【10/16】S0系とは?東海道新幹線の新型は2029年7月から|のぞみ指定席は700円値上げ

JR東海は2026年10月16日、東海道・山陽新幹線の次期車両の名前を「S0系(エスゼロけい)」と発表しました。2029年7月に営業運転を始める予定で、N700S(2020年デビュー)以来のフルモデルチェンジです。同じ日、JR東海とJR西日本は「のぞみ」「みずほ」の指定席特急料金を2027年7月1日購入分から上げることも発表しました。東京―新大阪の普通車指定席(通常期・おとな片道の運賃と料金の合計)は14,720円から15,420円になり、700円の値上げです。
この記事では、S0系がいつから走り、何が変わるのか、そして指定席とグリーン車の料金がどれだけ上がるのかを、JR東海の発表資料と報道をもとに整理します。
この記事でわかること
- S0系はいつから:2028年8月に確認試験車、2029年7月に営業運転開始、2032年度上期までに25編成。
- 何が新しいか:運転士が乗る自動運転(GOA2)、地震時のブレーキ開始を約0.2秒に短縮、消費電力はN700S比約6%減。
- のぞみはいくら上がるか:2027年7月1日購入分から東京―新大阪で700円、東京―名古屋で580円。自由席は据え置き。
S0系とは?東海道・山陽新幹線の次期車両
S0系は、JR東海が東海道・山陽新幹線に投入する次の主力車両で、N700Sの後を継ぐフルモデルチェンジ車です。
トラベル Watchによると、名前の「S」は英語の Shinkansen と、N700Sでも使った Supreme の頭文字です。「0」は東海道・山陽新幹線の新たな進化の起点を表すとされています。これまで東海道新幹線の車両は0系・100系・300系・700系・N700系と数字の形式名が続いてきましたが、今回は英字と0を組み合わせた新しい付け方になりました。
先頭の形は新しく開発した「ツイン リーメクス形」です。リーメクスは鳥の風切羽(かざきりばね)を指す言葉で、N700Sの「デュアル スプリーム ウィング形」を発展させ、先頭と後尾の両方で空気の流れを整える形だと説明されています。N700Sと同じく、編成の両数を組み替えやすい「標準車両」として開発されます。
(編集部分析)2020年のN700Sから9年後の2029年に次の車両へ切り替わり始めることは、東海道新幹線が「同じ形の車両を長く使う」段階から、自動運転や地震対策といった運行の仕組みごと更新する段階に入ったと読めます。見た目の新しさより、運転の方法が変わる点が今回の本題です。
S0系はいつから乗れる?2029年7月に営業運転開始
S0系に乗れるのは2029年7月の予定で、その前の2028年8月に確認試験車1編成を走らせて試験をします。
営業用の車両は2029年度から2032年度上期にかけて、合計25編成を順に入れていく計画です。2032年度下期以降の投入計画は決まっていません。年度ごとの本数は次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2028年8月 | 確認試験車1編成を投入し、各種試験 |
| 2029年7月 | 営業運転開始(予定) |
| 2029年度 | 8編成 |
| 2030年度 | 7編成 |
| 2031年度 | 7編成 |
| 2032年度上期 | 3編成(合計25編成) |
25編成がそろっても、東海道新幹線を走る車両の多くは当面N700SやN700Aのままです。2029年7月以降もしばらくは、S0系に当たるかどうかは列車ごとに変わると考えておくのが無難です。どの列車がS0系で走るかは、まだ発表されていません。
S0系の自動運転「GOA2」とは?運転士は乗ったまま
S0系の自動運転は、運転士が運転室に乗ったまま列車が自動で走る「GOA2」という方式で、無人運転ではありません。
GOA2で運転士がすることと列車がすること
運転士が出発のボタンを押し、その後の加速・減速・停止は列車が自動で行います。
列車は決められた計画速度に従って走り、定刻に目的の駅へ着いて所定の位置に止まります。停止位置の制御には「TASC(定位置停止装置)」を使い、TASCは2026年9月から東海道新幹線の全営業列車で使われています。計画速度は、効率よく加速し惰行(モーターを使わず惰性で走ること)を生かす省エネ運転を前提に決めると説明されています。
ミリ波列車無線で遅れを取り戻す
S0系は無線で最新のダイヤを受け取り、計画速度を自動で直して遅れを取り戻せるようになります。
使うのは40GHz帯の「ミリ波列車無線」で、ダイヤや速度制限などの情報を受け取ります。運行管理システム「コムトラック」からの運転情報の送信は、2030年度末から使い始める予定です。
