【11/1】免税リファンド方式とは?訪日客は出国時返金に、不正転売対策

【11/1】免税リファンド方式とは?訪日客は出国時返金に、不正転売対策

訪日外国人向けの消費税の免税制度が、2026年11月1日から「リファンド方式」に変わりました。免税店では消費税込みの価格で払い、出国のときに税関で持ち出しを確かめてから、消費税の分が返金される仕組みです。

狙いは、税抜きで買った免税品を国外へ持ち出さず、国内で転売して利ざやを稼ぐ不正を断つことです。毎日新聞は、1952年の制度導入から約74年ぶりの抜本的な改革と伝えています。この記事では、何が変わったのか、なぜ変えたのか、訪日客の手続き、返金されない場合、免税店の側の変化、空港や港の課題、免税そのものを廃止する議論まで、国税庁と観光庁の発表と報道で確認できた事実をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 何が変わったか:購入時は税込みで払い、購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けてから返金される方式になりました。
  • なぜ変えたか:国内での不正転売を防ぐためです。1億円以上の免税購入者57人を調べると56人の商品を確認できず、滞納額は約18億5000万円に上ったと報じられています。
  • 手続きの流れ:出国時に空港や港の端末へパスポートをかざし、グリーン判定なら検査は不要、レッド判定なら税関の検査を受けます。
目次

免税のリファンド方式とは?11月1日から出国時に返金

リファンド方式は、免税店で税込みで払い、出国時に税関の確認を受けたあとで消費税の分を返してもらう免税の仕組みです。

国税庁によると、令和7年度の税制改正で、輸出物品販売場制度(いわゆる免税店制度)を2026年11月1日からリファンド方式に見直しました。免税を受けるには、免税の対象の物を買った日から90日以内に出国し、そのときに税関で旅券を示すなどして確認を受ける必要があります。観光庁の旅行者向けの説明では、11月1日に購入した分から新しい方式になるとしています。

これまでは、免税店の店頭で消費税を抜いた価格で買えました。新しい方式でも、手続きを済ませれば最後に戻ってくる金額は同じで、朝日新聞は計算の上では訪日客の負担は変わらないと説明しています。変わるのは、お金が戻るのが「持ち出しを確かめたあと」になった点です。

何が変わった?新旧の免税制度を比べる

大きく変わったのは、払うときの価格、返金の時期、買える物の区分と上限です。

国税庁、観光庁、毎日新聞、nippon.comの内容をもとに、新旧の違いを表にまとめます。

項目 10月まで 11月1日から
店で払う価格 消費税抜き 消費税込み
消費税の分が戻る時 (購入時に免除) 出国時の税関確認のあと
対象者・期限の主な条件 日本に入国して6カ月以内の外国人など 購入日から90日以内に税関確認
一般物品と消耗品の区分 あり 廃止
消耗品の上限 同じ店で1日50万円まで 撤廃(出国時に自分で持ち出せる量まで)
特殊包装(指定の袋) 必要 不要
買う額の下限 5,000円以上 同じ店で1日の購入額(税抜)5,000円以上

上限や包装の決まりは緩くなる一方で、お金が戻るのは国外へ持ち出すと確かめられた物に限られる、というのが新しい方式の骨組みです。

なぜ変えた?免税品の不正転売と約18億円の滞納

税抜きで買った免税品を国外へ持ち出さず、国内で転売する不正が相次いだためです。

テレビ朝日系(ANN)によると、国税庁課税部消費税室の濱田正義室長は、税抜きで買った商品を国外に持ち出さず国内で転売する事例があったと説明し、改正は不正を防ぐ狙いだとしています。同じ報道は「3年前の調査」として、出国者の免税品の購入額は年間6000億円を超え、1億円以上を買った人が374人いたと伝えています。このうち57人を調べたところ、56人は買った商品を確認できず、滞納額は約18億5000万円にのぼったとしています。

免税は、買った物を国外へ持ち帰ることが条件です。持ち帰らずに国内で売れば、その分の消費税は本来納めるべきお金になりますが、出国してしまった人から取り立てるのは難しく、滞納が積み上がっていました。

大手企業や百貨店にも追徴があった?

