【9/5】高市首相がNHK「トリセツショー」の編集に異議|カットされた「攻めの予防医療」発言の全文と経緯

高市早苗首相は2026年9月5日午後2時15分、自身のX(旧Twitter)に投稿し、9月3日に放送されたNHK「あしたが変わるトリセツショー」で、収録した自分の発言のうち前段がカットされて放送されたと説明しました。カットされたと本人が述べているのは「攻めの予防医療」と、がん検診・再検査の受診者を増やす取組の重要性に触れた部分です。番組では、後段の「溝田先生の取組は素晴らしい」という評価だけが流れました。ここでは、収録で何を話し放送で何が残ったのか、そもそもなぜ首相が健康番組に出たのか、そして編集をめぐる論点はどこにあるのかを、本人の投稿と公表資料、報道だけで整理します。
この記事でわかること
- 投稿は9月5日午後2時15分:高市首相がXで「経緯を説明いたします」として、収録時の発言全文を自ら公開しました。
- カットされたのは前段:「攻めの予防医療」と、がん検診・再検査の受診者を増やす取組が大事だという部分です。
- 放送されたのは後段だけ:溝田氏の取組を未受診者へのアプローチとして評価し、受診率アップを呼びかけた箇所です。
- 発言内容は事前確認済みだったと本人が説明:出演を受けるにあたり、発言内容をNHKに事前に確認してもらっていたとしています。
- 出演の理由:番組が扱った検診受診率向上プロジェクトの当事者から、取組の説明と応援の依頼があり受けたと説明しています。
- 収録場所は官邸内の会議室:スタジオ出演ではなく、短い収録コメントでの出演でした。
- NHK側の説明は確認できていない:9月6日朝の時点で、この件に関するNHKのコメントは報道で確認できていません。
高市首相はNHKの何に異議を唱えたのか
収録した発言のうち「攻めの予防医療」を説明した前段が、放送でカットされたという1点です。
異議の対象は番組全体でも、番組の企画そのものでもありません。9月5日のX投稿は、自分がどこまで話し、そのうちどこが放送に乗らなかったのかを示すことに絞られています。
投稿のきっかけは「政策の説明をしていない」という指摘
放送を見た人から政策の説明がないと指摘され、経緯を説明するために投稿したと書いています。
投稿は「私が全く政策の説明をしていないなどのご指摘がありますので、経緯を説明いたします」という書き出しで始まっています。本人の側から見れば、これは反論ではなく、放送に出なかった部分を補う説明という立て付けです。収録時に話した内容を全文そのまま示したうえで、前段はカットされ後段だけが放送されたと書いており、どこが消えたのかを読者が自分で照合できる形になっています。
発言内容は事前にNHKに確認してもらっていたと説明
出演を受けるにあたり、発言内容を事前にNHKに確認してもらっていたと述べています。
事前に共有した内容の一部が放送に乗らなかった、というのが本人の説明の骨格です。ただし、事前確認がどのような形で行われたのか、放送でどの部分を使うかの合意があったのかまでは投稿では触れられていません。この点はNHK側の説明がないため、現時点では確認できません。
カットされたと本人が説明しているのはどの部分か
収録は3段構成で、放送に残ったのは3段目の「溝田氏の取組への評価」だけです。
| 発言の段 | 収録で話した内容(本人がXで公開) | 9月3日の放送 |
|---|---|---|
| 1段目 | 早期に検査を受け、発見し、早期に対応する「攻めの予防医療」を重視している | カットされたと説明 |
| 2段目 | がん検診を受ける人を増やす、再検査が必要なときに再び受診する人を増やす取組が非常に大事 | カットされたと説明 |
| 3段目 | 溝田氏の取組は未受診者へのアプローチとして素晴らしい。受診率アップのため頑張っていこう | 放送された |
この並びで見ると、消えたのは「政府として何を重視し、何を増やそうとしているか」を述べた部分にあたります。残ったのは相手の取組をほめる部分です。番組を見ただけでは政策の話が出てこないように見えたのは、この配分によるものだと本人は説明しています。
1段目と2段目=政策の中身にあたる部分
政府として何を重視し、何を増やそうとしているかを述べた部分がここにあたります。
「攻めの予防医療」は高市内閣が掲げる方針の名前で、投稿では昨年の自民党総裁選での自身の公約でもあったと明記しています。2段目の「がん検診の受診者を増やす」「再検査が必要な人をもう一度受診につなげる」は、その方針を検診の現場に落とした具体項目です。
3段目=相手の取組への評価にあたる部分
溝田氏の取組を評価し、受診率アップを一緒に進めようと呼びかけた結びの言葉です。
本来は政策の説明を受けたうえでの締めくくりにあたる言葉が、前段のない状態で単独で流れた形になります。放送を見た側に「ほめただけ」と映ったのは、この構造によるものです。
そもそもなぜ首相がNHKの健康番組に出たのか
番組が扱ったプロジェクトの当事者から応援の依頼があり、受けたと説明しています。
高市氏は投稿で「がん検診の受診率の向上は重要な政策課題の一つであることから、お受けした」と書いています。出演はスタジオではなく、官邸内の会議室での短い収録コメントでした。
