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2025税制改正大綱:178万の壁で手取りは?中小企業減税も解説

2025税制改正大綱:178万の壁で手取りは?中小企業減税も解説

令和7年度(2025年度)税制改正大綱が決定し、大きな注目を集めているのが「103万円の壁」の引き上げです。自民党・公明党と国民民主党の合意により、178万円を目指した議論が加速しています。

本記事では、年収178万円への引き上げで手取りがいくら増えるのか、また中小企業の設備投資を後押しする「即時償却」の延長・拡充など、ビジネスと家計に直結する重要ポイントを専門家視点で分かりやすく解説します。

目次

税制改正大綱の目玉「178万円の壁」とは?基礎控除の引き上げ

103万から178万へ、なぜ「年収の壁」が変わるのか

結論から言えば、現在の物価高に対応し、手取りを増やすためです。現行の「103万円の壁」は、基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計額で構成されています。この基準を超えると所得税が発生するため、多くのパート・アルバイトの方が労働時間を調整してきました。

しかし、最低賃金の上昇に伴い、短時間働いただけで壁に到達してしまう問題が生じています。そこで、基礎控除等を合計178万円まで引き上げ、税金がかからない枠を広げる議論が進んでいるのです。これは、個人の所得を底上げする重要な施策と言えます。

玉木雄一郎氏(国民民主党)が主張する減税の狙い

この引き上げを強く主張しているのが、国民民主党の玉木雄一郎代表です。178万円という数字は、1995年からの最低賃金の上昇率(約1.73倍)に基づいています。

自民党などの与党との協議の結果、令和7年度税制改正大綱には「178万円への引き上げを念頭に置く」といった趣旨が盛り込まれました。これにより、2025年の通常国会で法改正が行われ、2026年からの適用を目指す流れができています。働く人の手元に残るお金を増やし、経済を活性化させる狙いがあります。

年収の壁が178万円になると手取りはどうなる?年収別の減税額シミュレーション

年収400万・500万ならいくら得?減税額の目安

基礎控除の引き上げは、パートの方だけでなく、納税している現役世代全員に恩恵があります。控除枠が75万円(178万引く103万)増えれば、その分、課税される所得が減るからです。

例えば年収500万円の方であれば、所得税と住民税を合わせて年間13万円程度の減税になる試算もあります。年収が高いほど税率も高いため、減税額のインパクトは大きくなります。毎月の手取りが数千円から1万円以上増える感覚です。

178万円の壁 vs 160万円の壁(政府案)の決定的な違い

議論の中では、満額の178万円ではなく、政府が検討したとされる「160万円」などの妥協案も浮上しました。それぞれの違いを整理します。

項目国民民主党案(178万円)政府検討案(160万円等)
基礎控除の上乗せ75万円増50〜60万円程度の増額
減税効果(目安)大(年収500万で約13万円減)中(年収500万で数万円減)
財源への影響7〜8兆円規模の減収4〜5兆円規模の減収
導入時期恒久的な措置を目指す期間限定や段階的導入の可能性

仮に160万円で決着した場合、手取りの増加幅は縮小します。また、住民税への反映は翌年(2026年)6月以降になるのが一般的です。壁の高さが変わることは、家計の天井が高くなり、より自由に稼げるようになることを意味します。

自民党 税制改正大綱における中小企業への優遇措置と即時償却

中小企業経営強化税制の2年延長と「即時償却」のメリット

企業経営者にとっての朗報は、中小企業経営強化税制の延長です。これは、生産性を向上させる設備投資を行った際、即時償却(投資額の全額をその年の経費にする)または税額控除(法人税から直接引く)を選べる制度です。

適用期限が2027年3月末まで2年間延長されました。利益が出ている期に設備投資を行えば、即時償却で大きな節税効果が得られます。赤字等の場合は税額控除を選んで翌期以降に繰り越すなど、柔軟な経営判断が可能です。

売上100億を目指す企業への建物投資に対する拡充措置

今回の改正では、さらなる成長を目指す中堅・中小企業への支援が強化されました。具体的には、資本金が一定以下で、かつ従業員の賃上げなどを行う企業に対し、建物への投資も優遇対象となります。

従来は機械装置が中心でしたが、物流倉庫や工場などの建物も対象になることで、大規模な投資がしやすくなります。これは、企業の「稼ぐ力」をエンジンのように強化するための施策です。売上高100億円を目指すような成長意欲の高い企業にとっては、またとないチャンスと言えるでしょう。

事業承継税制と所得制限の最新動向

後継者の役員就任要件の事実上撤廃で承継がスムーズに

円滑な世代交代を促す事業承継税制にも大きな変更があります。特例措置を受けるための要件の一つ、「後継者が役員として3年以上在籍していること」という縛りが、事実上撤廃される方向です。

これにより、急な承継や、社外で経験を積んでいた後継者を呼び戻してすぐに社長にするケースでも、贈与税や相続税の猶予を受けやすくなります。柔軟な事業承継が可能になり、黒字廃業を防ぐ効果が期待されます。

年収の壁引き上げに伴う「配偶者控除・所得制限」の課題

税金の壁(178万円)が引き上げられても、課題は残ります。それは社会保険の壁(106万円・130万円)です。税金がかからなくなっても、社会保険料の負担が発生すれば、手取りが逆転する「働き損」が起きる可能性があります。

また、世帯主(夫など)の年収が高い場合に配偶者控除が受けられない「所得制限」との整合性も議論が必要です。税制と社会保険制度がセットで見直されなければ、本当の意味での「働き控え」解消にはつながらない可能性があります。

まとめ:令和7年度税制改正で私たちが準備すべきこと

今回の税制改正は、「止まっていた日本経済のエンジンのギアを一段上げるための整備」のようなものです。個人の「178万円の壁」は家計のガソリン(手取り)を増やして消費を加速させる試みであり、法人の「即時償却」は企業の生産性を上げるための新しいターボ(設備)を取り付けやすくする支援と言えます。

  • 個人のメリット: 基礎控除等の引き上げにより、所得税・住民税が減り手取りが増える。
  • 企業のメリット: 設備投資の即時償却が延長され、建物の投資もしやすくなる。
  • 注意点: 実際の法改正は2025年の国会で行われるため、確定申告等の実務への反映時期を確認する。

制度の詳細は今後詰まっていきます。最新情報を逃さないよう、ニュースや専門家の発信をチェックし続けましょう。

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