【10/4】金山町長選は五ノ井義一氏が初当選|59票差・投票率81.76%は過去最低
福島県金山町の町長選挙が2026年10月4日に投開票され、無所属新人で前町議会議長の五ノ井義一氏(75)が633票を獲得し、無所属新人で前町議の栗城康太郎氏(71)を59票差で破って初当選しました。押部源二郎町長が2期8年で引退するのに伴う選挙で、前回2022年は無投票だったため、8年ぶりの選挙戦でした。
投票率は81.76%で、福島民報によると過去最低です。この記事では、開票結果、五ノ井義一氏の経歴と公約、栗城康太郎氏の訴え、投票率が下がった中身、人口約1,700人の町が抱える課題を、福島民報・福島民友・テレビユー福島(TUF)・福島放送(KFB)の報道と町の公式情報をもとに整理します。
この記事でわかること
- 結果:五ノ井義一氏が633票、栗城康太郎氏が574票で、59票差の接戦でした。新人同士の争いです。
- 投票率:81.76%で過去最低です。前回の選挙戦だった2018年の87.06%から5.3ポイント下がりました。
- 新町長の課題:五ノ井氏は農林業の支援と町のコミュニティの再生を掲げており、任期は10月22日から4年間です。
金山町長選挙の結果は? 五ノ井義一氏が59票差で初当選
当選したのは五ノ井義一氏で、得票は633票でした。栗城康太郎氏は574票で、差は59票です。
福島民友新聞によると、当日有権者数は1,519人(男性742人、女性777人)で、新町長の任期は10月22日から4年間です(福島民友新聞)。福島民報は開票当夜に「新人同士の争い制す」と速報しました(福島民報)。開票結果を表にまとめます。
| 結果 | 氏名(年齢) | 党派・新旧 | 肩書 | 得票 |
|---|---|---|---|---|
| 当選 | 五ノ井義一(75) | 無所属・新人 | 前町議会議長 | 633票 |
| 落選 | 栗城康太郎(71) | 無所属・新人 | 前町議 | 574票 |
2人の得票を合わせると1,207票で、五ノ井氏の得票はその約52%、栗城氏は約48%にあたります。町を二分する接戦だったことが数字から読み取れます。
59票差はどのくらいの接戦か
59票は当日有権者1,519人の約4%にあたり、30人が投票先を変えていれば結果が逆転していた差です。
得票が633票と574票で、30票が五ノ井氏から栗城氏へ移ると栗城氏が604票、五ノ井氏が603票になります。少数の票の移動で結果が変わり得る差でした。金山町には大小30の集落があると町は紹介しています(金山町公式サイト)。
五ノ井義一氏とはどんな人物か 町議6期・議長を約7年
五ノ井義一(ごのい・ぎいち)氏は75歳の前町議会議長で、町議を6期務め、そのうち約7年間は議長でした。
福島民友新聞によると、五ノ井氏は県町村議会議長会の副会長も歴任しています(福島民友新聞)。町議会の運営を長く担ってきた人物が、執行部の長に転じる形になります。町長としての行政経験はなく、今回が初当選です。
(編集部分析)町議会の議長は、町長が出す予算や条例をチェックする側の代表です。その立場を長く務めた人が町長になると、議会の手続きや町の財政の細部に通じている強みがある一方、これまで一緒に議論してきた議会との間で、なれ合いにならない緊張関係を保てるかが問われると評価できます。
五ノ井氏の公約は「農林業の支援とコミュニティの再生」
五ノ井氏が掲げた公約の柱は、農林業の支援と町のコミュニティの再生です。
テレビユー福島は、五ノ井氏の訴えを「農林業の支援と町のコミュニティの再生」と伝えました(TUFテレビユー福島)。福島放送は「持続可能な仕組みとコミュニティの再生、移住者と地元住民の共存促進」と紹介しています(KFB福島放送)。媒体によって表現は異なりますが、地域の結びつきを立て直すことと、移住者を含めた住民の暮らしを続けられる仕組みづくりが共通しています。
