【10/6】大村知事「来てほしくなかった」タイ代表の食事投稿とは

愛知県の大村秀章知事が2026年10月6日の定例記者会見で、アジア大会のテックボールに出場したタイ代表の関係者について「何しに来たんだと思った。来てほしくなかった」と述べました。きっかけは、タイ代表の関係者が「食事が少ない」とSNSに投稿したことです。

大村知事はアジア大会の組織委員会の会長を務めました。毎日新聞によると、テックボールは組織委が運営の実務や経費を負担しない条件で加わった競技で、食事も組織委ではなく競技団体が用意していました。発言の言葉、タイ側の投稿の中身、食事を出したのは誰か、同じ会見で語られた大会の総括とトラブルの説明を、10月7日時点の報道から整理します。

この記事でわかること

  • 発言の中身:大村知事は「『こんな料理しかない』というのはちょっとひどい。再生回数稼ぎに来たのかと思った」「こういう人には来てほしくなかった」と述べました(毎日新聞)。
  • 食事を出したのは誰か:テックボールの宿舎や食事は組織委ではなく競技団体が担当。組織委は9月22日に「食事は組織委が提供したものではない」と発表していました。
  • 同じ会見での説明:選手団が想定より約2千人多い約1万7千人に増えたこと、会場設営を担ったGLイベンツの日本法人が一部で期限を守れなかったことを、トラブルの背景に挙げました。
目次

大村知事「来てほしくなかった」発言の中身

大村知事は10月6日の会見で、食事が少ないと投稿したタイ代表の関係者に「来てほしくなかった」と述べました。

発言は、4日に閉幕した愛知・名古屋アジア大会を振り返る定例記者会見の中で出ました。毎日新聞の記事から、発言の言葉と、この話題が会見に出てきた流れを確認します。

大村知事が会見で述べた言葉

毎日新聞が伝えた発言は「何しに来たんだと思った。来てほしくなかった」と「再生回数稼ぎに来たのか」の2つです。

毎日新聞によると、大村知事はタイ代表の投稿について「『こんな料理しかない』というのはちょっとひどい。再生回数稼ぎに来たのかと思った」と述べ、そのうえで「こういう人には来てほしくなかった」と語りました。記事の見出しにも「来てほしくなかった」の言葉が使われています。

スポーツメディアのサカノワも10月7日朝、この発言を「これ以上言うとあれなんで…」という言葉とともに見出しに取り上げています。大村知事が途中で言葉を止めた場面があったことがうかがえますが、前後のやり取りの全文は10月7日時点で公表されていません。

なぜこの話題が会見で出たのか

大会全体を振り返る話の中で、大村知事がタイ代表の食事投稿についても触れました。

毎日新聞は「大村知事は大会を振り返る中で、この話題についても言及」と書いています。タイ代表の投稿は大会の開幕前に一部のメディアが取り上げ、組織委が説明を出していた話題でした。閉幕後最初の定例会見で、組織委の会長として改めて見解を示した形です。

テックボールのタイ代表は何を投稿したのか

タイ代表の監督が、名古屋で出された昼食を動画で紹介し「少なすぎる」「毎日野菜ばかり」と話したものです。

テックボールは、サッカーと卓球を組み合わせたハンガリー発祥の新しい競技です。アジア大会では今回の愛知・名古屋大会で新しく実施されました。

監督が動画で話した内容

昼食の量が少ない、白飯しか選べない、野菜は1種類しか選べない、という3点への不満です。

話したのはタイ代表監督のオート・レワット氏です。THE DIGESTによると、レワット氏が登場したのは、タイのテックボール情報を発信するFacebookページ「Teqball Thailand Inside」が公開した動画です。

レワット氏は動画で「名古屋での今日の昼ご飯です。清涼飲料水、スープ、細麺」と説明し、「俺には少なすぎる! ご飯も白飯しか食べられない」「本当に毎日野菜ばかり食べている。しかも野菜を2種類選ぶことすらダメで、1種類しか選ばせてくれない」と話したとされています。THE DIGESTの記事は9月18日、開会式の前日に配信されました。

タイ国内でどう広がったか

タイの大手テレビ局の朝のニュース番組がこの動画をSNSで取り上げ、タイ国内で話題になりました。

THE DIGESTによると、タイで視聴率が高い「Channel 3」の朝の番組が動画を紹介したことで拡散し、ネット上には「日本のレベルが驚くほど落ちている」「かわいそう、これじゃ力が出ないんじゃない?」といった声が出たといいます。食事への不満はタイ代表だけではなく、韓国の陸上選手も9月24日のレース後に「あまりに不十分」と話したと韓国メディアが伝えています。

