【9/28】熊本地震2カ月、井戸の掘削業者が足りず全国募集|避難所1514人

2026年7月28日に熊本県を襲った地震から、9月28日で2カ月になりました。避難所にはなお1514人(9月25日時点)が身を寄せ、特に八代市などでは生活用水を頼る井戸の復旧が進んでいません。

熊本県は9月25日、井戸を掘り直せる業者が足りないとして、全国から掘削業者の募集を始めました。この記事では、井戸の被害と復旧の数字、業者募集の条件、修理費の支援制度、避難所と仮設住宅、交通の復旧までを、朝日新聞・時事通信・熊本日日新聞・共同通信などの報道と熊本県の公表資料をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 井戸の被害:水道普及率が約5割の八代市で、井戸の被害を確認した世帯が約4500世帯に上り、復旧は一部にとどまっています。
  • 掘削業者の全国募集:熊本県は9月25日から、30メートルより深い井戸を掘れる業者などを全国から募り、リストにして市町村経由で被災者に知らせます。
  • 修理費の支援:条件を満たす世帯には、井戸の応急修理に1世帯あたり最大75万7000円の支援がありますが、窓口の受付前に業者へ頼んで支払いまで済ませた工事は対象外です。
  • 避難と住まい:避難所に1514人、完成した仮設住宅は10団地182戸で、住まいの確保が引き続き課題です。
目次

熊本地震から2カ月、井戸の復旧はどこまで進んだか

井戸の復旧は進んでおらず、八代市では調査を終えた1374件のうち、洗浄で直ったのは61件です(9月15日時点)。

時事通信によると、八代市では約4500世帯で井戸の被害が確認され、約3500件の不調の訴えが寄せられました。市の対応チームが調査を終えたのは1374件(9月15日時点)で、そのうち洗浄で改善したのは61件にとどまっています(時事通信、2026年9月28日)。水が灰色に濁る、出が悪くなるといった被害が報告されています。

朝日新聞は、これまでに洗浄した井戸のうち6割は効果がなく、掘り直しが必要になっていると伝えています(朝日新聞、2026年9月28日)。洗浄で直らない井戸は、新しく掘るしかないということです。

八代市で井戸の被害が大きな問題になった背景

背景には、八代市の水道普及率が52.1%で、残る約半数の世帯が井戸水に頼って暮らしていることがあります。

時事通信は八代市の水道普及率を52.1%、朝日新聞は52%(2024年3月末現在)と伝えています。水道が通っていない地域では、井戸が壊れるとそのまま飲み水・生活用水が止まります。最大震度7を観測したのは宇城市と氷川町ですが(毎日新聞)、井戸の被害は八代市に多く出ています。

井戸被害の数字は媒体でどう違うか

八代市の井戸被害の数は、数え方と時点の違いで、報道によって3517件から約4500世帯まで幅があります。

「世帯」と「件」、「被害の確認」と「不調の訴え」では数える対象が違います。主な数字を出典ごとに並べると次のとおりです。

項目 数字 時点 出典
八代市の被害件数 3517件 9月15日 朝日新聞
八代市で被害を確認した世帯 約4500世帯 9月28日の報道 時事通信
八代市の井戸被害 4400世帯 9月25日の報道 KKT熊本県民テレビ
対応チームが調査を終えた件数 1374件 9月15日 時事通信
うち洗浄で改善した件数 61件 9月15日 時事通信
八代市で復旧した井戸 30件 9月25日の報道 KKT熊本県民テレビ
全国さく井協会が破損や濁りを確認した井戸 約2000本 9月25日の報道 KKT熊本県民テレビ

どの数字をとっても、被害の数に比べて直った井戸はごく一部です。なお、復旧済み30件と全国さく井協会の約2000本は、今回確認できた範囲ではKKTの報道だけに出ている数字です。

熊本県はなぜ井戸の掘削業者を全国から募集したのか

井戸を掘り直せる業者が県内外で11社しか対応できておらず、修理の順番待ちが長くなっているためです。

熊本日日新聞によると、地震で被災した井戸に対応している業者は県内外の11事業者で、県は「さく井事業者が足りない状況が続いている」としています。復旧を望む被災者は多く、順番待ちが長引いています(熊本日日新聞、2026年9月25日)。朝日新聞は、公開されている業者情報は県内と福岡県の計11社だと伝えています。

