中国の輸出規制最新情報:軍民両用品・レアアースの対日影響と対策

中国の輸出規制最新情報!たった0.1%混入で即停止の恐怖とは

中国政府は2026年1月6日、日本に対する軍民両用品の輸出管理を抜本的に強化し、即日実施することを発表しました。これは従来の特定の製品リストに基づく規制を超え、日本の軍事力向上につながると判断されれば、あらゆる品目が輸出禁止の対象になり得る「包括的禁輸」への転換を意味します。

一方で、米中合意に基づく一部レアアース規制の一時停止など、緩和と規制強化が入り混じった複雑な動きも見られます。本記事では、最新の「両用品目輸出管理条例」に基づく規制の全貌と、日本の産業界が直面する供給網断絶のリスク、そして企業が取るべき具体的な対策を専門家視点でわかりやすく解説します。

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目次

【2026年1月最新】中国による対日輸出規制の現状と軍民両用品

2026年1月6日、中国の商務部は日本に向けた軍民両用品の輸出管理を強化すると発表し、即日その運用を開始しました。これまでは特定の高性能な機械や材料が規制の対象でしたが、今回の措置によって状況は一変しています。軍事目的だけでなく、民生用であっても日本の防衛力強化につながるとみなされれば、輸出が止められる可能性があるのです。

この規制強化は、単なる手続きの変更ではありません。日本という特定の国をターゲットにした政治的なメッセージの色合いが濃く、企業にとってはいつ、どの製品が止まるか予測しづらい状況が生まれています。対日輸出規制という言葉が現実的な経営課題として重くのしかかるなか、まずはその背景にある仕組みを正しく理解することが重要です。

日本向け「軍民両用品」輸出の事実上の全面禁止

今回もっとも注意すべき点は、規制の基準が「技術スペック」から「最終用途やユーザー」へとシフトしたことです。これまでは、例えば一定以上の性能を持つ炭素繊維など、リストに載っている物だけを気にしていれば済みました。しかし今後は、たとえ一般的な電子部品や汎用的な工作機械であっても、それが日本の防衛産業に関わる企業や組織に渡る場合は輸出許可が下りない恐れがあります。

いわゆるデュアルユースと呼ばれる軍民両用品は、私たちの生活を支える家電や自動車にも多く使われています。今回の措置は、これら民生品のサプライチェーンをも巻き込む事実上の包括的禁輸に近い形となっており、軍事転用のリスクがないことを証明する負担が日本企業側に重くのしかかることになります。

法理的根拠となる「両用品目輸出管理条例」とスーパーキャッチオール

この強力な規制の土台となっているのが、2024年12月に施行された「両用品目輸出管理条例」です。この条例により、中国当局は輸出を管理するための非常に強い権限を法的に手にしました。中でも特に警戒が必要なのが、スーパーキャッチオールと呼ばれる仕組みです。

これは、あらかじめ規制リストに載っていない品目であっても、当局が「国の安全を脅かす」と判断すれば、その場で輸出を差し止めできるという強力なルールのことです。網の目を細かくして特定の魚を捕るのではなく、網そのものを広げて必要に応じてすべてをすくい上げるような仕組みだとイメージしてください。この法的枠組みによって、日本企業は常に突然の供給停止リスクに晒されることになります。

規制対象となる重要品目:レアアースから先端技術まで

実際にどのような品目が規制のターゲットになりやすいのでしょうか。1月6日の措置以降、特に影響が懸念されているのは、ハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)、急速に普及が進むドローン、そして次世代産業の鍵を握るロボット関連技術です。これらは日本の主要産業である自動車やエレクトロニクス製造に深く食い込んでおり、代替品の確保が難しいものばかりです。

ここでは、特に警戒レベルが高い品目について、具体的な用途とともに解説します。自社の調達品の中にこれらのカテゴリーが含まれていないか、まずはざっくりと把握することから始めましょう。

品目カテゴリー主な具体例産業上の重要用途
重希土類ジスプロシウム、テルビウムEV用モーター、高性能磁石
軽希土類サマリウム耐熱磁石(防衛・航空宇宙)
重要鉱物ガリウム、ゲルマニウム半導体、レーダー、光ファイバー
先端機器ドローン、ヒト型ロボットインフラ点検、災害救助、物流

防衛・自動車産業を直撃する重希土類(サマリウム、ジスプロシウム等)

日本の自動車産業や防衛産業にとって、もっとも深刻なのが重希土類の供給懸念です。たとえば、電気自動車(EV)の駆動モーターに使われる強力なネオジム磁石には、高温でも磁力を保つためにジスプロシウムやテルビウムといった添加物が欠かせません。これらは中国が圧倒的なシェアを握っており、供給が滞ればEVの生産ラインが止まる可能性があります。

