2026年2月に行われた衆議院選挙において、全国屈指の注目選挙区となったのが「大分3区」でした。自民党の重鎮である岩屋毅氏に対し、ネットを中心に熱狂的な支持を集めた新人・平野雨龍氏らが挑む構図は、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。
SNS上では「親中派」批判や猛烈な逆風が吹き荒れていましたが、蓋を開けてみれば岩屋氏が11回目の当選を果たす結果となりました。あそこまで話題になっていたのに、なぜ現職の壁は崩せなかったのか、不思議に思う方も多いはずです。
本記事では、大分3区の選挙結果の詳細をお伝えするとともに、岩屋氏が「落選しなかった理由」や、平野氏ら新人候補が訴えた争点を徹底分析していきます。
2026年衆院選 大分3区の選挙結果:自民・岩屋毅氏が11回目の当選
今回の大分3区は、まさに「嵐の中の船出」とも言える厳しい選挙戦でした。石破茂内閣で外務大臣を務める岩屋毅氏ですが、選挙期間中は大臣としての公務と地元での活動の板挟みとなり、かつてないほどのプレッシャーを感じていたといいます。
しかし結果として、岩屋氏は小選挙区での議席を死守し、見事に11回目の当選を決めました。出口調査の段階から接戦も予想されていましたが、長年培ってきた組織票の厚みが、最終的な得票数に結びついた形です。
以下に、今回の選挙における各候補者の確定得票数をまとめました。ネットでの熱狂が実際の票数にどう反映されたのか、数字で見るとその差や「保守分裂」の影響が浮き彫りになります。
| 順位 | 氏名 | 党派 | 得票数 | 結果 |
| 1 | 岩屋 毅 | 自由民主党 | 63,520 | 当選 |
| 2 | 小林 華弥子 | 立憲民主党 | 58,910 | 比例復活 |
| 3 | 平野 雨龍 | 無所属 | 21,450 | 落選 |
| 4 | 岩永 京子 | 日本保守党 | 12,300 | 落選 |
| 5 | 野中 貴恵 | 参政党 | 6,820 | 落選 |
平野雨龍氏ら新人4候補による「異例の包囲網」とは
今回の選挙がこれほど注目された最大の理由は、現職の大物大臣に対して、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ新人が一斉に挑んだ点にあります。特に無所属から出馬した平野雨龍氏の存在感は際立っていました。
平野氏は特定の政党公認を受けずに戦いましたが、ネットを中心とした呼びかけで多くのボランティアを集め、「打倒岩屋」のシンボルとして急速に知名度を上げました。また、これに加えて日本保守党の岩永京子氏、参政党の野中貴恵氏といった保守系野党からの出馬も相次ぎました。
彼女たちは、本来であれば自民党を支持していたかもしれない保守層の受け皿となり、岩屋氏への批判票を集める「包囲網」のような形を作り出しました。既存の野党共闘とは異なる、新しい形の選挙戦が展開されたと言えるでしょう。
争点となった「外交姿勢」とネット上の批判
選挙戦を通じて最も激しく議論されたのが、岩屋氏の外交姿勢についてです。特に外務大臣として進めたとされる「中国人のビザ緩和」に関する方針が、SNSを中心に大きな波紋を呼びました。
ネット上では「治安が悪化するのではないか」「国益を損なう親中政策だ」といった厳しい声が相次ぎ、これが平野氏らへの支持を後押しする原動力となりました。単なる政策論争を超え、候補者の政治信条そのものを問う激しい批判が飛び交ったのです。
こうしたネット選挙特有の拡散力によって、普段は政治に関心の薄い層にまで「岩屋氏への疑念」が広がったことは事実です。有権者の間では、実績を重視するか、それとも刷新を求めるかで大きな迷いが生じていました。
岩屋氏本人が語る「誹謗中傷」と「誤解」への反論
一方的に批判されているように見えた岩屋氏ですが、本人もこの事態に黙っていたわけではありません。選挙戦の最中や当選後のインタビューでは、ネット上で拡散された情報に対して「いわれのない誹謗中傷だ」と強く反論しています。
特にビザ緩和の問題については、あくまで「観光立国としての日本の成長のため」であり、特定の国に媚びているわけではないと説明を繰り返しました。また、一部で噂されたハニートラップ説などの風評についても、事実無根であると明確に否定しています。
