2026年(令和8年)1月25日、沖縄県名護市長選挙の投開票が行われ、現職の渡具知武豊氏が3選を果たしました。今回の選挙は、生活に直結する経済対策や子育て支援を重視する市民の判断が、辺野古移設反対を掲げる「オール沖縄」勢力の訴えを上回る結果となりました。
自民党・公明党が推薦する渡具知氏は、国との連携による市政継続と実績を強調し、新人の翁長久美子氏らに大差をつけて勝利しました。本記事では、確定した得票数や投票率の詳細、そして勝敗を分けたポイントについて、わかりやすく解説していきます。
【速報】2026年名護市長選挙の開票結果・投票率
まずは、多くの市民や関係者が注目していた開票結果から見ていきましょう。今回の名護市長選挙は、3期目を目指す現職と、市政の刷新を掲げる新人2名による戦いとなりましたが、結果として現職の強さが際立つ形となりました。
得票数の差は事前の予想を超えるものであり、市民がどの候補者に託したかが数字に表れています。具体的な確定得票数は以下の通りです。
渡具知武豊氏が圧勝、翁長氏・伊波氏の得票数
開票の結果、現職の渡具知武豊氏が2万票を超える支持を集め、対立候補を大きく引き離して当選を決めました。次点の翁長氏とは約1万票近い差がついており、市政継続を望む声が強かったことがうかがえます。
各候補の確定得票数は以下の通りです。
- 渡具知 武豊(現職):20,009票
- 翁長 久美子(新人):10,543票
- 伊波 勝也(新人):228票
渡具知氏は、自民党や公明党の強固な組織力を背景に、手堅く票をまとめ上げました。一方で、「オール沖縄」勢力が支援した翁長氏は、現職の厚い壁を崩すことができず、厳しい結果となっています。
投票率は60.75%で前回を下回る
今回の投票率は60.75%となり、前回2022年の選挙(68.32%)と比較して7.57ポイント低下しました。選挙戦の熱気とは裏腹に、投票所に足を運んだ市民の割合は下がっています。
投票率が下がった背景には、いくつかの要因が考えられます。現職優位という事前報道によって「結果は変わらないのではないか」という諦めに似た空気があったことや、争点が固定化して新鮮味に欠けたことなどが影響した可能性があります。市民の関心をどう繋ぎ止めるかが、今後の課題と言えるでしょう。
勝敗を分けたポイントと各陣営の戦略
なぜこれほどの大差がついたのか、その理由を紐解いていきましょう。今回の選挙戦では、日々の暮らしを守る「経済・生活」か、基地建設を止める「政治的信条」かという、有権者の優先順位が問われる展開となりました。
それぞれの陣営がどのような戦略を取り、それが市民にどう響いたのかを分析します。
渡具知氏の勝因:経済対策と「市民生活」重視
渡具知氏が勝利した最大の要因は、徹底して「市民生活」に寄り添う姿勢を見せたことにあります。選挙戦では、辺野古移設問題への賛否をあえて明言せず、国からの再編交付金などを活用した経済対策の実績をアピールしました。
特に、子育て世帯にとって切実な「学校給食費・保育料・子どもの医療費」の3つの無償化を継続するという公約は、大きな支持を集めました。物価高で家計が苦しい中、理念よりも「明日の生活をどう支えてくれるか」という現実的なメリットを提示したことが、多くの市民の共感を呼んだのです。
オール沖縄・翁長氏の敗因と辺野古問題の争点化
一方で、翁長久美子氏と「オール沖縄」勢力にとっては、苦しい選挙戦となりました。翁長氏は「辺野古新基地建設反対」を最大の争点に掲げ、工事の中止を強く訴えました。
しかし、長引く基地問題に対して市民の間には「反対しても工事は進んでしまう」という閉塞感も広がっています。立憲民主党や共産党、社民党などの支援を受け、組織的な戦いを展開しましたが、生活防衛を求める市民の関心を、基地問題だけで十分に惹きつけることはできませんでした。基地以外の政策でも違いを出し切れなかったことが、支持拡大の足かせになったと考えられます。
候補者の主な公約・政策比較【一覧表】
選挙戦を振り返ると、両陣営とも市民の生活を守るための公約を掲げていたことがわかります。しかし、その実現方法や財源の考え方には明確な違いがありました。
多くの有権者が重視した「子育て支援」や「経済・物価対策」について、渡具知氏と翁長氏がどのような政策を訴えていたのか、主な違いを比較表にまとめました。
