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外国人の生活保護はデマ?受給条件・割合・不正受給の実態を解説

外国人の生活保護はデマ?受給条件・割合・不正受給の実態を解説

インターネットやSNS上で「外国人の生活保護受給者が急増している」「日本人が冷遇されている」といった情報を見かけ、不安や疑問を感じたことはありませんか。

実は、拡散されている「受給者の3割が外国人」といった情報の多くは、統計の読み間違いや誤解によるデマです。

本記事では、厚生労働省の統計や最高裁の判決、2025年4月施行の最新実施要領に基づき、制度の真実を解説します。


目次

外国人の生活保護受給に関する現状と割合

「外国人が生活保護を食い物にしている」という言説が後を絶ちませんが、公式な統計データを確認すれば、それが誤解であることが分かります。まずは客観的な数字を見ていきましょう。

「受給者の3分の1が外国人」は明確なデマ

SNSなどで「生活保護受給世帯の約33%が外国人」という衝撃的な数字が出回ることがあります。

結論から言うと、これは完全なデマです。

この誤解は、特定の自治体の「1ヶ月分の日本人受給世帯数」と「1年間の外国人延べ受給世帯数」を比較してしまった計算ミスや意図的な操作に由来します。

分母と分子の基準が異なる数字を比べても、正しい割合は算出できません。

ネット上の情報を鵜呑みにせず、公的機関が発表する一次情報を確認する姿勢が重要です。

統計で見る外国人受給者の推移(約3%台で推移)

厚生労働省の「被保護者調査」などの公式統計を見ると、実態は全く異なります。

生活保護受給世帯全体に占める外国人の割合は、長年およそ3%前後で推移しており、急増している事実はありません。

つまり、受給者の97%近くは日本国籍を持つ世帯です。

一部の極端な事例がクローズアップされがちですが、全体像として外国人が制度を圧迫しているという事実は確認できません。


生活保護を受けられる外国人の条件と在留資格

「外国人は誰でも日本に来れば生活保護がもらえる」というのも大きな間違いです。

受給には厳格な条件があり、対象となる在留資格は限定されています。

対象となる4つの「身分系在留資格」とは

生活保護の対象となるのは、出入国管理及び難民認定法別表第二に掲げられた、いわゆる「身分系」の在留資格を持つ人に限られます。

具体的には以下の通りです。

【表:生活保護の対象となる主な在留資格】

在留資格定義・対象者
永住者日本に永住を認められた外国人
特別永住者戦前から日本に居住する人やその子孫
定住者日系人や難民認定された人など
日本人の配偶者等日本人と結婚している外国人など

これらの資格を持つ人は、日本人と同様に日本社会に定着し、地域社会の一員として生活しているとみなされ、人道上の観点から保護の対象となります。

就労ビザや留学生は原則として対象外

一方で、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザや、留学生は対象外です。

これらは、自力で生活できる能力や資金があることを前提に入国が許可されているためです。

生活が困窮したからといってすぐに受給できるわけではなく、原則として帰国が促されます。

認定難民などの例外を除き、単なる出稼ぎ目的で来日した外国人が簡単に保護を受けられる仕組みにはなっていません。


生活保護法と最高裁判決の真実

なぜ外国人に生活保護が支給されるのでしょうか。

そこには法律上の解釈と、歴史的な行政判断が深く関わっています。

「法的権利」はないが「行政措置」として支給される理由

法律(生活保護法)の条文上、第1条で対象を「国民」と定めています。

しかし、1954年(昭和29年)に出された厚生省(現・厚生労働省)の通知により、「生活に困窮する外国人に対しても、人道上の観点から法律を準用する」という行政措置が取られてきました。

