【10/20】BYDラッコ受注2022台|伸びは鈍化、ナンバー648台との差とe SKY比較

【10/20】BYDラッコ受注2022台|伸びは鈍化、ナンバー648台との差とe SKY比較

中国の自動車メーカーBYDが日本専用に作った軽EV(電気で走る軽自動車)「ラッコ」の受注が、10月18日時点で2022台になりました。日本経済新聞が10月19日、同社の関係者の話として伝えています。7月末の発売から約2か月半での数字で、BYDは日本で売ったモデルとして「過去最速」のペースだとしています。

ただし、受注の数字を時期ごとに並べると、伸び方は発売直後から大きく変わっています。また、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の統計でナンバーが付いた台数は、9月までの累計で648台です。この記事では、受注2022台の中身、月ごとの伸び方、届出台数との差、年1万台という目標との距離、スズキ「e SKY」など他の軽EVとの比べ方を、数字の出どころを分けて整理します。

この記事でわかること

  • 受注は2022台:10月18日時点の累計で、8割が最上位の「300Premium」です(日本経済新聞)。
  • 伸びは鈍っている:発売2週間で1000台を超えた後、9月27日から10月18日の3週間で増えたのは190台です。
  • ナンバーが付いたのは648台:全軽自協の統計ではBYDの軽は9月に442台、1〜9月の累計で648台でした。
目次

BYDラッコの受注は何台?10月18日時点で2022台

BYDの軽EVラッコの受注は、10月18日時点で2022台です。7月28日の発売から約2か月半の累計です。

日本経済新聞は10月19日、同社の関係者が受注台数を明らかにしたと報じました。受注のうち8割は最上位グレードが占めているとしています。同じ記事によると、BYDの日本法人の東福寺厚樹社長は10月15日、北海道旭川市の販売店の開所式に出席しています。BYDはこの受注ペースを、日本で売ったモデルの中で「過去最速」としています。

ラッコは、全長3395mm・全幅1475mm・全高1800mmという軽自動車の枠いっぱいの車体に、両側の電動スライドドアを付けた「軽スーパーハイトワゴン」です。ホンダのN-BOXやスズキのスペーシアと同じ形で、日本でいちばん売れている車の形をEVにしたことが特徴です。発売時の価格や装備は「BYD新型軽EV「RACCO」価格・航続距離まとめ」で詳しく整理しています。

3つのグレードと価格

グレードは「200」「300Plus」「300Premium」の3つで、税込み価格は214万5000円から249万7000円です。

くるまのニュースによると、価格は200が214万5000円、300Plusが239万8000円、300Premiumが249万7000円です。1回の充電で走れる距離(WLTCモード)は、200が210km、300Plusと300Premiumが320kmです。国のCEV補助金(電気自動車などを買う人への補助金)は3グレードとも15万円です。

グレード 価格(税込み) 航続距離(WLTC) 国の補助金
200 214万5000円 210km 15万円
300Plus 239万8000円 320km 15万円
300Premium 249万7000円 320km 15万円

受注の8割を占める300Premiumは、いちばん高いグレードです。価格の安さだけで選ばれているわけではないことが、この比率から読み取れます。

ラッコの受注は月ごとにどう伸びた?発売直後から鈍化

発売から2週間で1000台を超えましたが、その後の伸びは小さくなり、直近3週間の増加は190台でした。

報道された受注の累計を、時期の順に並べます。数字はいずれも受注(購入の契約)で、納車やナンバー登録の台数ではありません。

時点 累計受注 出どころ
7月28日 発売 BYD Auto Japan
発売から約2週間 1000台超 BYD Auto Japanの発表(ベストカーWeb)
8月末 約1500台 BYD Auto Japanの9月3日発表(くるまのニュース)
9月中旬 約1700台 くるまのニュース
9月27日 1832台 くるまのニュース
10月18日 2022台 日本経済新聞

表の差を取ると、8月末から9月27日までの約4週間で増えたのは約330台、9月27日から10月18日までの3週間では190台です。1日あたりにすると、約12台から約9台に下がっています。発売直後の2週間に1000台が集まったのと比べると、勢いは落ち着いたと言えます。

(編集部分析)発売直後の受注には、発表を待っていた人の注文がまとめて入ります。新しい車ではよくある形で、2週間の数字だけで人気を測ると高く見えます。今後の判断材料になるのは、ここ数週間の1日9台前後というペースのほうです。

受注2022台なのに、なぜナンバーが付いたのは648台なのか

受注は契約の数、全軽自協の数字はナンバーが付いた数で、数える時点が違うためです。納車が進めば差は縮まります。

全軽自協の「軽自動車新車販売速報」によると、BYDの軽乗用車は9月に442台が届け出られました。8月は81台で、1〜9月の累計は648台です。BYDの軽はラッコだけなので、この数字がそのままラッコの届出の台数と見てよいでしょう。

