【11/1】三郷市長選挙の結果|美田宗亮氏が初当選、新人4人の混戦制す

2026年11月1日に投開票された埼玉県の三郷市長選挙は、自民党県連と埼玉維新の会の推薦を受けた元県議の美田宗亮氏(53)が1万7146票を集め、新人4人の争いを制して初当選しました。投票率は35.42%で、前回2022年の30.30%を5.12ポイント上回りました。
5期20年務めた木津雅晟市長(80)が引退し、市長が交代する選挙でした。この記事では、4人の得票数と得票率、投票率、なぜ新人だけの混戦になったのか、各候補の公約、そして美田新市長に何が問われるのかを、選挙管理委員会と新聞各紙の数字で整理します。
この記事でわかること
- 結果:美田宗亮氏が1万7146票(得票率約43.2%)で初当選。2位の武居弘治氏とは6688票差でした。
- 投票率:35.42%で前回より5.12ポイント上昇。現職が立たない、新人だけの選挙でした。
- 争点:人口減少と厳しい財政の立て直しが中心で、4人とも財源の確保や事業の見直しを訴えました。
三郷市長選挙の結果:元県議の美田宗亮氏が初当選
元県議の美田宗亮氏が1万7146票を集め、新人4人の争いを制して初めての当選を果たしました。
選挙は任期満了(11月13日)に伴うもので、10月25日に告示され、無所属の新人4人が立候補しました。開票は1日午後9時から市勤労者体育館で行われ、三郷市選挙管理委員会は午後11時1分に確定の開票速報を出しています。美田氏は自民党県連と埼玉維新の会の推薦を受けていました。
三郷市長選挙2026の開票結果(得票数・得票率)
美田氏が1万7146票で1位、元市議長の武居氏が1万458票で2位、森氏と吉田氏が続きました。
下の表は、選挙ドットコムとテレ玉が伝えた選管確定の得票数をもとに、得票率を編集部が4人の得票合計から計算したものです。
| 当落 | 候補者(年齢) | 経歴・推薦 | 得票数 | 得票率(計算値) |
|---|---|---|---|---|
| 当選 | 美田宗亮(53) | 元県議・元市議(自民県連・埼玉維新推薦) | 17,146票 | 約43.2% |
| 武居弘治(57) | 土地家屋調査士・元市議長 | 10,458票 | 約26.3% | |
| 森健太郎(38) | 元銀行員・元IT企業社員 | 7,816票 | 約19.7% | |
| 吉田護(50) | 会社員(カード会社) | 4,283票 | 約10.8% |
4人の得票合計は3万9703票です。美田氏は2位に6688票の差をつけましたが、得票は全体の半分には届いていません。
美田氏の得票率は約43%、過半数には届かず
美田氏の得票は4人の合計の約43.2%で、他の3人の合計2万2557票を下回りました。
新人同士の4人の争いでは票が割れやすく、過半数に届かない当選は珍しくありません。それでも、政党の推薦と県議3期の地盤を持つ美田氏が、2位以下を大きく引き離したことは数字のとおりです。2位の武居氏は市議6期・議長経験という地元の実績を持ちながら、美田氏の約6割の得票にとどまりました。
美田氏は当選後に何と語ったか
美田氏は当選後、選挙で掲げた公約を着実に進め、市の政策課題に取り組む考えを示しました。
読売新聞は見出しで美田氏の「公約着実に遂行」という言葉を、埼玉新聞は「政策課題をしっかり進める」という言葉を伝えています。埼玉新聞は、美田氏が自民・維新の推薦を受けて幅広く票をまとめたと報じました。新人4人の争いで、政党の推薦と県議時代からの支持基盤を生かした選挙戦だったことがうかがえます。