KKT熊本県民テレビも、県内だけでは業者が足りず、掘り直しなどの作業に時間がかかっていると報じました(KKT熊本県民テレビ、2026年9月25日)。

井戸の掘り直しに時間と費用がかかる事情

井戸の掘削は1本に1週間程度かかり、費用も最低で数百万円かかるため、業者不足が復旧を遅らせる一因になっています。

朝日新聞は掘削にかかる時間を1週間程度、時事通信は掘削費用を最低でも数百万円と伝えています。1社が1カ月に掘れる本数には限りがあるため、11社で数千件の被害に向き合う形になっています。

不調の訴えから掘り直しまでの流れを、数字とともに並べると次のようになります。

1. 不調の訴え
八代市に約3500件(時事)
2. 調査
終わったのは1374件(9/15)
3. 洗浄
改善は61件。洗浄した井戸の6割は効果なし(朝日)
4. 掘り直し
1本1週間程度・対応業者11社

洗浄で直らない井戸が多いほど、最後の「掘り直し」に仕事が集まり、ここが詰まっています。県が全国募集に踏み切ったのは、この段階の担い手を増やすためです。

井戸掘削業者の募集条件と応募の方法

建設業の許可などを持つ業者が、応募様式と添付資料を熊本県環境保全課へメールで出して応募します。

熊本県の募集ページ(熊本県「令和8年熊本地震における被災井戸復旧のための井戸掘削業者の募集について」、2026年9月25日)をもとに、募集の中身を整理すると次のとおりです。

項目 内容
募集開始 2026年9月25日
募集する業者 飲み水用の井戸を掘削できる事業者(全国から)
条件1 建設業の許可業者であること(熊本日日新聞は「業種不問」と報道)
条件2 さく井工事の許可が無い場合は、30メートル以深の井戸の掘削実績がある
条件3 施工機械を自ら持ち込める(リース可)・施工資材を自ら調達できる
応募の方法 応募様式【別紙-1】と添付資料を熊本県環境保全課へメールで提出。選定結果はメールで通知
その後の流れ 県が選定業者の一覧を災害救助法適用市町村へ毎月提供し、市町村のホームページ・電話・窓口で被災者に知らせる(一覧の提供は県、知らせ方は熊本日日新聞)
対象地域 災害救助法が適用された20市町村(熊本市を除く・朝日)

応募を考える業者は、熊本県の募集ページで応募様式と最新の要件を確かめてください。問い合わせ先は熊本県環境保全課水道班(096-333-2302)です。報道では「機械と資材を自ら持ち込める」とまとめられていますが、県のページでは機械はリースでもよく、資材は自ら調達できることが要件です。

被災した人は井戸の業者をどう探せばよいか

県が毎月市町村へ渡す業者の一覧を、住んでいる市町村のホームページ・電話・窓口で確かめられるようになります。

リストは市町村を通じて公表される仕組みです。八代市などに住んでいて井戸の修理を考えている人は、まず市町村の担当窓口に相談し、支援制度の対象になるかどうかと、頼める業者を確かめるのが順番です。次の章で説明するとおり、窓口の受付が始まる前に工事を頼んで支払いまで済ませると、支援が受けられません。

被災した井戸の修理にはいくら支援が出るか

条件を満たす世帯には、災害救助法の応急修理として、掘り直しを含めて1世帯あたり最大75万7000円の支援が出ます。

時事通信と朝日新聞によると、県は井戸の応急修理について、掘り直しも含めて最大75万7000円を支援するとしています。熊本日日新聞によると、対象は災害救助法が適用された市町村に住み、水道を使っておらず、井戸を洗浄しても直らない世帯です。自宅が全壊した世帯は原則として対象外で、4世帯以下で共用する井戸を掘り直す場合は、75万7000円に世帯数を掛けた額が上限になります(熊本日日新聞、2026年9月11日)。修理を望む人は、市町村に申込書や修理の見積書などを出します。熊本県のホームページでは、対象を災害救助法が適用された20市町村の被災者とし、熊本市は救助実施市のため市に相談するよう案内しています(熊本県「【令和8年熊本地震】被災した井戸の応急修理について」)。