8月の81台という数字は、9月初めに「ラッコは8月に81台しか売れていない」という話としてネットで広がりました。くるまのニュースは、81台は初めのころにナンバーが付いた台数で、受注とは時点がずれていると説明しています。主力の300Premiumの本格的な納車は、9月中旬以降に船が着くのに合わせて順に始まると報じられていました。9月に届出が442台へ増えたのは、この納車が始まるとされた時期と重なります。8月の数字の読み方は「BYD軽EV「ラッコ」の届出は81台|受注1000台超との差」でも整理しました。

数字 台数 何を数えているか
受注(10月18日時点) 2022台 購入の契約
届出(8月) 81台 ナンバーが付いた車
届出(9月) 442台 ナンバーが付いた車
届出(1〜9月累計) 648台 ナンバーが付いた車

受注2022台と9月末までの届出648台には、1374台の差があります。ただし、受注は10月18日時点、届出は9月末時点で数えた時点が違い、契約の取り消しや10月の届出も入っていません。このため、この差をそのまま納車待ちの台数とは見なせません。10月の届出は11月初めに全軽自協が出す速報で分かります。

年1万台の目標に届くペースか?

仮に年内の受注1万台を目標とすると、今のペースでは難しい計算です。残り約2か月半で約8000台、1日100台を超える受注が要ります。

くるまのニュースは、BYDの今年の目標を1万台と伝えています。ただ、この1万台が受注の数なのか、販売(届出)の数なのかは、報道によって書き方が分かれていて、この記事では確かめられませんでした。ここでは、数字が大きく出る受注で計算します。

10月18日の2022台から1万台までは、あと7978台です。10月19日から12月31日までは74日なので、1日あたり約108台の受注が必要になります。直近3週間のペースは1日約9台で、必要な数の1割にも届いていません。月にならすと、必要なのは約3300台、今のペースは約270台です。

(編集部分析)BYDは2000台を日本で売ったモデルとして「過去最速」としています。ただ、報じられている1万台という目標を受注で見ると、このままでは大きく足りません。年末の追い込みや、販売店が増えることで伸びる余地はありますが、BYDが目標の中身を見直すのか、受注の新しい数字を出すのかが次の注目点です。

ラッコはどんな人が買っている?300Premiumが8割

受注の約8割が最上位の300Premiumで、買う人の約4割は2台目以降として「増車」で買っています。

BYD Auto Japanが発売2週間で受注1000台を超えたと発表したときの数字では、グレードの比率は300Premiumが80.0%、300Plusが14.0%、200が6.0%でした。9月27日時点でも300Premiumは約85%を占めています。初期に買った人のアンケートでは、買い方は「増車」が37.5%、「入れ替え」が35.7%、「新規」が26.8%でした。自宅に充電の設備が「ある」人は55.4%です。

くるまのニュースによると、買った人の約25%は女性です。契約するのは夫でも、ふだん乗るのは妻という例が多く、主に乗るのは30〜50代の主婦層だとしています。これは、もともと軽スーパーハイトワゴンを買う人と同じ層です。契約した人へのアンケートで最も多かった買った理由は「商品としてのしっかり感」でした。

増車の需要と、自宅に充電の環境がある人が、初期の買い手の一定の割合を占めていたことがアンケートから分かります。

(編集部分析)こうした家庭が初期の受注を支えた可能性があります。2つの数字が同じ人の回答かどうかは分からないため断定はできませんが、受注をさらに伸ばすには、1台目として選ぶ人や、自宅で充電できない人にも広げられるかが鍵になると見られます。

ラッコとe SKY・サクラ・N-ONE eはどう違う?軽EVの比較

航続距離はラッコの320kmが最長ですが、電費と国の補助金ではスズキのe SKYが大きく上回ります。

スズキは初めての軽乗用EV「e SKY」を11月16日に発売します。Webモーターマガジンによると、価格は212万円からで、国のCEV補助金は56万8000円です。MonoMax Webは、軽EVの航続距離と電費(1kmを走るのに使う電気の量。少ないほど効率がよい)を次のように比べています。

車種 航続距離(WLTC) 電費 形
BYD ラッコ(300系) 320km 124Wh/km スーパーハイトワゴン・両側スライドドア
スズキ e SKY 310km 97Wh/km ハイトワゴン・前ヒンジドア
ホンダ N-ONE e 295km 105Wh/km ―
日産 サクラ/三菱 eKクロスEV 180km 124Wh/km ―

