【9/10】米軍がPFAS汚染源と認めていた|嘉手納・普天間をなぜ政府は公表しなかったか

【9/10】米軍がPFAS汚染源と認めていた|嘉手納・普天間をなぜ政府は公表しなかったか

在日米軍が2023年12月の日米協議で、米軍嘉手納基地(沖縄市・嘉手納町など)と普天間飛行場(宜野湾市)の消火訓練場で使っていたPFAS(有機フッ素化合物)を含む泡消火剤などが汚染源になった可能性が高いとの認識を、日本政府に示していたことが2026年9月8日に相次いで報じられました。米側は「公表しても構わない」との見解も示していましたが、日本政府は公表しませんでした。この記事では、米側が何をどう認めたのか、日本政府が2年近く公表しなかった経緯、立ち入り調査が実現しない制度上の理由、そして除去の費用を誰が負担しているのかを、報道と公開資料の範囲で整理します。

この記事でわかること

  • 米側が認めた中身:在日米軍は2023年12月の日米協議で、嘉手納基地と普天間飛行場の消火訓練場でPFASを含む泡消火剤を使っていたことなどが汚染源になった可能性が高いとの認識を日本政府に示しました。
  • 9月8日の報道で新しかった2点:米側の認識自体は2026年1月に琉球新報などが報じていました。今回新しいのは米側が「公表しても構わない」と伝えていたことと、「基地に由来すると強く推測される」という表現が日米の文言調整で最終的に削除されたことです。
  • 政府の説明との矛盾:防衛省は2025年12月の発表で、米側が立ち入りを拒否した理由として「沖縄県から米軍施設が汚染源だと示す明確なサンプル調査のデータが示されていない」ことなどを挙げ、米側が汚染源の可能性を認めた事実は公表しませんでした。
  • 立ち入りが実現しない理由:日米地位協定で基地の管理権は米軍にあり、日米環境補足協定が定める立ち入りの条件は「現に発生した場合」として現在進行形の漏出に限定されています。過去の汚染への対処は盛り込まれていません。
  • 費用の構図:普天間飛行場の汚染水処理や格納庫の補修は日本側が負担してきました。北谷浄水場の活性炭の更新費16億円は、基地由来と認められないことなどを理由に国の補助の対象外とされ、沖縄県の負担となる見通しです。
  • 数字が食い違う点:沖縄県の立ち入り申請の回数は、共同通信が「2026年6月で5回目」、RBC琉球放送が「3度目」と報じており、報道で食い違っています。
  • 編集部の見方:(編集部分析)米側が公表を容認していたのに日本側が伏せたという構図は、同盟の信頼を守るどころか損ないます。主権国家として自国民に説明する責任は、相手国の同意より先にあると評価できます。
目次

米軍は2023年12月に何を認めたのか

嘉手納基地と普天間飛行場の消火訓練場で使った泡消火剤などが汚染源になった可能性が高い、という認識です。

朝日新聞が2026年9月8日に政府関係者への取材として報じた内容によれば、在日米軍は2023年12月、この2つの施設の消火訓練施設でPFASを含む泡消火剤を使っていたことなどが汚染源となった可能性が高いとの認識を日本政府に示しました。沖縄タイムスも同日、同じ協議について報じています。

共同通信は、米側の回答の表現をより具体的に伝えています。米側は沖縄県の立ち入り申請に対して拒否する方針案を日本政府に回答した際、PFASの基地由来を「基地に由来すると強く推測される」としていました。ただしこの表現は、日米両政府での文言調整を経て最終的に削除されています。

認めた事実と、拒否した事実は同時でした。米側は汚染源の可能性を認めた同じ回答の中で、汚染源特定のために沖縄県が申請していた基地内の立ち入り調査は認められないと回答しています。