当選の言葉が「公約の遂行」に置かれたことで、今後は掲げた防災・公教育・にぎわい創出の公約が、いつ、どの予算で形になるのかが具体的に問われることになります。
三郷市長選挙の投票率は35.42%、前回から5.12ポイント上昇
投票率は35.42%で、前回2022年の30.30%から5.12ポイント上がりました。有権者は約11万3000人です。
選挙ドットコムによると、今回の有権者数は11万3441人(男性5万6615人、女性5万6826人)で、前回より2021人減りました。なお東京新聞は、告示前の10月24日時点の選挙人名簿登録者数を11万4979人と伝えており、基準日の違いで数字がずれています。
三郷市長選挙の投票率の推移
三郷市長選は無投票が2回続いた時期もあり、投票率は2018年に25.11%まで下がっていました。
下の表は、選挙ドットコムに掲載された過去の市長選の投票率を並べたものです。
| 投票日 | 候補者数 | 投票率 |
|---|---|---|
| 2006年10月22日 | 2人 | 39.48% |
| 2010年10月24日 | 1人 | 無投票 |
| 2014年10月26日 | 1人 | 無投票 |
| 2018年10月21日 | 2人 | 25.11% |
| 2022年10月23日 | 2人 | 30.30% |
| 2026年11月1日 | 4人 | 35.42% |
候補者が4人に増え、現職がいない「新しい市長を選ぶ選挙」になったことが、投票率の上昇と重なっています。ただ、2006年の39.48%には届かず、有権者の6割以上は投票していません。
前回2022年の三郷市長選と比べて何が変わったか
前回は現職と新人の一騎打ちでしたが、今回は新人4人の争いになり、投票した人は約5000人増えました。
前回の数字は政治山の記事、今回の数字は選挙ドットコムによるものです。前回の2人の得票合計は、木津氏の得票と得票率から編集部が逆算した概数です。
| 項目 | 2022年(前回) | 2026年(今回) |
|---|---|---|
| 当選者 | 木津雅晟(現職・5選) | 美田宗亮(新人・初当選) |
| 当選者の得票 | 18,305票 | 17,146票 |
| 当選者の得票率 | 52.9% | 約43.2% |
| 候補者数 | 2人 | 4人 |
| 候補者の得票合計 | 約3万4600票(逆算) | 39,703票 |
| 投票率 | 30.30% | 35.42% |
| 有権者数 | 115,462人 | 113,441人 |
有権者は約2000人減ったのに、投票に行った人は増えました。(編集部分析)選択肢が4つに広がったことで、市民の関心が前回より高まった可能性があります。
美田氏の得票は前回の木津氏より1159票少ない
美田氏の1万7146票は、前回の木津氏の1万8305票を1159票下回りました。今回は4人が立候補しています。
投票した人が増えた一方で、当選者の得票数は前回の現職より少なくなりました。2位以下の3人は合わせて2万2557票を集めています。(編集部分析)4人がそれぞれ違う処方箋を示したことで、新しい市長に求める方向性が前回より多様に分かれた可能性があります。
(編集部分析)政党の推薦を受けた候補が勝つ構図は前回の現職と同じでも、得票の中身は「長年の市政の継続」から「新しい市長への期待」へと性格を変えています。美田氏は、自らに投じられなかった6割近い投票者の声も意識した市政運営が求められると評価できます。
なぜ新人4人の選挙になったのか:木津市長が5期で引退
5期20年務めた現職の木津雅晟市長(80)が6月に引退を表明し、新人だけの選挙になりました。
