【11/3】ダークウェブで日本人の個人情報が1週間500万件超|S2W分析とGMO会見、今やること

【11/3】ダークウェブで日本人の個人情報が1週間500万件超|S2W分析とGMO会見、今やること

ダークウェブで日本人の個人情報の取引が急に増えています。テレビ朝日(ANN)は11月3日、サイバーセキュリティー会社「S2W」の三好平太代表取締役がダークウェブなどを分析した結果として、日本に関係する個人情報の流出が直近1週間で500万件以上にのぼると報じました。同じ報道では、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表が11月2日の会見で不正アクセス問題を謝罪したことも伝えています。

この記事では、報道と各社の発表で確認できた事実をもとに、ダークウェブで何が売られているのか、GMOの会見で何が明らかになったのか、10月から相次いだ流出の発表、そして自分の情報が心配なときに今やることを整理します。数字の数え方がまだ公表されていない点も、そのまま書きます。

この記事でわかること

  • 何が起きたか:S2Wの分析で、日本関連の個人情報の流出は直近1週間で500万件以上とされました。件数の数え方は公表されていません。
  • 売られ方:10月下旬、英語のサイトで日本人のものとみられる情報420万件が約4万円、中国語のサイトでマイナンバーカードなどの情報が約25万円で売られていました。
  • 今やること:パスワードの使い回しをやめ、二段階認証を設定し、企業を名乗るメールやSMSのリンクを開かないことが基本です。
目次

ダークウェブで日本人の個人情報が急増とは?1週間で500万件以上

日本に関係する個人情報がダークウェブなどで大量に出回り、直近1週間の流出が500万件以上にのぼったと報じられています。

ダークウェブは、通常の検索エンジンでは見つからず、特別なソフトを使わないと接続できないネット上の領域です。盗まれた個人情報やカード情報、攻撃用のツールが売り買いされる場として知られています。テレビ朝日の11月3日の報道は、サイバー攻撃による情報漏えいが相次ぐなかで、世界各地のこうした場で日本人の個人情報の取引が急に増えていると伝えました。

S2Wの三好平太代表が示した数字

流出は直近1週間で500万件以上、販売例は420万件が約4万円、マイナンバーカードなどが約25万円です。

下の表は、テレビ朝日の報道で確認できる数字をまとめたものです。

項目 報道された内容 出どころ
日本関連の個人情報の流出 直近1週間で500万件以上 S2W 三好平太代表取締役の分析
英語のサイトでの販売 日本人のものとみられる個人情報420万件を約4万円(10月下旬) 同上の報道
中国語のサイトでの販売 マイナンバーカードなどの個人情報を約25万円(10月下旬) 同上の報道

420万件が約4万円という値段は、1件あたりに直すと1円にもなりません。大量の情報がまとめて安く出回っている一方で、本人確認書類に関わる情報は高い値段が付いていることが分かります。

「500万件」の数え方はまだ公表されていない

500万件が何を1件と数えたのか、重複を除いたのかは、11月3日時点の報道では示されていません。

ダークウェブでは、同じ流出データが別の場所で何度も売りに出されたり、古いデータが新しい名前で再掲されたりすることがあります。そのため「1週間で500万人の日本人の情報が新たに漏れた」とまでは言えません。報道が示したのはS2Wの分析による件数で、集計の方法や対象の範囲が公表されたら、それに合わせて読み直す必要があります(編集部分析)。

ダークウェブでは日本人の情報がいくらで売られているか

今回報じられた事例では、大量の個人情報が約4万円、本人確認書類に関わる情報が約25万円で売られていました。

読売新聞は11月1日、三井物産セキュアディレクション(東京)の調査として、ハッカーらが集まる闇サイトで日本の個人情報への関心が高まっていると報じました。同じ報道では、クレジットカード情報は1件約3800円で取引されているとみられ、漏えいを公表した企業の情報を求める動きもあるとしています。

下の表は、報道に出た値段を並べたものです。調べた会社も時期も違うので、単純に比べることはできません。

売られていたもの 値段 報道
日本人のものとみられる個人情報420万件 約4万円(まとめて) テレビ朝日(11月3日)
マイナンバーカードなどの個人情報 約25万円 テレビ朝日(11月3日)
クレジットカード情報 1件約3800円とみられる 読売新聞(11月1日・三井物産セキュアディレクションの調査)

カード情報は不正な決済に使われるおそれがあり、今回の報道では1件約3800円とされています。氏名や住所、メールアドレスの束は値段が安くても、詐欺メールや電話の「名簿」として使われるおそれがあります(編集部分析)。