ここまでの流れを時系列で並べると、認識の共有と非公表がどこでずれたのかが見えます。

図解1|米側の回答から一斉報道までの流れ

2016年1月
沖縄県企業局が発表。嘉手納基地から流れ出る川や基地内の井戸群から高濃度のPFASを検出。約45万人に供給された飲み水が汚染されていた
2016年以降
沖縄県が基地内への立ち入り調査を繰り返し申請。米軍が拒否する状況が続く
2023年12月
日米協議で米側が「消火訓練場の泡消火剤などが汚染源になった可能性が高い」との認識を示す。同時に立ち入りは認められないと回答。「強く推測される」の表現は文言調整で削除
2025年12月
防衛省が発表。米側が立ち入りを拒否したことと、その理由だけを公表。汚染源の可能性を米側が認めたことは公表せず
2026年1月18日
琉球新報などが、米側が「消火訓練場から地下にPFASが浸透した」との認識を示していたと報じる
2026年6月
沖縄県が新たな調査結果を揃えて立ち入りを再申請
2026年9月8日
朝日新聞・沖縄タイムス・共同通信などが一斉に報道。「公表しても構わない」と米側が伝えていたこと、「強く推測」の削除が明らかになる

つまり米側の認識と日本政府の説明は、2023年12月の時点ですでに食い違っていたことになります。

「公表可」だったのに日本政府はなぜ公表しなかったのか

政府は理由を説明していません。木原稔官房長官は「米国側との関係もあって」として詳細への回答を避けています。

沖縄タイムスは2026年9月8日、米側が「公表しても構わない」との見解も示していたにもかかわらず、日本政府は公表しなかったと報じました。日本政府が公表しなかった理由は、現時点で明らかにされていません。

木原官房長官は同日の記者会見で、「米国側からの回答は去年12月に防衛省から県に示した通り」としたうえで、「米国側とのやり取りの詳細については、米国側との関係もあってお答えは差し控えている」と述べました。琉球新報は9月9日、政府・防衛省がともに説明を避けていると報じています。

防衛省が2025年12月に発表した内容は、米側が立ち入りを拒否したことと、その理由でした。共同通信によれば、防衛省は拒否の理由として、沖縄県から米軍施設が汚染源だと示す明確なサンプル調査のデータが示されていないことなどを挙げています。誰が誰に対してデータを示していないという説明だったのかを確認すると、構図は「沖縄県から国および米側へのデータが足りない」というものでした。汚染源の可能性を米側が認めていたことは、この発表に含まれていません。

(編集部分析)ここで問われているのは、外交上の機密の範囲ではなく、国民に説明する順序です。相手国が公表を容認していたのなら、日本政府が伏せた理由は日本側の事情に求めるしかありません。主権国家として、自国民の飲み水に関わる情報の開示は、相手国との調整より先に置かれるべき順序だと評価できます。情報を伏せて時間を稼ぐ手法は、政策の中身が正しかったとしても国民の信頼を削ぎ、結果として同盟の基盤を弱めます。

Q. 米側の回答の原文は読めるのですか。

A. 読めません。沖縄の調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」(河村雅美代表)が米軍回答の原文などを防衛省に情報公開請求したところ、防衛省は両政府のやりとりだけでなく文書の名称やページ数も含めて「不開示」としました。理由は「公にすると米国との信頼関係が損なわれる恐れがある」ためとされています。

原文が出てこない以上、この問題の事実関係は報道と政府答弁の突き合わせでしか追えない状態が続きます。

1月の琉球新報報道と9月8日の一斉報道は何が違うのか

新しいのは「米側が公表を容認していた」ことと「強く推測という表現が削除された」ことの2点です。

米側が2023年12月に汚染源の可能性を認めていたという事実そのものは、2026年9月8日に初めて表に出たものではありません。琉球新報は2026年1月18日、米側が「(嘉手納基地と普天間飛行場の)消火訓練場から地下にPFASが浸透した」との認識を示していたと報じています。スローニュースが6月17日に公開した記事も「今年1月の琉球新報などの報道」としてこれを参照しています。

そのうえで9月8日の各社報道が加えた要素を並べると、次のようになります。

論点 2026年1月の報道 2026年9月8日の報道
米側の認識 消火訓練場から地下にPFASが浸透したとの認識を示していた 泡消火剤の使用などが汚染源となった可能性が高いとの認識(内容は同趣旨)
公表の可否 言及なし 米側は「公表しても構わない」との見解も示していた
回答の文言 言及なし 「基地に由来すると強く推測される」が日米の文言調整で最終的に削除された
政府の対応 防衛省が2年近く伏せていたと指摘 木原官房長官が「詳細は差し控える」と明言を避ける

