田村充氏が挑んだ宇多津町長選2026の結果|谷川俊博氏が5141対1903で5選、8年ぶり選挙戦の投票率は49.06%【9月20日】

田村充氏が挑んだ宇多津町長選2026の結果|谷川俊博氏が5141対1903で5選、8年ぶり選挙戦の投票率は49.06%【9月20日】

2026年9月20日に投開票された香川県宇多津町の町長選挙は、無所属新人で元町議の田村充(たむら・みつる)氏が1,903票、無所属現職の谷川俊博(たにがわ・としひろ)氏が5,141票で、谷川氏が5回目の当選を果たした。前回2022年が無投票だったため、宇多津町長選が選挙戦になったのは8年ぶりである。

この記事は、宇多津町選挙管理委員会が公表した当日有権者数と期日前投票の実数、KSB瀬戸内海放送とNHKが報じた確定得票、選挙ドットコムに残る過去の投票率を突き合わせて、開票結果と投票率の中身を整理したものだ。あわせて、報道が踏み込んでいない3点――敗れた田村氏がどういう経歴で町議を辞して挑んだのか、期日前投票が投票総数の何割を占めたのか、有権者数が資料によって14,470人と14,733人に割れる理由――を、公表されている数字の範囲で確認する。

この記事でわかること

  • 谷川俊博氏5,141票・田村充氏1,903票で、票差は3,238票だったこと
  • 田村充氏が2023年4月に町議に初当選し、2026年5月31日付で辞職して町長選に臨んだこと
  • 投票率49.06%は8年前の選挙戦を4.79ポイント上回り、期日前投票が投票した人の約45%を占めたこと
  • 有権者数の14,470人と14,733人が「当日有権者数」と「9月14日時点の選挙人名簿登録者数」という別の数字であること
  • 同日の町議会議員補欠選挙は定数1に4人が立候補し、池田翔太氏が2,887票で当選したこと
目次

宇多津町長選挙2026の結果|谷川俊博氏が5,141票で5選

現職の谷川俊博氏が5,141票、新人の田村充氏が1,903票を得て、谷川氏が5回目の当選を決めた。

KSB瀬戸内海放送とNHKの報道によれば、立候補したのは現職と新人の2人で、いずれも無所属である。有効票は両者の合計7,044票で、票差は3,238票。得票率に直すと谷川氏が約73%、田村氏が約27%となり、四国新聞は「大差」と表現している。下の表は、両候補の確定得票に、告示時の報道が伝えた年齢・肩書・公約を突き合わせたものだ。

候補者 年齢 党派 新旧 得票数 掲げた公約
谷川俊博(当選) 69 無所属 現職 5,141 「日本一住みやすいまち」を目標に町政の継続
田村充 37 無所属 新人 1,903 「稼げる 回る 経済のまち」を目指し町政の刷新

表のとおり、争点は「継続か刷新か」という形に整理されていた。有権者はそのうち継続の側に7割超を投じたことになる。

田村充氏(37)とは|町議を3年で辞して挑んだ社会福祉士

田村充氏は宇多津町議会議員を1期務めた37歳の社会福祉士で、任期途中に議席を手放して町長選に臨んだ新人である。

田村充氏の経歴|2023年4月に町議初当選、2026年5月31日付で辞職

2023年4月23日の町議選で初当選し、2026年5月31日付で議席を辞した社会福祉士である。

選挙ドットコムに残る記録では、職業は社会福祉士と登録されている。同じ記録に「2026年5月31日付で議員辞職」と明記されており、4年の任期の途中、約3年で議席を離れたことになる。町長選の告示は9月15日なので、辞職から立候補まで3か月半あった計算だ。

田村充氏の公約|「稼げる 回る 経済のまち」で町政の刷新を訴えた

掲げたのは「稼げる 回る 経済のまち」で、町の稼ぐ力と資金の循環を前面に置いた公約だった。

KSB瀬戸内海放送とOHK岡山放送が告示日に報じた内容によれば、田村氏はこの言葉で町政の刷新を訴えていた。現職が「日本一住みやすいまち」という住環境の言葉を使ったのに対し、両者は同じ町の将来像を別の指標で語っていたことになる。