次の図は、S0系の導入と自動運転の機能が広がる順番をまとめたものです。
S0系と料金改定を発表
確認試験車1編成
営業運転開始・GOA2
N700SもGOA2へ改造
無線で回復運転を開始
このように、自動運転はS0系だけのものではなく、既存のN700Sにも2029年10月以降に順次広げる計画です。新しい車両が来るのを待たなくても、乗る列車の運転の仕方は少しずつ変わっていきます。
地震のブレーキは約0.2秒に、消費電力はN700S比約6%減
S0系は地震を検知してからブレーキをかけ始めるまでの時間を、今の約2秒から約0.2秒に縮めます。
「早期地震検知システム」で、地震を検知した情報をミリ波列車無線で車両へ直接送る仕組みです。時速285キロから地震時のブレーキをかけた場合、止まるまでの距離はN700Sより約5%短くなるとされています。早期地震検知システムはN700Sにも入れる予定です。
環境面の数字は次のとおりです。
| 項目 | 今の車両 | S0系 |
|---|---|---|
| 地震検知からブレーキ開始まで | 約2秒 | 約0.2秒 |
| 時速285キロからの停止距離 | N700Sが基準 | 約5%短い |
| 編成全体の消費電力量 | N700Sが基準 | 約6%少ない |
| 構体に占める再生アルミの割合 | N700Sは約14% | 約20% |
消費電力が減るのは、自動運転で無駄の少ない走り方をすることと、効率の高い電気機器を積むことの2つが理由です。地震の多い日本で、ブレーキまでの時間を10分の1にする点は、速さより安全を重く見た改良といえます。
(編集部分析)東海道新幹線は首都圏・中京圏・関西圏を結ぶ国の大動脈で、南海トラフ地震への備えは国全体の課題です。時速285キロの列車は1秒で約80メートル進むため、検知からブレーキまでを約1.8秒縮めることは、止まるまでの距離を縮める上で意味のある改良と評価できます。
S0系のグリーン車と車内設備はどう変わる?
S0系では、グリーン車に2種類の新しい座席が入り、普通車でも荷物置場やトイレが広がります。
グリーン車:アームレスト座席とパーティション座席
グリーン車は8・9号車が多機能アームレスト座席、10号車が仕切り付きのパーティション座席になります。
8・9号車の「多機能アームレスト座席」(8号車68席・9号車64席)で、スマートフォンホルダーやドリンクホルダー、肘掛けに収める大きなテーブルが付きます。10号車は隣の席との間に大きな仕切りを置く「パーティション座席」(48席)です。10号車には、半個室の「Supreme Class Seat(スプリームクラス・シート)」6席と、完全個室の「Supreme Class Cabin(スプリームクラス・キャビン)」1席も設けられます。
足元の広さはN700Sより約140ミリ広がり、9号車のデッキには鏡やカウンターのあるパウダーコーナーができます。無料Wi-Fi「S Wi-Fi for Biz」は9・10号車にも広がり、すれ違うときの横揺れは約10%減ります。
普通車:荷物置場が6か所から9か所に
デッキの荷物置場は6か所から9か所に増え、3・7・15号車に新設されます。
頭上の荷棚は先頭車で約25%、中間車で約5%広がります。女性専用トイレは約25%広くなってベビーベッドが付き、男性用トイレは折り戸から引き戸に変わります。大きなスーツケースを持つ旅行者には、座席より荷物置場の増加のほうが効く変化です。
のぞみの指定席はいくら上がる?2027年7月1日購入分から
「のぞみ」「みずほ」の普通車指定席は、2027年7月1日に買う切符から、東京―新大阪で700円、東京―名古屋で580円上がります。
JR東海・JR西日本の発表資料に載っている主な区間の発売額(通常期・おとな片道で、運賃と指定席特急料金を合わせた額)は次のとおりです。
| 区間 | 今 | 2027年7月1日購入分から | 差額 |
|---|---|---|---|
| 東京―名古屋 | 11,300円 | 11,880円 | +580円 |
| 東京―新大阪 | 14,720円 | 15,420円 | +700円 |
| 東京―岡山 | 17,770円 | 18,530円 | +760円 |
| 東京―広島 | 19,760円 | 20,620円 | +860円 |
| 新大阪―広島 | 10,950円 | 11,210円 | +260円 |
| 新大阪―博多 | 16,020円 | 16,300円 | +280円 |
発表資料の区間別の表では、東京・品川・新横浜と小倉・博多の間の値上げ額が880円で最も大きく、東京―品川・新横浜は120円です。値上げ幅は東海道区間で大きく、山陽区間の中では小さめになっています。
自由席と「ひかり」「こだま」は変わる?
