夫婦の性行為は義務?法学者の見解と民法・離婚裁判例・フランスの法改正

日本の民法に、夫婦に性行為を義務づける条文はありません。 ただ、離婚の裁判では、長く性交渉が無いことが「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとされた例があり、「義務ではないが、無関係でもない」というあいまいな状態が続いてきました。

2026年10月4日に朝日新聞が配信した取材記事で、家族法を研究する青山学院大学の大島梨沙教授は、2023年の刑法改正で「夫婦の間でも性的な同意が大事」な時代になったとして、性行為に応じたくないという意思表明は尊重されるべきで、拒否しただけで有責とされるべきではないという考えを示しました。

この記事では、教授の見解を出発点に、民法752条・770条、刑法177条(不同意性交等罪)、離婚の裁判例、そして「夫婦の義務」を民法から外そうとしているフランスの動きを、条文と公的な資料で確かめながら整理します。

この記事でわかること

  • 民法に「夫婦の性行為の義務」の条文があるかどうか
  • 大島梨沙教授が朝日新聞の取材で示した見解の要点
  • セックスレスが離婚の理由になった裁判例と、2026年4月に変わった民法770条
  • 夫婦の間でも不同意性交等罪が成り立ちうると明記した2023年の刑法改正
  • フランスの「夫婦の義務」廃止法案の中身と、2026年10月時点の審議の段階
目次

夫婦に性行為の義務はある?法律の答え

日本の法律に、夫婦の性行為を義務として定めた条文はありません。ただし離婚の裁判では、性生活の有無が判断材料になってきました。

法律の上で夫婦に課されている義務は、民法752条の「同居・協力・扶助」です。ここに性行為という言葉は出てきません。一方、裁判で離婚を求めるときの理由を定めた民法770条には「その他婚姻を継続し難い重大な事由」という幅の広い項目があり、長く性交渉が無いことがこれに当たると判断された例があります。

「義務ではない」と言い切れなかった理由

大島教授は、裁判官が「夫婦は性行為をするものだ」という社会通念を前提に判断してきたためだと説明しています。

大島教授は朝日新聞の取材で、民法は裁判官が柔軟に判断できるよう抽象的に書かれていて、実質的には結婚をめぐる社会通念に照らして判断されてきたと説明しています。これまでは法学者も裁判官も「夫婦は性行為をするもの」という考えを前提にしていたため、条文が無いことだけを理由に「義務はない」とは断言できなかった、というのが教授の整理です。

3つの法律の関係を1枚で見る

民法は義務を書かず、離婚の判断では性生活が考慮され、刑法の不同意性交等罪は夫婦にも適用される、という関係です。

下の図は、この記事で扱う3つの規定が、それぞれ何を決めているかを並べたものです。

民法752条同居・協力・扶助の義務性行為の文言は無い義務の条文なし民法770条1項4号婚姻を継続し難い重大な事由離婚の判断で考慮刑法177条不同意性交等罪婚姻関係の有無を問わない夫婦にも適用される条文はe-Gov法令検索(2026年10月4日時点の現行法)で確認

図の左と右ははっきりしていて、真ん中の離婚の判断だけが、時代の社会通念によって動く部分です。教授の見解は、この真ん中の部分を、右の刑法の考え方に合わせていくべきだというものです。

大島梨沙教授は何と言った?朝日新聞の取材の要点

拒否の意思表明は尊重されるべきで、拒否だけで離婚の有責配偶者とされるべきではない、というのが教授の考えです。

記事は2026年10月3日に朝日新聞のサイトに掲載され、10月4日にYahoo!ニュースにも配信されました。「夫婦の義務だから」と配偶者との性行為を断れない人がいる、という問いから始まり、家族法に詳しい大島教授が法律の位置づけを答えています。

教授の見解を4つに分けると

条文の不在、過去の裁判例、刑法改正による変化、フランスとの比較、の4点が話の柱です。

記事で教授が述べている内容を、順番に整理すると次のとおりです。

  • 民法には夫婦の同居・協力・扶助の義務が書かれているが、性行為についての条文は無い
  • ただし、性行為の不在を「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして離婚を認めた裁判例が、数は少ないながらある
  • 同意の無い性行為を明確に犯罪とした刑法改正などで、夫婦の間でも性的同意が大事な時代になった
  • フランスでは「夫婦に性的関係をもつ義務はない」と民法に書き込む法案の審議が続いているが、日本が同じ方法をとるべきかは難しい

