【9/29】赤い羽根、イオンが全国で協力見送り|使途不明2.5億円で辞退相次ぐ
「赤い羽根共同募金」をめぐり、イオンが全国のイオングループの店舗で、今年度の募金への協力を見送る方針を決めました。9月29日に読売新聞が報じました。きっかけは、北海道で運営を担う北海道共同募金会(札幌市)で、寄付金およそ2億5000万円が使途不明になっている問題です。
2026年度の募金運動は10月1日に全国で始まります。札幌では街頭募金の協力団体から辞退が相次ぎ、寄付金で活動してきた福祉団体にも不安が広がっています。この記事では、イオンが見送った理由と範囲、使途不明金の金額と発覚までの流れ、協力を見送った側と続ける側、中央共同募金会の緊急支援、そして10月からの募金がどうなるのかを、報道と各募金会の発表をもとに整理します。
この記事でわかること
- イオンの見送り:1983年から募金箱の設置や街頭活動の場所を提供してきたイオンが、全国のグループ店舗で今年度の協力を見送る方針です(読売新聞)。
- 使途不明金:北海道共同募金会の使途不明金は、6月公表の約1億8000万円と9月判明の約7000万円を合わせて約2億5000万円。会計を1人で担っていた元事務局長(58、懲戒解雇)の着服が疑われています。
- 募金への影響:札幌では昨年434団体が協力した街頭募金に、約300団体から辞退の申し入れがありました。一方で全日本空輸(ANA)は協力を続けます。
イオンはなぜ赤い羽根の協力を見送ったのか
イオンは北海道共同募金会の使途不明金問題を受け、全国のイオングループ店舗で今年度の赤い羽根募金への協力を見送ると決めました。
読売新聞(9月29日)によると、イオンは1983年から、店舗での募金箱の設置や街頭募金の場所の提供を続けてきました。見送りの理由について、イオンは「お客様に安心して寄付に協力していただけることを大切にしている。総合的に検討した結果」と説明しています。
なお、中央共同募金会の企業協力のページでは、イオングループの協力開始を「1982年度」と紹介しています。年度と暦年の数え方の違いとみられますが、どちらにしても40年以上続いた協力が、今年度は止まることになります。
イオンの見送りの範囲はどこまでか
報道で確認できる範囲は、全国のイオングループ店舗での「募金箱の設置」と「街頭活動の場所の提供」です。
読売新聞の記事は、これまでの協力の中身を募金箱の設置と街頭活動の場所の提供と書いたうえで、今年度の協力を見送る方針と伝えています。そのほかの寄付の形まで止めるのかどうかは、報道では明らかになっていません。※確認中
(編集部分析)全国に店舗を持つ小売りの最大手が一斉に手を引くことで、募金箱が置かれる場所は減ることが見込まれます。北海道の1つの募金会の不祥事が、全国の募金の入り口に響いた形です。
北海道共同募金会の使途不明金はいくらで、何が起きたのか
計約2億5000万円が使途不明になり、2月の国税局の査察をきっかけに募金会のお金の不足が分かりました。
内訳は、6月に公表された約1億8000万円と、9月に判明した約7000万円です。
北海道共同募金会の公表文によると、2月17日、元事務局長への所得税法違反の疑いで札幌国税局の査察が入り、会計資料の大部分が押収されました。その後の確認で、3月末に「募金会にあるべき金銭が相当額不足している可能性がある」ことが分かったとしています。
ここまでの流れを、日付の順に表にまとめます。
| 日付(2026年) | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2月17日 | 札幌国税局が、当時の事務局長の所得税法違反の疑いで募金会を査察 | 北海道共同募金会 |
| 3月末 | あるべきお金が相当額不足している可能性を確認。弁護士に調査を依頼 | 北海道共同募金会 |
| 6月14〜15日 | 使途不明金の発生を公表し、会見で約1億8000万円の不足を説明 | 北海道共同募金会・HBC |
| 7月 | 元事務局長を懲戒解雇 | 集英社オンライン・HBC |
| 8月26日 | 中央共同募金会が、助成が滞る道内の福祉団体などへの緊急支援助成を発表 | 共同通信 |
| 9月11日 | 弁護士と公認会計士の計6人で第三者委員会を設置 | UHB |
| 9月16日 | 2025年度決算の作業で新たに約7000万円の使途不明金を公表。計約2億5000万円に | UHB・HBC |
