2026年1月31日、これまで順調に推移していた金相場に激震が走りました。1オンス5500ドル目前まで高騰していた金価格が、一夜にして600ドル近くも急落するという歴史的な事態が発生しています。「上昇トレンドは終わってしまったのか」「今持っている金は売るべきなのか」と、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、今回の暴落は政治的な発表と利益確定売りが重なった一時的な調整局面である可能性が高いです。しかし、下落幅が大きいため慎重な判断が求められます。本記事では、2026年1月末の暴落を引き起こした「トランプ大統領の人事」などの背景を解説し、今後の見通しと投資家が取るべき行動について徹底分析します。
2026年1月31日 金価格暴落の全貌:何が起きたのか
2026年が明けてから、とどまる所を知らないかのように上昇を続けていた金価格ですが、1月末に市場の空気が一変しました。ニューヨーク市場において、これまで5500ドルの大台に迫っていた金価格が、まるでエアポケットに入ったかのように急降下したのです。
具体的には、1月31日の取引だけで600ドル近く値を下げ、心理的な節目である5000ドルをあっさりと割り込みました。この下落幅は、過去数十年を見渡しても稀に見る規模であり、市場関係者の間でも動揺が広がっています。
日本国内の金価格も、この海外相場の影響を強く受けています。円安の影響もあり1グラムあたり3万円に迫る勢いでしたが、一夜にして大きく値を下げる展開となりました。これまで右肩上がりだったチャートが急角度で折れ曲がったことで、多くの投資家が画面の前で息を呑んだことでしょう。
以下は、今回の暴落前後の価格推移を整理したものです。
| 日付 | NY金価格(ドル/oz) | 国内小売価格(円/g) | 状況 |
| 1月29日 | 5,480ドル近辺 | 29,800円台 | 史上最高値圏 |
| 1月30日 | 5,500ドル目前 | 29,900円台 | 高値警戒感 |
| 1月31日 | 4,879ドル | 26,000円台 | 歴史的暴落 |
このように、わずか数日で10%以上の価値が消失する事態となりました。しかし、相場には必ず「理由」があります。なぜこれほど激しい売りが浴びせられたのか、次章でその主要因を詳しく見ていきましょう。
金価格暴落の3つの主要因:なぜ5500ドルから崩れたのか
今回の歴史的な急落は、単一の要因だけで起きたものではありません。政治的なサプライズ、市場の過熱感、そして地政学的な変化という3つの要素が複雑に絡み合い、5500ドルという高値圏で一気に崩れる結果となりました。
引き金は「次期FRB議長人事」とドル高転換
暴落の最大のトリガーとなったのは、トランプ大統領による突然の人事発表です。次期FRB(連邦準備制度理事会)の議長として、タカ派として知られるケビン・ウォーシュ氏を指名したことが市場に衝撃を与えました。
ケビン・ウォーシュ氏は、インフレを抑え込むためには高い金利も辞さないという「インフレファイター」としての姿勢で知られています。金利が上がると、金利のつかない「金」を持つ魅力は相対的に薄れ、逆にお金の預け先としての「ドル」の魅力が高まります。
この発表を受け、為替市場では急速にドル買いが進みました。金はドル建てで取引されるため、ドルが高くなると割高感から売られやすくなります。トランプ大統領の発言力が相場を動かすことはこれまでもありましたが、今回の人事は金融政策の根幹に関わるため、市場の反応も極めて大きなものとなりました。
5500ドル達成感による利益確定売りの殺到
2つ目の要因は、市場における「利益確定売り」の連鎖です。2026年に入ってからの金価格は、月間で20%を超えるような異常なペースで上昇を続けていました。短期間で価格が上がりすぎると、投資家心理として「そろそろ利益を確定して現金化したい」という欲求が高まります。
特に5500ドルという価格は、多くの投資家が目標としていた心理的な節目でした。「ここまで上がれば十分だろう」と考えた大口の投資家や機関投資家が一斉に売り注文を出したことで、売りが売りを呼ぶ展開となったのです。
これを専門用語では「調整局面」と呼びますが、今回は上昇スピードが速すぎた分、その反動による下落の勢いも凄まじいものになりました。これまで買い支えていた層が、雪崩を打ったように売りに回ったことが、600ドルという記録的な下げ幅につながっています。
地政学リスク(ベネズエラ・グリーンランド)の織り込み
3つ目の要因は、これまで金価格を押し上げていた「地政学リスク」に対する市場の慣れです。ベネズエラ情勢の悪化やグリーンランドを巡る資源争いなど、世界情勢の不安は金を買う大きな動機となっていました。
しかし、投資の世界には「噂で買って事実で売る」という格言があります。これらの不安材料がニュースとして出尽くし、市場が「これ以上悪くはならないだろう」と判断した瞬間、安全資産として金を持っておく必要性が薄れたと見なされた可能性があります。
また、同日には銀価格も12〜14%暴落しており、貴金属市場全体から資金が引き揚げられている動きも見られます。不安だからとりあえず金を買う、というパニック的な買いが一巡し、冷静さを取り戻した市場が適正価格を模索し始めた結果とも言えるでしょう。
2026年以降の金相場予想:上昇トレンドは終了したのか?