| 政策テーマ | 渡具知武豊氏(当選・現職) | 翁長久美子氏(新人) |
| 辺野古移設 | 賛否を明言せず (国との連携・注視) | 反対・工事中止 (埋め立て承認撤回) |
| 子育て支援 | 3つの無償化を継続 (給食費・保育料・医療費) | おむつ支給・公共バス無償化 学校給食費の無償化 |
| 経済・物価高 | 商品券の配布 水道基本料の減免実績強調 | 水道基本料の免除 地域経済の循環 |
| 財源・スタンス | 米軍再編交付金等の活用 国との太いパイプ | 交付金に頼らない自主財源 基地のない平和な経済 |
こうして比較すると、渡具知氏は「実績の継続」と「即効性のある支援」を強調していたのに対し、翁長氏は「基地に依存しない新しい豊かさ」を提案していたことが見えてきます。
結果として、再編交付金を活用した給食費無償化などの具体的なメリットをすでに享受している市民にとって、現職の政策継続のほうが、生活の安定につながると判断されたようです。日々の暮らしに直結する課題への解決策が、票の行方を左右しました。
2026年沖縄「選挙イヤー」への影響
今回の名護市長選挙の結果は、単に一自治体の首長が決まったというだけではありません。2026年は沖縄県にとって、9月の沖縄県知事選をはじめとする重要選挙が続く「選挙イヤー」です。
この初戦での結果が、今後の県政や各陣営の戦略にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
玉城デニー知事と「オール沖縄」への打撃
辺野古移設問題を抱える「本丸」である名護市での敗北は、玉城デニー知事や彼を支える「オール沖縄」勢力にとって、非常に大きな痛手となりました。
これまで「オール沖縄」は、基地反対を旗印に結束を誇ってきましたが、近年は各地の市長選で苦戦が続いています。今回の結果は、基地問題一本槍の訴えだけでは、生活への不安を抱える有権者の心をつかみきれなくなっている現状を浮き彫りにしました。
9月に予定されている知事選に向けて、玉城知事の求心力が低下することは避けられません。基地問題以外の経済振興策や生活支援で、いかに具体的なビジョンを提示できるかが、勢力立て直しの鍵となるでしょう。
政府・自民党の今後の動き
一方で、勝利した自民党・公明党を中心とする政権与党側は、この結果に大きな手応えを感じています。国政選挙での協力関係が地方選挙でも機能したことで、組織的な選挙戦への自信を深めました。
政府はこの勝利を「辺野古移設に対する一定の理解(あるいは容認)が得られた」と受け止め、移設工事をさらに加速させる可能性があります。また、この勢いを維持したまま、秋の知事選で「県政奪還」を目指す動きを強めることは間違いありません。
沖縄の政治地図が大きく塗り替わろうとしている今、政府と県との対立構造がさらに激化するのか、あるいは新たな対話の糸口が見つかるのか、予断を許さない状況が続きます。
まとめ
2026年名護市長選挙は、現職の渡具知武豊氏が、経済対策と市民生活の向上を前面に押し出し、3選を果たしました。辺野古移設反対を掲げた新人・翁長久美子氏との戦いは、理念よりも「生活防衛」を重視する民意が示される結果となりました。
【今回の選挙のポイント】
- 渡具知氏の圧勝: 国との連携による「給食費無償化」などの実績が評価された。
- 争点の変化: 基地問題への関心よりも、物価高対策や子育て支援への要望が上回った。
- 今後の影響: 「オール沖縄」勢力の退潮が鮮明になり、秋の沖縄県知事選に向けた攻防が激化する。
名護市民の選択は、沖縄全体のこれからの方向性を示唆しているとも言えます。基地問題と経済的自立のバランスをどう取っていくのか、私たちの関心はこれからも続いていきます。
選挙の結果は出ましたが、大切なのは「これから」です。
当選した渡具知市長が掲げた公約(商品券配布や無償化の継続など)が、いつ、どのように実施されるのか、市民としてしっかりチェックしていく必要があります。
まずは、お住まいの地域の広報誌や市の公式サイトを確認し、生活支援策の最新情報を逃さないようにしましょう。自分たちの生活を良くするために、行政の動きに関心を持ち続けることが第一歩です。
