【11/6】古川禎久氏が消費税減税の採決を退席|船田元・小渕優子氏らの理由

2026年11月6日、飲食料品の消費税率を1%に下げる消費税減税関連法案が衆院本会議で可決されました。その採決の直前、自民党の古川禎久元法相が本会議場を途中退席し、石破茂前首相、小渕優子元選対委員長、船田元元経済企画庁長官とともに採決に加わりませんでした。
古川氏は記者団に「社会保障の財源を物価対策に転用するのは筋が違う。財政基盤を壊しかねない」と述べています(共同通信)。この記事では、古川氏が退席した理由、4人それぞれの発言、法案の中身、党の反応と今後の参院審議を、報道と公的資料にもとづいて整理します。
この記事でわかること
- 古川禎久氏が退席した理由:消費税は社会保障の財源であり、物価対策への転用は財政基盤を壊しかねないという考えからです。
- 退席した4人の言い分:石破茂・小渕優子・船田元・古川禎久の4氏が、財源・制度の歴史・効果の面から異論を述べました。
- 消費税減税の今後:法案は参院に送られ、与党が過半数に届かない参院で財源と給付対象をどこまで示すかが焦点です。
古川禎久氏はなぜ消費税減税法案の採決を退席したのか
古川禎久氏は、社会保障の財源である消費税を物価対策に回すのは筋が違い、財政基盤を壊しかねないとして退席しました。
2026年11月6日午後の衆院本会議で、古川氏は消費税減税関連法案の採決前に議場を離れました。時事通信は、古川氏がかねて「減税よりも給付が望ましい」と主張していたと伝えています。
古川禎久氏が退席後に語った言葉
古川氏は、歴代内閣が不人気を承知で国民に負担をお願いしてきたのが消費税であり、それが政権政党の責任だったと述べました。
共同通信によると、古川氏は消費税について、歴代内閣が社会保障制度の充実を目的に「不人気を承知で国民に負担をお願いしてきた。政権政党の責任だった」と指摘しました。そのうえで「社会保障の財源を物価対策に転用するのは筋が違う。財政基盤を壊しかねない」と訴えています。毎日新聞は、古川氏が「財政への信認揺らぐ」とも述べたと見出しで伝えました。
8月の意見書から一貫していた反対
古川氏の反対は今回が初めてではなく、2026年8月3日に税調会長へ減税反対の意見書を出したときから一貫しています。
秋田魁新報(共同通信配信)によると、当時、党税制調査会の副会長で幹事長代理だった古川氏は、8月3日の税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議で、小野寺五典税調会長に意見書を提出しました。意見書は「いったん下げると元に戻すことは政治的に難しく、社会保障の財政基盤を揺るがすことに直結する」「財源の見通しも立たないまま決定すれば、市場からの信認を失う」と訴えていました。
J-CASTニュースは、古川氏が「消費減税は衆院選の公約ではなかった」とし、公約集には「国民会議での検討を加速する」とだけ書かれていたと説明したと報じています。古川氏が挙げた問題点は、高所得者ほど恩恵が大きいこと、農家・外食・小売りに負担や混乱をもたらすこと、社会保障の財源を物価対策に使うべきでないこと、一度下げると戻しにくいことの4つでした。
古川氏は、物価高対策としては給付の方が中低所得者に重点的に対応できると主張していました(野村総合研究所 木内登英氏のコラム)。食料品の税率を一律に下げると、たくさん買う高所得の世帯ほど減る税額が大きくなるという、1点目の問題意識と重なる主張です。
8月の党内手続きは賛成約65人・反対9人で一任
8月3日の合同会議では約65人が賛成、9人が反対意見を述べ、対応は小野寺五典税調会長に一任されました。
秋田魁新報(共同通信配信)によると、合同会議では税調幹部を含めて異論が相次ぎましたが、党として押し切る形になりました。小野寺氏は会議後、記者団に「物価高への支援の中で、公約で訴えた消費税減税を支持する声がたくさんあった」と述べています。J-CASTニュースによると、古川氏は議論を尽くさずに決めたことで異論が置き去りになったと問題視していました。
(編集部分析)古川氏本人が退席の理由として党内手続きを挙げたわけではありませんが、8月に「議論を尽くしていない」と訴えた経緯を踏まえると、今回の退席はその問題意識の延長線上にあると見ることができます。
退席した4人は誰で、何を語ったのか(船田元・小渕優子・石破茂)
退席したのは石破茂前首相、小渕優子氏、船田元氏、古川禎久氏の4人で、それぞれ財源や制度の歴史を理由に挙げました。
4人の発言を、報じた媒体とあわせて表にまとめます。
| 議員 | 主な肩書 | 退席の理由として語ったこと |
|---|---|---|
| 古川禎久 | 元法相 | 「社会保障の財源を物価対策に転用するのは筋が違う。財政基盤を壊しかねない」(共同通信) |
| 石破茂 | 前首相 | 「財源が明らかではなく、財政を毀損する。懸念を払拭できない」(共同通信) |
| 小渕優子 | 元選対委員長 | 「消費税は自民の先輩方が大変な苦労をして、日本の将来を考えて作った大事な制度だ」(共同通信) |
| 船田元 | 元経済企画庁長官 | 「減税しても食料品価格が確実に下がる効果が期待できない」(共同通信) |
表のとおり、4人の理由は「財源と財政」「制度の歴史」「減税の効果」の3つに分かれます。
