ユン前大統領に死刑求刑!内乱罪と弾劾罷免の経緯・李在明氏の影響

ユン前大統領に死刑求刑?内乱罪と戒厳令の真実を徹底解説

2024年12月に突如として宣言された「非常戒厳」は、韓国国内のみならず世界中に大きな衝撃を与えました。その後の憲法裁判所による罷免決定、そして現在は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対して「内乱罪」の首謀者として死刑が求刑されるという、憲政史上例を見ない事態へと発展しています。

なぜ、一国の大統領が極刑を求められるに至ったのでしょうか。本記事では、戒厳令の宣布から弾劾、そして李在明(イ・ジェミョン)政権の誕生に至るまでの一連の経緯を、最新の裁判情報を含めて詳しく解説します。ユン前大統領が直面している法的な崖っぷちの状況と、韓国社会が迎えた大きな転換点について一緒に見ていきましょう。

目次

ユン前大統領に死刑求刑!内乱罪の容疑と裁判の現状

韓国の政治史において、これほどまでに衝撃的な裁判が行われることは予想だにしなかったかもしれません。特別検察官は、内乱首謀の罪に問われたユン・ソンニョル前大統領に対し、法定最高刑である「死刑」を求刑しました。検察側は、一連の行為を憲政秩序を破壊する重大な犯罪と位置づけています。

検察側の主張は非常に厳しく、国民から委任された権力を私的に乱用したとして「情状酌量の余地はない」と断じました。かつて国のトップであった人物に対して極刑を求める背景には、民主主義の根幹を揺るがしたという強い危機感があります。法廷では、検察側の鋭い追及が連日続いています。

一方で、ユン前大統領とその弁護団は真っ向から無罪を主張しています。彼らの言い分は、戒厳令の宣布はあくまで大統領に与えられた「統治行為」の一環であり、国家の混乱を収拾するための権限行使だったというものです。このように、裁判は「憲法破壊の犯罪」か「正当な統治行為」かを巡って、鋭い対立構造を見せています。

特別検察官が死刑を求刑した法的根拠

特別検察官がこれほど重い求刑を行った最大の根拠は、ユン氏が「独裁と長期政権」を目論んだという点にあります。捜査の結果、検察はユン氏が自身の権力基盤を強化するために、軍や警察といった実力組織を違法に動員したと判断しました。これは単なる政治的判断のミスではなく、意図的なクーデターの試みであったと指摘されています。

また、当時の最大野党代表であった李在明氏らを含む政敵を「反国家勢力」と決めつけた点も重要視されています。ユン氏は彼らを拘束・排除するために戒厳令を利用しようとしたとされ、これが職権乱用や内乱の実行行為にあたるとみなされました。民主的な手続きを経ずに反対勢力を力でねじ伏せようとした行為が、法の裁きを受ける主要な理由となっています。

この裁判は、単に一人の政治家を裁くだけではありません。権力者が「反国家勢力」という言葉を使って反対派を弾圧することが、法治国家において決して許されないという強いメッセージが込められているのです。

内乱首謀罪の法定刑と韓国の死刑制度

今回適用された「内乱首謀罪」は、韓国刑法の中でも極めて重い罪の一つです。この罪の法定刑は「死刑、無期懲役、または無期禁錮」のいずれかしか定められていません。つまり、有罪判決が出れば、どんなに軽くても一生涯を拘束されることになり、執行猶予や短期の懲役刑といった選択肢はそもそも存在しないのです。

これほど厳しい刑罰が設定されているのは、内乱罪が国家の存立そのものを脅かす犯罪だからです。中学生でもわかるように例えるならば、サッカーの試合中に審判がルールを無視して試合をぶち壊し、自分の好きなように勝敗を決めようとするようなものです。そのような行為はレッドカード(退場)だけでは済まされず、リーグからの永久追放(極刑)に値すると考えられています。

ただし、実際に死刑が執行されるかどうかは別の問題です。韓国は1997年以降、死刑の執行を行っておらず、国際的には「実質的な死刑廃止国」とみなされています。それでもなお検察が死刑を求刑したことには、ユン前大統領の犯した罪の重さを歴史に刻み、二度と同じような悲劇を繰り返さないという強い決意が表れています。

2024年12月3日「非常戒厳令」から弾劾罷免への時系列

ここからは、世界中が注目したあの運命の夜から、大統領がその座を追われるまでの流れを振り返ってみましょう。2024年12月3日に始まった混乱は、翌年の春に憲法裁判所が罷免判決を下すまで、約4ヶ月間にわたって韓国社会を大きく揺るがしました。

この期間は、単なる政治的な争いではなく、民主主義が守られるかどうかの瀬戸際でした。軍による国会封鎖から、市民による大規模なキャンドルデモまで、息つく暇もない激動の日々を時系列で整理します。

深夜の戒厳令宣布と国会による解除要求

事の発端は、2024年12月3日の夜遅く、22時25分頃のことでした。ユン大統領(当時)は緊急談話を発表し、突如として全国に「非常戒厳」を宣布しました。これは、北朝鮮の脅威や国内の「反国家勢力」から自由憲法体制を守るためという名目でしたが、多くの国民にとっては寝耳に水の話でした。