この2点が加わったことで、話は「政府が説明を怠った」から「政府が公表できる情報を選んで伏せ、文言まで薄めた」へと段が上がりました。

沖縄のPFAS汚染はいつから広がっているのか

最初の公表は2016年1月です。汚染された飲み水が沖縄本島の3分の1にあたる約45万人に供給されていました。

スローニュースの記事によれば、日本で初めてPFAS汚染が明らかになったのは2016年1月、沖縄県で水道事業を担う企業局の発表でした。それまでの水質調査で、嘉手納基地から流れ出る川や基地内にある井戸群といった水源からきわめて高い濃度のPFASが検出されていました。汚染源は、長年消火訓練が行われてきた嘉手納基地と見られていました。

汚染が確認された基地は嘉手納と普天間だけではありません。沖縄県内ではキャンプ・ハンセン(金武町)やキャンプ・レスター(北谷町)などでも周辺の汚染が明らかになっています。

米軍基地以外の施設でも検出は起きています。共同通信は2026年8月12日、大阪(伊丹)空港周辺の水路から国の指針値の約6倍となるPFOAとPFOSが検出されたと報じました。京都府立大の原田浩二教授(環境衛生学)の調査によるもので、2003年と2016年の調査でも高濃度で検出されており、20年以上にわたって付近から流れ込んでいる可能性があります。環境省によれば、空港はこの2物質を含む泡消火剤を保有している場合があり、汚染源になり得ます。北海道の丘珠空港の周辺でも高濃度で検出されています。

ここまでの経過を年表に落とすと、汚染の把握と対処の間に開いた時間の幅が見えます。

時期 起きたこと
2013年 嘉手納基地で泡消火剤が大量に漏出(沖縄国際大図書館所蔵の「ジョン・ミッチェル・コレクション」に当時の写真)
2016年1月 沖縄県企業局が発表。嘉手納基地由来と見られる高濃度PFASを検出。約45万人に供給された飲み水が汚染
2016年以降 沖縄県が立ち入り調査を申請。三者協議は4回目を前に米軍から一方的に打ち切られた
2021年8月 普天間飛行場からPFASを含む汚染水が公共下水道へ放出。日本側が汚染水を引き取り処分する対応をとる
2023年12月 米側が汚染源の可能性を認め、立ち入りは拒否。日本政府は公表せず
2026年8月 大阪(伊丹)空港周辺の水路から指針値の約6倍のPFOA・PFOSを検出(京都府立大の調査)

米国内では700カ所を超える米軍基地でPFAS汚染が確認されるか疑われ、除去や浄化が進んでいます。一方で、日本国内で汚染源と認められた米軍基地は1カ所もありません。

立ち入り調査はなぜ実現しないのか

基地の管理権が米軍にあり、立ち入りの条件が「現に発生した場合」に限定されているためです。

日米地位協定によって基地の管理権を持つのは米軍です。日米間では環境補足協定も結ばれていますが、スローニュースによれば、立ち入り調査の条件は「現に発生した場合」として現在進行形の漏出に限定されており、過去に起きた汚染への対処は盛り込まれていません。嘉手納や普天間で問題になっているのは過去の消火訓練に由来する汚染であり、この条件では入口に届きません。

そのうえで米側は「基地が汚染源であることを示す科学的根拠や明確なデータがない」ことを、調査を許可しない理由として挙げてきました。基地の外側で採った周辺環境のデータは複数ありますが、それでは立証に足りないという立場です。立証には基地内の調査が必要で、その立ち入りが拒まれています。

この行き止まりの構造を整理すると、次のようになります。

図解2|立ち入り調査が実現しない構造

沖縄県が
立ち入りを申請
周辺環境のデータを添付
→
米側が拒否
「汚染源だと示す明確なデータがない」
→
明確なデータは
基地内でしか採れない
=立ち入りが必要
→
補足協定の条件は
「現に発生した場合」
過去の汚染は対象外