町の面積の90%は森林で、農林業は町の土台です。担い手の高齢化が進む中で、農地と山林をどう維持するかが公約の実行で問われます。
対立候補の栗城康太郎氏は何を訴えたのか
栗城康太郎氏は71歳の前町議で、町民が安心して暮らせる町づくりと移住定住の促進を訴えました。
テレビユー福島は栗城氏の公約を「町民が安心して暮らせる町づくり、移住定住の促進」と伝え、福島放送は「若者や移住者が定着する町づくりや生活基盤の充実」と報じています。2人とも移住者に触れており、人口減少への対策が選挙戦の共通の土台でした。
福島民友新聞によると、両候補は少子高齢化対策による持続可能な町づくりを主な争点に支持を訴えました。両候補の訴えを並べると、違いは「何から手を付けるか」の順番にあります。
| 項目 | 五ノ井義一氏(当選) | 栗城康太郎氏 |
|---|---|---|
| 経歴 | 町議6期・議長を約7年・県町村議会議長会副会長 | 前町議 |
| 公約(TUF) | 農林業の支援と町のコミュニティの再生 | 町民が安心して暮らせる町づくり、移住定住の促進 |
| 公約(KFB) | 持続可能な仕組みとコミュニティの再生、移住者と地元住民の共存促進 | 若者や移住者が定着する町づくりや生活基盤の充実 |
| 得票 | 633票 | 574票 |
当日有権者1,519人に対する得票の割合(絶対得票率)で見ると、五ノ井氏は約41.7%、栗城氏は約37.8%です。当選した五ノ井氏も、有権者の半数を超える票を得たわけではありません。新町長が町全体の支持を固めるには、栗城氏に投じた有権者の訴えも受け止める必要があります。
五ノ井氏は今いる住民の生業と地域のつながりを先に置き、栗城氏は新しく入る人を呼び込むことを前に出した、という違いが表から見えます。結果は前者が59票上回りました。
投票率81.76%は過去最低 何と比べて下がったのか
今回の投票率81.76%は金山町長選で過去最低で、前回の選挙戦だった2018年の87.06%より5.3ポイント低い数字です。
比べる相手は4年前ではなく8年前です。2022年の町長選は押部源二郎町長のほかに届け出がなく、無投票だったため投票率がありません(政治山)。選挙ドットコムの記録でも、2018年9月30日の選挙(候補2人・投票率87.06%)、2022年10月9日(無投票)、2026年10月4日(候補2人・81.76%)の順になっています(選挙ドットコム)。
| 投開票日 | 候補者数 | 投票率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2018年9月30日 | 2人 | 87.06% | 押部源二郎氏が初当選 |
| 2022年10月9日 | 1人 | 無投票 | 押部氏が再選(告示日の名簿登録者1,695人) |
| 2026年10月4日 | 2人 | 81.76% | 五ノ井義一氏が初当選・過去最低 |
当日有権者1,519人に投票率81.76%を掛けると、投票した人は約1,242人、投票しなかった人は約277人と計算できます。2人の得票の合計は1,207票なので、投票した人のうち30人余りは、無効票などで得票に数えられなかったことになります(選挙管理委員会の発表の内訳は報道に出ていません)。
8割を超える投票率は全国の首長選挙と比べれば高い水準ですが、この町の過去の選挙と比べると最も低くなりました。下がった理由を報道は伝えていないため、ここでは数字の中身だけを見ます。
男女別では女性の投票率が77.09%
男女別の投票率は男性86.66%、女性77.09%で、女性が男性を9.57ポイント下回りました。
福島民報が男女別の数字を伝えています。当日有権者は女性が777人で男性の742人より多いため、女性の投票率の低さが全体の投票率を押し下げた形です。女性の投票率が低かった理由を示すデータは、報道にはありません。