依頼者は静岡社会健康医学大学院大学の溝田友里准教授
溝田氏は同大学の准教授で、厚生労働省の参与も務めている検診受診率の研究者です。
番組で紹介されたのは、溝田氏が全国の自治体と連携し、がん検診を受けていない住民に受診を促すプロジェクトです。収録では溝田氏が高市氏に取組を説明し、それを受けて首相がコメントする形が取られました。
プロジェクトは47都道府県・約600市区町村・約300万人規模
自治体と協働し、約300万人の住民にがん検診の案内を届ける全国規模の取組です。
番組サイトによれば、この企画は「がん検診受診率向上<希望の虹プロジェクト>」として、47都道府県の約600市区町村と協働しています。案内はリーフレットやはがきの形式で、大腸がん・胃がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんが対象です。
収録から放送までの流れ
溝田氏から「取組を説明するので応援してほしい」
出演を受けるにあたり発言内容をNHKに確認(本人説明)
官邸内の会議室で説明を受け、3段構成でコメント
3段目だけが放送
Xで経緯と発言全文を公開
番組は9月3日午後7時30分からの72分スペシャルで、MCは石原さとみさんです。再放送は9月9日午後11時50分から、アンコール放送は9月23日に予定されています。
視聴者が「わけわからん」となったのはなぜか
政府の関与も具体策も画面に出ないまま場面が終わり、出演の目的が伝わらなかったためです。
番組では首相の反応に「好感触」というナレーションが付いた一方、政府がプロジェクトにどう関わるのか、首相がどこにどう働きかけるのかの説明がありませんでした。
放送直後から出ていた指摘
放送翌日の9月4日、女性自身やSmartFLASHがSNS上の困惑の声を伝えました。
記事が拾ったのは「めちゃくちゃ突然ぶっ込んだ感」「急な高市さん登場でチャンネル変えた。わけわからん」といった書き込みです。これらの記事は編集でカットがあったことを前提にしたものではありません。放送を見た側の受け止めとして書かれたもので、高市氏の投稿はその翌日に出ています。順序を入れ替えると経緯を読み違えるので、ここは分けて見る必要があります。
「人気取り」という見方も出た
一部の記事は出演の意図を「人気取り」と指摘しましたが、取材に基づく断定ではありません。
これは番組を見た側の解釈であり、依頼の経緯についての取材に基づくものではありません。高市氏の投稿によれば、依頼は溝田氏の側から来たものとされています。どちらが実態に近いかは、NHK側の説明がない現時点では確認できません。
「攻めの予防医療」とは何か
早期の検査・発見・対応で健康寿命を延ばす方針で、高市氏の総裁選公約でもあったものです。
予防に努め、疾病を発見し、早期に適切な機関につなげることが中身とされています。高市内閣の医療政策の看板にあたる言葉です。
所信表明演説で表明された政策の柱
第219回国会の所信表明演説で、健康寿命の延伸を図る方針として表明されました。
演説では「攻めの予防医療」を徹底し、皆が元気に活躍して社会保障の担い手になれるよう取り組む、と述べられています。番組でカットされたと本人が述べている1段目は、この演説と同じ言葉づかいです。
具体化は来年度予算の編成過程で
新規の取組や来年度予算への反映を含めて検討を加速している、と投稿に書かれています。
挙げられているのは、対象者への個別勧奨と再勧奨、休日・夜間を含めた受診機会の確保、精密検査が必要になった人を確実に受診につなげるフォローアップ体制の充実の3点です。この3点は、放送でカットされたと本人が述べている2段目の内容と重なります。X投稿が「補足」の性格を持つと言えるのは、この対応関係があるためです。
番組の編集をめぐる論点はどこにあるのか
編集権は放送事業者にあるため、これを補足と見るか介入と見るかで評価が割れます。
どちらの立場を取るかで、同じX投稿の意味づけが正反対になります。判断材料が一方の側からしか出ていないことが、この件の現在地です。
放送法は番組編集の自由を定めている
放送法第3条は、放送番組は何人からも干渉されず、規律されないと定めています。
法律に定める権限に基づく場合を除き、どの発言を使いどこを切るかは放送事業者の判断に属します。収録した内容がすべて放送されるとは限らないのは、この前提によるものです。
2つの見方が並んでいる
補足と見るか介入と見るかで、同じ投稿への評価が正反対に分かれています。
放送に出なかった発言を本人が公開しただけで、事実関係の追加にあたる。訂正や再放送の要求はしていない
現職の首相が個別番組の編集を名指しで問題にすること自体が、放送事業者への圧力として働きうる
※ NHK側の説明が出ていないため、どちらの見方も現時点では一方の材料だけで組み立てられています。
この件で確定しているのは、高市氏が自身の発言全文をXで公開したこと、そして番組で流れたのが後段だけだったことです。事前確認の内容や編集の意図については、NHKの説明が出て初めて突き合わせが可能になります。9月6日朝の時点では、そのコメントは報道で確認できていません。