| 9月29日 | イオンが全国の店舗で今年度の協力見送りと報道 | 読売新聞 |
表のとおり、発覚のきっかけは募金会の内部の点検ではなく、国税局の査察でした。
新たに見つかった約7000万円とは何か
約7000万円は、支払いの内容や目的が書類に書かれておらず、会計上どの科目にも振り分けられないお金です。
北海道ニュースUHBによると、2025年度の決算作業の中で、伝票などの摘要欄に取引内容の記載がない支払いが見つかりました。瀬尾英生会長は、元事務局長がすべてを着服した可能性を問われ、「そういうことですね。ただ、断定はできない」と述べています。この約7000万円が元事務局長によるものかどうかは、第三者委員会の調査を踏まえて判断するとされています(弁護士ドットコムニュース)。
寄付金全体の中でどのくらいの規模なのか
使途不明金は、北海道で1年間に集まる寄付金のおよそ4割に当たる規模です。
FNNプライムオンラインによると、北海道共同募金会への2024年度の寄付金は約6億6000万円でした。集英社オンラインは2025年度の寄付金額を約6億7000万円と伝え、使途不明金はその37%の規模としています。HBCによると、今年度の助成に使う予定だった寄付金3億4000万円のうち、少なくとも1億8000万円が不足していました。
使途不明金はなぜ長く発覚しなかったのか
募金会の説明では、決算前の借り入れで口座残高を一時的に増やし、決算後に返していたとみられるためです。
集英社オンラインによると、募金会は、元事務局長が2020年以降、会の口座から自分の口座に送金するなどしてお金を持ち出していたことを確認したと説明しています。長く気づかなかった理由として、決算前の借り入れで残高を一時的に増やしていたこと、そして元事務局長が通帳や印鑑を1人で管理していたことが挙げられています。
次の図は、募金会の説明と報道をもとにした流れです。いずれも「とみられる」段階で、元事務局長の関与の有無は第三者委員会が調べています。
会の口座から元事務局長の口座へ送金など(2020年以降・募金会の説明)
金融機関から借り入れ、残高を一時的に増やす
借りたお金を返し、不足が表に出ないようにする
2026年2月、国税局の査察で会計資料が押収され、不足が判明
この流れは、通帳と印鑑を1人が握り、ほかの職員や役員が残高を確かめない体制だからこそ成り立ったとみられています。
偽造した議事録で1億9000万円を借りた疑い
元事務局長は、偽造した議事録などを示して、道内2か所の金融機関から計1億9000万円を借りた疑いがあります。
STVニュース北海道(8月18日)によると、借り入れは2025年で、使途不明金の発覚を逃れるためだった可能性があり、金融機関への詐欺の疑いもあると指摘されています。募金会は元事務局長の刑事告訴と損害賠償請求を検討しているとされています。元事務局長は刑事責任を問われておらず、現時点では「疑い」の段階です。
弁護士ドットコムニュースは、会計担当者が預かったお金を自分のものにした場合、業務上横領罪(10年以下の拘禁刑)が問題になると解説しています。募金だからといって刑を重くする特別な規定はないとしています。
赤い羽根の協力を見送った企業・町内会と、続ける企業
イオンのほか、札幌の街頭募金では約300団体が辞退を申し入れ、北海道の町内会にも見送りが出ています。一方でANAは協力を続けます。
報道で確認できた動きを、見送る側と続ける側に分けて表にしました。団体数は札幌の街頭募金についての数字で、全国の数字ではありません。
| 団体 | 今年の対応 | 説明・理由 | 出典 |
|---|---|---|---|
| イオン(全国のグループ店舗) | 見送り | 「お客様に安心して寄付に協力していただけることを大切にしている。総合的に検討した結果」 | 読売新聞 |
| 札幌の街頭募金の協力団体 | 約300団体が辞退を申し入れ(昨年は434団体が協力) | 「原因が究明されないと協力できない」 | 読売新聞 |
| 札幌の企業など | 募金箱の設置見送りが相次ぐ | 札幌市共同募金委員会では約200個の募金箱が行き場を失う | 読売新聞 |
| 帯広市・新柏林台町内会 | 今年は応じない | 会員アンケートで「改善策が明らかになるまで(寄付を)しない」 | FNNプライムオンライン |
| 全日本空輸(ANA) | 継続 | 「今回の問題は大変遺憾」としつつ、「再発防止策や信頼回復の取り組みを注視する」 | 読売新聞 |