(編集部分析)37歳の現職町議が議席を返上して首長選に出るのは、地方政治では相応のリスクを伴う選択である。落選すれば議席も残らないためだ。宇多津町のように人口が増え、財政規模も小さくない自治体で、世代交代を掲げる候補が実際に名乗りを上げたこと自体は、無投票が続いた町政に選択肢を戻した点で評価できる。一方で、得票は2,000票に届かなかった。刷新を訴えるだけでは足りず、継続を選んだ有権者に対してどの政策が具体的に足りないのかを示せたかどうかが、次の課題として残る。

Q. 田村充氏が辞職したことが、同じ日の町議補欠選挙の原因ですか

A. 町は欠員の事由を公表していないため、断定はできません。宇多津町の告示文書は「欠員に伴う宇多津町議会議員補欠選挙」と記すのみで、誰の欠員かは書かれていないからです。上で触れた田村氏の辞職とは時期が整合しますが、町の公表資料が2つを結び付けているわけではありません。

この新人が挑んだ選挙は、宇多津町にとって8年ぶりの投票となった。前回に何が起きていたのかを見ておく。

なぜ8年ぶりの選挙戦になったのか|2022年の町長選は無投票だった

宇多津町長選が8年ぶりの選挙戦になったのは、前回2022年が立候補者1人の無投票で、投票そのものが行われなかったからである。

選挙ドットコムと政治山の記録によれば、谷川氏は2022年9月に無投票で4選を果たしている。つまり2026年の有権者にとって、町長を実際に選ぶ機会は2018年以来だった。KSB瀬戸内海放送が今回の投票率49.06%を「選挙戦となった8年前を4.79ポイント上回った」と報じているのは、この2018年との比較である。逆算すると2018年の投票率は44.27%となり、選挙ドットコムの記録とも一致する。

執行年 投票の有無 投票率 結果
2018年 選挙戦 44.27% 谷川氏が3選
2022年 無投票 谷川氏が4選
2026年 選挙戦 49.06% 谷川氏が5選

8年ぶりに投票の機会が戻り、投票率は前の選挙戦より上がった。ではその49.06%は、どういう投じられ方をしたのか。

投票率49.06%の中身|期日前投票が投票した人の約45%を占めた

投票率49.06%の内訳で目を引くのは期日前投票で、3,191人が投票日前に票を投じており、投票した人のおよそ45%にあたる。

期日前投票3,191人の分母|当日有権者数14,470人なら22.05%

期日前投票3,191人は、当日有権者数14,470人を分母にすると22.05%にあたる数字である。

宇多津町選挙管理委員会が公表した期日前投票状況によれば、期日前投票は9月16日から19日までの4日間で累計3,191人だった。この22.05%は町の投開票結果ページに載る期日前投票率とも一致する。一方、最終の投票率49.06%を当日有権者数に当てると投票者は約7,099人で、この7,099人に対する3,191人の割合が約45%である。

数字の分母をそろえて並べると、投票行動の変化が見えやすくなる。

図解:宇多津町長選挙2026の投票の内訳(分母=当日有権者数14,470人)

期日前 3,191人
投票日当日ほか 約3,908人
棄権 約7,371人

投票した人は約7,099人(投票率49.06%)。そのうち期日前が約45%を占める。

この図が示すとおり、今回の選挙では期日前投票が投票した人の約45%を占めた。過去の選挙の期日前投票数は公表資料で確認できないため、これが増加傾向にあたるのかどうかはこの記事では判断していない。なお町が公表している投開票結果ページの当日投票者数は19時時点の速報値(3,696人・25.54%)で、投票は20時まで続いたため最終値とは一致しない。

Q. 無効票は何票でしたか

A. 町選管が公表していません。有効票の合計7,044票は分かっていますが、投票者数の確定値が公表されていないため、この記事では無効票の数を推計も断定もしていません。

投票率をめぐってもう一つ、資料によって有権者数が割れる点がある。ただしその前に、同じ日にもう一つ行われた選挙を見ておきたい。

同日の町議会議員補欠選挙は定数1に4人|池田翔太氏が2,887票で当選

町長選と同じ9月20日には町議会議員補欠選挙も行われ、定数1に4人が立候補して、無所属新人の池田翔太氏が2,887票で当選した。

選挙ドットコムの集計によれば、補欠選挙の投票率は49.05%で、町長選の49.06%とほぼ同じだった。定数1に対して4人が争ったため、当選者の得票率は42.7%にとどまっている。国民民主党が公認候補を立てており、党派の候補が出たのはこの1人だけだった。