「拒絶だけで離婚を認めることはない」という見通し

裁判官は夫婦のやりとりや背景を総合的に見るため、拒絶だけを理由に離婚を認めることはないだろうと教授は見ています。

教授は、今後の離婚訴訟では、性行為に応じたくないという意思表明が尊重されるべきだと述べています。そのうえで、裁判官は拒絶以外の夫婦のやりとりや事情も合わせて判断するので、性行為を断ったという一点だけで離婚が認められることはないだろう、という見通しを示しました。これは教授個人の見解で、最高裁がそう判断したという意味ではありません。

民法752条の「同居・協力・扶助」に性行為は含まれる?

752条の文言に性行為は含まれていません。含まれると読むかどうかは、条文ではなく解釈と社会通念の問題です。

民法752条の条文は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」の一文だけです。同居は一緒に住むこと、協力は共同生活を一緒に営むこと、扶助は経済的に支え合うことを指すと説明されるのが一般的で、性生活についての言葉はありません。

752条の義務を守らないとどうなる?

752条の義務は、守らなくても刑罰はありません。正当な理由なく同居を拒み続けると、離婚の理由になることがあります。

民法770条1項2号は「配偶者から悪意で遺棄されたとき」を離婚の理由に挙げています。正当な理由なく家を出て生活費も渡さない、といった752条の義務を放り出す行為がこれに当たるとされます。ただ、性行為を断ることを「悪意の遺棄」として扱う条文はありません。

「性行為も協力のうち」という考え方はどこから来た?

結婚すれば夫婦は性生活をともにするのが当然、という長く続いた社会通念から来ています。

大島教授は、過去の裁判例の多くがこの考えに基づいていたと指摘しています。フランスでも同じように、かつて性行為を夫婦の義務とする教会法が適用されていた時代があり、離婚訴訟では拒んだ側に落ち度があると判断されることがあったと、教授は説明しています。条文ではなく、時代の「常識」が義務のように働いてきた、という点は日仏で共通しています。

セックスレスは離婚理由になる?民法770条と裁判例

長く性交渉が無いことが「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとして、離婚が認められた裁判例はあります。

ただし、民法に「セックスレス」という離婚理由が書かれているわけではありません。裁判所が夫婦の事情を全部見たうえで、その一つとして性生活の不在を重く見た、という形です。

2026年4月から770条は4号までになった

2026年4月1日施行の民法改正で「強度の精神病」の号が削られ、重大な事由は1項4号になりました。

民法770条1項は、裁判で離婚を求められる場合を次のように定めています(2026年10月4日時点の現行条文)。

号 離婚の理由(条文) 性生活との関係
1号 配偶者に不貞な行為があったとき 夫婦以外との性的関係
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき 性行為の拒否は書かれていない
3号 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき 関係なし
4号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき 性交渉の不在が考慮されることがある

改正前は「強度の精神病」が4号、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が5号でした。古い解説記事で「770条1項5号」とあるのは、今の4号のことです。施行日は、法務省が2026年4月1日と案内しています。

京都地裁1987年の判決は何を認めた?

約3年半の同居中に性交渉が無かった事案で、重大な事由に当たるとして妻からの離婚請求を認めました。

法律事務所の解説によると、京都地方裁判所の1987年(昭和62年)5月12日の判決は、夫が自分の性交不能を妻に隠して結婚し、同居から別居までの約3年半、性交渉が無かった事案です。裁判所はこれを「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たると判断し、妻からの離婚請求を認めたと紹介されています。一つの事案の結論なので、性交渉が無ければどの夫婦でも同じ結論になる、とまでは言えません。

裁判例が「義務」の根拠のように読まれてきた

こうした判決は、「性行為を断れば離婚原因になる」という理解の根拠として紹介されることがあります。

大島教授が「義務がないとは断言できない状況だった」と言うのは、この点です。ただ、上の事案は一方が拒んだというより、隠していた事情と長い不在が重なった例です。教授は、刑法改正のあとの離婚訴訟では、「したくない」という意思をはっきり示したこと自体を責める理由にすべきではない、と述べています。

断った側は「有責」になる?慰謝料の考え方

断ったことだけで有責と決まる条文はなく、教授も拒否だけで有責とされるべきではないとの考えです。

離婚の話し合いで「有責」と言われるのは、夫婦関係を壊した主な責任がある側のことです。有責とされた側は慰謝料を求められたり、自分からの離婚請求が認められにくくなったりします。

有責かどうかは何で決まる?