井戸の修理支援の対象外になる注意点

市町村が相談・受付を始める前に業者へ工事を頼み、工事が終わって支払いも済ませた場合は、支援の対象になりません。

熊本県のページは、修理の対象を「日常生活に必要な最小限度の部分の修理」とし、上の条件を明記しています。受付は八代市が9月11日に窓口を開いたのを皮切りに、市町村ごとに順次始まっています。一方で時事通信は、井戸の掘削には最低でも数百万円かかると伝えており、支援の上限75万7000円とは金額に差があります。

支援の窓口について、よく出る疑問を1つ取り上げます。

Q. 熊本市に住んでいる場合も、ほかの市町村と同じ窓口に申し込むのですか?

A. いいえ、熊本市は救助実施市なので、熊本市に相談します。熊本市以外の20市町村では、それぞれの市町村の担当課が窓口です。

井戸の復旧が進まない一方で、避難生活も続いています。次に、避難所の状況を見ます。

熊本地震から2カ月、避難所にはまだ何人いるか

9月25日時点で、避難所にはなお1514人が身を寄せており、地震前の暮らしに戻れていない人が多くいます。

共同通信によると、避難者は9市町で計1514人です(共同通信、2026年9月28日)。人数はどの報道も1514人で一致していますが、避難所の数は毎日新聞が「8市町の30避難所」、時事通信が「県内32カ所」と伝えており、数え方が違います。28日には県の復旧・復興本部会議で、職員らが犠牲者に黙とうをささげました。

避難所の外にいる「見えない避難者」

NHKによると、八代市の調査で、避難所の外で暮らす「見えない避難者」が約2000世帯いることが分かりました。

ホテルや、壊れた自宅で生活を続けている人も多く、避難所の人数だけでは被害の広がりをつかみきれません(NHK、2026年9月28日)。井戸が使えない自宅にとどまる人にとっては、水の確保と住まいの問題が重なっています。

熊本地震の仮設住宅と住まいの再建はどこまで進んだか

完成した応急仮設住宅は4市町村の10団地182戸で、県は年内に25団地700戸を整える予定です。

時事通信によると、完成した仮設住宅は10団地182戸で、年内に25団地700戸を整備する予定です(時事通信、2026年9月28日)。共同通信は、県が仮設住宅1900戸分の予算を確保し、建設型650戸に着工したと伝えています。

仮設住宅の数字も、報道によって「予算」「計画」「完成」「入居」のどれを指すかが違います。整理すると次のとおりです。

項目 数字 出典
予算を確保した戸数 1900戸 共同通信・日本経済新聞
建設型の整備計画・着工 650戸(毎日は22団地と報道) 毎日新聞・共同通信
年内の整備予定 25団地700戸 時事通信
完成した戸数 4市町村の10団地182戸 時事通信・日本経済新聞
みなし仮設を含む入居 192戸459人 毎日新聞
民間賃貸・公営住宅への入居(9月23日時点) 約287人(民間256人・公営31人) 日本経済新聞

毎日新聞の192戸459人と日本経済新聞の287人は、集計の範囲と時点が違うため、そのまま比べることはできません。日本経済新聞は、建設用地が限られて不足が見込まれるとして、県がコンテナハウスやトレーラーハウスも検討していると伝えています(日本経済新聞、2026年9月)。

罹災証明書と公費解体の進み具合

罹災証明書は8万4359件の申請に対し交付率71.9%で、公費解体の受付は776件です。

毎日新聞によると、罹災証明書の申請は8万4359件で、交付率は71.9%です(毎日新聞、2026年9月27日)。罹災証明書は、応急修理など各種の支援を受けるときに必要になる書類です。時事通信は、住宅被害は7万1518棟で、全半壊は9540棟、判定がまだ終わっていない建物が1万663棟あると伝えています。公費解体の受付は776件(時事通信)で、共同通信は甲佐町で近く解体が始まると報じています。

熊本地震の被害と、交通・生活インフラの復旧

死者は災害関連死の疑い2人を含む38人で、断水は解消し、鉄道も順次動き始めています。

共同通信によると、地震は7月28日午後4時27分ごろに発生し、熊本県で最大震度7を観測しました。毎日新聞は、最大震度7を観測したのは宇城市と氷川町で、死者38人のうち、イオンモール熊本(嘉島町)の爆発事故で7人、日本製紙八代工場(八代市)で9人が亡くなったと伝えています。住宅被害は7万1518棟です。