証拠を求める側が証拠の採取を拒んでいる形になっており、県がデータを積み増しても入口が開かない仕組みだと分かります。

申請の回数については報道で数字が食い違っています。共同通信は、沖縄県が2016年以降に4回の立ち入り申請を行い、2026年6月に5回目となる嘉手納や普天間などへの申請を行ったとしています。一方でRBC琉球放送は、県が2026年6月に新たな調査結果を揃えたうえで沖縄防衛局を通じ「3度目の申請」を行ったばかりだと報じています。数え方の違いによるものと見られますが、どちらが通算なのかは確認できていないため、本稿では両方を併記します。

Q. 米国内の基地では浄化が進んでいるのに、なぜ日本では進まないのですか。

A. 汚染源として認められた基地が国内に1カ所もないことが起点です。米国内では700カ所を超える基地で汚染が確認されるか疑われ、除去や浄化が進んでいます。日本では基地内の調査ができないため汚染源の特定に至らず、浄化の前提が成立しない状態が続いています。

認定に至らない状態が続くと、費用の負担も基地の外側へ押し出されていきます。

除去費用は誰が払っているのか

基地内の対策も周辺の対策も日本側の負担です。国と沖縄県のどちらが払うかで線が引かれています。

普天間飛行場では、日本側が費用を引き受けた例が報じられています。東京新聞は、2021年8月にPFASを含む汚染水が公共下水道へ放出された問題を受け、基地内のPFASを含む汚水の処理を日本側が引き受けて9400万円を負担し、地下貯水槽への雨水の流入を防ぐための格納庫の補修工事費として1億7600万円を負担したと報じています。合わせて2億7000万円です。さらに別の格納庫の防水補修に3億1700万円が投じられたことも同紙が報じています。

周辺の対策は沖縄県が負担してきました。約45万人に水を供給する北谷浄水場では、PFASを除去するために防衛省の補助を使って高機能粒状活性炭が導入されました。ところが2026年度以降の活性炭の更新費16億円について、防衛省は補助の対象外と沖縄県に伝えています。琉球新報は補助が使えない理由として基地由来と認められていないことを挙げ、沖縄タイムスは更新が施設の建設ではなく「維持管理」に当たるとの防衛省の判断を伝えています。沖縄県議会は2025年12月、国の支援継続を全会一致で求めています。

(編集部分析)ここに構造の歪みが集約されています。米側は水面下で汚染源の可能性を認めていた一方で、公の場では立ち入り拒否の理由として「汚染源だと示す明確なデータがない」ことが挙げられてきました。活性炭の更新費が補助の対象外とされた理由は、報道では基地由来と認められていないことと、更新が「維持管理」に当たることの2つが挙げられており、立ち入り拒否と同じ根拠ではありません。ただし前者は、汚染源が認定されていないという同じ状態を前提にしています。認定されないから補助が出ず、補助が出ないから水道料金や県の財政で埋める。原因を作った側が費用を負わず、被害を受けた側が支払う構図は、日本国民の税と水道料金がどこへ流れるかという問題でもあります。誰が得をするのかという物差しで見れば、この仕組みで負担を免れているのは米側であり、日本の交渉力の弱さがそのまま費用として表れていると評価できます。

政府・米軍・沖縄県はそれぞれ何と言ったか

政府は詳細への回答を控え、米軍は連携を強調し、沖縄県は立ち入り調査が必要だと述べています。

2026年9月8日から9日にかけての各社報道に出ている発言を並べると、三者の立ち位置の違いがはっきりします。

発言者 述べた内容 伝えた媒体
木原稔官房長官 「米国側からの回答は去年12月に防衛省から県に示した通り」「米国側とのやり取りの詳細については、米国側との関係もあってお答えは差し控えている」 RBC琉球放送・沖縄タイムス(9月8日)
在日米軍 「持続可能な解決策の実現に向けて、日本政府の関係機関と継続的かつ緊密に連携する」 RBC琉球放送の取材への回答(9月10日放送)
玉城デニー沖縄県知事 「問題の解決には県による立ち入り調査が必要だ」「米国側が認めているということについて日本政府の見解と、そのための解決を米国側と協議をするのかという方向性はぜひ確認をさせていただけないか」 共同通信・RBC琉球放送(9月8日・豊見城市内での取材)
防衛省(2025年12月の発表) 米側が立ち入りを拒否した理由として「米軍施設が汚染源だと示す明確なサンプル調査のデータが示されていない」ことなどを挙げた 共同通信・朝日新聞