「のぞみ」「みずほ」の普通車自由席の特急料金は改定せず、今の額のままです。
今回の指定席の値上げは「のぞみ」「みずほ」の指定席が対象で、「ひかり」「こだま」の指定席特急料金は対象に入っていません。ただし「のぞみ」「みずほ」の指定席と「ひかり」などを乗り継ぐときに足す額は、今回の値上げと同じだけ増えます。九州新幹線にまたがって乗る場合も、東海道・山陽区間で「のぞみ」「みずほ」の指定席を使えば対象です。
なぜ上げるのか
理由は、インフレで安全性やサービスを保つための費用が上がっているためです。
発表資料は、所要時間の短縮や運転本数の増加でサービスを上げてきた一方、インフレで安全性やサービスを保つための費用が上がっていると説明しています。改定は国の上限認可の範囲内で、届け出によって行います。
値上げ前の料金で買いたい場合は、2027年6月30日までに買う必要があります。基準は乗る日ではなく買う日なので、7月以降に乗る切符でも6月中に買えば今の額です(ふだんの指定席は乗車日の1か月前から発売)。
エクスプレス予約・スマートEXも同じ額だけ上がる
エクスプレス予約・スマートEX・LINEからEXも、駅の切符と同じ額だけ同じ日から上がります。
JR東海・JR西日本・JR九州の発表によると、EX予約サービスの東京―新大阪(通常期・普通車指定席)は14,230円から14,930円に、スマートEXサービスは14,520円から15,220円になり、どちらも700円の値上げです。EXサービスでも普通車自由席の額は改定しません。早特などほかの割引商品も価格改定を予定しており、詳細は決まり次第発表されます。
グリーン料金は2027年12月15日乗車分から最大4,510円上がる
グリーン料金は全列車が対象で、2027年12月15日乗車分から600キロまでが5,400円→8,400円になります。
指定席が「買う日」で決まるのに対し、グリーン料金は「乗る日」で決まる点に注意が要ります。キロ数ごとの額は次のとおりです(片道1名・おとなとこどもは同額)。
| 営業キロ(東京からの例) | 今 | 改定後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 100キロまで(小田原) | 1,300円 | 2,100円 | +800円 |
| 200キロまで(静岡) | 2,800円 | 4,500円 | +1,700円 |
| 400キロまで(名古屋) | 4,190円 | 6,700円 | +2,510円 |
| 600キロまで(新大阪) | 5,400円 | 8,400円 | +3,000円 |
| 800キロまで(岡山) | 6,600円 | 10,400円 | +3,800円 |
| 801キロ以上(広島) | 7,790円 | 12,300円 | +4,510円 |
東京―新大阪を「のぞみ」のグリーン車で乗ると、運賃と料金の合計は19,590円から23,290円になり、指定席の値上げと合わせて3,700円上がります。発表資料は、消費税率の改定に伴うもの以外ではグリーン料金を据え置いてきたと説明しています。
グリーン車専用の待合室が駅にできる
値上げに合わせ、Supreme Classとグリーン車の利用者専用の待合室を改札内に作ります。
品川・新横浜・京都・小倉・博多は2027年12月15日、東京・新大阪は2028年度、名古屋は2029年度、広島は2028年度以降(時期未定)の予定です。無料のソフトドリンク、Wi-Fi、席ごとのコンセントがあり、係員が常駐します。
値上げとS0系はどうつながる?JR東海の説明の読み方
JR東海は、値上げで得た収入を今後の安全性の向上とサービスの改善に使うと説明しており、S0系の発表と同じ日に料金改定を出しました。