一つの行為ではなく、夫婦の経緯全体を見て、関係を壊した責任がどちらにあるかで決まります。

裁判所は、性生活のことだけでなく、会話の有無、家事や育児の分担、暴言や暴力、別居の経緯などを合わせて判断します。大島教授が「さまざまな夫婦の事情を総合的に判断する」と述べたのはこの部分です。体調や心の状態、相手からの言葉や態度が理由で応じられない場合、その事情も判断に入ります。

「拒否したから慰謝料」と言われたら

慰謝料が認められるかは個別の事情で決まります。一方的に言われた額を、その場で認める必要はありません。

夫婦の間で「応じないなら慰謝料を払え」「離婚になったらお前の責任だ」と言われるケースがあります。法律の上でそう決まっているわけではないので、まず事実関係を書き留め、弁護士や自治体の法律相談に相談するのが確実です。この記事は法律相談の代わりにはならないため、個別の判断は専門家に確かめてください。

夫婦間でも不同意性交等罪は成立する?2023年の刑法改正

成立しえます。2023年7月13日施行の改正刑法は、不同意性交等罪に「婚姻関係の有無にかかわらず」と明記しました。

刑法177条は、暴行や脅迫、アルコール、フリーズ(恐怖で体が固まること)、立場による影響力などで、相手が同意しない意思を形づくり、表し、または貫くことが難しい状態で性交等をした者を、婚姻関係の有無にかかわらず5年以上の有期拘禁刑に処すると定めています。同意が無かったというだけで決まるのではなく、こうした状態にさせたか、その状態に乗じたかという要件を満たすかが個別に判断されます。夫婦であることは、成立を妨げる理由にならない、ということです。

法務省は「確認の意味で明確化した」と説明

改正前も夫婦間で成立するという見方が一般的でしたが、条文に書かれていなかったため明記したとしています。

法務省の性犯罪関係の法改正Q&Aは、改正前から、婚姻関係があるかどうかは性犯罪の成立に影響しないという見解が一般的だったと説明しています。そのうえで、学説の一部に配偶者間での成立を限定的に考える見方もあったため、夫婦の間でも成立することを確認的な意味で条文に書き込んだ、という整理です。

刑法改正が離婚の判断に影響するのはなぜ?

夫婦にも性犯罪の規定が及ぶと法律が明言した以上、「応じないこと」を責める考え方とは両立しにくくなったからです。

民法と刑法は別の法律ですが、裁判官が離婚の判断で照らし合わせる「社会通念」は、法律の変化からも影響を受けます。大島教授は、刑法改正などで「夫婦間でも性的同意が大事」な時代になった、と述べています。同意なく行えば犯罪になりうる行為について、応じなかったことを離婚の責任として重く見る、というのは筋が通りにくい、というのが教授の考えの土台です。

困ったときの相談先

性暴力の相談は全国共通の「#8891」、配偶者からの暴力の相談は「#8008」につながります。

内閣府男女共同参画局によると、#8891は性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国共通短縮番号で、携帯電話やNTTのアナログ固定電話からかけられます(NTTひかり電話からは0120-8891-77)。#8008はDV相談ナビの番号で、近くの配偶者暴力相談支援センターにつながります。夫婦の間のことでも、相談してよい内容です。

フランスはなぜ「夫婦の義務」を民法から外すのか

欧州人権裁判所が2025年1月、性行為の拒否を離婚の過失とした判断は人権条約違反だと判決したためです。

フランスでは、民法215条が夫婦に「共同生活」の義務を課しており、裁判所はこれを根拠に、性関係を持つことも「夫婦の義務(devoir conjugal)」に含まれると扱ってきました。