木津氏は2022年の前回選挙で、医師の青木成夫氏との一騎打ちを制し、1万8305票(得票率52.9%)で5選を果たしていました。2010年と2014年は無投票で、長く対抗馬が立ちにくい状況が続いていたことが分かります。現職の引退で空いた市長の座をめぐり、元県議、元市議長、民間出身の2人が名乗りを上げ、東京新聞は「新人4人の激しい争い」と伝えました。
(編集部分析)同じ首長が長く続くと、行政の継続性は保たれる一方で、新しい発想や市民の監視が弱まりやすい面もあります。無投票が2回あった三郷市で、今回4人が政策を競い、投票率が上がったことは、地方自治にとって健全な変化だと評価できます。
三郷市長選挙に立候補した4人の経歴と公約
美田氏は広域連携と国・県とのパイプ、武居氏は財政再建、森氏は子育て投資、吉田氏は治安と農業を訴えました。
届け出順は美田氏、森氏、吉田氏、武居氏で、4人とも無所属の新人です。以下は東京新聞と埼玉新聞の報道をもとに整理したものです。
美田宗亮氏(当選)の経歴と公約
美田氏は元銀行員で、市議2期・県議3期を経て、防災や公教育の「アップグレード」を掲げました。
東京新聞によると、美田氏はあさひ銀行の行員、三郷市議を経て2015年に埼玉県議に初当選し、3期目の途中で市長選に挑みました。市長を3期務めた父の姿を見て育ったと紹介されています。7月30日の出馬表明では、財政や人口の面で三郷市に「退潮傾向」が見られると述べました。公約は、近隣自治体と協力した防災・経済・教育の底上げ、特に災害時の医療体制の充実、民間活力と連携したにぎわいの創出、塾に頼らず子どもの可能性を伸ばす公教育の充実などです。
武居弘治氏の経歴と公約
武居氏は市議6期・議長経験者で、財政の立て直しを最優先に掲げ、ごみ袋の有料化に反対しました。
武居氏は土地家屋調査士で、30代で胃がんを患い一度議席を退いたのち市政に復帰したと東京新聞は伝えています。「止まっていた三郷を前へ動かす」と訴え、事業の総点検とAI導入によるコスト削減、放課後を活用した学校教育の充実、近隣市・県と連携した地域医療の強化を掲げました。
森健太郎氏の経歴と公約
森氏はメガバンクとIT大手で約16年働いた経験を生かし、DXによる行政コスト削減と子育て投資を訴えました。
森氏は元みずほ銀行員、元楽天社員で、38歳と4人の中で最も若い候補でした。しがらみのない市政で「人が持続的に集まる街をつくる」と訴え、トップセールスや企業版ふるさと納税による財源確保、定期的な市民対話集会、多文化共生の推進を掲げました。
吉田護氏の経歴と公約
吉田氏はカード会社に約25年勤めた会社員で、防犯対策と遊休農地を生かした農業振興を訴えました。
吉田氏は就職氷河期に大学を卒業した世代で、社会の閉塞感への危機感から出馬を決めたと東京新聞は伝えています。外国人の労働環境の改善、防犯対策の充実、遊休農地を使ったレモンのブランド化構想を掲げました。
争点は人口減少と財政の立て直しだった
最大の争点は、人口減少への対応と財政運営のもとで、どの事業を続け、どう税収を確保するかでした。
選挙ドットコムは、人口減少で厳しい財政状況が続く中での事業の見直し、税収確保などの財政改革、子育て支援を主な争点に挙げていました。美田氏も出馬表明で、財政や人口の面で「退潮傾向」があると述べています。4人とも財政の課題を正面から取り上げ、美田氏は国・県との連携、武居氏は事業の総点検、森氏はDXと企業版ふるさと納税、吉田氏は農業振興という、それぞれ違う処方箋を示しました。結果は、議員経験と政党の推薦を持つ美田氏が最も多くの票を得る形になりました。