あります。朝日新聞によると、アップルジャパンは転売目的とみられる大量購入への販売で消費税約140億円を追徴されました。

朝日新聞は、東京と大阪の大手百貨店も消費税の申告漏れを税務当局から指摘されたと伝えています。旧制度では、転売目的の客に売った店の側が免税の条件を満たしていないとされ、税を取られる形でした。新しい方式は、持ち出しを確かめてから返金するので、店が後から多額の追徴を受ける危険も小さくなると期待されています。FNNプライムオンラインも、不正転売の防止に加えて免税店の負担を軽くする効果を挙げています。

(編集部分析)旧制度で得をしていたのは、免税の仕組みのすき間を突いた一部の転売業者でした。税抜きで仕入れて国内で売れば消費税の分がそのまま利ざやになり、そのつけは店への追徴と、日本の税収の目減りという形で回ってきました。持ち出しを確かめてから返す方式は多くの国が採っているとANNも伝えており、制度の穴をふさぎ、税の取り扱いの主導権を日本の側に戻す改正として評価できます。

訪日客の手続きは?出国時に端末へパスポートをかざす

出国の際、手荷物を預ける前に空港や港の端末へパスポートを示し、表示された判定に従って税関の確認を受けます。

観光庁の旅行者向けの説明をもとに、手続きの流れを図にまとめます。

1. 免税店で買う
税込みで払い、パスポートを示す
2. 90日以内に出国
買った物を手元に持っておく
3. 端末でパスポート
手荷物を預ける前に手続きする
4. 判定
グリーンは検査不要、レッドは税関で検査
5. 返金
免税店か返金事業者から消費税の分が戻る

図のとおり、税関の確認が済むまでお金は戻らず、確認は搭乗手続きまでに終える必要があります。

観光庁は、時間に余裕を持って空港に着くよう呼びかけ、間に合わずに出発できなかった場合でも航空会社や税関による補償は無いとしています。国内線から国際線に乗り継ぐ場合は、日本を出る空港で手続きします。返金の具体的な時期は、買った免税店に問い合わせるよう案内しています。

Visit Japan Webで手続きできる空港は?

成田、羽田、関西、中部、福岡、新千歳、那覇の7空港では、端末の代わりにVisit Japan Webでも手続きできます。

観光庁によると、使えるのは国際線出発ロビーにある手続き専用の無線LANの接続エリアの中で、保安検査場の手前までです。トラベルビジョンも、主要7空港ではVisit Japan Webに対応すると伝えています。

返金はどうやって受け取る?

返金の方法は法令で決まっておらず、銀行振込、クレジットカードへの返金、アプリへの送金、空港での現金などがあります。

国税庁は、返金は免税店が自ら行っても、承認を受けた事業者などに任せてもよいとしています。トラベルボイスは、羽田・成田・那覇空港で、約1分で日本円の現金を受け取れるセルフ還付のサービスが11月に始まると伝えました。アスキーによると、ヨドバシカメラは主要11店舗で、免税分をその場で現金で返すとしています。

返金されないのはどんなとき?

買った物を国内で使ったり、出国時に1つでも持っていなかったりすると、返金を受けられません。

観光庁が挙げている、返金されない、または注意が要る主な場合は次のとおりです。

  • 国内で使った:飲食料品や化粧品などを国内で使った場合は返金されません。
  • 1つでも足りない:1回の購入(レシート)単位で、持っていない物が1つでもあると、その購入分すべてが返金されません。
  • 先に荷物を預けた:手荷物を機内に預けたあとは端末で手続きできず、預けた荷物を引き戻すこともできません。
  • 手続きを途中でやめた:搭乗手続きまでに確認を終えなければ、確認を受けたことになりません。
  • 確認後に輸出しない:税関の確認を受けた物をすぐに輸出しないと、消費税の分を取られ、罰則の対象になります。

このうち特に注意が必要なのは、免税品を入れたスーツケースを、手続きの前に預けてしまうことです。

免税店の側は何が変わる?

免税店は税込みで売って購入記録を国税庁へ送り、税関の確認結果を受け取ってから返金する役目を負います。

朝日新聞によると、新しい方式では、免税店が国税庁に購入記録を送り、税関が出国時に持ち出しを確かめ、その結果が国税庁を通じて免税店に渡り、返金されます。国税庁のシステムとの連携が要るうえ、海外への送金には資金移動業の登録が必要になる場合があり、返金を代行する業者を使う店が多いとされています。

国税庁は、免税店は販売のときに、90日以内に税関の確認を受けること、求められたら物を見せること、輸出しなければ消費税の分を取られることを、買う人に説明しなければならないとしています。返金を請け負う事業者には、資金移動業の登録や本人確認など、ほかの法律への対応が必要になる場合があるとしています。

