【10/2】東海汽船に使用停止命令|3隻が20日間停止、期間と運航への影響
東海汽船の使用停止命令とは、国土交通省関東運輸局が2026年10月2日、東京と伊豆諸島を結ぶ東海汽船に対し、所有する5隻のうち3隻を20日間使えなくする処分を出した出来事です。期間は10月9日から28日までで、対象は大型船1隻と高速ジェット船2隻です(TBS NEWS DIG)。乗組員が酒気帯びの状態で当直に就いていたことや、アルコール検査を身代わりで受けていたことが理由で、時事通信はこの命令が適用されるのは初めてだと伝えています。
この記事では、いつからいつまで何隻が止まるのか、期間中に伊豆諸島への船は動くのか、なぜ「事業停止」にならなかったのか、これまでの処分の流れを、通信社・テレビ局の報道と東海汽船の発表から整理します。どの船が対象かという船名や、期間中の時刻表は、10月2日15時時点の報道と同社の発表では確認できていません。分かっていないことは分かっていないと書きます。
この記事でわかること
- 処分の中身:10月9日から28日までの20日間、5隻のうち大型船1隻と高速ジェット船2隻が使用停止になること
- 運航への影響:残る大型船1隻と高速ジェット船1隻に加え、周辺の事業者が代替の船を出す見通しであること
- 処分の理由と経緯:酒気帯びでの当直や検査の身代わりが見つかり、8月の解任命令に続く処分であること
東海汽船の使用停止命令とは?いつからいつまで?
10月9日から28日までの20日間、東海汽船の船3隻を使えなくする国の行政処分です。命令は10月2日に出ました。
TBS NEWS DIGによると、国土交通省の関東運輸局は10月2日、東海汽船に対し、同社が所有する船舶5隻のうち大型船1隻と高速ジェット船2隻を、今月9日から28日までの20日間、使用停止とする処分を行いました。根拠は海上運送法です(時事通信・共同通信)。
処分の要点を表にまとめます。
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 処分の種類 | 海上運送法に基づく船舶の使用停止命令 | 時事通信・共同通信 |
| 処分を出した機関 | 国土交通省 関東運輸局 | 共同通信 |
| 命令書の交付 | 2026年10月2日 午後2時ごろ | TBS NEWS DIG |
| 使用停止の期間 | 10月9日〜10月28日(20日間) | TBS NEWS DIG |
| 対象の船 | 所有5隻のうち大型船1隻・高速ジェット船2隻 | TBS NEWS DIG |
| 期間中も使える船 | 大型船1隻・高速ジェット船1隻 | TBS NEWS DIG |
表のとおり、会社の事業そのものを止める処分ではなく、船を指定して使えなくする処分です。5隻のうち2隻は期間中も使えます。
使用停止になるのは何隻?どの船?
大型船1隻と高速ジェット船2隻の計3隻です。船名は10月2日15時時点の報道では確認できていません。
TBS NEWS DIGは、東海汽船が所有する船舶は5隻で、このうち大型船1隻と高速ジェット船2隻が対象だと伝えています。時事通信も、対象は大型客船1隻とジェット船2隻だとしています。この記事で参照した報道と東海汽船の発表には、対象の船名は書かれていません。船名は、同社が正式な通知を受けたあとに出すお知らせで確かめる必要があります。
命令書はいつ交付された?
10月2日の午後2時ごろ、関東運輸局が東海汽船に命令書を交付しました(TBS NEWS DIG)。
2日の午前には、井林辰憲国土交通大臣が記者会見で処分の内容を明らかにしていました。その時点で東海汽船は「現時点で国土交通省関東運輸局より、正式な処分等の通知は受領しておりません」とする文書を自社サイトに出しています。同じ文書で、正式な通知を受領したあと、速やかにホームページで知らせるとしていました。その後、午後に命令書が交付された流れです。
使用停止の期間中、伊豆諸島への船は動く?
動く見通しです。残る2隻と周辺の事業者の代替船で、物流と交通への影響は最低限に抑えられると伝えられています。
TBS NEWS DIGによると、期間中は残る大型船1隻と高速ジェット船1隻に加え、周辺の事業者も代替の船を出します。テレビ朝日も、ほかの船などを使うことで島民への影響は最小限に抑制されると伝えています。
ただし、どの便が動き、どの便が動かないのかという時刻表は、10月2日15時時点では確認できていません。ふだん5隻で回している航路を2隻と代替船で回すことになるため、便の数や出発時刻が変わる可能性はあります。
代替輸送はどこが担う?
