【9/23】福岡県議の送別宴動画「ドン・クラウチオーネ」とは|YMCAと県費283万円

【9/23】福岡県議の送別宴動画「ドン・クラウチオーネ」とは|YMCAと県費283万円

福岡県議会の訪問団が2024年1月にタイ・バンコクで出席した送別宴の動画が、2026年9月21日と23日にウェブ媒体「センキョタイムズWEB」から相次いで公開されました。9月3日に出た「タイタニック」ポーズの写真と同じ宴の映像で、生バンドの「YMCA」に合わせて腕を振る県議や、「ドン・クラウチオーネが世界に挑戦します」という呼び込みが映っています。

X(旧Twitter)では「税金パーティー」との批判が集まり、話題のまとめも出ています。ただしまとめの中には、9月4日に出た謝罪と今回の動画を一続きの出来事のように書いたものもあります。この記事では、報道で確認できた事実だけを日付順に並べ、何が新しく出てきたのかを整理します。

この記事でわかること

  • 新たに出た動画:9月21日に「YMCA」の41秒、23日に4本。どちらも2024年1月26日のバンコク送別宴
  • 「ドン・クラウチオーネ」:松尾統章県議が藏内勇夫氏を舞台に呼び込んだときの言葉
  • お金と調査:県議会が公表した訪問団の総経費は283万円(宿泊費は先方負担)。県は9月17日に海外活動の第三者委員会(調査予算6611万円)を設けた
目次

福岡県議の送別宴動画とは|9月21日と23日に公開された映像

2024年1月26日にバンコク都議会が開いた送別宴の映像で、センキョタイムズWEBが9月21日と23日に公開しました。

以下、動画に何が映っているかと、映っている人の名前は、同媒体の記事によるものです。当サイトは動画の撮影者や入手の経緯を独自に確かめていません。

会場の横断幕には「バンコク都議会主催 福岡県議会訪問団送別宴」「2024年1月26日」と書かれていたと同媒体は伝えています。場所はバンコク市内のホテル「クラウンプラザバンコクルンピニパーク」です。9月3日に同媒体が公開した「タイタニック」ポーズの写真と同じ宴で、写真の次に動画が出てきた形です。

9月21日の「YMCA」動画(41秒)

同媒体によると、生バンドが演奏する「YMCA」に合わせ、参加者が両腕を振り上げて踊る41秒の映像です。

センキョタイムズWEBは9月21日の記事で、映っている人物として県議や元県議に加え、古賀市の田辺一城市長の名前も挙げました。

9月23日に追加された動画4本

同媒体によると、追加の4本は呼び込み、藏内氏の踊り、議員グループの歌、宴の締めくくりの場面です。

記事の説明では、1本目は松尾統章県議が藏内勇夫氏を舞台に呼び上げる場面、2本目は藏内氏がネクタイを頭に巻いて踊り、それを松尾県議がスマートフォンで撮っている場面です。3本目は「ワンヘルスエンジェルス」と紹介された議員のグループが1975年のヒット曲を歌う場面、4本目は宴のフィナーレです。

「ドン・クラウチオーネ」とは|松尾統章県議の呼び込みの言葉

松尾統章県議が藏内勇夫氏を舞台に呼ぶときに使った呼び名で、映画「ゴッドファーザー」をもじった言葉です。

センキョタイムズWEBの記事によると、松尾県議はゴッドファーザーのテーマを口ずさみながら「ドン・クラウチオーネが世界に挑戦します」と言い、通訳に訳すよう促していました。藏内氏は地元で「県議会のドン」と呼ばれてきた人物で、2026年8月25日に議員を辞めています。

言葉の成り立ちは、藏内氏の姓と映画に出てくる「コルレオーネ」を掛けたものと考えられますが、松尾県議本人の説明は確認できていません。2026年9月23日時点で、この言葉を報じているのは同媒体と、それを引用したX上の投稿がほとんどです。

動画に映っていた県議と古賀市長は誰か

センキョタイムズWEBは、県議・元県議ら12人と古賀市の田辺一城市長の計13人の名前を挙げています。

次の表は、9月21日の記事で同媒体が「映っている人物」として挙げた名前です。区分は2026年9月の記事公開時点のもので、宴のあった2024年1月の肩書ではありません。どの人がどの場面で何をしていたかまでは、表に入れていません。

区分 名前(センキョタイムズWEBの表記)
県議 香原勝司、松尾統章、浦伊三夫、林泰輔、豊福るみ子、大田京子、室屋美香、田中雅臣、後藤香織
元県議など 藏内勇夫(2026年8月25日に辞職)、仁戸田元氣、中尾正幸
市長 田辺一城(古賀市長)