空港や港の課題は?長崎ではクルーズ客の混雑

大きな課題は、多くの客が一度に出国する場所で、端末の手続きが混み合わないかです。

KTNテレビ長崎によると、長崎市の松が枝国際ターミナルにはすでに専用の端末が置かれましたが、動かせるのは最大12台です。長崎には年間およそ200隻のクルーズ船が寄港し、3000人規模の大型船が多いため、長崎税関監視部の鈴木栄二統括監視官は「3000人が一気に来ると混雑は目に見えている」と懸念を示しました。長崎税関は、入港前に船内で配るリーフレットなどで制度を知らせる方針です。

旅行者の受け止めも分かれています。ANNの取材に、アメリカから来た旅行者は新しい仕組みは面倒だと話し、デンマークから来た旅行者は今の制度の方が便利だが、変更で日本に行かなくなることはないと答えました。

免税制度そのものを廃止する議論はある?

あります。自民党内の勉強会が廃止を含む見直しを提言し、免税店の業界団体は制度の維持を求めています。

nippon.comによると、自民党内の勉強会は2025年6月、外国人観光客への消費税の免税額が年2000億円に上ったとして、廃止を含めた見直しを党幹部に提言しました。これに対し、全国免税店協会や日本小売業協会など10団体は同年8月、免税の廃止は国際競争力を損なうとして、制度の維持を求める意見書を出しています。nippon.comは、観光庁の数字として、2025年の訪日外国人の旅行消費額が約9兆4549億円で10年前の約3倍になったとも伝えています。

(編集部分析)免税の仕組みは、訪日客の買い物を後押しし、小売りの売り上げを支えてきました。一方で、免税額は年2000億円の規模に上ります。制度をやめた場合に税収と訪日客の消費がどう動くかは、まだ検証されていません。誰のための制度なのかを問えば、観光の振興という大義の陰で、転売で稼ぐ業者や一部の事業者の利益に回っていた部分があったことは否定できません。今回のリファンド方式は「不正は許さないが、正直な旅行者は不便にしすぎない」という中間の答えと言えます。この方式で不正がどこまで減るのかを数字で確かめたうえで、免税そのものの是非を国民の利益の目線で議論していくことが求められます。

免税のリファンド方式のよくある質問

Q. 買ってから出国まで90日を過ぎたらどうなりますか?

A. 免税は受けられず、返金されません。観光庁は、購入日から90日以内に税関の確認を受けることを免税の条件にしています。長く滞在する人は、出国が近づいてから買うと安心です。

Q. 日本に住む日本人は免税で買えますか?

A. 対象は外国人旅行者などの免税購入対象者です。nippon.comによると、旧制度では海外から一時帰国した日本人も対象でした。自分が当てはまるかは、買う前に免税店で確かめてください。

Q. 金の地金も免税になりますか?

A. なりません。観光庁は、金や白金の地金などと、消費税がかからない物は対象から外すとしています。

訪日客を迎える店や家族・知人がいる人は、観光庁の消費税免税店サイトにある旅行者向けの多言語のリーフレットを見せると、手続きの流れを伝えやすくなります。出国の日は、免税品を預ける荷物に入れず、手続きが済むまで手元に置くよう伝えてください。

参考情報

  • 国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/format/002.htm
  • 観光庁 消費税免税店サイト「旅行者の皆様へ(リファンド方式)」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/page01_000001_00021.html
  • 観光庁 消費税免税店サイト https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/
  • nippon.com「免税店での購入、11月から『リファンド方式』に 制度の廃止をめざす動きも」(2026年10月19日) https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02925/
  • 毎日新聞「出国時に返金、免税『リファンド方式』 1日開始 不正転売対策」(2026年11月1日)
  • 朝日新聞「免税は『リファンド方式』に、1日から どんな仕組み? なぜ変更?」(2026年10月31日)
  • FNNプライムオンライン「訪日客の新免税制度が開始 出国時に返金 転売防止へ」(2026年11月1日)
  • テレビ朝日系(ANN)「狙われる免税制度見直しへ 悪質転売 滞納額は18億円超?」(2026年10月22日)
  • KTNテレビ長崎「【11月から】インバウンド向けの免税制度が『リファンド方式』へ 国際ターミナルでは課題も?」(2026年10月30日)
  • トラベルビジョン「免税制度、11月1日からリファンド方式へ」(2026年10月31日)
  • トラベルボイス「羽田・成田・那覇空港でインバウンド向け新免税制度のセルフ還付サービス」(2026年10月22日)
  • アスキー「ヨドバシカメラ、免税分をその場で“現金還付” 主要11店舗で11月1日から」(2026年10月28日)
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