この決定には、当時の国防部長官である金龍顕(キム・ヨンヒョン)氏の建議があり、戒厳司令官には陸軍参謀総長の朴安洙(パク・アンス)大将が任命されました。驚くべきことに、戒厳軍は直ちに国会議事堂へと向かい、窓ガラスを割って本会議場への突入を試みるなど、武力による制圧を実行に移したのです。

しかし、国会の対応は迅速でした。深夜にもかかわらず、与野党の議員たちが次々と国会に駆けつけ、塀を乗り越えてでも議場に入ろうとしました。そして日付が変わった直後の未明、国会は出席議員全員の賛成で「戒厳解除要求決議案」を可決。憲法に基づき、大統領の戒厳令を無効化することに成功しました。この「緊迫の6時間」が、後の弾劾への決定打となったのです。

憲法裁判所による「全員一致」の罷免決定

国会での弾劾訴追案可決を受け、大統領の職務は停止され、舞台は憲法裁判所へと移りました。そして2025年4月4日、憲法裁判所はユン氏に対し、裁判官8人全員の一致で罷免判決を宣告しました。これにより、彼は即座に大統領職を失うこととなりました。

裁判所が罷免を決定した最大の理由は、「非常戒厳の宣布が憲法や法律に違反していたから」です。具体的には、当時の状況が戒厳令を出すほどの「戦時・事変」には当たらず、国会の同意なしに軍を動員した点が問題視されました。

憲法裁判所は、一連の行為が大統領としての「職権乱用」にあたり、国民の基本的人権や司法の独立を著しく侵害したと認定しました。この判決は、いかなる権力者であっても法の上に立つことはできないという、韓国民主主義の成熟を示す歴史的な瞬間となりました。


李在明大統領の誕生と尹氏への追起訴

ユン前大統領の退場は、新たな政治体制への幕開けでもありました。罷免に伴って行われた選挙により、かつての政敵であった李在明(イ・ジェミョン)氏が第21代大統領に就任するという、ドラマのような展開を迎えています。

第21代大統領選挙と李在明氏の当選

2025年6月3日、次期リーダーを決める大統領選挙が実施されました。この選挙は、ユン政権への審判という性格を強く帯びており、国民の関心も非常に高いものでした。結果として、最大野党「共に民主党」の代表であった李在明氏が、約49.4%の得票率を獲得して当選を果たしました。

投票率は79.4%にも達し、国民がいかに政治の変化を求めていたかがわかります。李在明氏は就任直後から、混乱した国政の安定化と、傷ついた民主主義の回復を最優先課題として掲げました。一方で、彼自身も過去の疑惑に関する裁判を抱えており、不安定な要素を残したままの船出となりました。

罷免による不訴追特権の喪失と職権乱用罪

ユン氏にとって、罷免判決は単なる失職以上の意味を持っていました。大統領在任中は「不訴追特権」によって刑事訴追を免れていましたが、一般市民に戻ったことで、その防壁が消滅したのです。これにより、ソウル中央地裁や検察による捜査が一気に加速しました。

検察は、戒厳令に関連する内乱罪だけでなく、在任中の様々な職権乱用罪についても追起訴を行っています。これに対し、ユン氏側の弁護団は以下のように反論し、法廷で激しく争っています。

  • 内乱罪に関する尹氏側の主な反論
    • 政治的判断: 戒厳宣布は高度な統治行為であり、司法審査の対象にはならない。
    • 手続きの正当性: 憲法上の権限に基づいた行為であり、内乱の意図(国憲紊乱)はなかった。
    • 捜査の違法性: 公捜処や特別検察官による捜査権限の解釈に誤りがあり、証拠能力がない。

現在の韓国政局は、新大統領と前大統領が全く対照的な立場に置かれている点が特徴です。状況を整理すると以下のようになります。

項目李在明(現大統領)尹錫悦(前大統領)
現在の地位第21代韓国大統領失職(罷免)、被告人
主な課題・容疑公選法違反などの継続中の裁判内乱首謀罪、職権乱用罪など
法的状況不訴追特権を保有(在任中)特権を失い追起訴・死刑求刑
今後の焦点公選法違反による公民権停止の有無2026年2月の内乱罪判決

まとめ

今回のユン・ソンニョル前大統領を巡る一連の騒動は、韓国憲政史上もっとも衝撃的な出来事として記憶されるでしょう。戒厳令という強硬手段に出た結果、弾劾罷免され、ついには内乱罪で死刑を求刑されるに至りました。

この事態をわかりやすく例えるなら、「審判が試合を力ずくで止めて自分のルールを押し通そうとした結果、退場処分(弾劾)を受けただけでなく、その行為自体が重大なルール違反(内乱罪)としてリーグ追放(極刑求刑)の危機に瀕している」ような状況と言えます。

現在は李在明政権へと移行しましたが、前大統領の裁判の行方や、新政権が抱える法的リスクなど、韓国政治の火種は未だにくすぶり続けています。民主主義が試練を乗り越え、どのように成熟していくのか、今後の展開から目が離せません。

今後の韓国情勢を知るために

韓国の政治情勢は日々刻々と変化しており、日本への影響も少なくありません。

ニュースの断片的な情報だけでなく、その背景にある「なぜ」を知ることで、隣国の動きがより深く理解できるようになります。まずは、日々のニュースで「韓国 裁判」「大統領」といったキーワードに注目してみてください。歴史的な裁判の判決が出る2026年2月に向けて、情報のアンテナを張っておきましょう。

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