65歳以上が申請しないともらえない公的給付金5選|年金上乗せの手続きを解説

年金をもらっているのに、受け取れるはずのお金を見逃している——そんな高齢者が日本中に大勢いると見られています。日本の社会保障制度は「申請主義」を基本としており、対象の要件を満たしていても、自ら手続きをしなければ1円も受け取れない給付金が複数存在します。2026年度は物価高を反映して年金生活者支援給付金が月額5620円(前年度比+3.2%)に増額改定されましたが、申請していなければその恩恵はゼロです。本記事では、60歳・65歳以上の方が対象となる「申請しないともらえない公的給付金」を5つ厳選し、それぞれの対象要件・金額・手続き方法をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 申請しないともらえない給付金の全体像: 年金生活者支援給付金・加給年金をはじめ、雇用保険系・介護保険系を含む5種類の制度を一気に把握できます。
  • 自分が対象かどうかの確認方法: 年齢・所得・雇用状況・介護認定など、各制度の対象要件を具体的に解説します。
  • 申請漏れが起きる構造的な理由と対策: なぜ日本で申請漏れが多発するのか、そして60歳・65歳の節目にやるべき行動チェックリストをお伝えします。

目次

申請しないとゼロ円!知らないと損する給付金とは

「もらえるはずのお金」を受け取るためには、まず「その制度が存在すること」を知らなければなりません。当たり前のようで、これが最大の壁です。

日本の公的給付金の多くは、対象者が自分で申請して初めて支給される仕組みになっています。行政から案内が届くこともありますが、見落としたり、手続きの煩雑さに躊躇して放置するケースも珍しくありません。その結果、本来受け取れるはずの給付金が宙に浮いたままになります。

本記事で紹介する5つの給付金・支援制度は、いずれも65歳前後の高齢者が対象となるものです。自身や家族の状況と照らし合わせながら確認してみてください。


【給付金①】年金生活者支援給付金:月5620円の上乗せ

年金生活者支援給付金は、低年金の高齢者・障害者・遺族を対象に、年金に上乗せして支給される公的給付金です。2026年度は月額5620円(老齢年金生活者支援給付金の基準額)に増額改定されました(※厚生労働省一次発表の確認中)。

対象者の主な要件(老齢年金生活者支援給付金の場合)

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 世帯全員が市区町村民税非課税である
  • 前年の年金収入額とその他の所得の合計が87万8,900円以下(※2026年度基準、確認中)

障害基礎年金・遺族基礎年金の受給者を対象とした「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」も別途設けられており、遺族年金生活者支援給付金の月額も5620円となっています。子が複数いる場合はこの金額を人数で按分して支給されます。

以下は、申請から受給までの流れを示した図解です。

【【 図解:年金生活者支援給付金 申請から受給までの3ステップ 】】

STEP 1 案内ハガキを確認 日本年金機構から届く STEP 2 返信ハガキを送付 または年金事務所で申請 STEP 3 毎月支給開始 年金と同じ口座に振込 年金生活者支援給付金 申請から受給までの3ステップ ※案内が届かない場合は最寄りの年金事務所・街角の年金相談センターへ

上図のように、手続き自体は難しくありませんが、最初の「案内を見逃さない」ことが最大のポイントです。日本年金機構から案内ハガキが届いたら、必ず期限内に返送してください。案内が届いていない場合や、過去に申請を見送った場合は、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに問い合わせることで手続きができます。


【給付金②】加給年金:配偶者・子がいると年間最大39万円超

加給年金は、厚生年金の加入期間が原則20年以上ある方が65歳になった時点で、生計を維持している配偶者(65歳未満)や子(18歳の年度末まで)がいる場合に、老齢厚生年金に上乗せして支給される給付です。

2024年度時点の配偶者への加給年金額は年額39万7,500円(月換算約3万3,000円)であり、金額のインパクトは5つの給付金の中でも最大級といえます(※2026年度額は確認中)。

申請方法

老齢厚生年金の請求と同時に申請します。年金事務所に「老齢給付裁定請求書」を提出する際、配偶者・子の情報を記載することで加給年金も併せて請求できます。すでに年金を受給中で加給年金を請求していない場合は、年金事務所に相談のうえ、遡及申請が可能かどうか確認してみてください。

なお、配偶者が65歳になると加給年金は停止しますが、代わりに配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。振替加算も自動支給ではなく、届出が必要な場合があるため注意が必要です。