また、サマリウムコバルト磁石の原料となるサマリウムも重要です。これはミサイルの誘導装置や航空機の計器など、極めて高い信頼性が求められる防衛装備品に多用されています。HSコード(貿易上の品目分類番号)で言えば2805番台などに該当するこれらの物質は、まさに産業のビタミンであり、その供給制限は製造業の根幹を揺るがす事態となりかねません。

ドローン・ヒト型ロボット完成体の輸出制限リスク

素材だけでなく、完成品の輸出も厳しくなっています。特に世界的なシェアを持つDJI製のドローンや、Unitreeなどのヒト型ロボットは、民生用として開発されていても軍事転用が容易であるとみなされやすい製品です。実際、戦場での偵察や物資輸送に使われるケースがあるため、中国当局は神経を尖らせています。

ここで怖いのは、法律で明確に禁止されていなくても、メーカー側が自主的に日本への出荷を止めるコンプライアンス・フリーズと呼ばれる現象です。「後で当局に睨まれたくない」という心理が働き、本来なら輸入できるはずの製品までが入手困難になるケースが増えています。すでに一部の代理店では、在庫確保に動き出しているとの情報もあります。

ガリウム・ゲルマニウム・アンチモン等の重要鉱物の扱い

半導体や通信機器の製造に欠かせない重要鉱物についても、規制のフェーズが変わりました。次世代パワー半導体の材料であるガリウムや、光ファイバーや暗視装置のレンズに使われるゲルマニウム、そして弾薬の硬化剤や難燃剤として使われるアンチモンなどは、これまで「原則不許可」という厳しい扱いを受けてきました。

今回の措置により、これらの品目は日本向けに関しては「完全禁止」に近い運用がなされる恐れがあります。たとえば、最新鋭のAESAレーダー(フェーズドアレイレーダー)にはガリウム砒素半導体が使われており、防衛装備品の維持・生産に直接的な影響が出始めます。企業はこれらの鉱物が、自社製品のどの部材に含まれているか、サプライチェーンを遡って確認する作業を急ぐ必要があります。

米中合意によるレアアース規制「暫定停止」の裏側と注意点

厳しい規制強化のニュースが続く中で、一部の企業にとって一筋の光とも言える動きがありました。それが、米中合意に基づくレアアース規制の一時的な緩和措置です。しかし、これを「規制がなくなった」と解釈して手を緩めるのは非常に危険です。

あくまで政治的な駆け引きの中で生まれた一時的な「休戦」に過ぎず、いつまた状況がひっくり返るかわかりません。ここでは、複雑な動きを見せる「暫定停止」の正しい中身と、企業担当者が見落としがちな落とし穴について解説します。

商務部公告2025年第70号による1年間の一時停止措置

2025年11月、中国商務部は特定のレアアース製品に関する輸出規制を、2026年11月10日までの1年間、暫定的に停止すると発表しました。これは米中首脳会談での合意を受けた措置であり、商務部公告2025年第70号として正式に通達されています。

この措置により、同年10月に発表されていたレアアースの関連設備や、リチウム電池の材料など一部の品目については、一時的に輸出手続きの厳格化が免除されることになりました。供給網の混乱を恐れていたバッテリーメーカーや関連企業にとっては、対策を練るための猶予期間が与えられた形となります。しかし、これはあくまで期限付きの「停止」であり、将来的な「撤廃」を約束するものではない点に注意が必要です。

停止対象外となっている「4月4日規制分」の継続性に注意

ここで最も注意すべきなのは、すべてのレアアース規制が止まったわけではないという事実です。実は、暫定停止の対象となっているのは10月発表分の規制のみであり、それ以前の2025年4月4日に発表された中重希土類7元素に関する規制は、現在も継続しています。

つまり、ハイテク製品に不可欠なジスプロシウムやテルビウムといった重要な重希土類は、依然として厳しい管理下に置かれたままです。「レアアース規制が停止されたらしい」という見出しだけを見て安心してしまうと、継続中の規制に引っかかり、突然調達がストップする事態になりかねません。どの品目が停止中で、どの品目が規制継続中なのか、HSコード単位での正確な確認が不可欠です。


日本企業への実務的インパクトと供給網断絶リスク

今回の輸出規制強化は、中国から日本へ直接物を輸入している企業だけの問題ではありません。グローバルなサプライチェーン全体に網がかけられており、日本国内で調達しているつもりでも、実は規制の影響を受けるというケースが多発しています。

「うちは中国企業と直接取引していないから大丈夫」という考えは、もはや通用しなくなりました。ここでは、企業の調達担当者を悩ませる「見えない規制」の仕組みと、それが日本の基幹産業に与える連鎖的な影響について深掘りします。