候補者 年齢 党派 職業 得票数 得票率
池田翔太(当選) 44 無所属 自営業 2,887 42.7%
神崎ともき 51 国民民主党 美容師・美容室経営 1,989 29.4%
大黒かずや 69 無所属 無職(元職) 1,105 16.3%
なら慎平 39 無所属 建設・飲食業経営 786 11.6%

4人の得票を合計すると6,767票で、町長選の有効票7,044票より277票少ない。町長選だけに投票して補選の用紙を投じなかった人、あるいは無効票がその差にあたるとみられる。

有権者数が14,470人と14,733人で違う理由|当日有権者数と名簿登録者数

前者が投票日当日の有権者数、後者が9月14日時点の選挙人名簿登録者数で、そもそも別の数字だからである。

宇多津町選挙管理委員会の期日前投票状況は、9月14日時点の選挙人名簿登録者数を14,733人(男7,134人・女7,599人)とし、この数を分母に期日前投票率21.66%を算出している。一方、町の投開票結果ページに載る当日有権者数は14,470人(男6,992人・女7,478人)で、選挙ドットコムが補欠選挙の有権者数として示す数字もこちらと一致する。差は263人である。

2つは集計の対象と時点が異なる数字である。263人の差が何によって生じたのかは、町選管が内訳を公表していないため確認できない。確かなのは、投票率を比べるときにどちらの分母で計算された数字かを確かめる必要がある、という点だ。今回でいえば、同じ期日前投票3,191人が、分母14,733人なら21.66%、分母14,470人なら22.05%と、0.39ポイント違って見える。

(編集部分析)今回確認した宇多津町の資料では、同じ公式サイトの中に2つの有権者数が併存しながら、どちらが何の数字かは明示されていなかった。数字そのものは正確でも、定義が添えられていなければ読み手は比較を誤る。受け取る側が分母を確認する習慣を持つべきであると同時に、公表する側にも定義を1行添える運用が望ましい。なお、これは今回の1件について言えることで、自治体全般の傾向として調べたものではない。

宇多津町はどんな町か|人口18,699人、香川県で人口密度が最も高い町

人口18,699人、人口密度2,308.5人平方キロメートルで、香川県内では人口密度も人口増加率も最も高い。

政治山の自治体データによれば、世帯数は8,734世帯、平均年齢は43.70歳で、議員定数は10人である。財政規模は歳入約92億9,935万円、歳出約87億6,968万円。地方の人口減少が続くなかで人口が増えてきた自治体であり、瀬戸大橋の開通に合わせた塩田跡地の再開発によって、鉄道駅周辺に商業施設と集合住宅が集まる形で市街地が形成されてきた。

図解:宇多津町の基礎データ

人口
18,699人
人口密度
2,308.5人/km²
平均年齢
43.70歳
当日有権者数
14,470人
議員定数
10人
歳入
約92.9億円

人口18,699人に対して当日有権者数は14,470人なので、住民のおよそ77%が有権者という構成である。その町で投票率が49.06%にとどまった点は、次の任期の課題と無関係ではない。

5選の谷川町政に残る宿題|四国新聞が指摘した「商業地区の停滞」

5選を決めた谷川町政の宿題として四国新聞の解説が挙げたのは、商業地区の停滞に対する対策の遅れである。

四国新聞は開票を受けた解説記事で、谷川氏の勝因を実績と安定感への評価としたうえで、商業地区の停滞について対策が急務だと指摘した。宇多津町は塩田跡地の再開発で商業施設と観光施設を集積させて人口を伸ばしてきた経緯があり、その中心部の集客力が落ちれば、税収と雇用の両面に影響が及ぶ構造にある。田村氏が「稼げる 回る 経済のまち」を掲げたのも、同じ課題を別の角度から突いたものと読める。

(編集部分析)今回の結果は、有権者が継続を選んだと同時に、8年ぶりに投票の機会が戻ったことで町政への関心が44.27%から49.06%へ押し上げられたことも示している。無投票が続く自治体では、首長の実績が有権者の審査を受けないまま任期が更新される。その意味で、落選したとはいえ対立候補が立ったこと自体が、町政に説明責任を取り戻す働きをしたと評価できる。5期目に入る町政には、商業地区の再生という具体的な争点について、数値目標と期限を示した説明が求められる。単に「日本一住みやすいまち」という目標を掲げ続けるだけでは、次の無投票を招きかねない。