大腸がん検診はどこで、いくらで受けられるのか
市区町村の対策型検診で、40歳以上が年1回の便潜血検査を受けられます。
費用は自治体の補助で数百円から無料になる場合があります。金額と申込方法は市区町村ごとに違うため、お住まいの自治体の案内で確認してください。
検査は便を採って提出するだけ
便に血液が混じっていないかを調べる検査で、採便して提出するだけで済みます。
国立がん研究センターの案内では、対策型検診として40歳以上に年1回の受診が勧められています。日本では2日分の便を採る「2日法」が主流です。高市氏の投稿にもあるとおり、「自覚症状がないから大丈夫」として受診をためらう人が少なくないことが、受診率が上がらない理由の一つとされています。実際に松本人志さんが大腸がんを公表した際も、症状が出る前に見つけられるかどうかが議論の中心になりました。
採便回数は1日法への見直しが議論されている
2024年の改訂ガイドラインと2026年3月の検討会で、1回法を認める案が示されています。
2024年11月に19年ぶりに改訂された「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版では、対策型検診の推奨年齢の上限を74歳とすること、2年間隔の検診も認めること、採便回数は1回法も認められることが示されました。2026年3月23日の厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」でも、市町村が行う大腸がん検診の採便回数を2日法から1回法へ見直す案が示されています。受診のハードルを下げる方向の議論が制度側でも進んでいる、というのが現在地です。
この件で次に見るべきものは何か
NHKの説明、9月9日の再放送での扱い、来年度予算での具体化の3つです。
今回のX投稿は、放送に出なかった発言を本人が公開したという事実にとどまっています。編集の是非を判断する材料は、まだ一方の側からしか出ていません。この記事も、その一方の材料と公表資料だけで組んでいます。「攻めの予防医療」が2027年度予算の編成でどこまで形になるかは、放送の話とは別に追う価値があります。
よくある質問
高市首相はいつ、どこで異議を述べたのですか
2026年9月5日午後2時15分、自身のX(@takaichi_sanae)への投稿です。記者会見や国会での発言ではありません。高市氏は睡眠時間をめぐる投稿のときも、まずXで自ら説明する形を取っています。投稿では「経緯を説明いたします」として、収録時の発言全文を自ら公開しています。
カットされたのはどの部分ですか
本人の説明によれば、早期に発見し対応するという「攻めの予防医療」に触れた前段と、がん検診や再検査の受診者を増やしていくことが大事だと述べた部分です。放送されたのは、溝田氏の取組を評価し受診率アップを呼びかけた後段だけでした。
NHKはこの件について何か説明していますか
2026年9月6日朝の時点で、この編集に関するNHKのコメントは報道で確認できていません。事前確認の範囲や編集の意図については、現時点では高市氏側の説明しか出ていません。
番組の再放送はいつですか
「あしたが変わるトリセツショー」のこの回は9月3日午後7時30分からの72分スペシャルで、再放送が9月9日午後11時50分から、アンコール放送が9月23日に予定されています。編成は変わる場合があるため、放送前に番組表で確認してください。
番組で紹介されたプロジェクトはどこが実施しているのですか
「がん検診受診率向上<希望の虹プロジェクト>」で、47都道府県の約600市区町村と協働し、約300万人の住民にがん検診の案内を届ける取組です。番組では静岡社会健康医学大学院大学の溝田友里准教授(厚生労働省参与)が紹介されました。
参考情報
- 高市早苗(@takaichi_sanae)X投稿(2026年9月5日 午後2時15分)
- NHK「あしたが変わるトリセツショー」がん撲滅キャンペーン2026 特設ページ(希望の虹プロジェクト)
- SmartFLASH「NHK健康番組に高市首相が突然登場…説明不足の演出に『わけわからん』視聴者困惑」(2026年9月4日)
- 女性自身「『めちゃくちゃ突然ぶっ込んだ感』高市首相 石原さとみMCのNHK健康番組に唐突出演で視聴者騒然」(2026年9月4日)
- 首相官邸「第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」
- 放送法第3条(放送番組編集の自由)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
- 国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版(2024年11月27日公開)
- 厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」第46回資料(2026年3月23日)
放送日程や制度の内容は、記事作成時点の公表情報です。編成の変更や検討会の結論によって変わる場合があります。