東海汽船の山崎潤一社長は、グループ会社や小笠原海運から代替輸送の協力を得る予定だと述べています。
TBS NEWS DIGによると、山崎社長は命令書の交付後、使用停止の処分期間中について、グループ会社や小笠原海運から代替輸送の協力を得る予定だと話しました。どの航路にどの船が入るかは、この発言の範囲では分かりません。
10月9日から28日に乗る予定の人はどうなる?
予約した便が運航されるかどうかは、東海汽船の正式なお知らせで確かめる必要があります。
東海汽船は10月2日の文書で、正式な通知を受領したあと速やかにホームページで知らせるとしています。予約済みの便の扱いや払い戻しについては、この記事で参照した報道と発表には書かれていません。期間中に伊豆諸島へ行く予定がある人は、同社のお知らせページと運航状況のページを、出発の前にもう一度見てください。
なお、東海汽船のお知らせページには、今回の処分とは別に、9月29日付で「大型客船 橘丸 機関故障に伴うダイヤ変更について」という案内も載っています。10月前半に乗る人は、こちらも合わせて確かめておくと安心です。
なぜ「事業停止」ではなく「使用停止」になった?
伊豆諸島の住民の生活への影響を考え、会社全体の運航を止める処分は避けられました。
TBS NEWS DIGによると、関東運輸局は「業務停止」の処分を検討してきました。TBS NEWS DIGは、海上運送法などでは離島航路のように住民の交通に大きな影響が出る場合などに限り、一定の条件で処分を緩和することもできると報じており、今回は「業務停止」が回避された形だとしています。東京新聞も、島民生活を考慮して「事業停止」を回避したと見出しで伝えています。この緩和の仕組みについて、条文そのものはこの記事では確認できていません。報道の内容として紹介します。
なお、会社の運航全体を止める処分は、報道によって「事業停止」「業務停止」と呼び方が分かれています。乗りものニュースは7月の記事で「一般旅客定期航路事業の停止処分」と書いており、この記事では「事業停止」にそろえます。報道された内容をもとに2つを並べると、次のとおりです。
| 比べる点 | 事業停止(検討されていた処分) | 今回の船舶の使用停止 |
|---|---|---|
| 止まる対象 | 一般旅客定期航路事業(乗りものニュース) | 指定された3隻(TBS NEWS DIG) |
| 期間中の運航 | 離島の生活に大きな影響が懸念されると報じられていた | 大型船1隻・高速ジェット船1隻は使える |
| 今回の扱い | 検討されたが見送り | 10月9日から20日間 |
東海汽船は東京と伊豆諸島などを結ぶ離島航路を担っています。乗りものニュースは7月31日の記事で、この航路を伊豆諸島にとって旅客と貨物の「生命線」だと表現し、事業が止まれば離島の生活に大きな影響が懸念されると伝えていました。
使用停止命令が出るのは初めて?
初めてです。時事通信は、海上運送法に基づくこの命令が適用されるのは初めてだと伝えています。
NHKも「初の船舶使用停止命令」と見出しで報じています。前例のない処分のため、期間中の運航がどう組まれるかは、東海汽船と代替輸送に協力する事業者の発表を待つことになります。
東海汽船で何があった?飲酒問題の中身は?
乗組員が酒気帯びの状態で当直に就き、アルコール検査を身代わりで受けるなどしていました。
TBS NEWS DIGによると、この問題は、東京と伊豆諸島などを結ぶ東海汽船の旅客船で、乗組員が酒気帯び状態で当直の乗務を行ったり、アルコール検査を身代わりで受検したりしていたものです。井林国土交通大臣は2日の会見で「重大な事故につながりかねない危険な行為が、漫然と繰り返されていた実態が確認されました」と述べました(テレビ朝日)。
元日の飲酒は30年以上続いていた?
元日の便で乗組員が飲酒する習慣が、少なくとも30年以上続いていたと報じられています。
時事通信によると、2026年の元日、大型客船2隻で船長を含む乗組員が船内で飲酒し、アルコール検査をしないまま当直勤務に就いていました。元日の飲酒は慣習になっていて、少なくとも30年以上前から始まっていたとみられます。TBS NEWS DIGは、社長もこの習慣を認識していたと伝えています。
アルコール検査の「身代わり」とは?
