【9/25】トランプ氏が円安に懸念|片山財務相が明かした日米首脳会談の中身

片山さつき財務相は9月25日の閣議後の記者会見で、米東部時間22日にニューヨークで開かれた日米首脳会談で、トランプ米大統領が円安に懸念を示したと明らかにしました。会談は高市早苗首相とトランプ氏の間で行われたもので、会談の直後には、国際金融情勢も議論したことまでしか公表されていませんでした。発言が伝わると円は買われ、1ドル=158円台後半から一時158円33銭まで円高方向に動きました(Bloomberg)。

この記事では、トランプ氏の円安懸念について片山財務相が何を明かしたのか、円相場と長期金利がどう動いたのか、7月の日米協調介入からどういう流れの中にある発言なのかを、報道と公的な資料をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 明かされた中身:9月22日の日米首脳会談で、トランプ大統領が円安に懸念を示しました。片山財務相が25日に公表しました。
  • 市場の反応:円は一時158円33銭まで円高方向に動きましたが、その後は158円50銭台に戻り、円高は続きませんでした。
  • 背景:日米は7月31日に約28年ぶりの円買い協調介入をしており、米政権は円安と日本の長期金利の上昇に懸念を強めてきました。
目次

トランプ氏は円安について何を言ったのか

トランプ大統領は9月22日の日米首脳会談で、円安への懸念を高市首相に示しました。片山財務相が25日に明かしました。

Bloombergによると、片山財務相は25日の閣議後会見で、先の日米首脳会談でトランプ大統領が円安に懸念を示したと語り、為替への問題意識は会談で確認されたと述べました。会談の直後の時点では、トランプ氏の発言の中身は明らかになっていませんでした(Bloomberg・Yahoo!ニュース)。トランプ氏が使った具体的な言葉や、円相場の水準に触れたかどうかは、25日時点の報道では伝えられていません。

日米首脳会談はいつ、誰が出て開かれたか

会談は米東部時間9月22日(日本時間23日)に、ニューヨークの国連本部で約35分行われました。

読売新聞によると、会談には日本側から茂木外相や市川恵一国家安全保障局長、米側からルビオ国務長官やベッセント財務長官らが同席しました。両首脳は米中首脳会談を前に中国をめぐる課題で緊密に連携することで一致し、同席した尾崎正直官房副長官は、国際金融情勢についても議論したと記者団に説明していました(読売新聞・Yahoo!ニュース)。今回の片山財務相の説明で、その「国際金融情勢」の中に円安への懸念が含まれていたことが分かった形です。

高市首相は円安をどう見ているか

片山財務相によると、高市首相も一般論として、円が実力より安く評価される「円の過小評価」を問題と認識しています。

片山財務相は同じ会見で、高市首相は円の過小評価を問題視していると説明し、ベッセント米財務長官とは為替を含むさまざまな事項で緊密にやり取りしているとも話しました(みんかぶ)。一部の報道は、高市首相の認識を「一般論として」の問題意識と伝えています。いまの相場水準について首相が具体的な評価を示したわけではありません。

発言を受けて円相場はどう動いたか

円は一時1ドル=158円33銭まで円高方向に動きましたが、その後は158円50銭台に戻り、上昇は続きませんでした。

Bloombergによると、円は25日の朝方には158円台後半で推移していましたが、片山財務相の発言を受けて上げ幅を広げ、一時158円33銭を付けました。みんかぶは、その後の円買いは続かず、ドル円は158円50銭台や158円30銭台で下げ渋ったと伝えています(みんかぶ)。

25日午前の動きを時刻の順に並べると次のとおりです。

時刻(9月25日) 出来事 ドル円
朝方 会見前 158円台後半
11時08分ごろ 城内経済財政相「金融を緩和する時代ではない」 ―
11時16分ごろ 片山財務相「トランプ大統領が円安に懸念を示した」 発言のあと、一時158円33銭(円高方向)
11時30分ごろ 片山財務相「高市首相は円の過小評価を問題視」 158円30〜50銭台で下げ渋り

時刻は、みんかぶが発言を速報した時刻です。発言で動いた幅は数十銭にとどまりました。みんかぶは、円が戻らなかった理由として、経済政策の修正や日銀の利上げペースを速めるといった、はっきりした方針が示されなかった点を挙げています。

なぜトランプ政権は円安を気にするのか

米政権が円安を気にするのは、日本の金利や円の急な動きが、米国債市場や米国の長期金利に波及することを警戒しているためとみられます。

Bloombergは8月、ベッセント財務長官が、日本市場の動きが31兆ドル規模の米国債市場に波及することへの懸念を一貫して示してきたと報じました。ベッセント氏は米10年国債の利回りを最も重視する指標と位置づけ、日本は米国債の最大の海外保有国です。同じ記事は、米政権が日本による5500億ドル(約88兆円)の対米投資の着実な実行を望んでいることにも触れています(Bloomberg・Yahoo!ニュース)。

国際通貨研究所の橋本将司上席研究員は、米国が7月に協調介入で日本を支えた理由として、円安の歯止め、米長期金利の望ましくない上昇の防止、アジア通貨の下落への波及の防止、そして日本自身に通貨防衛のための政策対応を促すこと、を挙げています(国際通貨研究所)。