【給付金③〜⑤】雇用継続・求職・住宅改修:見落とされがちな3制度

年金以外の文脈で申請漏れが多い制度として、以下の3つがあります。

以下の比較表で、それぞれの制度の特徴を一覧で確認してください。

制度名対象者給付額の目安申請先
高年齢雇用継続基本給付金60歳以降も就労し、賃金が60歳時点の75%未満に低下した65歳未満の雇用保険加入者賃金の最大15%ハローワーク(事業主経由)
高年齢求職者給付金65歳以上で離職し、求職の申し込みをした雇用保険加入者基本手当30〜50日分(一時金)ハローワーク(本人申請)
高齢者住宅改修費用助成(介護保険)要介護・要支援認定を受けた65歳以上の高齢者上限20万円の7〜9割(14〜18万円)市区町村介護保険担当窓口

3制度に共通するのは、「自ら申請しなければ一切支給されない」という点です。高年齢雇用継続基本給付金は事業主(勤務先)経由の申請が一般的なため、本人が制度の存在を知らないまま申請されていないケースも見受けられます。再雇用・継続雇用で働いている60代の方は、勤務先の総務・人事部門に「高年齢雇用継続給付は申請していますか?」と確認することをお勧めします。


なぜ申請漏れが起きるのか:申請主義の構造的問題

日本の社会保障制度が「申請しないともらえない」設計になっている背景には、制度設計上の考え方があります。申請主義は、受給者自身が要件を確認・宣言するプロセスを組み込むことで不正受給を防ぎ、受益者の自主性を尊重するという側面を持ちます。

(編集部分析)ただし、経営者の視点から見ると、これはポイントカードや商品券と同じ構造でもあります。使わない人・知らない人が多ければ多いほど、制度の運営コストは下がります。「申請主義」は制度を知っている人だけが恩恵を受ける仕組みであり、情報格差がそのまま受給格差になるとも言えます。ではなぜ、使われない前提で設計された制度が導入されるのか——それ自体を問い直す視点も必要ではないでしょうか。

この構造は、宝くじが「知らずに損をする人の多さで成立している」と言われる構造と本質的に似ています。知っているか・知らないかの差が、受け取れるお金の差に直結します。テレビやSNSで受動的に流れてくる情報を待っているだけでは、こうした制度にたどり着くことは難しい。能動的に調べ、理解し、行動する——この習慣が、老後の家計を守る最大の武器になります。


60歳・65歳の節目にやること:申請チェックリスト

公的給付金の申請漏れを防ぐために、以下のタイミングで確認することをお勧めします。

60歳になったら

  • 高年齢雇用継続基本給付金:勤務先に申請状況を確認する
  • 再雇用・継続雇用の賃金が60歳時点の75%未満であれば、ハローワーク経由で申請

65歳になったら

  • 年金生活者支援給付金:日本年金機構からの案内ハガキを必ず確認・返送する
  • 加給年金:老齢厚生年金の請求と同時に申請する(配偶者・子の有無を確認)
  • 高年齢求職者給付金:65歳以降に離職した場合、ハローワークで申請する

要介護・要支援認定を受けたら

  • 高齢者住宅改修費用助成:市区町村の介護保険窓口に改修前に相談する(改修後の申請は対象外となる場合がある)

制度ごとに申請先・タイミング・必要書類が異なります。まず「自分はどの制度の対象になるか」を確認し、該当する窓口に問い合わせることが第一歩です。「申請しなかった分だけ損をする」という意識を持つことが、老後の家計防衛の出発点になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 年金生活者支援給付金はどんな人がもらえますか?
65歳以上で老齢基礎年金を受給しており、世帯全員が市区町村民税非課税、かつ前年の年金収入等の合計が一定額以下の方が対象です。障害基礎年金・遺族基礎年金の受給者向けにも別途制度があります。

Q2. 年金生活者支援給付金は申請しないともらえないのですか?
はい。日本年金機構から案内が届いた場合は返信ハガキで手続きが必要です。案内が届いていない場合は年金事務所または街角の年金相談センターで申請できます。

Q3. 加給年金とは何ですか?申請方法を教えてください。
加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上ある方が65歳になった時点で、生計を維持している配偶者や子がいる場合に加算される給付です。老齢厚生年金の請求と同時に申請します。

Q4. 2026年度の年金生活者支援給付金はいくら増えましたか?
2026年度は前年度比+3.2%の改定となり、老齢年金生活者支援給付金の基準額は月5620円となっています(※確認中)。物価や賃金の動向を反映した増額改定です。

Q5. 申請漏れが多い公的給付金には他にどんなものがありますか?
加給年金・振替加算・高年齢雇用継続基本給付金などが申請漏れの多い制度として挙げられます。いずれも要件を満たしていても自動支給されないため、60歳・65歳の節目で確認することが重要です。


参考情報

  • LIMO「65歳以上が申請しないともらえない給付金5選」https://limo.media/articles/-/122828
  • LIMO「老齢年金以外の公的給付金」https://limo.media/articles/-/106848
  • 厚生労働省「年金生活者支援給付金について」https://www.mhlw.go.jp/nenkin/shienkyuufukin/
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次