報道で食い違う「どこで出された食事か」

食事が出された場所は、毎日新聞が「競技会場」、THE DIGESTが「宿舎」と書いており、報道で一致していません。

この記事ではどちらかに寄せず、報道ごとの書き方をそのまま並べます。

項目 毎日新聞(10月6日) THE DIGEST(9月18日) 韓国スターニュース(9月25日)
投稿した人 タイ代表チームの関係者 タイ代表監督のオート・レワット氏 タイ代表の監督
食事が出された場所 競技会場 宿舎 食堂(場所の明記なし)
不満の中身 メニューが少ない 量が少ない・野菜は1種類しか選べない 量が少ない・野菜は1種類だけ
投稿の場 SNS Facebookページの動画 SNS(画像)

投稿した人と不満の中身はおおむね一致していますが、場所だけが分かれています。どちらの場合でも、次の章で見るとおり、テックボールの食事を用意したのは組織委ではなく競技団体でした。

食事は誰が出したのか|組織委の説明とテックボールの条件

テックボールの宿舎と食事は、組織委ではなく競技団体が担当していました。組織委は9月22日にそう発表しています。

ここが大村知事の発言を読むうえでの前提になります。テックボールは他の競技と違う条件で大会に加わっていました。

2月に条件付きで正式競技に追加

テックボールは、組織委が運営の実務や経費を負担しないことなどを条件に、2026年2月に正式競技になりました。

毎日新聞によると、追加はアジア・オリンピック評議会(OCA)の要望を受けたものです。組織委は運営と費用を引き受けない代わりに受け入れ、宿舎や食事などの運営は競技団体が担いました。開幕の7か月前に決まった追加で、他の競技とは準備の進め方が違っていたことになります。

9月22日の組織委の発表

タイ代表の投稿が報じられたあと、組織委は「食事は組織委が提供したものではない」と発表しました。

毎日新聞は、一部メディアがタイチームの投稿を取り上げたことを受けて、組織委が9月22日に発表したと伝えています。韓国メディアの報道では、組織委は批判の声を受け止めたうえで、競技日程や練習に合わせた食事の仕組みを用意し、アレルギーや宗教上の制限には業者と協力して対応していると説明したとされます。

(編集部分析)組織委が用意していない食事を理由に、日本の受け入れ全体が劣っているかのように母国で広まったのであれば、日本側が事実を示して反論するのは当然です。ただ、反論の中身は「誰が用意したか」という事実で足ります。会長自らが「来てほしくなかった」と相手の人柄に踏み込んだことで、事実の説明より言葉の強さが先に伝わってしまった面は否めません。

発言までの時系列

投稿は開幕前の9月18日ごろに報じられ、組織委の説明が9月22日、大村知事の発言は閉幕2日後の10月6日です。

報道で確認できる日付を順に並べると、次のようになります。

2026年2月
テックボールが組織委の負担なしの条件で正式競技に追加
8月ごろ
OCAが選手団を「1万7千人以上」と発表(開幕1か月前)
9月18日
タイ代表監督の「少なすぎる」動画を日本のメディアが報道
9月19日
アジア大会が開会
9月22日
組織委が「食事は組織委が提供したものではない」と発表
10月4日
アジア大会が閉幕
10月6日
大村知事が定例会見で「来てほしくなかった」と発言
10月18日
アジアパラ競技大会が開幕予定

OCAの発表の日付は、朝日新聞の「開幕1カ月前」という記述からの目安です。投稿の騒ぎから知事の発言までは約3週間あき、その間に大会は全日程を終えています。

大村知事はアジア大会をどう総括したか

大村知事は「全ての競技を完遂できた」と述べ、愛知・名古屋が世界に発信されたことを「最大のレガシー」と評価しました。

同じ会見で示された大会の数字を、出どころごとにまとめます。チケットと視聴者の数字は会見時点の推計で、確定値ではありません。

項目 会見で示された数字 数字の性格 出どころ
競技の規模 43競技469種目 確定 朝日新聞
選手団の人数 約1万7千人(想定は約1万5千人) 知事の説明 朝日新聞・東海テレビ
チケット販売 約150万枚のうち約110万枚(7割) 推計・精査中(想定は6割) 共同通信・朝日新聞
世界の視聴者 30億人以上 OCAの推計 共同通信・朝日新聞
クルーズ船に泊まった国 42か国ほど 知事の発言(「かな」と留保) 東海テレビ