ベッセント財務長官はこれまで何を求めてきたか

ベッセント長官は9月初め、日本政府と日銀が「より強い円」につながる措置をとると確信していると述べていました。

Bloombergによると、ベッセント氏は米CNBCのインタビューで円買い介入の効果を問われ、日本政府と日本銀行がより強い円につながる措置を講じると確信していると語りました。NHKは、ベッセント氏がG20財務相・中央銀行総裁会議の場で植田和男日銀総裁や片山財務相と相次いで会い、日銀の利上げなどが必要だとの認識を伝えたと報じています(Bloomberg・Yahoo!ニュース)。このときのやり取りは「ベッセント長官の「リフレ政策」発言と片山財務相の反論」で詳しく整理しています。

財務長官が繰り返し伝えてきた懸念を、今回は大統領本人が首脳会談の場で示したことになります。

7月の日米協調介入からの流れ

今回の発言は、2025年9月の日米共同声明と2026年7月31日の協調介入に続く、円安をめぐる動きの延長です。

国際通貨研究所の資料によると、ドル円は7月23日に1ドル=163円99銭と39年8か月ぶりの円安水準を付けました。7月30日夜に日本の通貨当局が円買い介入をした模様で、翌31日(米東部時間)に日米が協調して円買い介入をしました。8月3日朝の片山財務相の談話は、この協調介入が2025年9月に出した「日米財務大臣共同声明」に基づくものだと説明し、さらなる協調介入もためらわないとしています(国際通貨研究所)。日米の円買い協調介入は1998年6月以来、約28年ぶりでした。

主な出来事を日付の順に並べると次のとおりです。

2025年9月

日米財務大臣共同声明

2026年7月23日

1ドル=163円99銭の円安水準

7月31日

日米が約28年ぶりの円買い協調介入

9月22日

日米首脳会談。トランプ氏が円安に懸念

9月25日

片山財務相が会見で公表

協調介入のあと、ドル円は3日間で163円台半ばから一時155円23銭まで円高に動きましたが、国際通貨研究所の資料が出た8月12日の時点で159円台まで戻っていました。25日の158円台は、介入後の円高をほぼ取り戻した水準です。介入の前の円安の経緯は「【図解】ドル円161円台の理由|為替介入と日本の通貨主権」でまとめています。

長期金利3.115%と円安はどうつながるか

日本の長期金利は25日に一時3.115%まで上がりましたが、米国の長期金利は5%台とさらに高く、日米の金利差が残っています。

日本経済新聞によると、新発10年物国債の利回りは25日に一時3.115%まで上がり、1996年8月以来の高水準を更新しました。原油高にともなうインフレへの懸念から世界的に債券が売られ、日経は米10年国債の利回りが5.22%と2007年6月以来の高さになったと伝えています(日本経済新聞)。前日24日には3.075%で、共同通信は30年1か月ぶりの高水準と報じていました(共同通信・Yahoo!ニュース)。

日本の金利が上がっても、米国の金利も同じくらい上がれば、日米の金利差は十分に縮まりません。金利差が大きいままだと、円を売ってドルを買う動きは止まりにくくなり、これが円安の要因の一つとされています。読売新聞は9月18日の時点で、米政府が日本の長期金利上昇と円安の両方に懸念を強めていると伝えていました(読売新聞・Yahoo!ニュース)。長期金利が3%に乗った9月1日の経緯は「【9/1】長期金利3%突破は30年ぶり|住宅ローンと国の利払いが動く」で解説しています。

城内経済財政相は何を述べたか

城内実経済財政相は25日、「金融を緩和する時代ではない」と述べ、景気を刺激する政策をとる時期ではないとの考えを示しました。

みんかぶによると、城内経済財政相は同じ25日の午前に「金融を緩和する時代ではない」「アベノミクスのような景気刺激策を実施する時代ではない」と述べました(みんかぶ)。財務相の円安けん制と同じ時間帯に、経済財政の担当閣僚が金融緩和に距離を置く発言をした形です。

ただし、この発言はみんかぶの速報で確認できたもので、日銀の政策に具体的に何を求めるのかまでは伝えられていません。政府と日銀の方針が変わったと読むのは早く、今後の会見や日銀の金融政策決定会合での説明を待つ必要があります。

今後の焦点

焦点は、日本が再び為替介入に動くか、日銀が利上げのペースを速めるか、の2つです。

8月3日の財務相談話は、さらなる協調介入をためらわないとしていました。一方でみんかぶは、市場が円買いを続けるには、口先のけん制ではなく政策の変化が必要だと見ていると伝えています。大統領本人が懸念を示したことで、日本側がどう対応するかに注目が集まります。

確かめる先は、目的ごとに次の3つに分けると迷いません。

  • 介入があったかどうか:財務省が毎月末に公表する「外国為替平衡操作の実施状況」。実施の日と金額はここで確定します
  • 日銀の方針:日銀の金融政策決定会合の公表文と、総裁の記者会見
  • 日米のやり取り:財務相の閣議後会見と、ベッセント財務長官の発信

(編集部分析)今回の発言で円が動いたのは数十銭にとどまり、市場はすでに、日米の当局が円安を嫌っていることを織り込んでいたと評価できます。円安を止める力を持つのは発言ではなく、介入の実施か、金利差を縮める政策です。家計にとっては、輸入品やガソリンの値段に効いてくる円相場が、この2つがそろうまで高い水準にとどまる可能性を見込んでおく必要があります。

トランプ氏の円安懸念のよくある質問

9月25日時点で、25日に為替介入があったとの報道はなく、介入の予定も公表されていません。

Q. 25日に為替介入はあったのですか?

A. 介入があったとの報道はありません。介入の有無と金額は、財務省が月末に公表する実施状況で確定します。

出典の一覧は次の参考情報にまとめています。

参考情報

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