小渕優子氏は「ぎりぎりまで悩んだ」
小渕優子氏は、消費税導入に尽力した小渕恵三元首相の長女で、退席はぎりぎりまで悩んだと語りました。
共同通信によると、小渕氏は消費税を「日本の将来を考えて作った大事な制度」と強調しました。時事通信は、小渕氏が消費税減税に反対し、7月に党税制調査会の非公式幹部会合(インナー)のメンバーを辞任していたと伝えています。
船田元氏は「大変残念だが棄権した」
船田元氏は、減税しても食料品価格が確実に下がる効果が期待できないとして、大変残念だが棄権したと説明しました。
時事通信によると、船田氏は「先人たちが苦労して導入し、税率を上げた歴史を振り返って、今、減税するのはどうなのか」とも語りました。
石破茂前首相は「賛成できない」
石破茂前首相は、財源が明らかでなく財政を毀損するという懸念を払拭できないとして、採決を棄権しました。
時事通信によると、石破氏は退席後、周辺に「賛成できない」と伝えました。毎日新聞によると、記者団には「財源が明らかではない、財政が毀損する。そういう懸念が払拭できない」と述べています。
消費税減税法案の中身は?税率1%と就業者負担軽減支援金
法案は、2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%に下げ、同時に働く中低所得者向けの給付を始める内容です。
毎日新聞によると、給付制度「就業者負担軽減支援金」は2027・2028年度に消費税率1%分の財源で始め、2029年度に給付額を増やして本格導入する方針です。法案の主な中身を表にまとめます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象 | 飲食料品の消費税 |
| 税率 | 現行8%から1%へ |
| 期間 | 2027年4月から2年間 |
| 給付 | 就業者負担軽減支援金(2027・2028年度に開始、2029年度に本格導入) |
| 必要な財源 | 減税と給付で年5兆円(衆院審議では具体像が示されず) |
| 給付対象 | 高市首相は現役就業者約6000万人の3割以上とする考え |
表のうち、財源と給付額はまだ決まっていない部分で、退席した4人の懸念もここに集中しています。
高市早苗首相は6日、給付対象の上限年収が350万円以上になる可能性も示しましたが、具体的な給付額などは依然はっきりしていないと毎日新聞は伝えています。財源をめぐる首相答弁の経緯は「消費税減税の財源、高市首相が国債「否定せず」」で、審議入り時の論点は「消費減税法案が衆院審議入り」で整理しています。
衆院採決の結果は?全野党が反対し与党の賛成多数で可決
消費税減税関連法案は11月6日、自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決され、参院に送られました。
毎日新聞によると、財源や給付対象が明示されないままの採決に対し、国民民主党、公明党、民主改革の会など全野党が反対しました。与党は衆院で4分の3以上の議席を持つため、自民党から4人が退席しても可決に影響はありませんでした。
退席は反対票とは違い、賛成・反対のどちらの票にも数えられません。党の決定に正面から反対票を投じるのではなく、採決に加わらないことで異論を示した形です。それでも党の方針と異なる行動である点は変わらず、執行部の受け止めが注目されています。
採決前の国会日程をめぐる動きは「消費減税、首相出席が焦点」で取り上げています。
自民党の反応は?小林政調会長「非常に遺憾」と処分の行方
小林鷹之政調会長は「非常に遺憾だ」と不快感を示しましたが、11月6日時点で4人への処分は発表されていません。
時事通信によると、連立を組む日本維新の会の藤田文武共同代表も「少し残念だ。党としてしっかり意見をまとめていただきたいと、連立パートナーとして思う」と苦言を呈しました。一方、法案に反対した公明党の岡本三成代表は、産経新聞の取材に対し、党議拘束がかかっていても国民の代表としての矜持から席を立ったとして「本当に立派だと思った」と評価しています。
党議拘束に反した議員が処分された前例
2005年の郵政民営化法案では、党の方針に反した議員の多くが、その後の総選挙で党の公認を得られませんでした。
2005年7月5日の衆院本会議で郵政民営化法案は賛成233、反対228の5票差で可決され、自民党からは37人が反対、14人が欠席・退席しました。法案は8月8日に参院で否決され、衆院は解散されました。続く総選挙で、反対した議員の多くは党の公認を得られませんでした。今回の4人に党がどう対応するかは、11月6日時点で報じられていません。※確認中
古川禎久とはどんな政治家か?経歴と財政への立場
古川禎久氏は宮崎県第3区選出の衆院議員で、財務副大臣や岸田内閣の法務大臣を務めた財政通として知られます。
首相官邸の閣僚名簿によると、古川氏は1965年8月3日生まれ。1989年に東京大学法学部を卒業して建設省に入り、衆院議員の政策担当秘書を経て、2003年11月の衆院選で初当選しました。
経歴の主な節目を図にまとめます。
東大法学部卒・建設省入省
衆院選で初当選
財務副大臣
衆院財務金融委員長
法務大臣(岸田内閣)
消費税減税法案の採決を退席