見送りの理由はそろって「原因と改善策が見えないうち」で、募金そのものをやめるという言い方ではありません。第三者委員会の報告が、協力が戻るかどうかの分かれ目になりそうです。
募金を集める側の町内会はどう受け止めているか
札幌の町内会長は、住民に寄付を頼む立場として「答えようがない」とFNNの取材に話しています。
FNNプライムオンラインによると、札幌市桑園地区の町内会長は「どうなっているのかと聞かれたら答えようがない」と話しました。北海道の募金は、町内会や民生委員の協力で各家庭を回る「戸別募金」が2024年度で約3億6000万円と、全体の半分以上を占めています。町内会が離れると、北海道の募金の柱がそのまま細ることになります。
助成を待つ福祉団体への影響と、中央共同募金会の緊急支援
北海道では今年度の助成が予定どおり出せず、中央共同募金会が道内の福祉団体などへの緊急支援助成を決めました。
HBCによると、北海道共同募金会は2026年度分の助成について、事務費の削減などで予定額の約5割を早急に交付するとしていました。これを受けて中央共同募金会は8月26日、助成が滞る道内のボランティア団体やNPO、社会福祉協議会、福祉施設などに、希望を確かめたうえで緊急支援助成を直接交付すると発表しました(共同通信)。支援の総額は報道では示されていません。
現場の福祉団体は何を心配しているのか
障害者施設などの団体は、毎年の行事に充ててきた助成が届かなくなることを心配しています。
読売新聞によると、約80の障害者施設などで作るNPO法人「さっされん」(札幌市)は、施設利用者の成人を祝う催しの費用の一部に、毎年この助成金を充ててきました。金沢信治事務局長は「助成を必要としている団体に支援が届かなくなるのは心配だ」と話しています。
(編集部分析)企業や町内会の見送りは、不祥事への抗議として筋が通る一方で、その影響を最初に受けるのは、不祥事と関係のない地域の福祉活動です。緊急支援で当面の穴は埋められても、信頼回復が遅れれば、通常の助成への影響が長引く可能性があります。
全国の共同募金会では何が変わるのか
中央共同募金会は全国の都道府県共同募金会の経理体制を点検し、通報窓口の設置など再発防止策を進めるとしています。
中央共同募金会は6月15日の発表で、全国の都道府県共同募金会の経理事務体制を一斉に点検し、結果を公表すると表明しました。読売新聞によると、点検は6〜7月に北海道を除く46都府県で行われ、一部で通帳や印鑑の保管方法、使う権限を定めた経理規定がないことが分かりました。今後は内部通報窓口の設置や監査用チェックリストの作成などを進め、「再発防止策を確実に実施し、信頼回復に全力で取り組む」としています。
また集英社オンラインは、地元記者の話として、厚生労働省が9月に入り、赤い羽根共同募金の会計処理を複数の役職員で行うよう求める通達を出したと伝えています。厚労省の文書そのものは、この記事の執筆時点で確認できていません。※確認中
赤い羽根募金の全体はどのくらい減っているのか
全国の募金総額は、ピークだった1995年度の約179億5000万円から、2025年度は約115億1000万円まで減っています。
読売新聞が伝えた数字です。今回の問題の前から募金は減り続けており、そこに全国規模の協力の見送りが重なった形です。
10月1日からの赤い羽根募金はどうなるのか
募金運動は予定どおり10月1日に始まり、期間は2027年3月31日までです。北海道共同募金会も予定どおり実施するとしています。
2026年度の共同募金運動の期間は、厚生労働省の告示で10月1日から2027年3月31日までと定められています。北海道共同募金会は9月16日の会見で、募金運動は予定どおり実施すると説明し、理解と協力を求めました(UHB)。第三者委員会は、使途不明金ができた経緯や原因、着服の有無、管理体制を調べ、再発防止策を含む報告書を2027年1月末に出す予定です。
寄付する前に確かめておきたいこと
赤い羽根の寄付は、原則として集めた都道府県の中の福祉活動に使われるため、自分の住む地域の募金会の報告を見るのが確実です。
共同募金は、集めた寄付を都道府県ごとの共同募金会が審査して、その地域の福祉施設や団体に配る仕組みです(FNNプライムオンラインの解説)。北海道の問題は北海道共同募金会の会計で起きたもので、ほかの都府県の募金会の不正は、この記事の時点では報じられていません。寄付を迷う人は、住んでいる都道府県の共同募金会が公開している配分先や、全国点検の結果の公表を確かめてから決める方法があります。