表のとおり、走れる距離ではラッコが一番長く、サクラとeKクロスEVの180kmを大きく上回ります。一方、電費はe SKYの97Wh/kmが最も良く、ラッコとサクラの124Wh/kmより約2割少ない電気で走れます。

買う人にとって大きいのは補助金の差です。ラッコの国の補助金15万円に対し、e SKYは56万8000円で、差は41万8000円あります。車両価格の差(ラッコ200の214万5000円とe SKYの212万円から)は2万5000円しかないため、補助金を引いた後の負担はe SKYのほうがかなり軽くなります。ただし、e SKYはスライドドアの無い「ハイトワゴン」で、ラッコとは車の形が違います。両側スライドドアの軽EVは、今のところラッコだけです。

(編集部分析)e SKYの発売日と価格が明らかになった時期は、ラッコの受注の伸びが鈍った時期と重なります。e SKYの発表がラッコの受注に影響したかどうかは確かめられていません。スライドドアが要らない人にとっては、e SKYは補助金込みで安く、電費も良い選択肢です。ラッコがこれから受注を伸ばすには、「スライドドアの軽EVが欲しい」という人にどれだけ届くかが鍵になります。

今ラッコを買うか待つか、判断の材料は?

両側スライドドアの軽EVが欲しい人には今のところラッコしかなく、補助金の小ささを地方の上乗せで補えるかが判断の分かれ目です。

国のCEV補助金が15万円と小さいことは、ラッコの弱点です。住んでいる自治体の補助金で差が変わります。くるまのニュースの記者は、東京都では国とは別に40万円、自宅に太陽光発電を付けていればさらに30万円が上乗せされると試算していました。ただし、都の補助金はメーカーや、充電設備・再生可能エネルギーの電気を使っているかなどの条件で額が変わります。買う前に、住んでいる自治体の最新の条件を必ず確かめてください。

確かめておきたい点を並べます。

  • 自宅で充電できるか(初期の買い手の55.4%は自宅に充電設備がありました)
  • 住んでいる都道府県・市区町村の補助金の額と条件
  • 納車の時期(主力の300Premiumは9月中旬以降に順に納車と報じられています)
  • スライドドアが必要か(不要ならe SKYやN-ONE eも候補に入ります)
  • 近くにBYDの販売店があるか(点検や修理をどこで受けるか)

この5点のうち、補助金と自宅の充電で負担額と使い勝手が大きく変わります。先に2つを確かめてから、販売店で見積もりを取るのが順番として無駄がありません。

「日産の技術者が作ったから完成度が高い」は本当か

日産で軽自動車を担当した人はBYDにいますが、入社した時点でラッコの車体はほぼでき上がっていました。

ダイヤモンド・オンラインのインタビューで、BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長は、SNSで広がる「日産からサクラの開発者を引き抜いた」という話について答えています。社長によると、田川博英氏は日産と三菱の軽の合弁会社(NMKV)にいて、サクラの初期のコンセプトづくりにも関わった人物です。ただし、田川氏がBYDに入社したのは2025年8月で、そのときにはラッコのハードウエアはほとんどでき上がり、試験走行をしていた段階だったと説明しています。

同じ記事では、「バッテリーがむき出しで、水に浸かったら感電する」という話についても、車体の底に1000ジュールの衝撃を与える試験や、海水と同じ濃さ(3.5%)の塩水に2時間つける試験をしていると社長が答えています。ただ、これはメーカー側の説明で、第三者が同じ試験をして確かめた結果ではありません。

BYDラッコの受注についてよくある質問

ラッコの受注や数字の読み方について、よく出る疑問をまとめます。

Q. 受注2022台はBYDの公式発表ですか?

A. 公式の発表資料は、この記事を書いた時点では確かめられていません。日本経済新聞が10月19日に、BYDの関係者の話として伝えた数字です。

Q. ラッコは日本以外でも売られますか?

A. 売られます。日本経済新聞によると、マカオでは予約の受け付けが始まり、スリランカでも発表会を開いて販売を始める予定と報じられました(10月4日時点)。

Q. ラッコの補助金はなぜ15万円なのですか?

A. 国のCEV補助金は、車の性能だけでなくメーカーの充電設備づくりなどの取り組みも点数にして額を決めます。ラッコの配点の内訳は公表されていません。

Q. BYDは日本でほかにどれくらい売れていますか?

A. 日本経済新聞によると、2023年1月に日本の乗用車市場へ参入したBYDは、10月初めまでに国内の納車が1万台に達しました。ラッコはその中で初めての軽自動車です。

受注と届出の数字は、出るたびに意味が違うので、どちらの数字かを確かめてから比べることが大切です。

参考情報

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