本人ではない別の人が代わりに検査を受け、記録にうその内容を書いていたことを指します。
時事通信によると、2026年4月、ジェット船の乗組員がアルコール検査の替え玉受検や、記録への虚偽記載を行っていました。検査は、酒気を帯びた人を船の運航から外すための仕組みです。身代わりで通してしまうと、その仕組みが働かなくなります。
国交省が認定した違反は何項目?
13項目です。国交省は2026年1月から6月ごろに臨時監査に入り、海上運送法違反を13項目認定しました(時事通信)。
東海汽船が8月28日に出した文書では、処分の理由として「酒気帯び状態での航海当直」「アルコール検査における不適切な運用」「舷門(げんもん=乗客が乗り降りする出入口)を閉鎖しない状態での運航」「発航前検査における不適切な運用」が挙げられ、これらを防ぐはずの安全管理体制が十分に機能していなかったとされています。13項目すべての中身は、この記事で参照した報道と発表からは分かりません。
東海汽船への行政処分はこれまで何があった?
2025年4月の命令に続き、2026年8月に管理者2人の解任命令、10月に船の使用停止命令と重なっています。
国土交通省と東海汽船の発表、各社の報道から、時系列で並べます。
関東運輸局が、船員法に基づく是正命令と、海上運送法に基づく輸送の安全の確保に関する命令を出す
大型客船2隻で船長を含む乗組員が飲酒し、検査をしないまま当直に就く
国交省が臨時監査。海上運送法違反を13項目認定
事業の停止処分などに向けた行政手続きが進んでいると伝えられる
安全統括管理者と運航管理者の解任命令、輸送の安全確保に関する命令、是正命令
東海汽船が調査報告書を受領し改善計画書を提出、続いて改善報告書を提出
関東運輸局が船舶の使用停止命令書を交付
3隻の使用停止(20日間)
図のとおり、2025年4月に安全の確保を命じられたあとも、翌年の元日と4月に飲酒や検査の問題が起きています。乗りものニュースは7月の時点で、昨年4月の命令のあとも不適切な事案が続いたことを伝えていました。
2025年4月の命令は何が理由だった?
労働時間の上限超えや、非常時に備えた訓練が長く適切に行われていなかったことなどです。
関東運輸局の発表によると、東海汽船への立入検査で、労働時間の限度を超えていたことや、非常の場合のために必要な操練が長期にわたり適切に実施されていないことなど、複数の船員法違反が確認されました。あわせて、同社が海上運送法に基づいて定めた安全管理規程が守られていないことも確認されたとしています。
8月の解任命令では誰が対象になった?
安全統括管理者と運航管理者の2つの役職です。東海汽船は解任を実行したと発表しています。
安全統括管理者は会社全体の安全管理をまとめる役職、運航管理者は日々の運航を管理する役職です。東海汽船の8月28日の文書によると、同社は両者の解任を実行し、外部の専門家による特別調査委員会で事案の調査を進めるとしていました。再発防止策としては、安全管理体制の抜本的な再構築、アルコール検査体制の適正化、発航前検査の適正化、安全教育の徹底を挙げています。
山崎潤一社長は何と述べた?進退は?
「経営責任は非常に重い」と述べ、来週の取締役会に向けて自身の進退を含めて対応するとしました。
TBS NEWS DIGによると、山崎社長は元日の飲酒について次のように話しました。「元旦に安全祈願を願い、お神酒を飲むという慣習があることは認識しておりましたが、適切なアルコールチェックをした上で業務に就くことと思っておりました。今回の経営責任は非常に重いと思いますし、真摯にそこに向き合いたいと思っております」。
共同通信は、山崎社長が「真摯に受け止め、根本的な見直しを図る」と語ったと伝えています。進退については「私自身の進退を含めて早急に対応していきたい」と述べました(TBS NEWS DIG)。辞任が決まったという発表は、10月2日15時時点ではありません。
(編集部分析)今回の処分では、島民の生活への影響が考慮されたと報じられています。「3隻だけ20日間」という形は、島民の生活を守りながら責任を取らせるための折り合いと評価できます。その一方で、30年以上続いた慣習を社長が知っていたという点は、現場の問題ではなく経営の問題として問われるべき部分と見ることができます。
国と東京都は今後どう監督する?