期日前投票は9月30日から10月3日まで、町開発センターと町役場横田出張所の2か所で行われました(福島民報)。
なぜ8年ぶりの選挙戦になったのか
2期8年務めた押部源二郎町長が今期限りでの引退を表明し、新人2人が立候補したため、8年ぶりの選挙戦になりました。
押部氏は2018年の選挙戦で初当選し、2022年は無投票で再選しました。今回は9月29日の告示日に五ノ井氏と栗城氏の2人が届け出て、福島民報は「新人2人による選挙戦確定」と速報しています(福島民報)。告示から投開票までの流れを図にまとめます。
押部源二郎氏が初当選(投票率87.06%)
届け出は押部氏のみ。無投票で再選
告示。押部氏は引退し、新人2人が届け出
期日前投票(町内2か所)
投開票。五ノ井義一氏が633票で初当選
新町長の任期が始まる(4年間)
今回は押部氏の引退後に新人2人が立候補したため、町民が8年ぶりに投票で町長を選ぶ選挙になりました。
同じように久しぶりの選挙戦になった町長選として、12年ぶりに選挙戦になった埼玉県の寄居町長選の結果は「寄居町長選2026の結果|峯岸克明氏が6,866票で再選、12年ぶりの選挙戦で投票率は34.72%」で整理しています。寄居町の投票率は34.72%で、金山町の81.76%とは大きく違います。
金山町はどんな町か 人口約1,700人・高齢化率は6割超
金山町は福島県会津地方の南西部、奥会津にある人口約1,700人の町で、町の公式サイトは高齢化率を約61.87%と紹介しています。
町の公式サイトによると、世帯数は約1,000世帯、面積は293.92平方キロメートルで、その90%が森林です。新潟県と接し、町の中央を只見川が流れ、東部に沼沢湖があります。日本海側の気候で、根雪の期間が4か月に及ぶ豪雪地帯です。会津若松からはJR只見線で約2時間かかります(金山町公式サイト)。
2025年の国勢調査の確定値では、福島県全体の高齢化率は34.1%で、県内で最も高いのは飯舘村の61.4%でした。福島民友新聞は、金山町や川内村など6町村で高齢化率が5割を超えたと報じています(福島民友新聞)。町の公式サイトの約61.87%は基準日が書かれていないため、国勢調査の数字とは分けて扱います。
有権者は4年で約1割減った
今回の当日有権者は1,519人で、4年前の告示日の選挙人名簿登録者1,695人から176人少なくなっています。
2つの数字は数えた時点と基準が違う(当日有権者と告示日の名簿登録者)ため、厳密な比較ではありません。それでも約1割の減少は、この町で人口減少が選挙の規模にまで表れていることを示しています。
新町長の五ノ井氏が向き合う課題は何か
五ノ井氏が向き合う最大の課題は、高齢化と人口減少の中で農林業と集落の暮らしをどう続けるかです。
両候補が争点に挙げた「少子高齢化対策による持続可能な町づくり」は、住民の6割が65歳以上の町では、今いる人の生活をどう支えるかと、次の担い手をどう迎えるかの2つに分かれます。五ノ井氏は公約で農林業の支援とコミュニティの再生を前に出し、福島放送の報道では移住者と地元住民の共存の促進にも触れています。
(編集部分析)面積の9割を森林が占める町にとって、農地と山林を手入れし続けることは、一つの町の産業の話にとどまらず、只見川の水源と国土を守る仕事でもあると評価できます。担い手がいなくなった山林や農地は、管理が行き届かなくなり、誰の手に渡るのかが見えにくくなります。移住者を迎えることは担い手を増やす現実的な手段ですが、誰が、どんな形でその土地に関わるのかを町が自ら把握し、地域の暮らしと調和させる仕組みが伴ってこそ意味を持ちます。五ノ井氏が掲げた「移住者と地元住民の共存」が、補助金頼みの人集めではなく、町の自立につながる形で進むかが問われます。
只見線の全線再開から4年 町の足と観光をどう生かすか