財務副大臣や衆院財務金融委員長を務めた経歴から、8月の意見書でも「市場からの信認」を強調しており、古川氏が財政規律を重んじる立場であることがうかがえます。
消費税減税と財政規律をどう見るか(編集部分析)
減税で国民の手取りを増やす方向は評価できますが、財源を示さないまま衆院を通したことには課題が残ります。
古川氏らは、消費税は社会保障の財源であり、物価対策に回せば財政基盤が揺らぐと主張しました。これは発言者の立場としての主張であり、財務副大臣を務めた古川氏の経歴とも重なる財政規律の論理です。
(編集部分析)物価高が続くなかで、毎日の食料品にかかる税を下げることは、国民の可処分所得を直接増やす政策と評価できます。財政健全化を理由に増税と負担増を重ねてきた流れを、国民の暮らしの側から問い直す意味もあるでしょう。一方で、年5兆円とされる財源の具体像が衆院審議で示されなかったことは、減税を支持する立場から見ても見過ごせない点です。財源があいまいなままでは、2年後の税率の戻し方や社会保障の財源について、あとから国民に別の形の負担が回ってくるおそれが残ります。
(編集部分析)「誰が得をするのか」という観点で見ると、減税の恩恵が本当に食料品価格の引き下げとして国民に届くのかを確かめる仕組みが要ります。船田氏が指摘した「確実に下がる効果が期待できない」という懸念は、価格転嫁の監視をどう設計するかという具体的な宿題として受け止めるべきでしょう。退席した4人の主張は財政規律の側に立つものですが、減税の是非とは別に、財源を国会で正面から示すことは政権与党の責任と言えます。
消費税減税法案の今後は?参院審議と12月12日の会期末
法案は参院に送られ、政府・与党は12月12日の会期末までの成立を目指しますが、参院で与党は過半数に届いていません。
毎日新聞によると、参院では野党の求めで特別委員会を設けて審議する見通しで、政府が財源や給付対象をどこまで示すかが焦点です。公明党の岡本代表は、与党が過半数を割る参院でのさらなる審議に期待を示しました(産経新聞)。
今後の流れを図にまとめます。
衆院本会議で可決・参院へ送付
特別委員会で財源と給付対象を議論
今国会の会期末(成立目標)
成立すれば飲食料品の税率1%へ
参院で与党が過半数を持たない以上、野党の協力なしに成立させることはできず、財源の説明が成否を分けることになります。
古川禎久氏と消費税減税のよくある質問
古川禎久氏の退席と消費税減税法案について、検索で多い疑問に答えます。
Q. 古川禎久氏は法案に反対票を投じたのですか?
A. 反対票ではなく、採決前に本会議場を退席して採決に加わりませんでした。報道では「退席」「棄権」と表現されています。
Q. 消費税減税はいつから始まりますか?
A. 法案が成立すれば、2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率が8%から1%になります。11月6日時点では参院での審議が残っています。
Q. 消費税はもともと何に使われる税ですか?
A. 消費税の収入は年金・医療・介護・子育ての社会保障に充てると法律で定められています。古川氏が「社会保障の財源」と述べたのはこのためです。
Q. 古川禎久氏の選挙区はどこですか?
A. 宮崎県第3区です。2003年11月の衆院選で初当選し、財務副大臣や法務大臣を務めました。
法案が参院でどう審議されているかは、参議院の公式サイト(https://www.sangiin.go.jp/)の「議案情報」と、インターネット審議中継で確かめられます。財源や給付条件が修正されるか、12月12日の会期末までに成立するかを、そこで確認してください。
参考情報
- 時事通信「石破、小渕氏ら採決棄権 消費減税法案に異論」(2026年11月6日)https://www.jiji.com/jc/article?k=2026110600913&g=pol
- 産経新聞「『本当に立派』公明・岡本代表、自民・石破氏らの採決退席を称賛も『うちは団結できる』」(2026年11月6日)https://www.sankei.com/article/20261106-LDQDWOWPX5GCVC433OMCTZ2YVM/
- 秋田魁新報(共同通信配信)「自民、消費減税対応を一任 1%案、異論押し切る」(2026年8月3日)https://www.sakigake.jp/news/article/20260803CO0117/
- J-CASTニュース(2026年8月)https://www.j-cast.com/2026/08/05516903.html
- 野村総合研究所 木内登英「大きな不安を残したまま消費税減税は閣議決定へ」(2026年8月4日)https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20260804_2.html
- 首相官邸「法務大臣 古川禎久」https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/meibo_a/daijin/furukawa_yoshihisa.html
- 毎日新聞「消費税減税法案衆院通過 全野党反対、自民も4人が退席」(2026年11月6日)
- 共同通信「石破前首相ら自民4人が退席 衆院採決『懸念払拭できず』」(2026年11月6日)