岩屋氏は「辛い選挙だった」と本音を漏らしつつも、ネット上の極端な情報と現実の政策には乖離があると訴え続けました。自身の評判を守るためだけでなく、有権者に正しい理解を求めて声を枯らした姿が、古くからの支援者の心を繋ぎ止めたのかもしれません。
なぜ岩屋毅は落選しなかったのか?逆風を跳ね返した3つの勝因
ネット上では「落選運動」とも言える激しい批判にさらされ、まさに絶体絶命に見えた岩屋毅氏。しかし、蓋を開けてみれば接戦を制し、議席を守り抜きました。
SNSでの「空中戦」では圧倒的に不利だったにもかかわらず、なぜ現実の選挙では勝利できたのでしょうか。その背景には、長年の政治経験に裏打ちされた戦略と、選挙制度ならではの要因が隠されていました。
1. 「空中戦」に対抗した徹底的な「地上戦(どぶ板)」
最大の勝因は、なりふり構わぬ「どぶ板選挙」への回帰でした。ネット選挙が解禁されて久しいですが、岩屋陣営はあえてアナログな手法を徹底しました。
本来であれば外務大臣として全国を飛び回る立場ですが、今回は公務の合間を縫って地元・大分に戻り、徹底的に有権者と接触しました。商店街を練り歩き、一人ひとりと握手を交わし、膝を突き合わせて語り合う。この泥臭い活動が、ネットを見ない高齢層や無党派層の心を繋ぎ止めたのです。
SNS上の「親中」というレッテルに対し、リアルな対話で「実績」と「人柄」を伝え続けたことが、逆風を和らげる防波堤となりました。ネットの熱狂だけでは崩せない、人と人との繋がりの強さを証明した形です。
2. 盤石な「組織票」と業界団体からの信頼
次に挙げられるのが、自民党が長年築き上げてきた「組織票」の強さです。ネット上の批判は個人の感情を動かしましたが、企業や業界団体の結束までは崩せませんでした。
岩屋氏は防衛大臣や外務大臣を歴任したベテランであり、地元企業や団体からの信頼は厚いものがあります。「地域の利益を守れるのは誰か」という視点で選ぶ層にとって、新人の平野氏らはまだ未知数でした。
加えて、連立を組む公明党の支援も大きな力となりました。どんなに風向きが悪くても、確実に投票所に足を運ぶ岩盤支持層が、浮動票の行方に左右されない安定した得票を支えたのです。この地盤の固さは、一朝一夕で作れるものではありません。
3. 野党・保守系新人の乱立による「票の分散」
3つ目の要因は、対立候補の乱立による「票の分散」です。今回、岩屋氏への批判票は、無所属の平野雨龍氏だけでなく、日本保守党の岩永京子氏や参政党の野中貴恵氏にも流れました。
さらに、立憲民主党の小林華弥子氏も一定の票を集め、比例復活を果たしています。つまり、「反自民・反岩屋」の票が4人の候補者に割れてしまったのです。もし野党や保守系新人が一本化していれば、結果は違っていたかもしれません。
これを「保守分裂」と呼ぶ声もありますが、結果的には批判勢力がまとまりきれなかったことが、現職の岩屋氏に有利に働きました。皮肉にも、選択肢が多すぎたことが現状維持を生んだと言えるでしょう。
今後の展望:石破派重鎮としての役割と地元大分への貢献
厳しい選挙戦を勝ち抜いた岩屋氏は、今後どのような政治活動を展開していくのでしょうか。当選直後のインタビューでは、「謙虚に国民の声に耳を傾ける」としつつも、「日本を正しく前に動かす」と強い決意を語っています。
石破茂総理の側近として、引き続き外交や安全保障の要職を担うことが予想されます。特に、選挙戦で批判の的となった外交方針について、どのように国民の理解を得ていくかが課題となるでしょう。
また、地元大分に対しては、観光振興やインフラ整備など、具体的な成果での恩返しが求められます。11回の当選という重みを背負い、国益と地域発展の両立を目指す難しい舵取りが始まります。
まとめ
2026年の大分3区は、ネットの熱狂とリアルの組織力が正面からぶつかり合う、象徴的な選挙となりました。岩屋毅氏の勝因は、批判を真摯に受け止めつつも、長年の地盤と組織力を最大限に活かした点にあります。
一方で、平野雨龍氏ら新人が起こした旋風は、既存の政治に対する有権者の強い危機感の表れでもあります。今回は届きませんでしたが、その主張や熱気は今後の国政に少なからず影響を与えるはずです。
選挙は終わりましたが、政治家の仕事はこれからが本番です。私たちが投じた一票がどのように活かされるのか、引き続き注視していきましょう。
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