三者のうち、汚染源についての認識を明示的に語っていないのは日本政府だけです。玉城知事は改めて申し入れを行う考えを示しました。

(編集部分析)同盟を守るためにこそ隠してはならなかった

米側が公表を容認していた情報を日本側が伏せた判断は、同盟の信頼を守るどころか損ないます。

(編集部分析)日米同盟は日本の安全保障の柱であり、その維持は国益にかないます。だからこそ、この件での日本政府の対応は同盟の側から見ても損だと評価できます。米側が「公表しても構わない」と伝えていたのなら、少なくとも米側の反対が非公表の直接の理由だったとは考えにくくなります。それでも伏せたことで、国民の目には「政府は米側の顔色を見て国民に隠した」と映りました。守ろうとしたものを、守り方によって傷つけた形です。

(編集部分析)文言調整で「強く推測される」が削除された経緯も、同じ問題を含みます。ただし、削除を提案したのが日米どちらの側で、目的が何だったのかは、公表されている資料からは確認できません。確認できるのは、国民が読める文書から「強く推測される」という一句が結果として消えたという事実だけです。だからこそ、経緯を明らかにする責任は情報を持っている側にあります。国民に不都合な事実を先に伝え、そのうえで対処を約束するほうが、政権にとっても長期的には安いはずです。情報を握って時間を稼ぐやり方は、露見した時点で失う信頼のほうが大きくなります。

(編集部分析)主権の観点では、立ち入り調査の枠組みそのものが交渉の対象です。米国内では700カ所を超える基地で浄化が進む一方、日本国内では汚染源と認められた基地が1カ所もないという非対称は、汚染の実態の差ではなく、調べる権限の差から生じています。日米環境補足協定の条件が「現に発生した場合」に限られている以上、過去の汚染を扱える枠組みを作らなければ同じ行き止まりが続きます。同盟を対等な関係として維持したいのなら、譲れない一線を自ら定義し、環境と水源に関する調査の権限を制度として取り戻す交渉が要ります。日本人が自国の水を自国で調べられない状態を放置することは、誇りの問題でもあります。

他方で、米側の回答の原文が非開示であり、文言調整の経緯を示す一次文書も公になっていない点は押さえておく必要があります。誰がどの段階で削除を提案したのかは確認できていません。この点は、政府の説明か情報公開請求によって明らかにされるべき部分です。

9月13日の沖縄県知事選とどう関わるのか

投開票の5日前に報道が出たため、県政の争点として扱われる時期に重なりました。

沖縄県知事選の投開票は2026年9月13日です。今回の一連の報道は9月8日から9日にかけて出ており、選挙戦の期間中に重なりました。玉城デニー知事は現職として、9月8日に豊見城市内で取材に応じ、立ち入り調査の必要性と政府への申し入れの意向を語っています。

Xでも9月8日の午前から夜にかけて関連する投稿が広がりました。沖縄タイムス公式や地元の弁護士の投稿が広く読まれた例も確認できますが、表示数は時間とともに動き、投稿数の全体像も確定できていないため、ここでは未確認の反応として扱います。

議論の内容も一様ではありません。政府の情報管理や日米地位協定の立ち入り権限、健康への不安を問う指摘のほか、2026年1月に既報だった内容が選挙直前に改めて広がったことへの疑問、県側の情報公開についても同じ基準で見るべきだという指摘、そして地位協定の是非よりも科学的な立証の手続と調査設計を詰めるべきだという整理も見られました。いずれもXでの反応であり、断定の根拠には使えません。

なお、PFASが今回の知事選の主要な争点として扱われているかどうかは、本稿の取材範囲では確認できていません。各候補の政策の比較や推薦関係は本稿では扱いません。

(編集部分析)水源と健康に関わる情報が選挙期間に出たこと自体は、有権者にとって判断材料が増えたという意味を持ちます。ただし、この問題の核は誰が知事になるかではなく、立ち入り権限と費用負担の枠組みを国が動かせるかどうかにあります。選挙の結果にかかわらず、次に確認すべきは日本政府が米側との協議に入るかどうかです。