欧州人権裁判所のH.W.対フランス判決

夫との性関係を拒んだことを理由に、妻だけに責任がある離婚とした判断が、私生活の尊重に反するとされました。

欧州人権裁判所は2025年1月23日、H.W.対フランス事件で、性関係の拒否を「夫婦の義務違反」として妻の一方的な過失による離婚を言い渡したフランスの判断は、欧州人権条約8条(私生活と家族生活の尊重)に違反すると判断しました。結婚に同意したことは、将来の性関係に同意したことを意味しない、という考え方が示されています。

法案の中身と2026年10月時点の段階

下院は2026年1月に全会一致で可決し、上院は4月9日に修正して可決しました。下院の第2読会を待つ段階です。

AFPによると、フランス国民議会(下院)は2026年1月28日、民法で「共同生活は性行為に応じる義務を生じさせない」ことを明確にする法案を全会一致で可決しました。フランス上院の解説によると、上院は4月9日に法案を修正して可決し、215条に「夫婦に性関係を持つ義務を生じさせない」旨を書き込む部分を残す一方、離婚の過失を定めた242条に足す予定だった条項は、1条だけで十分として削りました。法案は下院の第2読会へ戻されていて、2026年10月4日時点で成立(公布)は確認できていません。

時期 出来事
2025年1月23日 欧州人権裁判所がH.W.対フランス判決(性関係の拒否を過失とした離婚は条約8条違反)
2025年12月 超党派の議員が「夫婦の義務」を終わらせる法案を下院に提出
2026年1月28日 下院が全会一致で可決
2026年4月9日 上院が修正して可決(242条の追加条項を削除)
2026年10月4日時点 下院の第2読会待ち。成立は確認できていない

日本との大きな違いは、フランスでは「夫婦の義務」が判例の上ではっきり認められていたため、法律で打ち消す必要があったことです。日本はもともと条文が無く、裁判例も「重大な事由」の一つとして考慮してきた程度なので、出発点が違います。

日本も法律に書くべき?教授の考えと残る論点

教授は、拒否してよいという常識を確立できるなら、あえて法律に書かない方法もありうると述べています。

教授は、日本ももともと法律にルールを細かく書き込まない傾向があると指摘しました。そのため、フランスのように民法へ一文を足すかどうかは難しい問題だ、という立場です。

法律に書く場合と書かない場合の違い

一般には、書けば裁判の基準がはっきりし、書かなければ社会通念の変化と裁判例の積み重ねに任せることになる、と考えられます。

これは教授の問題提起をふまえた編集部の整理です。条文に「性関係を持つ義務はない」と書けば、拒否を離婚の過失とする主張は通りにくくなると考えられますが、実際の影響は条文の書き方と裁判所の解釈しだいです。書かない場合は、今後の裁判官の判断が少しずつ常識を変えていくのを待つことになります。どちらが良いかは、法学者の間でも議論が分かれうる点です。

「拒否してよい」と「性生活が無くても離婚できない」は別の話

拒否が責められないことと、性生活の不在が離婚の理由として考慮されなくなることは、同じではありません。

ここは混同しやすい点です。教授の考えは、拒否した側を「有責」として責めるべきではない、というものです。一方で、夫婦の一方がどうしても性生活を望み、もう一方がどうしても望まないとき、その食い違いが続いて関係が壊れたと判断されれば、どちらが悪いかとは別に、離婚そのものが認められる可能性は残ります。責任の問題と、夫婦関係が続けられるかの問題は分けて考える必要があります。

数字で見る「性的不調和」|離婚調停の申立て動機

2020年の司法統計では、離婚などの調停を申し立てた夫の約11.3%、妻の約6.5%が「性的不調和」を動機に挙げています。

最高裁判所の司法統計年報(家事編)の第19表は、夫婦関係の調停を申し立てた人が挙げた動機を数えています。動機は1人につき3つまで選べるため、同じ人が「性格が合わない」と「性的不調和」の両方を挙げることがあります。下の割合は、申立人の総数に対して、その動機を挙げた人の割合です。