訪問団には県議会の公式な訪問団のほか、福岡県タイ友好議員連盟の議員も加わっていました。公式の報告書に名前が載っていない人がいることが、次の論点につながります。

バンコク訪問の県費283万円と報告書に書かれたこと

283万円は県議会が公表したバンコク都議会訪問団の総経費で、宴の費用ではありません。宿泊費は相手側の負担でした。

福岡県議会の経費内訳(公表資料)と、センキョタイムズWEBの報道をもとに、訪問の中身を表にまとめます。人数と報告書の記述は同媒体の報道です。

項目 内容
訪問の日程 2024年1月24日〜28日(3泊5日)。送別宴は1月26日(県議会の経費内訳)
宴の主催 バンコク都議会
訪問の目的 バンコク都議会との友好親善、タイ福岡県人会との意見交換、県産品の輸出の現状調査(同)
総経費283万円の内訳 議員旅費45.2万円/職員旅費34.9万円/委託費202.9万円(現地車両・通訳・添乗員など。当初契約は61.3万円)。宿泊費は先方負担(同)
経費内訳に載る訪問団 会派代表者1人と随行職員2人。議長ら代表者はハノイ訪問団から続けて参加したため別に計上(同)
宴の参加人数 24人(公式訪問団9人+福岡県タイ友好議員連盟15人。センキョタイムズWEB)
報告書の宴の記述 議長の挨拶と、挨拶の写真1枚だけ
報告書の参加者名 議員連盟の15人は名前の記載なし

落選した元県議も公費でタイ訪問に同行していた

2019年に落選した元県議の吉村敏男氏が、タイ訪問に過去2回、公費で同行していたと女性自身が報じています。

同誌によると、吉村氏は「国際交流コーディネーター」という立場で同行し、交通費や宿泊費など約59万円が公費から支払われました。本人は取材に対し「基本は同行するだけでタイ語は話せないので通訳もしない」と答えています。

センキョタイムズWEBによると、宴があったこと自体は報告書に書かれています。ただ、宴の記述は議長の挨拶と写真1枚だけで、24人の訪問団のうち議員連盟の15人は報告書に氏名が載っていません。批判の中にある「報告書にない宴会」は、正確には「報告書に中身がほとんど書かれていない宴会」です。

(編集部分析)相手側が主催した公式日程の送別宴に出たことと、宴での一人ひとりの振る舞いや公費の使い方が妥当だったかは、分けて考える必要があります。今回問われているのは後者と、公費で行った訪問の中身を県民が報告書から確かめられるかどうかだと考えられます。

タイタニック写真から動画公開まで|日付順の経緯

2024年1月の宴の写真が2026年9月3日に出て、謝罪と辞任が続き、9月21日から動画が出ました。

海外視察の問題は、議長ポストをめぐる金銭授受の疑惑と同じ時期に表に出てきました。主な出来事を日付順に並べます。

2024年1月26日 バンコク都議会主催の送別宴(県費283万円の訪問)
2026年8月6日 県議会が海外視察費を初めて公表(3年間で23件)
8月25日 藏内勇夫氏が議員を辞職
9月3日 センキョタイムズWEBが「タイタニック」ポーズの写真を公開
9月4日〜5日 林泰輔県議と大田京子県議が謝罪。大田氏は国民民主党県連代表を辞任へ
9月17日 県と県議会がそれぞれ第三者委員会を設置
9月21日・23日 同媒体が送別宴の動画(YMCA・4本)を公開

同じ時期に表に出た議長ポストの金銭授受の疑惑

海外視察と並行して、議長や副議長になる前に多額のお金を求められたという証言が相次いでいます。

FRIDAYによると、最初に告発した吉松源昭県議は、議長に就く前に自民党会派の複数の幹部から総額約2000万円を求められて払ったと証言しました。9月4日付の朝日新聞には、副議長経験者が副議長に就いたあと現金500万円を求められて渡したという証言も載り、お金を渡したと証言した議長・副議長経験者は6人になったと同誌は伝えています。藏内氏は辞職後、NHKの取材に「議長人事等での金銭のやり取りは一切ない」と否定しています。

流れを見ると、今回の動画は新しい出来事というより、9月3日の写真と同じ宴を別の角度から見せたものです。写真のときは謝罪が出ましたが、動画が出たあとの対応はまだ報じられていません。

藏内氏の辞職までの経緯は「福岡県議会・蔵内勇夫議長が議員辞職|否定から一転した5日間」で、写真が出たあとの大田県議の辞任は「大田京子県議はなぜ県連代表を辞任するのか|視察283万円の内実」で詳しく書いています。