嘉手納・普天間のPFAS汚染のよくある質問

ここまでの整理に含めきれなかった周辺の疑問を、報道と公開資料の範囲で補います。

Q. PFASとは何ですか。

A. 有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじく性質があり、泡消火剤や撥水加工などに使われてきました。一部の物質で発がん性が指摘されており、PFOSとPFOAについて国は水道水などの指針値を定めています。環境省が概要を公開しています。

Q. いま沖縄の水道水は飲めるのですか。

A. 北谷浄水場では高機能粒状活性炭によるPFAS除去が行われています。2026年度以降の活性炭の更新費16億円が国の補助の対象外とされたため、除去処理を維持できるかどうかが課題として残っています。水質の最新の数値は沖縄県企業局の公表値を確認してください。

Q. 汚染が確認されているのは沖縄だけですか。

A. 沖縄だけではありません。共同通信によれば、大阪(伊丹)空港周辺の水路では2026年8月に国の指針値の約6倍のPFOAとPFOSが検出され、北海道の丘珠空港の周辺でも高濃度で検出されています。環境省によれば、空港はPFASを含む泡消火剤を保有している場合があり、汚染源になり得ます。

最後に、この問題の続きを読者が自分で追えるように、動きが出る場所を確認先ごとに挙げます。

今後の注目点と確認先

1. 日本政府が2023年12月の米側回答について説明するか → 防衛省の報道発表と内閣官房長官記者会見の要旨

2. 沖縄県の立ち入り申請に回答が出るか → 沖縄県の記者発表と地元紙(琉球新報・沖縄タイムス)

3. 北谷浄水場の活性炭の更新費16億円の扱いが決まるか → 沖縄県企業局の公表資料と沖縄県議会の議事

この3つが動かないまま時間が過ぎるなら、費用と不安を負い続けるのは基地の周辺で暮らす人たちです。本稿も動きがあれば更新します。

参考情報

  • 朝日新聞「米軍、嘉手納と普天間のPFAS汚染源認める 日本政府は公表せず」(2026年9月8日) https://news.yahoo.co.jp/articles/02e37b1f49f9acdac4e0155e3a8085f68f786994
  • 共同通信「「PFAS、基地由来と推測」 米軍回答、日本政府非公表」(2026年9月8日) https://news.yahoo.co.jp/articles/ffd43cc9c3285dd980c5237dce7bc45901009d02
  • RBC琉球放送「嘉手納基地と普天間基地周辺の「PFAS汚染源は基地」 米側が認めていたとする一部報道 日本政府は明言避ける」(2026年9月10日) https://news.yahoo.co.jp/articles/9d73a565645cc34da58b0f4c86e45c4016af9920
  • 琉球新報「米側「消火訓練場から地下にPFASが浸透」との認識」(2026年1月18日) https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-4967298.html
  • スローニュース「基地によるPFAS汚染を認めない米軍、公表しない防衛省」(2026年6月17日) https://news.yahoo.co.jp/articles/8f1e48e6a2c0def3c83162e7837c738c36053ef8
  • 共同通信「大阪空港周辺から6倍のPFAS 水路調査、20年以上流入か」(2026年8月12日) https://news.yahoo.co.jp/articles/35dea363069ea34413da332201ed9d193dea73bc
  • 東京新聞「<独自>在日米軍のPFAS汚染、対策費を日本政府が肩代わり 普天間飛行場で計2.7億円 周辺対策は沖縄県に押しつけ」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/348407
  • 東京新聞「<独自>米軍基地のPFAS汚染対策また日本が肩代わり 3億円で別の格納庫も補修」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/355689
  • 琉球新報「PFAS除去費、国補助使えず沖縄県負担か 16億円、基地由来と認めず」 https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-4622289.html
  • 沖縄タイムス「PFAS除去費 国の補助事業の適用外に 2026年度以降の北谷浄水場の活性炭更新 16億円を沖縄県負担へ」 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1670111
  • QAB琉球朝日放送「北谷浄水場のPFAS対策費/国の支援継続を県議会が全会一致で要請」 https://www.qab.co.jp/news/20251210275933.html
  • 沖縄タイムス「[社説]PFAS 基地が汚染源 許されぬ日米の不正義」 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1920670
  • 環境省「PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物)について」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html
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