選挙の流れを、日程の順に並べると次のとおりです。
木津市長が今期限りの引退を表明
美田氏が自民推薦で出馬表明
告示、新人4人が立候補
投開票、美田氏が初当選
木津市長の任期満了
木津市長の引退表明から告示までは約4カ月あり、美田氏は告示の約3カ月前に自民党の推薦を受けて出馬を表明していました。
Q. 美田氏の市長としての任期はいつからですか?
A. 木津市長の任期が11月13日に満了するため、美田氏の任期は11月14日から4年間となる見通しです。
任期の区切りを確認したうえで、次は有権者全体から見た得票の重みを見ていきます。
有権者全体で見ると、美田氏を選んだのは約7人に1人
有権者11万3441人のうち美田氏に投票したのは約15.1%で、投票しなかった人は6割を超えました。
得票率は「投票した人の中での割合」です。有権者全体に対する割合で見ると、美田氏の得票は約15.1%、武居氏は約9.2%、森氏は約6.9%、吉田氏は約3.8%でした(選挙ドットコムの有権者数と得票数から編集部が計算)。投票しなかった人は、投票率から逆算すると約7万3000人にのぼります。
(編集部分析)新市長は政党の推薦を受けて勝ちましたが、有権者全体の信任という点では、まだ厚いとは言えない出発点だと評価できます。投票しなかった6割の市民の声をどう市政に取り込むかが、最初の4年間の課題になります。
美田新市長に問われること
美田新市長には、公約の広域連携と防災強化を、財政の立て直しと両立させる具体策が問われます。
2位の武居氏が訴えた財政再建と事業の総点検、森氏のDXと財源確保の提案は、合わせて1万8000票余りの支持を集めました。新市長がこれらの論点を取り込めるかどうかが、選挙で分かれた民意をまとめる鍵になります。
「国・県とのパイプ」は市民の利益につながるか
国・県との連携は補助金やインフラ整備で力になる一方、市が自ら決める力を弱めないかも見るべき点です。
美田氏は県議としての経験を生かし、国や県、近隣市町との広域連携を軸に据えると訴えました。
(編集部分析)国や県の補助金は財政の苦しい自治体にとって頼りになりますが、補助金に頼るほど、事業の中身が国や県の都合で決まりやすくなる面もあります。「誰が得をするのか」という問いで見れば、連携の成果は、市民の可処分所得や暮らしの安全という形で測られるべきです。パイプを生かしつつ、市が自ら優先順位を決める自立した財政運営ができるかが試されると評価できます。
外国人政策と治安をどう扱うか
今回の選挙では外国人をめぐる政策も語られ、新市長が治安と共生をどう両立させるかが注目されます。
森氏は多文化共生の推進を、吉田氏は外国人の労働環境の改善と防犯対策の充実を掲げました。
(編集部分析)2人の候補が公約で外国人をめぐる政策を掲げたことは、外国人住民との生活ルールの共有や防犯が、市政の検討課題として意識されていることの表れとみられます。共生という言葉だけで進めるのではなく、市内の外国人住民数の推移や相談の実態を数字で把握し、地域社会や社会保障が負う中長期のコストも含めて市民に説明する姿勢が求められます。外国人個人を責めるのではなく、制度の設計と運用を問う視点が欠かせないと考えられます。
読者として次にできることは、美田氏の最初の予算案(例年、年明けの市議会に提出)で、防災・公教育・子育ての3つの公約にいくら配分されるかを確かめることです。選挙の公式な数字は三郷市選挙管理委員会の開票速報のページで確認できます。
三郷市長選挙のよくある質問
最後に、三郷市長選挙の結果について検索されやすい疑問をまとめます。
Q. 落選した3人の供託金は戻りますか?
A. 戻る計算です。市長選の供託金は100万円で、有効投票総数の10分の1に届かないと没収されますが、4人の得票合計(3万9703票)で見た基準約3971票を、最少の吉田氏(4283票)も上回っています。
Q. 次の三郷市長選挙はいつですか?
A. 途中の辞職などがなければ2030年秋の見通しです。公職選挙法では、任期満了による選挙は任期が終わる日の前30日以内に行うと定められ、期日は市の選挙管理委員会が決めます。
Q. 奈良県の三郷町長選挙とは別の選挙ですか?
A. 別の選挙です。今回の記事は埼玉県三郷市(みさとし)の市長選挙で、奈良県三郷町(さんごうちょう)の町長選挙とは関係ありません。
同じ11月1日には、神奈川県の茅ヶ崎市長選挙も投開票され、現職が3選を果たしています。現職が勝った茅ヶ崎と、現職不在で新人が勝った三郷は、首都圏の市長選の対照的な2つの形といえます。