ここからは、検索で多い疑問に短く答えます。
赤い羽根の使途不明金問題のよくある質問
よく聞かれる点を、報道で確認できる範囲でまとめました。
Q. イオンの店舗で赤い羽根に寄付できなくなるのですか?
A. 今年度は全国のイオングループ店舗での協力が見送られるため、店頭の募金箱や街頭募金の場としては使えなくなる見込みです。来年度以降については報じられていません。
Q. 元事務局長は逮捕されたのですか?
A. この記事の時点で逮捕の報道はありません。7月に懲戒解雇され、募金会は刑事告訴と損害賠償請求を検討していると報じられています。
Q. 北海道以外の共同募金会でも同じ問題はあったのですか?
A. 使途不明金の報道は北海道共同募金会だけです。ただし全国点検で、一部の募金会に通帳や印鑑の管理を定めた規定がないことが分かっています。
Q. 調査の結果はいつ分かりますか?
A. 第三者委員会の報告書は2027年1月末に提出される予定です。使途不明金の行方と、元事務局長による着服の有無が調べられます。
新しい発表があれば、この記事に追記します。
参考情報
- 読売新聞オンライン(Yahoo!ニュース)「赤い羽根共同募金」使途不明、10月に始まる募金活動に影…企業の協力辞退相次ぐ(2026年9月29日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa0bc63a164c3e5f59d7fc12c596cc293facf896 - 北海道共同募金会「本会に関する報道について」(2026年6月14日)
https://www.akaihane-hokkaido.jp/news/2464/ - 中央共同募金会「社会福祉法人北海道共同募金会における事案について」(2026年6月15日)
https://www.akaihane.or.jp/news/48987/ - 中央共同募金会「企業の協力」
https://www.akaihane.or.jp/csr/ - 北海道ニュースUHB(Yahoo!ニュース)赤い羽根の巨額の使途不明金計2億5000万円に(2026年9月19日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1ef66a3e453d6274d74a79bddf9d34b09ff6bb13 - HBCニュース北海道(Yahoo!ニュース)善意の1億8000万が消えた(2026年9月24日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b0ad0c98a78df9da1a8311479ada3beeb336b9d8 - FNNプライムオンライン(Yahoo!ニュース)使途不明金が新たに7000万円発覚(2026年9月20日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e2069bf241a06c6ee173887ce62650b45f4cd093 - 集英社オンライン(Yahoo!ニュース)北海道赤い羽根・使途不明は2億5000万円(2026年9月25日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d1144892c3fe801c5dda4b26579883e36ad84ce6 - STVニュース北海道(Yahoo!ニュース)偽造議事録で1.9億円借り入れ(2026年8月18日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0b947e5d3f19be904b3c5873027e0fd2d435786 - 共同通信(Yahoo!ニュース)助成未交付団体に緊急支援 赤い羽根1.8億円不明で(2026年8月26日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/373578966640c192c995af189ef592e809527e8d - 弁護士ドットコムニュース(Yahoo!ニュース)赤い羽根募金「使途不明金2億5千万」法的責任はどうなる?(2026年9月19日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec934e19dde2a52d5d5f2840a6f80b96cdf2cbcb - 中央共同募金会「令和8年度 共同募金運動実施期間の告示について」
https://www.akaihane.or.jp/news/bokin/50199/