国、東京都、東海汽船の3者で安全に関する会議を立ち上げ、再発防止策の実行を確かめる方針です。
TBS NEWS DIGによると、再発防止策が確実に行われるよう、関東運輸局は東海汽船や東京都とともに、安全に関する会議を立ち上げます。井林国土交通大臣は「厳格に指導監督を行っていく」としています。会議がいつ始まり、どのくらいの頻度で開かれるかは、参照した報道からは分かりません。
利用者はどこで最新の運航情報を確かめられる?
東海汽船の公式サイトの「お知らせ」と運航状況のページで確かめられます。
これから確かめる順番は次のとおりです。
- どの船が止まるか:東海汽船のお知らせページ。同社は、正式な通知を受領したあと速やかに知らせるとしています
- 予約した便が動くか:同社の運航状況のページと、予約したときの案内。10月9日から28日の便は、出発の前日と当日にもう一度見てください
- 代替の船がどこから出るか:東海汽船と、協力する事業者(社長はグループ会社と小笠原海運の名前を挙げています)の発表
- 社長の進退:来週の取締役会のあとの同社の発表と報道
10月2日15時時点で、対象の船名と期間中の時刻表は確認できていません。SNSで「全便が止まる」「この船が止まる」といった情報を見かけたときは、東海汽船と国土交通省の発表で確かめてください。今回止まるのは5隻のうち3隻で、会社の運航がすべて止まるわけではありません。
東海汽船の使用停止命令のよくある質問
Q. 東海汽船は処分について不服を申し立てていますか?
A. そのような報道はありません。共同通信によると、山崎潤一社長は命令書の交付を受けて「真摯に受け止め、根本的な見直しを図る」と語っています。
Q. 調査委員会の報告書や改善計画の中身は公表されていますか?
A. 公表されていません。東海汽船は9月28日の文書で、行政手続きが継続していることから、現時点での公表は差し控えるとしています。
ここまでの内容は、次の報道と発表をもとにしています。
参考情報
- TBS NEWS DIG(Yahoo!ニュース)「“飲酒乗務”問題の東海汽船に船舶の使用停止処分 自身も飲酒問題認識の山崎社長『経営責任は非常に重い』 東海汽船に命令書交付」(2026年10月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5596c4f49f9077f745b1e8ec945aa132ecc1968 - 共同通信(Yahoo!ニュース)「東海汽船に船舶の使用停止命令書を交付」(2026年10月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c60e7b63ed5fcec6d175a8db66bd0a699b8dc61a - 時事通信(Yahoo!ニュース)「東海汽船に初の使用停止命令 酒気帯び勤務など 国交省」(2026年10月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a4ce06d01fe08c4aaa8f2854ff8016e283ddc052 - TBS NEWS DIG(Yahoo!ニュース)「“飲酒乗務”問題の東海汽船に一部の船舶の使用停止処分へ 島民生活の影響など考慮『業務停止』は見送り 今後は国と都が会議体で指導へ」(2026年10月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/78ae29e76381deb12b71e64d885be039f9f2cf57 - テレビ朝日(Yahoo!ニュース)「東海汽船に使用停止命令へ 乗務員の飲酒問題受け国交省が決定」(2026年10月2日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/940c51c1f6de3eba2d29d8f1b5d96984248c49c3 - 東海汽船「当社に関する一部報道について」(2026年10月2日)
https://www.tokaikisen.co.jp/news/814214/ - 東海汽船「海上運送法に基づく『安全統括管理者及び運航管理者の解任命令』及び『輸送の安全確保に関する命令』並びに船員法に基づく『是正命令』について」(2026年8月28日)
https://www.tokaikisen.co.jp/news/814118/ - 東海汽船「国土交通省関東運輸局による行政処分に対する改善報告について」(2026年9月28日)
https://www.tokaikisen.co.jp/news/824258/ - 国土交通省 関東運輸局「東海汽船株式会社に対して命令を発出しました」(2025年4月1日)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000347421.pdf - 乗りものニュース「『東海汽船』営業停止処分へ 東京の離島の生命線『影響を最小限に抑えられるよう努める』」(2026年7月31日)
https://trafficnews.jp/post/694363
