【9/25】玉城デニー知事がノーベル平和賞候補に推薦|君島東彦教授は誰か、推薦で「候補確定」になるのか

沖縄県の玉城デニー知事が、2026年のノーベル平和賞の候補として推薦されていたことが分かりました。推薦したのは、立命館大学の君島東彦(きみじま・あきひこ)教授です。沖縄タイムスによると、君島教授は今年1月に推薦状を出しており、推薦理由には米軍基地の縮小に向けた努力などを挙げました。玉城氏は9月13日の知事選で敗れましたが、君島教授は「知事でなくなっても有効だ」と説明しています。

この記事では、誰がどんな理由で推薦したのか、推薦されたことで「ノーベル平和賞候補」と言えるのか、推薦の資格と非公開の決まり、10月9日の発表までの日程を、報道とノーベル賞の公式情報をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 推薦の中身:立命館大の君島東彦教授が2026年1月に推薦。理由は基地縮小への努力、沖縄戦の経験に基づく訴え、東アジアの地域外交の3つです。
  • 「候補」の意味:推薦の資格を持つ人が期限内に出した推薦は受け付けられますが、ノーベル側は誰が推薦されたかを50年間公表せず、確認も否定もしません。
  • 今後:2026年の平和賞の発表は10月9日。候補は287(個人208・団体79)です。
目次

玉城デニー知事のノーベル平和賞推薦とは何か

立命館大の君島東彦教授が2026年1月、玉城知事をノーベル平和賞の候補者として推薦したものです。

沖縄タイムスが9月25日に報じたところでは、君島教授が今年1月に玉城知事を推薦していたことが24日までに分かりました(沖縄タイムス)。琉球新報もこれに先立つ9月23日に、君島教授が玉城知事を推薦したと伝えています(琉球新報)。ノーベル委員会は候補者の名前を公表も確認もしないため、今回は君島教授が推薦を明かしたことで、1月の推薦が9月になって報じられました(仕組みは後の見出しで説明します)。

推薦理由は何だったか

推薦理由は、米軍基地の縮小への努力、沖縄戦の経験に基づく訴え、東アジアの地域外交の3つです。

沖縄タイムスによると、君島教授が挙げた理由は次のとおりです。

推薦理由 玉城県政での主な取り組み
米軍基地の縮小に向けた努力 普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対し、基地の整理縮小を国に求めてきた
沖縄戦の経験に基づく戦争の非人道性の訴え 6月23日の慰霊の日の平和宣言などでの発信
東アジアの緊張緩和のための地域外交の推進 県に地域外交の担当部署を置き、中国などとの交流を進めた

右の列は、推薦理由に対応する県政の取り組みを編集部が整理したものです。推薦状そのものは公開されておらず、君島教授がどの取り組みを具体的に書いたかまでは報じられていません。

推薦した君島東彦教授はどんな人か

君島東彦教授は憲法学・平和学の研究者で、立命館大学国際平和ミュージアムの館長を務めています。

立命館大学の紹介によると、君島教授は1958年生まれで、国際関係学部に所属し、日本国憲法の平和主義を平和学や東アジアの視点から研究しています。2023年4月からは立命館大学国際平和ミュージアムの館長です(立命館大学国際平和ミュージアム)。国際関係学部の教員紹介には「毎年ノーベル平和賞の候補者をノミネートしています」と書かれています(立命館大学 国際関係学部)。毎年のすべての推薦先は公表されていないため、確認できるのは本人や報道が明かした分だけです。

沖縄県の会議で委員長を務めていた

君島教授は、沖縄県が設けた「地域外交に関する万国津梁会議」の委員長として、玉城知事に提言書を手渡しています。

八重山日報によると、この会議は2024年1月18日に提言書を玉城知事に手交し、沖縄が「国際平和創造拠点」を目指すべきだとしました。委員長の君島教授は「地域外交には抑止力がある。平和をつくるため攻めの姿勢を示してほしい」と求めています(八重山日報)。琉球新報も君島教授が同会議の委員長などを務めてきたと伝えています。

君島教授は県が設けた会議の委員長を務め、玉城知事に提言書を手渡していました。推薦理由の一つである「地域外交」は、この会議が提言した分野と重なります。

推薦されれば「ノーベル平和賞候補」と言えるのか

資格を持つ人が期限内に出した推薦は受け付けられますが、ノーベル側は候補者の名前を公表も確認もしません。

ノーベル平和賞の選考を担うノルウェー・ノーベル委員会は、資格を持つ推薦者から毎年1月31日までに届いた推薦を候補として受け付けます。ノーベル賞の公式サイトによると、推薦の中身は50年間公開されず、ノーベル研究所は誰かが推薦されたかどうかを、50年後に一覧が公開されるまで確認も否定もできないと定められています(NobelPrize.org)。