GMO熊谷代表は11月2日の会見で何を謝罪したか

熊谷代表は、不正アクセスから顧客を守れなかったことと、事前の指摘を生かせなかったことを謝罪しました。

時事通信の会見詳報によると、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表は11月2日に記者会見を開き、「お客様を守ることができなかった」と謝罪しました。この問題は、FXの自動売買などに使われるクラウド型のサービス「お名前.com デスクトップクラウド」が攻撃を受け、利用者の取引口座の情報が不正に使われたものです。当サイトでは10月27日の攻撃予告の時点で、お名前.com デスクトップクラウドへの攻撃予告と補償の中身をまとめています。

お名前.com デスクトップクラウドへの侵入の流れ

攻撃者は8月5日に侵入し、GMOが確認したのは10月20日で、2か月以上気づけませんでした。

下の図は、時事通信の会見詳報に出た日付を順に並べたものです。

8月5日 顧客のリモートデスクトップに侵入し、管理者アカウントを盗む
8月17日 管理者の権限で管理サーバーに侵入
9月20日〜10月14日 管理サーバーを通じてマルウエアを配布
10月20日 顧客の問い合わせを受けた調査で、初めて確認
10月21日 犯人から80億円を要求される(支払わない方針)
11月2日 熊谷代表が会見で謝罪

対象となった仮想マシン(サーバー)は2万6739台で、サービスは会見の時点でも止まったままでした。時事通信はこの数字を対象の顧客2万6739件と伝えていますが、いずれにしても情報の流出が確定した人の数ではない点に注意が必要です。

80億円の要求と補償・見舞金

GMOは80億円の要求に応じない方針で、情報を公開された利用者には1公開あたり上限300万円の見舞金を払うとしています。

お名前.comが10月27日に出したお知らせ(第12報)によると、GMOは攻撃者に情報を公開されたと同社が確認した利用者への「特別お見舞金」を決め、対象者には個別に連絡するとしています。基本情報は1万円、取引口座のIDやパスワードなどは1万5000円、機微な情報は2万5000円で、複数の区分が公開された場合は合計し、上限は1公開あたり300万円です。一律5000円のお見舞金や不正取引の補償とは別に払われます。Impress Watchによると、犯人につながる情報に総額100万米ドルを上限とする懸賞金の制度も作りました。ScanNetSecurityによると、サービスを使っている全利用者には、被害の有無にかかわらず一律5000円のお見舞金を払うとしています。

2024年の指摘を生かせなかった

2024年4月にグループ内の専門家が改善点を報告していたのに、対策が不十分だったと熊谷代表は認めました。

時事通信の会見詳報によると、2024年4月24日にグループ会社「GMOサイバーセキュリティbyイエラエ」の専門家から改善点の報告があり、4月26日から5月20日にかけて緊急メンテナンスを4回行いましたが、対策は十分ではありませんでした。テレビ朝日の報道では、熊谷代表は北朝鮮のハッカーが関わっているかを問われ、調査中だとして国名などを明らかにしませんでした。

なぜ日本の個人情報が狙われるのか

一因として専門家は、AIの広がりで日本語の不自然さが消え、日本を狙う攻撃の敷居が下がったと指摘しています。

テレビ朝日の報道によると、専門家は、AIの普及で不自然でない日本語の詐欺メールや攻撃が簡単になったとみています。これまでは日本語の壁が一種の守りになっていましたが、それが薄れているということです。熊谷代表も会見で、相次ぐ情報漏えいの一因としてAIの急な発展を挙げ、今の混乱は「まだプロローグ」だと強い危機感を示しました(時事通信)。

読売新聞が伝えた三井物産セキュアディレクションの調査では、漏えいを公表した企業の情報を求める動きも闇サイトで見られたとされています。一度漏れた情報が別の攻撃の足がかりにされ、被害がつながっていくおそれがあります。企業の発表を待つだけでなく、利用者の側でも守りを固めておく時期に来ています(編集部分析)。

10月以降に発表が続いた主な情報流出

10月以降、数百万件から数千万件の規模の流出の発表が、通販や配送、ソフト販売の会社で相次ぎました。

下の表は、当サイトで取り上げた主な発表をまとめたものです。件数の単位(件・人)は各社の発表に合わせています。それぞれ別の会社・別の原因の事案で、ダークウェブで売られているデータとの関係は発表されていません。