数字の多くは推計か知事の説明で、組織委の最終報告で変わる可能性があります。以下、主な2点を見ます。

「全競技完遂」とチケット7割

大村知事は「事件事故やけが人の報告もなく、安心安全な大会として全ての競技を完遂できた」と述べました。

共同通信によると、チケットは販売枚数約150万枚に対し約110万枚が売れたと説明しました。朝日新聞は、大村知事が「精査中」としつつ販売率を60%の想定を上回る「70%超」とみて「販売は成功したといえる」と述べたと伝えています。

視聴者30億人と「最大のレガシー」

OCA幹部から30億人以上が大会を視聴したと説明を受け、知事は「世界に発信されたのが最大のレガシー」と述べました。

中京テレビによると、大村知事はこの推計が東京オリンピックの30億人を超えたという話題にも触れました。東海テレビは、知事が「アジアだけではなく、世界中で日本、愛知・名古屋の認知度の変化があった」と語ったと伝えています。

相次いだトラブルと原因の説明|選手団2千人増とGLイベンツ

大村知事は、選手団が直前に約2千人増えたことを主な原因に挙げ、会場設営の業者が期限を守れなかった点にも苦言を呈しました。

大会期間中の運営トラブルと、大村知事の「0.000001%」発言・謝罪の経緯は、関連記事アジア大会「0.000001%」発言とは|愛知県知事の謝罪と運営トラブルで整理しています。

大会では、国歌の取り違えや選手送迎バスの輸送ミスなどが相次ぎました。知事は原因について「どれがということを、大会会長として申し上げるのは控えた方が良い」と前置きしたうえで、いくつかの背景を挙げています。

国歌の取り違えに「あってはならない」

男子ホッケーで韓国の国歌の代わりに北朝鮮の国歌が流れた件について、大村知事は「正直あってはならない」と述べました。

中京テレビによると、組織委は韓国選手団に謝罪しています。大村知事はこのミスを会場運営を担った業者の管轄で起きたものとし、「われわれは事業者を信頼してやるしかない」「(アジアパラ大会まで)まだ終わっていないので厳しく指摘をしていかなければ」と語りました。

選手側からの不満は国歌や食事にとどまりません。マレーシアの英字紙The Starによると、タイ国内オリンピック委員会の幹部は9月24日、宿泊の割り当てが混乱した状態を「椅子取りゲーム」にたとえて批判し、クルーズ船のベッドが必要数に足りなかった日があったと述べています。

選手団「約2千人増」の中身

選手団は組織委との契約を上回る約1万7千人に膨らみ、知事はこれが運営の負担になったとの見方を示しました。

朝日新聞によると、OCAが開幕1か月前に「1万7千人以上」と発表し、組織委はその後「1万5千人超」としてきましたが、最終的に約1万7千人に増えたといいます。大村知事は「1カ月前ですから、そこの負荷、いろんな意味での追加とかスケジュール変更とかが重なったことが一番大きかったという感じはする」と述べ、背景として五輪のような参加標準記録がない大会の性格を挙げました。

GLイベンツの日本法人への苦言

会場の設営と運営を担ったフランスのGLイベンツ(契約は日本法人)について、知事は「期限を守れなかったところがあった」と述べました。

朝日新聞によると、大村知事はパリ五輪やジャカルタのアジア大会での同社の実績を挙げつつ、仮設設備などで期限を守れず、施設完成後の点検やテストが十分にできなかったと指摘しました。CBCテレビの取材には「我々が設定していた期限を、全部が全部守られなかったという所はあったので、その点は残念だった」と答えています。CBCテレビは、同社の日本法人について、2025年の大阪・関西万博で工事代金の未払い問題が浮上していると伝えています。

(編集部分析)原因の説明が、OCAの人数の上乗せと海外の業者の期限遅れという「外の要因」に寄っている点は見ておく必要があります。人数の上乗せも業者の遅れも事実として報じられていますが、それを見越した契約や監督の仕組みを持っていたかは組織委の側の問題です。大会には愛知県と名古屋市の公費が入っており、県民・市民への説明は「控えたい」では済みません。大型の国際行事を海外の業者に任せる場合、契約と検査の主導権を日本側が確実に握れていたのかを、検証の場で明らかにすべきです。