このため「平和賞候補」という言い方は、推薦者本人が推薦を明かしたことに基づくもので、委員会が候補として認めたと発表したわけではありません。毎年、各国の政治家や活動家について「平和賞候補に推薦された」という報道が出ますが、どれも同じ仕組みです。

推薦できるのは誰か

推薦できるのは各国の国会議員や閣僚、大学の法学・歴史・社会科学などの教授、過去の受賞者などに限られます。

ノーベル賞の公式サイトに載っている主な推薦資格者は次のとおりです。

区分 推薦できる人
政治 各国の国会議員・閣僚、国家元首
司法 国際司法裁判所など国際的な裁判所の裁判官
大学・研究 歴史・社会科学・法学・哲学・神学・宗教の大学教授(名誉教授・准教授を含む)、学長、平和研究所・外交政策研究所の所長
過去の受賞者 平和賞の受賞者、受賞した団体の理事
ノーベル委員会の関係者 現職・元職の委員、ノーベル研究所の元顧問

君島教授は法学(憲法学)の大学教授なので、この資格に当たります。自分で自分を推薦することはできません。

2026年の平和賞には何人が推薦されたか

2026年の平和賞の公式な候補数は287で、内訳は個人208、団体79です。玉城氏が含まれるかは確認できません。

ノルウェー・ノーベル委員会は4月30日、2026年の平和賞の候補が287(個人208・団体79)だと発表しました(The Nobel Peace Prize)。この数は推薦状の通数ではなく、推薦された個人と団体の数です。同じ人が複数の推薦者から推薦されても1と数えます。ノーベル委員会は個々の候補の名前を確認しないため、玉城氏がこの287に含まれることは外部からは確かめられません。玉城氏の推薦は、君島教授の説明に基づく情報です。

項目 2026年の平和賞
推薦の締め切り 1月31日
委員会の最初の会合 2月26日(委員が候補を追加できる)
候補の数 287(個人208・団体79)
受賞者の発表 10月9日(金)
授賞式 12月10日、ノルウェーの首都オスロ

287の候補のうち、名前が報じられているのは推薦者が自分で公表したものだけです。どの候補が最終選考に残っているかも公表されません。

平和賞の受賞者はどうやって選ばれるか

ノルウェー国会が選ぶ5人の委員が、候補を絞り込んで助言者の報告を読み、10月初めに多数決で決めます。

ノーベル賞の公式サイトの説明では、選考は次の順に進みます(NobelPrize.org)。

  1. 2月〜3月:委員会が候補を審査し、詳しく調べる候補を絞った一覧(ショートリスト)を作ります
  2. 3月〜8月:ノーベル研究所の常任の助言者や、各分野の専門家が、絞り込まれた候補について報告書を書きます
  3. 10月初め:委員会が多数決で受賞者を決めます。決定は最終のもので、不服を申し立てる手続きはありません
  4. 12月10日:ノーベルの命日にオスロで授賞式が開かれます

5人の委員はノルウェー国会(ストーティング)が選びますが、委員会は国会や政府から独立して判断するとされています。ショートリストに誰が入ったか、どの助言者がどんな報告を書いたかも、推薦と同じく50年間公開されません。このため、発表前に「受賞の可能性が高い」と言える公式の材料はありません。報道でよく目にする有力候補の予想は、各国のメディアや研究機関、ブックメーカーが独自に出しているものです。

知事選に敗れても推薦は有効か

君島教授は、知事の職を離れても推薦は有効だと説明しています。ノーベル側はこの点について発表していません。

玉城氏は9月13日の沖縄県知事選で、3期目を目指して立候補し、新人の古謝玄太氏に敗れました。古謝氏の得票は42万3124票、玉城氏は27万6060票でした。時事通信によると古謝氏の任期は9月30日から4年です(時事通信)。10月9日の発表の時点で、玉城氏は前知事になっています。

沖縄タイムスによると、君島教授は「ノミネートの条件は『過去1年間に平和のために尽力した人または団体』となっている。知事でなくなっても有効だ」と述べました。根拠は君島教授のこの説明で、ノーベル委員会が個別の推薦の扱いを明らかにすることはありません。知事選の結果は「【9/13】沖縄県知事選の結果|古謝玄太氏が42万票で初当選」で詳しくまとめています。