会社・サービス 発表された規模 当サイトの記事
スカイチケット 1464万件 10月9日の記事
ソースネクスト 2252万件 10月16日の記事
ショップサーブ 2335万人(カード209万人分) 10月17日の記事
お名前.com デスクトップクラウド(GMO) 対象の仮想マシン2万6739台 10月27日の記事
ノジマ 約700万件 11月3日の記事

テレビ朝日の報道では、スーパーの「ライフ」も個人情報の漏えいの可能性を発表したと伝えています。使っているサービスが多い人ほど、確かめておくべき各社の発表も増えます。

自分の情報が売られていないか不安なときに今やること

パスワードの使い回しをやめ、二段階認証を入れ、企業を名乗る連絡のリンクを開かないことが今すぐできる守りです。

ダークウェブにどの情報が出ているかを、個人が正確に確かめるのは難しいのが実情です。そこで「漏れているかもしれない」前提で、被害につながる道を先に塞いでおくのが現実的です。下の図は、やることを優先度の高い順に並べたものです。

1. パスワードを変える
同じパスワードを複数のサービスで使っているなら、別々のものに変える
2. 二段階認証を入れる
ネット銀行・証券・通販・メールは、パスワードだけで入れない設定にする
3. リンクを開かない
企業を名乗るメール・SMS・電話は、公式アプリや公式サイトから確かめる
4. 明細を見る
カードと銀行の利用明細に、覚えのない引き落としがないか確かめる

個人情報保護委員会は、漏えいが起きたときの対応や相談先を漏えい等の対応とお役立ち資料にまとめています。不審なメールについては、フィッシング対策協議会が実際に出回っている偽メールの例を知らせています。どちらも公式のページなので、心配なときはここから確かめてください。

ネット銀行や証券を使っている人が先にやること

お金が動く口座は、ログインの通知を有効にし、出金先や取引の設定が変わっていないかを先に確かめます。

テレビ朝日の取材に、30代の人はネットバンクを使っているので残高が急に減らないか心配だと話し、50代の男性は2〜3社から情報が漏れたと感じていて、対象かどうかあいまいな連絡を受けて驚いたと話しました。お名前.com デスクトップクラウドの事案では、取引口座のログイン情報が盗まれ、わざと損をする取引が行われたと時事通信は伝えています。ネット銀行や証券、FXの口座は、ログインの通知メールを有効にし、登録されている出金先の口座や連絡先が変わっていないかを一度見ておくと、異変に早く気づけます。覚えのない取引やログインがあれば、すぐに各社の窓口に連絡してください。

ダークウェブを自分で見に行かない

自分の情報を探そうとダークウェブに接続するのは、詐欺やウイルスに遭う危険が大きいのでやめましょう。

見知らぬサイトでお金を払ったり、ファイルを開いたりダウンロードしたりすると、詐欺やウイルスの被害に遭う危険があります。「あなたの情報が漏れていないか調べます」とうたう有料の案内にも注意が必要です(編集部分析)。GMOも、攻撃者が公開した情報の転載や再投稿、そこへ誘うリンクの共有を控えるよう呼びかけています(Impress Watch)。気になる人は、利用している企業からの正式な通知と、公的機関の案内で確かめるのが安全です。

ダークウェブの情報流出のよくある質問

自分が含まれるかの確かめ方、GMOの相談窓口、通知が来ない場合について、11月3日時点で分かっている範囲をまとめます。

Q. 自分の情報が500万件に含まれているかを確かめる方法はありますか?

A. 11月3日時点で、S2Wの分析した500万件の中身を個人が照会できる仕組みは報じられていません。確かめられるのは、利用している各社の流出の発表と、各社から届く正式な通知です。

Q. お名前.com デスクトップクラウドの利用者は、どこで相談すればよいですか?

A. お名前.comの第15報では、問い合わせフォームと電話(03-5456-2560・土日祝も24時間)を窓口にしています。特別お見舞金は申請ではなく、対象者に同社から個別に連絡するとしています。

Q. 企業から通知が来ていなければ安心ですか?

A. 安心とは言い切れません。調査中で対象が決まっていない事案もあります。①その会社の公式サイトのお知らせ、②登録したメールアドレスの受信箱(迷惑メールの箱も)、③会社の問い合わせ窓口、の順に確かめてください。

500万件という数字の中身や、GMOの事案の原因の調べは、まだ続いています。新しい発表が出たら、この記事の内容とあわせて確かめてください。

参考情報

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