引っ越しに伴う手続きの中でも、郵便物の転送設定は欠かせない大切なステップです。現在はわざわざ郵便局の窓口へ行かなくても、スマホひとつで手続きが完了する「e転居」を利用する方が増えています。しかし便利になった一方で、本人確認でエラーが出てしまったり、NHKへの住所変更通知に関する不安があったりと、デジタルならではの悩みも少なくありません。
特に2025年以降はセキュリティ対策が強化されており、スムーズに進めるためには事前の準備が重要です。この記事ではe転居の具体的な申し込み手順から、よくある本人確認トラブルの解決策、そして転送されない郵便物の注意点までをわかりやすく解説します。新しい生活を安心してスタートさせるために、ぜひ参考にしてください。
郵便局の「e転居」とは?スマホで完結するメリット
e転居とは、インターネット上で郵便物の転居届を提出できる日本郵便の公式サービスです。これまでのように郵便局の窓口へ出向いたり、ポストへハガキを投函したりする必要がなく、手元のスマートフォンを使っていつでも手続きを行えます。
最大のメリットは、24時間365日どこからでも申し込みができる点です。仕事や荷造りで忙しい引っ越し前後の時期でも、自宅にいながら隙間時間で住所変更の手配が完了します。また、手続きにかかる料金や切手代も不要で、コストをかけずに利用できるのも嬉しいポイントでしょう。
なお、セキュリティ強化の観点から、現在は申し込み時にオンラインでの本人確認が必須となっています。2025年4月からは、より高度な認証システムであるLIQUID eKYCなどが導入され、不正な転送届を防ぐ仕組みが整備されました。安心して利用できる反面、スマホの操作や写真撮影に少しコツが必要な場面もありますので、この後の手順で詳しく確認していきましょう。
【図解】e転居のやり方・申し込み手順
e転居の手続きは、画面の案内に沿って進めれば決して難しくありません。基本的には「ゆうID」という日本郵便の共通IDでログインし、本人確認を経て新旧の住所情報を入力するという流れになります。まずは手元にスマートフォンと、有効な本人確認書類を用意してください。
具体的な申し込み手順は以下の4ステップです。
- ゆうIDの作成とログインe転居サイトにアクセスし、ゆうIDをお持ちでない方は新規登録を行います。メールアドレスなどを登録してIDを作成し、ログインしてください。
- 本人確認書類の選択と撮影お手持ちの書類に合わせて、ICチップの読み取りや顔写真の撮影を行います。
- 転居情報の入力旧住所、新住所、転送を開始したい日付、転送する家族の氏名などを入力します。
- 内容確認と申請完了入力ミスがないか確認し、申請ボタンを押せば完了です。受付完了メールが届くので必ず保管しておきましょう。
スムーズに進めるために、どの書類が使えるか事前に確認しておくことをおすすめします。対応している主な本人確認書類と、それぞれの確認方法は以下の通りです。
| 本人確認書類 | 確認方法 | 特徴 |
| マイナンバーカード | ICチップ読み取り | スマホをカードにかざして読み取ります。署名用電子証明書の暗証番号(英数字6〜16桁)が必要です。 |
| 運転免許証 | 顔写真・厚み撮影 | 免許証の表面、斜め上からの厚み、裏面を撮影し、さらに自身の顔写真も撮影して照合します。 |
| 運転経歴証明書 | 顔写真・厚み撮影 | 運転免許証と同様に、書類と本人の顔写真を撮影して申請します。 |
| 在留カード | ICチップ読み取り | マイナンバーカード同様、ICチップをスマホで読み取る方式です。 |
マイナンバーカードを使用する場合は、パスワードの入力を求められます。数回間違えるとロックがかかってしまうため、あらかじめ手元にパスワードを控えてから操作を始めると安心です。
e転居で「本人確認ができない」時の原因と対処法
手順通りに進めているはずなのに、本人確認のステップでエラーが出てしまい、先に進めないというトラブルが多く報告されています。「何度やっても失敗する」「読み取りができない」と焦ってしまう前に、よくある原因と対処法を試してみてください。
マイナンバーカードの読み取りで失敗する場合、ブラウザの環境が影響していることがあります。特にiPhoneのSafariを利用している際、多くのタブを開いたままにしている「タブグループ」機能が干渉して、うまく動作しないケースがあるようです。一度すべてのタブを閉じるか、プライベートブラウズモードなど別の状態で再度アクセスすると改善することがあります。
運転免許証などで顔写真撮影を行う場合は、光の反射や部屋の明るさが重要です。書類に天井の照明が反射して白飛びしていたり、部屋が暗すぎて文字が認識できなかったりするとエラーになります。日中の明るい窓際や、照明が直接当たらない場所へ移動して再撮影してみてください。また、カメラのレンズが汚れているとピントが合わないため、撮影前にレンズを拭いておくのも小さなコツです。