君島教授はこれまで誰を推薦してきたか

君島教授は2014年に「憲法9条を保持してきた日本国民」、2015年に日本被団協を推薦しています。

沖縄タイムスによると、君島教授が過去に推薦した例は次のとおりです。このうち日本被団協は、2024年に平和賞を受けました。

推薦の年 推薦した先 その後
2014年 憲法9条を保持してきた日本国民 受賞せず
2015年 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協) 2024年に受賞
2026年 玉城デニー知事 10月9日に発表

日本被団協の受賞は2024年10月11日に発表されました。日本人の平和賞は1974年の佐藤栄作元首相以来50年ぶりで、日本の団体としては初めてでした(日本経済新聞)。2015年に君島教授が推薦した年から受賞まで9年かかっています。ただし、推薦者は君島教授だけとは限らず、受賞がどの推薦によるものかは公表されていません。

「憲法9条」の推薦はどんなものだったか

「憲法9条」の推薦は市民の運動から始まり、大学教授らが推薦状を出して2014年に受け付けられたものです。

環境系の情報サイトのイーズによると、2013年に神奈川県の女性がインターネット上で呼びかけて運動が始まり、推薦資格を持つ大学教授らが期限までに推薦状を送りました。平和賞は個人か団体にしか与えられないため、推薦の対象は憲法そのものではなく「日本国民」とされました(イーズ)。この推薦は受け付けられたものの、受賞には至っていません。

推薦理由の「地域外交」とは何か

地域外交は、沖縄県が国とは別に近隣の国や地域と交流し、緊張の緩和や経済につなげようとする取り組みです。

玉城知事は2023年に県の組織として地域外交の担当部署を新設し、同年7月には中国を訪れ、友好関係にある福建省を訪問しました。日本経済新聞は、玉城知事が中国の呉江浩駐日大使と面会し、経済や人の交流を通じた地域外交を進めて「国と国との良い関係をサポートしたい」と語ったと伝えています(日本経済新聞)。

君島教授が委員長を務めた万国津梁会議の提言は、中国について「さらに友好関係を緊密なものとすることで、地域の安定に貢献できる可能性がある」としていました(沖縄県)。9月の知事選で当選した古謝氏が、地域外交をどう扱うかはまだ示されていません。

今後の日程と見どころ

見どころは10月9日の受賞者発表です。玉城氏の選考の状況は、それまで公式には分かりません。

ノーベル財団は9月18日、賞の創設125年を記念して、2026年の賞金を各賞1200万スウェーデン・クローナ(約1億9000万円)に増やすと発表しました。前の年から100万クローナ(約1600万円)の増額です(デイリースポーツ(共同通信))。

読者が確かめたいことごとに、見る先は次のとおりです。

  • 受賞者:10月9日(日本時間の夕方以降)にノルウェー・ノーベル委員会が発表します。発表はThe Nobel Peace Prizeの公式サイトで見られます
  • 推薦の中身:ノーベル側からは発表されません。推薦状の内容は、君島教授や報道が明かした範囲でしか分かりません
  • 玉城氏の反応:9月25日時点で、編集部が確認した沖縄タイムス・琉球新報の報道では、玉城氏が推薦について語った内容は伝えられていません。今後の会見や退任時のあいさつが手がかりになります

(編集部分析)平和賞は、推薦の資格を持つ人が推薦状を出せば候補として受け付けられる仕組みで、287の候補の中から受賞者が選ばれます。今回の推薦は、推薦者自身が明かしたことで広く知られるようになったもので、ノーベル委員会が玉城氏を評価したことを示すものではありません。発表までは「推薦された」という事実と「受賞の見込み」を分けて受け止めるのが正確です。

玉城デニー氏のノーベル平和賞推薦のよくある質問

本文で触れなかった疑問を3つ、短く答えます。

Q. 一般の人でも誰かを平和賞に推薦できますか?

A. できません。推薦できるのは国会議員や資格のある大学教授などに限られます。一般の人は、資格を持つ人に推薦を働きかけることになります。

Q. 日本の地方自治体の首長が平和賞を受けた例はありますか?

A. 日本の平和賞は1974年の佐藤栄作元首相と2024年の日本被団協の2例で、自治体の首長の受賞はありません。

Q. 受賞すると賞金はいくらですか?

A. 2026年は各賞1200万スウェーデン・クローナ(約1億9000万円)です。受賞者が複数なら分け合います。

出典の一覧は次の参考情報にまとめています。

参考情報

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次