今回の大暴落を受けて、多くの投資家が「金バブルは崩壊したのか」という不安を抱いています。しかし、市場の専門家の多くは、今回の下落を上昇トレンドの終了ではなく、過熱しすぎた市場を冷やすための「健全な調整」であると見ています。
専門家の見解:「バブル崩壊」か「健全な調整」か
著名な貴金属アナリストや経済評論家の見解を総合すると、5500ドルという価格帯は実需を離れて投機的に上がりすぎていた側面があります。そのため、今回の急落は溜まっていたガスが一気に抜けたようなもので、長期的には必要なプロセスだったと考えられます。
実際に過去の相場を振り返っても、長期的な上昇トレンドの中で2割程度の調整が入ることは珍しくありません。重要なのは、金という資産自体の価値が損なわれたわけではないという点です。市場は一時的なパニック状態にありますが、冷静さを取り戻せば再び適正価格に向けた動きが始まると予想されます。
長期的には上昇要因(中央銀行の買い・供給不足)が継続
金相場を底支えするファンダメンタルズ(基礎的条件)は、依然として強力です。特に、中国やインドをはじめとする世界の中央銀行による金購入の動きは止まっていません。彼らはドルへの依存度を下げるために金を買い続けており、これが価格の下値を支える大きな要因となっています。
また、金の採掘量は限界に近づいており、供給不足という構造的な問題は解決していません。世界的なインフレ懸念も完全には払拭されておらず、現金の価値が目減りするリスクがある限り、実物資産である金の輝きが失われることはないでしょう。
短期的にはボラティリティ(価格変動)に警戒が必要
長期的には強気の見通しが維持されているものの、短期的には荒い値動きが続くでしょう。トランプ政権の政策やFRBの動向によって、ドル価格が乱高下すれば、逆相関の関係にある金価格も大きく揺さぶられます。
特に、信用取引や短期投資を行っている方は、わずかな価格変動で大きな損失を被るリスクがあります。ボラティリティ(価格変動幅)が高い時期は、レバレッジを低く抑えるか、あるいは静観して嵐が過ぎ去るのを待つのが賢明です。安易なエントリーは、思わぬ「損切り」を招く可能性があるため注意が必要です。
暴落時は「買い時」か「売り時」か?投資スタイル別診断
「結局、今は買うべきなのか、売るべきなのか」という疑問に対し、万人に共通する正解はありません。しかし、あなたの投資スタイルや保有期間によって、とるべき最適解は見えてきます。ここでは3つのタイプに分けて解説します。
長期保有派:押し目買いの好機となる可能性
10年、20年というスパンで資産形成を考えている「長期保有」の方にとって、今回の暴落は絶好の「買い時」となる可能性があります。これまで高すぎて手が出せなかった金が、バーゲンセール価格になったと捉えることができるからです。
もし手元に余裕資金があるなら、価格が下がったタイミングで買い増しを行うことで、平均取得単価を下げる効果が期待できます。NISA口座などを活用して長期的に保有し続けるつもりであれば、目先の価格変動に一喜一憂せず、淡々と枚数を増やしていくのが王道の戦略です。
短期・換金ニーズ派:高値圏での一部利益確定も選択肢
一方で、数年以内に現金化する予定がある方や、精神的な安心を得たい方は、一度売却して利益を確定させるのも賢い選択です。「暴落した」と言っても、数年前の価格と比較すれば、現在は歴史的な高値圏にあることに変わりはありません。
以下の表を見ていただければ、現在の価格がいかに恵まれた水準であるかが分かります。
| 時期 | 国内金小売価格(目安) | 状況 |
| 2020年頃 | 約6,000円/g | コロナ禍初期 |
| 2025年頃 | 約20,000円/g | 上昇トレンド中 |
| 現在 | 約26,000円/g | 暴落後でもこの水準 |
このように、5年前や1年前に購入した方であれば、暴落後であっても十分な含み益が出ています。欲張って最高値で売ろうとするのではなく、「十分な利益が出た」と割り切って売却し、現金を確保することも立派な投資戦略です。
これから買う人:積立投資で時間分散を
これから金投資を始めようと考えている方は、一度に全額を投資する「一括投資」は避けるべきです。相場がまだ不安定なため、さらに下落する「二番底」が来る可能性もゼロではありません。
おすすめは、毎月一定額をコツコツ購入する「積立投資」です。価格が高い時は少なく、安い時は多く買うことで、購入単価を平準化できます。この手法なら、もし明日さらに価格が下がったとしても、「安くたくさん買えた」と前向きに捉えることができます。時間を分散させることで、リスクをコントロールしながら資産を築いていきましょう。
まとめ:2026年の金相場は「激動」への備えを
2026年1月31日の金価格暴落は、私たちに「相場に絶対はない」という教訓を改めて突きつけました。しかし、パニックになって投げ売りをするのが一番の悪手です。まずは深呼吸をして、自分が金を持っている目的を思い出してください。
ニュース(FRB・トランプ発言)への感度を高める
今後の金相場は、これまで以上に政治や金融政策に敏感に反応する展開が予想されます。特にトランプ大統領の発言や、次期FRB議長の金融引き締め策に関するニュースは、金価格に直結する重要なサインです。日々のニュースをチェックし、市場の潮目がどう変わるかを注視する習慣をつけましょう。
資産防衛としての金の役割を再確認
金は「攻め」の資産であると同時に、最強の「守り」の資産でもあります。通貨の価値が下がったり、経済が混乱したりした時に、最後の砦として資産価値を守ってくれるのが金です。今回の暴落は大きなインパクトがありましたが、長期的な視点に立てば、資産ポートフォリオの一部として金を持つ意義は変わっていません。
今回の急落で不安を感じた方は、ご自身の資産全体における金の保有比率を見直してみるのも良いでしょう。適切なバランスで保有していれば、どのような相場変動も恐れることはありません。
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