水道・鉄道・観光の復旧の流れ

水道の断水は8月28日にすべて解消し、九州新幹線は9月18日に熊本―新水俣間の運転を再開しました。

主な復旧の動きを日付順に並べると次のとおりです。

7月28日 地震発生。最大震度7
8月28日 最大10万戸超の断水がすべて解消(共同通信)
9月11日 八代市で井戸の応急修理の窓口が開設(熊本県)
9月18日 九州新幹線の熊本―新水俣間が運転再開(時事通信)
9月25日 熊本県が井戸の掘削業者を全国から募集開始
10月1日 「熊本ふっこう応援割」開始予定(宿泊分から・毎日新聞)
10月10日 JR鹿児島線の宇土―八代間が再開予定(時事通信)

断水した戸数は時事通信が約10万8000戸としており、応急復旧は済んでいます。一方で、水道が通っていない地域の井戸は、この「断水解消」の数字には入りません。水道の復旧が終わっても、井戸に頼る世帯の水はまだ戻っていないということです。

熊本地震の経済と観光への影響

毎日新聞によると、商工業関連の被害は約1559億円、農林水産業関連は約1610億円に上ります。

観光関連のキャンセルは約27億円です。10月1日から、旅行・宿泊料金を最大60%割り引く「熊本ふっこう応援割」が始まり、時事通信によると県内の約370施設が参加します。

井戸の復旧が遅れる理由と、これから見るべき点

県は業者不足を理由に全国募集を始めており、今後は業者の数、復旧した井戸の数、追加の支援の有無が焦点です。

ここまでの数字を並べると、八代市だけで数千件の被害がある一方、対応している業者は11社、掘削は1本1週間程度です。水道のように事業者が管路をまとめて直す仕組みではなく、各世帯が業者に頼んで直す形になるため、担い手の不足が遅れの大きな要因の1つになっています。

(編集部分析)県が全国募集に踏み切ったのは、担い手の不足という原因に直接手を打つもので、方向は妥当と評価できます。ただ、応募した業者が実際に八代市などに入り、掘り始めるまでには時間がかかります。支援の上限75万7000円に対し、掘削費用は最低でも数百万円と報じられており、費用の差をどう埋めるかは課題として残ります。

(編集部分析)これから見るべき点は3つです。1つ目は、全国募集でリストに載る業者が何社に増えるか。2つ目は、八代市で復旧した井戸の数が30件(KKTの報道時点)からどこまで伸びるか。3つ目は、支援の上限を超える掘り直しの費用について、県や国が追加の手当てを出すかどうかです。

被災した人がいまできることは、住んでいる市町村の窓口に早めに相談し、支援の対象かどうかを確かめてから業者に頼むことです。業者として力を貸せる人は、熊本県のホームページで募集要領を確かめて応募できます。

熊本地震2カ月・井戸の復旧のよくある質問

2016年の地震との違い、濁った井戸水の扱い、業者の一覧に載る時期の3つをまとめます。

Q. 今回の熊本地震は、2016年の熊本地震とは別の地震ですか?

A. 別の地震です。今回の地震は2026年7月28日に発生し、熊本県は「令和8年熊本地震」と呼んでいます。

Q. 井戸の水が濁ったままでも飲んでよいですか?

A. 飲む前に水質検査で安全を確かめてください。熊本県は、地震で井戸水が濁ったり飲用の安全に不安があったりする場合、水道法に基づく登録水質検査機関で検査を受けられると案内しています(県の保健所では一般向けの検査はしていません)。検査機関の一覧は熊本県「飲用井戸の水質検査を希望される皆様へ」にあります。

Q. 業者として応募したら、いつ被災者向けの一覧に載りますか?

A. 選定されれば、県が毎月まとめて市町村に渡す一覧に載ります。選定の結果はメールで知らされます(熊本県の募集ページ)。

数字は9月下旬の報道時点のものです。最新の状況は、下の参考情報と熊本県・各市町村の発表で確かめてください。

参考情報

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