迂回輸入を封じる「域外適用」と「0.1%ルール」の脅威

中国の規制が恐ろしいのは、第三国を経由した「迂回輸入」をも封じ込めようとする点です。これを可能にするのが「域外適用」という考え方です。例えば、日本企業がベトナムの工場から部品を輸入する場合でも、その部品の原材料が中国産であれば、中国の輸出管理規則が適用される可能性があります。

さらに警戒が必要なのが「0.1%ルール(デミニミス・ルール)」に似た厳格な運用です。これは、製品の中に中国原産の規制対象物質がごくわずか(例えば0.1%以上)でも含まれていれば、その製品全体を規制対象とするという考え方です。コップの水に一滴でもインクが混ざれば、それはもう「水」ではなく「インク水」として扱われるようなもので、逃げ道がほとんど塞がれてしまうのです。

防衛産業・自動車・ロボティクス業界への連鎖的影響

この影響は、防衛産業のプライム企業(主契約企業)から、自動車、ロボティクス業界へとドミノ倒しのように広がります。例えば、三菱重工などが手がける防衛装備品には多数の電子部品が使われていますが、その末端の部品に使われるレアアースが止まれば、装備品全体の製造がストップしかねません。

また、ヒト型ロボットや自動車のモーターに使われる磁石も同様です。サプライチェーンの2次、3次下請け企業が中国製の素材を使っていれば、完成車メーカーやロボットメーカーも「巻き添え」を食らうことになります。供給網のどこか一箇所でも断絶すれば、製品が出荷できなくなるリスクを、業界全体が共有している状態と言えます。


企業が今すぐ取るべき「デリスク」対策チェックリスト

状況は深刻ですが、手をこまねいている時間はありません。企業が生き残るためには、リスクを最小化する「デリスク(De-risking)」の動きを加速させる必要があります。

単なる情報収集の段階は終わり、今は具体的なアクションを起こす時です。ここでは、経営層や実務担当者が明日からすぐに取り組める具体的な対策を提案します。

BOM(部品表)の精査と中国原産レアアースの含有率特定

最初に取り組むべきは、自社製品のBOM(部品表)の徹底的な精査です。完成品だけでなく、構成部品のさらにその材料まで、可能な限り深く掘り下げていく必要があります。「何が使われているか」だけでなく、「その原料はどこから来ているか(原産地)」を特定することが重要です。

特に、規制対象となっているHSコードに該当するレアアースや鉱物が含まれていないか、含まれている場合はその含有率を確認しましょう。サプライヤーに対して原産地証明の提出を求めたり、中国依存度がどの程度なのかを数値化したりすることで、初めて現実的なリスク対策が見えてきます。

サプライチェーンの複線化(フレンド・ショアリング)の具体策

中国依存のリスクが判明したら、次は調達ルートの複線化です。特定の国に依存せず、オーストラリアやアメリカ、東南アジアなど、同盟国や友好国にサプライチェーンを広げる「フレンド・ショアリング」を検討してください。

もちろん、コストアップや品質認証の手間は発生します。しかし、これは単なるコストの問題ではなく、BCP(事業継続計画)の要となる投資です。平時から複数の調達ルートを確保しておくことは、有事の際に自社を守る唯一の命綱となります。


【実務担当者向け】月曜朝のTo-Doリスト

最後に、記事を読み終えた実務担当者の方が、週明けすぐに動き出せるよう具体的なアクションを整理しました。

  • 仕掛中案件の棚卸し:現在進行中の輸入手続きに、規制対象品が含まれていないか即座に確認する。
  • 契約条項(条文)の見直し:サプライヤーとの契約に「法令変更による不可抗力」条項が含まれているか、供給責任の所在を再確認する。
  • 在庫戦略の再考:重要品目については、「ジャスト・イン・タイム(効率重視)」から「ジャスト・イン・ケース(万が一の備え)」へ切り替え、安全在庫を積み増す。
  • 社内情報の共有:設計・開発部門に対し、今後新規採用する部材について「中国依存リスク」を評価基準に入れるよう要請する。

まとめ:経済効率から経済安全保障へ

2026年1月、中国による軍民両用品への輸出規制強化は、日本の産業界にとって大きな転換点となりました。もはや「安くて良いもの」を自由に調達できた時代は終わり、これからは「安定して手に入るか」という経済安全保障の視点がビジネスの前提となります。

規制の内容は複雑で、日々刻々と変化します。しかし、恐れるばかりでは何も始まりません。まずは自社のサプライチェーンを可視化し、リスクの所在を正しく把握すること。そして、調達先の多様化という地道な対策を一つずつ実行していくことが、不透明な時代を生き抜くための最も確実な道です。

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