発表資料の値上げ理由は「インフレに伴う安全・サービス維持の費用の上昇」で、S0系の購入費に充てるとは書かれていません。S0系1編成の価格や投資総額も公表されていません。一方、グリーン料金の値上げは、新しい座席・パウダーコーナー・待合室といった具体的なサービス向上とセットで示されています。グリーン車の新しい座席は、2027年12月15日以降にN700A(数年以内に廃車予定の車両を除く)とN700Sの8〜10号車へ順に入れていく予定で、S0系を待たずに使えるようになります。
(編集部分析)普通車指定席の値上げは一律に近い数百円で、理由もインフレという一般的な説明にとどまります。これに対しグリーン車は最大4,510円の値上げと引き換えに、座席・待合室・Wi-Fiと目に見える上乗せがあります。今回の改定は、普通車指定席よりグリーン料金の値上げ額を大きくし、その分を設備の上乗せで説明する形になっているといえます。国の大動脈を担う民間企業が、税金に頼らず運賃で設備更新の費用を賄う姿勢そのものは評価できますが、利用者には「何にいくら使われたか」を後で確かめられる説明が求められます。
読者が取れる行動は2つです。1つ目は、普通車指定席の切符を2027年6月30日までに買えば改定前の額になること(指定席は乗車日の1か月前から発売)。2つ目は、グリーン料金は乗る日で決まるため、2027年12月15日以降に乗る分は早く買っても改定後の額になることです。旅行や出張の予定が2027年夏以降に固まっている人は、この2つの日付を手帳に入れておくと迷いません。
S0系とのぞみ値上げのよくある質問
本文で扱いきれなかった、S0系と料金改定の周辺の疑問に答えます。
Q. 今のN700Sでも新しいサービスは使えますか?
A. 一部は使えます。N700Sの8〜10号車では2026年10月26日以降、無料Wi-Fi「S Wi-Fi for Biz」の範囲拡大と5G対応アンテナの搭載を順次始めます。新しいグリーン座席は2027年12月15日以降に順次入ります。
Q. S0系はリニア中央新幹線の車両ですか?
A. 違います。S0系は東海道・山陽新幹線の車両で、リニアの車両(L0系)とは別物です。
Q. S0系に乗ると料金は高くなりますか?
A. 車両による料金の差は発表されていません。料金は列車の種類(のぞみ・みずほか)と座席の種類、買う日・乗る日で決まります。
Q. 2027年6月に買ったグリーン車の切符で12月20日に乗るといくらですか?
A. グリーン料金は改定後の額です。グリーン料金は乗る日で決まるため、EX予約サービスの東京―新大阪なら現行19,100円より3,000円高い22,100円になります(指定席特急料金は6月購入のため据え置き)。
Q. Supreme Class Seatはいくらですか?
A. 10号車のSupreme Class Cabinと同じ額で、東京―新大阪(通常期)はエクスプレス予約で45,800円、スマートEXで46,090円です(2027年12月15日以降の乗車)。サービス開始は2027年12月15日以降の予定です。
運転開始の日や車両の割り当てなど、決まっていないことはJR東海の続報で確かめてください。
参考情報
- 東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道「東海道・山陽新幹線における『のぞみ』・『みずほ』号の指定席特急料金及びグリーン料金の見直し等について」(2026年10月16日)
- 東海旅客鉄道「東海道・山陽新幹線 次期新幹線車両『S0系』の投入について」(2026年10月16日)
- 東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道・九州旅客鉄道「『エクスプレス予約』『スマートEX』『LINEからEX』の商品価格改定について」(2026年10月16日)
- トラベル Watch「JR東海、次期新幹線車両『S0系』投入を発表。2029年7月に営業運転開始」
- トラベル Watch「東海道・山陽新幹線『のぞみ』『みずほ』特急料金とグリーン料金値上げへ」
- タビリス「東海道・山陽新幹線、新型車両『S0系』の全詳細。2029年運行開始へ」
