算です。その代わり、復興財源を確保するために、復興特別所得税を納める期間(当初は2037年まで)を最長で2050年代まで延長することで帳尻を合わせます。
【仕組みのイメージ】
- これまで:復興税 2.1%
- これから:復興税 1.1% + 防衛税 1.0% = 合計 2.1%(変わらず)
- その代わり:税金を払う期間が十数年長くなる(期間延長)
石破政権と「年収の壁」引き上げが所得税増税に与える影響
ここで注目すべきなのが、石破政権下で議論されている「年収の壁」の見直しです。もし基礎控除などが引き上げられ、いわゆる「103万円の壁」が178万円などに変更されれば、多くの人の所得税負担自体が減ることになります。
しかし、所得税収が減るということは、防衛費の財源として見込んでいた税収も減ってしまうことを意味します。そのため、不足分を補うために防衛増税の開始時期が調整されたり、別の形での負担が検討されたりする可能性もあり、政治の動向から目が離せません。
【シミュレーション】防衛増税で負担額はいくら増える?
制度の仕組みがわかったところで、実際にどれくらいの金額負担が増えるのか、具体的なシミュレーションを行ってみましょう。「パーセント」で言われてもピンとこない部分を、金額ベースで可視化します。
ここでは「法人」と「個人」の2つのケースに分けて計算例をご紹介します。ご自身の状況に近い数字を参考に、将来の資金計画にお役立てください。
法人の場合:利益規模別の追加納税額シミュレーション
法人税の増税(付加税4%)は、基礎控除500万円があるため、利益規模によって影響度が大きく異なります。中小企業の経営者の方は、自社の利益水準がボーダーラインを超えているかを確認してください。
以下のボックス内の計算例は、実効税率などを考慮せず、基準となる法人税額をベースにした簡易シミュレーションです。
【ケースA:年間利益 2,000万円(法人税額 約400万円)】
- 基準法人税額:400万円
- 基礎控除:500万円
- 計算:400万円 < 500万円 なので、課税対象は0円
- 増税額:0円(影響なし)
【ケースB:年間利益 5,000万円(法人税額 約1,160万円)】
- 基準法人税額:1,160万円
- 基礎控除:500万円
- 計算:(1,160万円 - 500万円)× 4% = 26.4万円
- 増税額:約26万4,000円
個人の場合:年収別の所得税・たばこ税負担の目安
個人の方については、所得税の実質的な負担増は当面ありませんが、たばこを吸う方は直接的な出費増となります。ここでは、たばこ税の影響を中心とした家計へのインパクトを見てみましょう。
特に加熱式たばこユーザーの方は、2026年中の2回の値上げで月々の小遣いや家計にじわじわと響いてくるはずです。
【ケースC:年収500万円・非喫煙者】
- 所得税:税率の入れ替えにより、手取り額の変化はなし
- 負担増:実質0円
【ケースD:年収500万円・加熱式たばこ1日1箱消費】
- 所得税:変化なし
- たばこ税:2026年の段階的値上げで、1箱あたり計20〜30円上がると仮定
- 計算:30円 × 365日 = 10,950円
- 負担増:年間 約1万1,000円(※さらに2027年以降も増加)
まとめ:2026年4月に向けた準備と最新情報の確認
防衛増税は、日本の安全保障を支えるための重要な施策である一方、企業経営や個人の家計にとっては無視できないコスト要因となります。今回のポイントを改めて整理します。
- 2026年4月から「法人税(付加税)」と「加熱式たばこ税」の増税が始まります。
- 法人税には500万円の基礎控除があり、多くの中小企業は負担増を免れる見込みですが、申告手続きは必要です。
- たばこ税は2029年にかけて段階的に値上げされ、負担感が徐々に増していきます。
- 所得税は復興税との調整で手取り額は変わりませんが、納税期間が延長されます。
増税のスケジュールは、あたかも台風の進路予報のように、時間の経過とともに刻々と変化する可能性があります。特に石破政権下での「年収の壁」議論や経済情勢によっては、施行直前での微調整も考えられます。
「まだ先のことだから」と後回しにせず、まずは自社の決算時期や個人のライフプランと照らし合わせ、どのタイミングで資金が必要になるかを把握することから始めましょう。
【次のアクション】
まずは直近の決算書(個人の場合は源泉徴収票)を手元に用意し、上記のシミュレーションに当てはめて「もし来年4月から適用されたら?」をご自身の手で計算してみてください。具体的な数字を見ることで、今やるべき対策が明確になります。