氏名の表記揺れでエラーになるケースも見受けられます。ゆうIDに登録した氏名と本人確認書類の氏名(漢字の旧字体やスペースの有無など)が厳密に一致していないと、システムが別人だと判断することがあります。入力内容が書類と完全に同じになっているか、一字一句確認してみてください。それでも解決しない場合は、スマホや通信環境を変えてみるか、どうしても難しい場合は郵便局の窓口で手続きを行うのが確実な解決策となります。
転送開始までの「日数」と「有効期限」の注意点
手続きが完了したからといって、すぐに新しい住所へ郵便物が届くわけではありません。e転居の申し込みから実際に転送が開始されるまでには、事務処理のために「3〜7営業日」ほどの日数がかかります。そのため、引っ越し当日に慌てて申請しても、最初の1週間ほどは旧住所に郵便物が届いてしまう可能性があるのです。
また、転送サービスが有効な期間は「届出日から1年間」と決まっています。「転送開始日から」ではない点に注意が必要で、例えば引っ越しの1ヶ月前に早めに手続きを済ませた場合、その分だけ実際の転送期間は短くなります。とはいえ、直前になって焦るよりは余裕を持って申請する方が安心でしょう。
もし1年が経過しても転送を継続したい場合は、どうすれば良いのでしょうか。実は「延長」というボタンがあるわけではなく、期間が切れる前に再度「新規で転居届を出す」ことで、実質的に期間を更新することが可能です。家を建て替える間の仮住まいなど、長期にわたって転送が必要な場合は忘れないようにしましょう。
転居届を出しても「転送されない郵便物」とは?
郵便局に転居届を出せばすべての郵便物が転送されると思われがちですが、実は例外が存在します。それが「転送不要」と記載された郵便物です。主にクレジットカードやキャッシュカード、税金関係の重要書類などがこれに該当し、宛先の住所に受取人が住んでいない場合は、新住所へ転送されずに差出人へ返還される仕組みになっています。
これは、金融機関や自治体が「受取人が本当にその住所に住んでいるか」を確認するためのセキュリティ対策です。そのため、e転居の手続きをしただけで安心せず、銀行やクレジットカード会社、役所への住所変更手続きも個別に済ませておく必要があります。これらを怠ると、大切なカードや通知が手元に届かないトラブルになりかねません。
また、e転居はあくまで国内向けのサービスであり、海外への転送は対象外となっています。海外赴任などで長期不在にする場合は、実家の家族宛てに転送設定をするか、代理で管理してもらうなどの対策を検討しましょう。重要な書類ほど、郵便局任せにできないことを覚えておいてください。
転居届と「NHK」の関係|e転居ならバレない?
引っ越し手続きの際、意外と気にされる方が多いのがNHKの住所変更です。郵便局の窓口に置いてある紙の転居届には、NHKの住所変更届が複写(カーボンコピー)でセットになっている場合があります。そのため、郵便物の転送を申し込んだつもりで署名したら、同時にNHKへも新住所が通知されていた、というケースが少なくありません。
一方で、スマホで行うe転居には、この自動的な複写の仕組みはありません。手続きの過程でNHKへの住所変更を希望するかどうかの確認はありますが、あくまで「任意」の選択となります。ご自身でチェックを入れない限り、自動的に情報が連携されることはないため、意図しない情報の流出を防げるというメリットがあります。
もちろん、住所変更自体は必要な手続きですが、「自分のタイミングで手続きしたい」「勝手に情報が渡るのは不安」という方にとっては、紙の届出よりもe転居の方が心理的なハードルは低いと言えるでしょう。プライバシー管理の観点からも、オンラインでの申請を選ぶ方が増えています。
まとめ:e転居は早めの手続きがカギ
ここまでe転居の具体的な手順や、本人確認などの注意点について解説してきました。スマホひとつで完結するe転居は、窓口に行く手間が省けるだけでなく、NHKへの情報連携を自分でコントロールできるなど、紙の手続きにはないメリットがたくさんあります。
ただし、申請から転送開始までには1週間程度のタイムラグがあることや、クレジットカードなどの「転送不要」郵便物は届かないことには十分な注意が必要です。引っ越し前後は荷造りや様々な契約変更でバタバタしがちですが、郵便物の手続きが遅れると、大切な書類を受け取れないリスクが高まってしまいます。
新生活をスムーズに、そしてトラブルなくスタートさせるために、引っ越しの日取りが決まったら、まずはe転居の申し込みを済ませてしまいましょう。手元のスマホで今すぐ手続きを始めて、安心できる新生活の準備を整えてくださいね。