只見線を生かすには、観光で訪れた人に町内で長く過ごしてもらい、農林業や移住につなげることが課題です。
町を通るJR只見線は2011年7月の新潟・福島豪雨で不通になり、2022年10月1日に約11年ぶりに全線で運転を再開しました。JR東日本によると、2011年7月の新潟・福島豪雨で多数の鉄橋や線路が流され、長く不通が続いていました。只見線は会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ約135キロの路線で、全線を走る列車は1日3本です(2025年10月時点・JR東日本)。復旧した会津川口〜只見間は福島県が維持管理を担い、県は只見線管理事務所を置いて利活用の促進にも取り組んでいます(福島県)。
町の公式サイトは、町の東部にある沼沢湖や、会津若松から約2時間の只見線を町の紹介に挙げています。列車の本数が限られる中で、観光客を町の中で過ごす人に変え、農林業や移住につなげられるかは、新町長が掲げた「コミュニティの再生」とも重なる課題です。
(編集部分析)只見線の会津川口〜只見間は、福島県が自ら維持管理を担う形で残した区間です。地元が自ら選んで守った交通網を、町の暮らしと産業にどう生かすかは、国や鉄道会社に任せきりにせず、町が主体となって考えるべき点だといえます。
(編集部分析)59票差という結果は、町の進む方向について住民の考えが割れていることも示しています。新人同士の選挙で、敗れた側に投じた574票の声をどう町政に取り込むかは、新町長の最初の仕事になると考えられます。
町長選の結果を受けて自分の地域で何ができるかを考えるなら、まず町の広報や公式サイトで、新町長の所信表明や当初予算にどの公約が載るかを確かめるのが近道です。
金山町長選のよくある質問
金山町長選について、本文で触れていない点を質問の形でまとめます。
Q. 金山町はどこにある町ですか?山形県の金山町とは違いますか?
A. 今回の金山町は福島県大沼郡の金山町(かねやままち)で、山形県最上郡の金山町とは別の町です。福島県の金山町は会津地方の南西部にあり、新潟県と接しています。
Q. 五ノ井義一氏の名前は何と読みますか?
A. 「ごのい・ぎいち」と読みます。金山町議会の公式ページの議員名簿に、ふりがな付きで掲載されています(金山町議会)。
Q. 次の金山町長選挙はいつですか?
A. 新町長の任期は2026年10月22日から4年間のため、任期満了に伴う次の町長選は2030年10月ごろの見込みです。任期の途中で町長が辞職した場合などは、その時点で選挙が行われます。
選挙結果の詳しい数字は、金山町の選挙管理委員会の発表や福島県内の報道で確認できます。
参考情報
- 福島民友新聞「新人・五ノ井義一氏が初当選 金山町長選:速報」(2026年10月4日)
- 福島民報「<速報>金山町長に五ノ井氏 初当選、新人同士の争い制す」(2026年10月4日)
- 福島民友新聞「金山町長選、終盤の情勢」(2026年10月2日)
- TUFテレビユー福島「金山町長選告示、新人2人が立候補 8年ぶり選挙戦へ」(2026年9月29日)
- KFB福島放送「金山町長選挙 新人2人が立候補」(2026年9月29日)
- 福島民報「<速報>新人2人による選挙戦確定 金山町長選8年ぶり実戦」(2026年9月29日)
- 福島民報「期日前投票始まる 金山町長選」
- 政治山「[福島]金山町長選 現職の押部氏が無投票で再選」(2022年10月4日)
- 選挙ドットコム「福島県金山町の選挙一覧」
- 福島民友新聞「福島県内の高齢化率、最高は飯舘村の61.4% 金山町や川内村など6町村で5割超」(2026年9月30日)
- 福島県金山町公式サイト「町のプロフィール」
- 金山町議会「議会の組織・構成」
- JR東日本「全線運転再開3周年を迎えた只見線の今をお伝えします」
- 福島県「只見線管理事務所」