申立人 申立人の総数 「性的不調和」を挙げた人 割合 (参考)「性格が合わない」
夫 15,500人 1,749人 約11.3% 9,240人(約59.6%)
妻 43,469人 2,808人 約6.5% 16,304人(約37.5%)

人数では妻の申立てのほうが多いものの、割合で見ると、性の問題を動機に挙げる比率は夫のほうが高くなっています。

この数字から言えること、言えないこと

性の食い違いが調停の場で珍しくない動機だとは言えますが、どちらが拒んだのかは統計からは分かりません。

「性的不調和」には、どちらかが応じないことのほか、望む頻度の違い、体や心の不調なども含まれうるため、この数字を「拒否する側が多い」と読むことはできません。また、表は2020年の値で、調停を申し立てた人だけを数えたものです。話し合いで離婚した夫婦や、離婚していない夫婦の実態は含まれていません。

「したくない」と伝えるとき・言われたとき、夫婦はどうする?

法律が義務を定めていない以上、答えは夫婦の話し合いにあります。責める言い方を避け、理由と気持ちを分けて伝えます。

法律の位置づけが分かっても、言い出しにくさはすぐには消えません。ここでは、伝える側と受け取る側に分けて、話し合いを続けやすくする工夫をまとめます。

伝える側は「今は」「どうして」を添える

「したくない」だけで終わらせず、今の状態と理由を短く添えると、相手が拒絶を人格否定と受け取りにくくなります。

たとえば「疲れていて今日は無理」「体調のことで気持ちが向かない」「最近の言い方がつらくて、そういう気分になれない」のように、理由が分かると相手も次の行動を考えられます。理由を言いたくないときは「理由はまだうまく言えないけれど、今は応じられない」でも十分です。言わなかったことを責められる理由はありません。

言われた側は「断られた=嫌われた」と結びつけない

断られたことと、相手の愛情や結婚生活の評価は別に考えると、話し合いが続けやすくなります。

性の欲求の強さや頻度は、人によっても時期によっても違います。断られたときに「夫婦の義務だろう」と迫ると、相手は話す気持ちを失いやすくなります。気持ちを伝えたいときは「寂しく感じている」のように、自分の感情を主語にして話すのが一つの方法です。

話し合いで行き詰まったときの選択肢

夫婦だけで解決しにくいときは、夫婦カウンセリング、医療機関、法律相談など、目的に合った第三者を使えます。

体の不調が理由なら婦人科や泌尿器科、気持ちのすれ違いなら夫婦カウンセリング、離婚や慰謝料が話に出ているなら弁護士や自治体の法律相談、と相談先を分けると早く進みます。暴力や強要がある場合は、前の章の#8891・#8008に相談してください。

参考情報

本文で使った報道、条文、公的機関の資料、裁判例の解説を、本文で使った順に並べます。

よくある質問

Q. 事実婚や恋人どうしでも、不同意性交等罪は成り立ちますか?

A. 成り立ちえます。刑法177条の「婚姻関係の有無にかかわらず」は、結婚していてもいなくても同じ規定が及ぶという意味です。

2023年の改正で書き込まれたのは、夫婦だから成立しないという考え方を否定するための言葉です。事実婚や交際中の相手との間でも、177条の要件を満たすかどうかで判断されます。

Q. 2026年4月の民法改正で、離婚の理由は増えましたか?

A. 増えていません。改正で「強度の精神病」の号が削られ、裁判で離婚を求められる理由は5つから4つになりました。

性生活と関係する「その他婚姻を継続し難い重大な事由」は、改正前の5号から4号に移っただけで、中身は変わっていません。古い解説で「5号」とあるものは、今の4号に読み替えてください。

Q. 「性的不調和」の数字は最新のものですか?

A. この記事の表は2020年(令和2年)の司法統計年報の値で、最新の年の数字ではありません。

年によって申立ての件数は変わります。ただ、同じ表の形式で「性的不調和」が動機の一つとして数えられ続けていることから、性の食い違いが夫婦の調停で扱われる問題であることは読み取れます。割合の比較に使うときは、年をそろえて見てください。

本記事は報道・条文・公的資料にもとづく一般的な解説です。個別の法律問題の判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。

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