宇多津町長選挙のよくある質問

ここまで触れなかった周辺の疑問を、公表されている資料の範囲でまとめておく。

Q. 谷川俊博氏は今回で何期目になりますか

A. 5期目です。公表資料から確認できるのは、2018年の選挙戦で3選、2022年9月に無投票で4選、2026年9月20日の選挙戦で5選という流れです。町長の任期は4年なので、5期目を満了すれば通算20年になります。初当選の年月は、今回参照した資料では確認できませんでした。

Q. 町長選と町議補欠選挙で投票率がわずかに違うのはなぜですか

A. 差の内訳を確定できる資料は公表されていません。分かっているのは、町長選49.06%・補欠選挙49.05%という0.01ポイントの差と、有効票が7,044票と6,767票で277票違うことだけです。同じ投票所で2種類の投票用紙が交付されるため、一方だけを投じた人がいれば投票者数はずれますが、各選挙の確定投票者数が公表されていないため、それ以上は分かりません。

Q. 無投票だと町長はどう決まるのですか

A. 立候補の届け出が定数(町長選は1人)を超えなかった場合、投票は行われず、届け出た候補がそのまま当選人となります。2022年の宇多津町長選がこれにあたり、谷川氏が投票を経ずに4選しました。この場合、有権者が投票用紙に記入する機会はありません。

数字を自分で確かめたい場合は、当日有権者数14,470人は宇多津町選管の「投開票状況速報」、期日前投票3,191人と選挙人名簿登録者数14,733人は同じく「期日前投票状況」、確定得票と投票率49.06%はKSB瀬戸内海放送の結果記事、補欠選挙4人の得票は選挙ドットコムの該当ページで、それぞれ照合できる。いずれも下の参考情報にURLを載せた。

参考情報

  • 宇多津町選挙管理委員会「【令和8年9月20日執行】宇多津町長選挙、宇多津町議会議員補欠選挙の投開票状況速報」(当日有権者数14,470人)
    https://www.town.utazu.lg.jp/page/5742.html
  • 宇多津町選挙管理委員会「【令和8年9月20日執行】宇多津町長選挙、宇多津町議会議員補欠選挙の期日前投票状況」(選挙人名簿登録者数14,733人・期日前3,191人)
    https://www.town.utazu.lg.jp/page/5688.html
  • 宇多津町選挙管理委員会「【令和8年9月20日執行】宇多津町長選挙、宇多津町議会議員補欠選挙 候補者情報」
    https://www.town.utazu.lg.jp/page/5687.html
  • 宇多津町選挙管理委員会「【令和8年9月20日執行】宇多津町長選挙、宇多津町議会議員補欠選挙のお知らせ」(投票時間)
    https://www.town.utazu.lg.jp/page/5471.html
  • 宇多津町「【令和8年執行】宇多津町長選挙及び宇多津町議会議員補欠選挙の期日等の決定」
    https://www.town.utazu.lg.jp/page/5331.html
  • KSB瀬戸内海放送「宇多津町長選 現職の谷川俊博氏が新人候補を破り5回目の当選 香川」(確定得票・投票率49.06%)
    https://news.ksb.co.jp/article/16905797
  • KSB瀬戸内海放送「任期満了に伴う宇多津町長選挙告示 新人(37)と現職(69)が立候補 9月20日投開票 香川」(両候補の公約)
    https://news.ksb.co.jp/article/16889259
  • NHK「宇多津町長選挙 現職の谷川氏が5回目の当選 新人を抑える」
    https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-8030024433
  • OHK岡山放送「宇多津町長選挙が告示 5選を目指す現職と新人との一騎打ちに 9月20投開票【香川】」
    https://news.yahoo.co.jp/articles/583354f3534a71aada3d5fe0b5c62598d6ba049f
  • 選挙ドットコム「香川県宇多津町の選挙一覧」(2022年無投票・2018年投票率44.27%)
    https://go2senkyo.com/local/jichitai/3157
  • 選挙ドットコム「香川県 宇多津町議会議員補欠選挙」(補選の確定得票・投票率49.05%)
    https://go2senkyo.com/local/senkyo/29304
  • 選挙ドットコム「香川県 宇多津町議会議員選挙(2023年4月23日)」(田村充氏の当選と2026年5月31日付の議員辞職)
    https://go2senkyo.com/local/senkyo/23957
  • 政治山「香川県宇多津町の人口・財政・選挙・議員報酬」(人口18,699人・人口密度・議員定数・財政)
    https://seijiyama.jp/lgov/37/373869/
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