これを分かりやすく例えるなら、以下のようなイメージです。

【生活保護という船の例え】

  • 日本人: 乗船券(法的権利)を持つ正規の乗客。
  • 外国人: 船長(国)の計らい(行政措置)で特別に乗せてもらっている同乗者。

どちらも同じ食事(保護費)を提供されますが、同乗者には「乗船券」がないため、船の進路や待遇に不満があっても、強く訴える権利は制限されています。

最高裁判決が示した「憲法違反ではない」という解釈

2014年の最高裁判決では、「外国人は生活保護法が適用される『国民』には含まれない」との判断が下されました。

これは「外国人に支給してはいけない」という意味ではなく、「法律上の義務(法的権利)ではない」という確認です。

つまり、国が恩恵として支給すること自体は憲法25条違反でも違法でもありませんが、外国人が「権利として要求すること」は認められない、という結論です。


生活保護 不正受給と「外国人優遇」の真相

「外国人は医療費がタダだから病院に行き放題」といった優遇論もよく耳にします。

しかし、データや制度の仕組みを見ると、むしろ外国人の方が厳しい環境に置かれている側面が見えてきます。

外国人の医療扶助額は日本人より約2万円低いという事実

生活保護受給者の医療扶助(医療費の支給)について、一人当たりの月額を比較すると、実は外国人の方が日本人より約2万円低いというデータがあります。

(日本人を含む全体:約8万円 vs 外国人:約6万円 ※ある年度の概算)

これは、外国人受給者の平均年齢が日本人受給者(高齢者が多い)に比べて若いためです。

「外国人が医療費を使い込んでいる」というイメージは、事実とは異なる側面があります。

不服申し立てができない?外国人特有の制限とリスク

先ほどの「船の例え」にもあったように、外国人の受給はあくまで「行政の裁量」です。

そのため、日本人には認められている審査請求(不服申し立て)が、外国人には原則として認められません。

申請が却下されたり、理不尽な打ち切りにあったりしても、法的に争う手段が限られているのです。

さらに、以下のようなリスクもあります。

  • 不服申し立て(審査請求)ができない
  • 在留資格の更新や永住権申請にマイナスの影響が出る可能性がある
  • 本国への帰国指導が行われる場合がある

不正受給の割合と厳格化された審査体制

不正受給に関しては、国籍を問わず厳正に対処されます。

福祉事務所は審査の際、資産調査や扶養照会を徹底しており、外国人の場合も母国への資産調査などが(困難ではありますが)試みられます。

「外国人だから甘い」ということはなく、むしろ言語の壁や制度理解の不足により、必要な支援にたどり着けないケースも多々あります。


2025年4月施行予定の最新実施要領と今後の展望

生活保護制度は時代に合わせて常に変化しています。

2025年4月1日からは、新しい実施要領の施行が予定されており、より適正な運用が求められます。

資産活用と扶養義務に関する改正ポイント

最新の改正案では、障害者加算の認定基準の見直しや、住宅扶助における代理納付の推進などが盛り込まれています。

また、資産の活用や扶養義務の履行についても、より実態に即した厳格かつ丁寧な確認プロセスが導入される見込みです。

これにより、不正を防ぎつつ、真に困窮する人を救う体制が強化されます。

多文化共生社会におけるセーフティネットの在り方

日本に住む外国人が増加する中、彼らが困窮した際にどのようなセーフティネットを用意するかは、治安維持や公衆衛生の観点からも重要です。

単なる「排除」や「優遇」という二元論ではなく、人道上の配慮と適正な運用のバランスをどう取るかが問われています。


まとめ

外国人の生活保護受給について、デマと事実の違いを解説しました。

  • 受給者の3割が外国人というのはデマで、実際は約3%。
  • 対象は永住者や定住者などに限られ、就労ビザは対象外。
  • 「法的権利」ではなく「行政措置」であり、不服申し立てもできない。
  • 医療扶助額も日本人より低く、優遇されている事実はない。

ネット上の煽情的な言葉に惑わされず、正しい知識を持つことが、冷静な議論の第一歩です。

もし、身近に生活に困っている方がいる場合、国籍に関わらず、まずはお住まいの自治体の福祉窓口や専門家へ相談することを勧めてみてください。正しい情報が、誰かの命を救うことに繋がります。

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