「来てほしくなかった」発言をどう読むか

食事の用意役が誤解されて広まった以上、日本側が説明する理由はありました。ただ、言葉は強すぎた面があります。

ここでは、報道で確認できる事実と、この記事の見方を分けて書きます。

発言の前提になった事実

テックボールの食事は組織委の担当外で、そのことは知事の発言の2週間前に組織委が発表していました。

監督の動画はタイの「Channel 3」の朝の番組がSNSで紹介し、ネット上には「日本のレベルが驚くほど落ちている」といった声が出ました(THE DIGEST)。ただ、動画に映った食事は組織委が用意したものではありません。タイ代表はその後、テックボールで好成績を収めています。タイの英字紙Khaosod Englishによると、タイは9月20日の男子ダブルス決勝に勝ち、出場した3種目すべてで金メダルを獲得しました。

タイ側・選手側から出ていた声

タイ側からは、食事だけでなく宿泊や輸送の混乱についても批判が出ていました。

前の章で見たとおり、タイ国内オリンピック委員会の幹部は宿泊の割り当てを「椅子取りゲーム」と批判しています。韓国の選手も食事の量に不満を述べたと報じられています。タイランドハイパーリンクスは10月7日、大村知事の発言が「タイでも波紋」を呼んでいると見出しで伝えていますが、タイ国内での具体的な反応の中身は、この記事では確認できていません。

なお、監督が述べた食事の量や選べる品数そのものが事実と違ったかどうかは、報道からは確認できません。誤解があったと言えるのは、その食事を誰が用意したかという点です。

(編集部分析)日本の受け入れが不当におとしめられたときに、はっきり反論する姿勢は日本人の誇りを守るうえで大切です。ただし、その反論は「食事は競技団体の担当で、組織委は条件付きで受け入れた」という事実を示す形で十分に伝わります。相手国の関係者を「再生回数稼ぎ」と決めつける言い方は、事実の反論を感情の応酬に変え、運営の不手際という本来の論点から目をそらさせてしまいます。大会の会長は開催国の顔であり、その言葉は外交上の重みを持ちます。誇りを守ることと、品位を保つことは両立させるべきです。

18日開幕のアジアパラ大会で問われること

10月18日に始まるアジアパラ競技大会で、同じ運営のトラブルを繰り返さないかが問われます。

東海テレビによると、アジアパラ大会に訪れる大会関係者はおよそ4千人で、アジア大会の4分の1ほどの規模です。大村知事は「体制の大きな変化はない」としつつ、「しっかりやっていける」と話しました。設営の期限については「厳しく指摘をしていかなければ」と述べており、業者との関係がどう変わるかが焦点になります。

10月7日時点で分かっていないことは、主に次の3点です。1つ目は、トラブルごとの原因と責任の所在を組織委がどう検証するか。2つ目は、チケット販売や視聴者数の確定値。3つ目は、大村知事の発言に対するタイ側の公式な反応です。

この件の続きを自分で確かめたい人は、次の4つを見るのが近道です。①愛知県・組織委が出すアジア大会の検証や最終報告(チケットと視聴者の確定値、トラブルごとの原因)、②10月18日開幕のアジアパラ大会で送迎や会場の運営が改善されたか、③タイ国内オリンピック委員会やタイのテックボール団体の声明、④大村知事の次の定例会見で発言について質問が出るかどうかです。新しい事実が出たら、この記事でも追って整理します。

大村知事の「来てほしくなかった」発言のよくある質問

検索で多い疑問に、10月7日時点で分かっている範囲で答えます。

Q. 大村知事は誰に対して「来てほしくなかった」と言ったのですか?

A. 食事が少ないとSNSに投稿した、テックボールのタイ代表の関係者に対してです。タイの選手団全体やタイの国に向けた発言ではありません(毎日新聞)。

Q. タイ代表の食事は組織委が出していたのですか?

A. いいえ。テックボールは組織委が運営と経費を負担しない条件で加わった競技で、宿舎や食事は競技団体が担当しました。組織委は9月22日にそう発表しています。

Q. タイ代表の「食事が少ない」という不満は本当だったのですか?

A. 量や品数が実際にどうだったかは、10月7日時点の報道では確かめられていません。はっきりしているのは、その食事を組織委ではなく競技団体が用意していたという点です。

Q. アジアパラ大会の運営体制は変わるのですか?

A. 大村知事は「体制の大きな変化はない」としています(東海テレビ)。業者や組織の入れ替えは、10月7日時点で報じられていません。

Q. 発言は撤回されたのですか?

A. 10月7日9時の時点で、大村知事が発言を撤回したり謝罪したりしたという報道は確認できていません。

参考情報

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