林泰輔県議は何を謝罪したのか|9月4日の声明と動画の関係

林県議の謝罪は9月4日、タイタニックの写真について出したものです。今回の動画について新たな発言は確認できません。

J-CASTニュースによると、林県議は9月4日にXで声明を出し、自分が写った画像が広まって多くの人を不快にさせたことをおわびしました。ポーズは主催者が用意した生バンドが映画の曲を流したときに、会場を盛り上げようと取ったものだと説明しています。

同じ声明で林県議は、公式の国際交流の場で私的に撮られた画像がどうして外に出たのかを問題にし、議会の管理のあり方として問いかけました。X上のまとめでは「非公式の撮影を認めて謝罪」と書かれているものがありますが、声明の中身は「謝罪」と「流出への疑問」の2つで、動画が出る前のものです。

2026年9月23日17時の時点で、動画に映った県議や県議会事務局が、動画について新しくコメントしたという報道は見つかっていません。謝罪の対象がどれかをはっきりさせたうえで、次は県議会全体の海外視察の数字を見ます。

3年で23件の海外視察と第三者委員会|いくらかかり、何を調べるのか

県議会の海外視察は3年間で23件、総額2億6000万円余りです。県の第三者委員会は費用の妥当性や目的との関連を調べます。

NHKによると、県議会は2026年8月6日、議会の経費で行った海外視察の費用を初めて公表しました。対象は2023年4月からの3年間で、23件、2億6000万円余りです。九州朝日放送(KBC)は同じ公表を「約2億6500万円」と報じており、XのまとめもKBCの数字を使っています。この記事ではNHKの「2億6000万円余り」を基準にし、KBCの数字を併記します。

9月17日には、県と県議会がそれぞれ第三者委員会を設けました。RKB毎日放送の報道をもとに、調査の対象と予算を表にします。

設置者 調べること 調査予算
福岡県 2021年4月〜2026年5月の知事・副知事の訪問団と県議会の海外活動(費用の妥当性、目的と費用の関連など) 6611万円
福岡県 幹部職員の「部課長会」による政治資金パーティー券の購入 4400万円
福岡県議会 正副議長ポストをめぐる金銭授受の疑惑 約1億965万円

3つを合わせた調査費は約2億2000万円で、すべて県の予算から出ます。県の2つの委員会は、県弁護士会の弁護士5人ずつで構成され、調査を終える時期は決まっていません。調査費そのものにも「県議が自分の給料から出すべきだ」という声が出ていると、週刊女性PRIMEは伝えています。

県が公表した「福岡県海外活動に関する第三者調査実施要綱」は、調べる事項として「本件事案に支出した費用の妥当性及び本件事案の目的と費用との関連性」を挙げ、ほかに「委員が必要と認める事項」も調べられるとしています。2024年1月のバンコク訪問は対象期間に入りますが、宴の中身や報告書の書き方を個別に調べるかどうかは確認できていません。委員の契約期間は2027年3月31日までです。

(編集部分析)要綱の「目的と費用との関連性」は、訪問の目的だった友好親善や県産品の輸出調査に、使ったお金が見合っていたかを問う項目と読めます。動画が出たことで、訪問の中身を報告書にどこまで書くべきかも、あわせて問われる可能性があります。

海外視察の費用をさかのぼった分析は「福岡県の海外出張5年で3億3732万円|県議同行15件が示すチェック機能の崩壊」にまとめています。

「税金でランチキ」など批判の声と今後の焦点

日本保守党の森けんたろう福岡支部長が「税金でランチキ」とXに書くなど、批判は政党の関係者にも広がっています。

森氏は2026年11月の福岡市長選への立候補を表明している人物で、Xで「【税金でランチキ】バンコク海外視察」と投稿し、センキョタイムズWEBの記事を紹介しました。

これから注目されるのは、次の3点です。

  • 動画に映った県議や県議会が、写真のときのように説明や謝罪をするか
  • 県の第三者委員会が、宴の中身や報告書の書き方まで調べるか
  • 名前が載っていない議員連盟15人の参加が、今後どう扱われるか

自分で確かめたい人は、目的に合わせて次の資料を見るのが近道です。

福岡県議の送別宴動画についてよくある質問

議員連盟15人の旅費は公表資料では分からず、委員会の結果は2027年3月末までに出る見込みです。本文で扱っていない疑問に答えます。

Q. 福岡県タイ友好議員連盟の15人の旅費は、誰が出したのですか?

A. 公表資料からは分かりません。県議会の経費内訳に載っているのは会派代表者1人と随行職員2人の分で、議員連盟の15人の費用は書かれていません。

Q. 第三者委員会の結果はいつごろ出ますか?

A. 時期は決まっていませんが、委員の契約は2027年3月31日までです。委員は報告書を知事に出し、記者会見を開くと要綱に書かれています。

新しい発表や本人の説明が出た場合は、この記事に追記します。

参考情報

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