【10/25】フランスで再びデモ41万人|警官7万人の厳戒態勢、ルーブル閉館・約1000人拘束と17日の暴動との違い

フランス各地で2026年10月24日、物価高や公共サービスへの不満を訴える大規模なデモが再び行われました。内務省の発表では全国で計41万人が参加し、政府は約7万人の警官隊を配備する厳戒態勢で臨みました。産経新聞は、一部で略奪や衝突はあったものの大きな混乱は避けられたと伝えています。

17日のデモが暴動と略奪に発展してから、ちょうど1週間です。この記事では、24日のデモの規模と拘束者の数、17日との違い、政府が出した「警戒態勢」の中身、デモの理由と制限への批判、そして日本から旅行する人が気をつけることを、報道をもとに整理します。17日の暴動と夜間外出禁止令の経緯は「フランス夜間外出禁止令|パリ・リールの区域と時間、暴動の原因」にまとめています。

この記事でわかること

  • 24日のデモの規模:内務省発表で全国41万人、パリ約11万人。内相は約1000人を拘束したと説明
  • 政府の警戒態勢:届け出のないデモの禁止、軍のテロ対策部隊「センチネル」の投入、特殊部隊RAIDの追加
  • 17日との違い:参加者は55万人から41万人に減り、暴動の規模も小さく抑えられた
目次

フランスで10月24日に何が起きた?

物価高などに抗議するデモが全国で行われ、内務省発表で41万人が参加しました。大きな混乱は避けられました。

産経新聞によると、パリでは中心部での集会が禁じられ、デモ行進は市の南部、イタリア広場の周辺で行われました。パリだけで約11万人が参加し、教育現場の改善を求める学生、労働組合、パレスチナ支援の活動家などが、それぞれ手製のプラカードを掲げました。

ヌニェス内相は24日のデモについて、一部で破壊行為や略奪があり、警察が約1000人を身柄拘束したと述べています。この数字が全国の合計か、どの時点までの数かは報道からは分かりません。

パリはルーブル美術館が閉館、中心部の地下鉄駅も閉鎖

パリでは24日、ルーブル美術館やオルセー美術館などが閉館し、シャンゼリゼ通り周辺など中心部の地下鉄駅が閉鎖されました。

商店やスーパーは、店先をベニヤ板や鉄板で覆って暴動に備えました。産経新聞が23日に伝えたところでは、シャンゼリゼ通りに近い洋品店の店主が「板でショーウインドーを覆うのに3000ユーロ(約53万円)以上かかった」と話しています。朝日新聞は、1週間前の騒乱があったレピュブリック広場に、焼け落ちた露店やひび割れたガラスがそのまま残っていたと伝えました。

マルセイユやリヨンでも混乱

南部マルセイユでは宝飾店など数件が襲われ、中部リヨンでは治安当局が催涙弾で人々を解散させました。

産経新聞はフランスのメディアの報道として、マルセイユで宝飾店などが襲われたと伝えました。朝日新聞は現地メディアの報道として、リヨンで集会の禁止区域に集まった人々を、治安当局が催涙弾を使って解散させたとしています。マルセイユやモンペリエ、ニースなどでは、24日のデモそのものが県庁の判断で開催禁止になっていました。

17日の暴動と24日のデモを比べると?

24日は参加者が17日の55万人から41万人に減り、警備を強めた結果、暴動の広がりも抑えられました。

17日と24日の数字を並べます。拘束者の数は、発表の時点や数え方で媒体ごとに違いがあるため、出どころを分けて書きます。

項目 10月17日(土) 10月24日(土)
参加者(内務省発表) 全国55万人(主催者側は約80万人) 全国41万人(パリ約11万人)
拘束者 2397人(朝日・内務省)/少なくとも1800人(NPR・18日時点) 約1000人(内相の説明)
治安部隊のけが人 警察官と憲兵あわせて997人(朝日・内務省) 報道なし(公開時点)
商店の被害 17・18日に「数千店」(政府発表) マルセイユで宝飾店など数件
警備 通常の警備 約7万人の警官隊、軍の部隊も投入

17日の拘束者は、アメリカの公共ラジオNPRが18日に「少なくとも1800人」と伝え、朝日新聞は内務省の数字として2397人としています。集計が進むにつれて数が増えたと見られます。24日の約1000人は当日の内相の説明で、あとで増える可能性があるため、17日の集計とそのまま比べることはできません。24日の治安部隊のけが人の数も、公開時点では報じられていません。

なぜ24日は大きな混乱にならなかったのか

(編集部分析)当局がデモの場所を細かく制限し、警備の人数も前の週より増やしたことが効いた可能性があります。

朝日新聞はAFP通信の報道として、24日は全国で前の週より2割多い警備要員を投入したと伝えています。パリでは労働組合が申請したデモ行進のルートを当局が認めず、中心部から離れたルートに変えさせました。(編集部分析)商業地や観光地からデモの列を離したことで、略奪の標的になる店が並ぶ場所に人が流れ込まなかったことが、被害を小さくした理由の1つと考えられます。

フランス政府はどんな警戒態勢を敷いた?

内務省は21日、届け出のないデモの禁止、軍の部隊の投入、特殊部隊の追加という3つの対策を発表しました。

ANN(テレビ朝日系)の報道によると、フランス政府はこれを異例の「警戒態勢」として発表しました。17日から24日までの政府の動きを、日付の順に並べます。

17日 全国55万人のデモの一部が暴動に。放火と略奪が相次ぐ
19〜22日 パリなどで夜間外出禁止令。パリ中心部は26日朝まで続ける
21日 内務省が「警戒態勢」を発表(デモの禁止・軍・特殊部隊)
22日 マクロン大統領が労働組合以外のデモは原則禁止と表明
23日 マクロン大統領がデモを続ける高校生と会談
24日 全国41万人のデモ。約7万人の警官隊で大きな混乱は回避

1週間のうちに、夜間外出禁止令、デモの制限、軍の投入と、段階を追って締め付けを強めたことが分かります。並行して、大統領が高校生と直接会う対話の場も設けられました。

3つの対策の中身

1つ目は危ないデモの禁止、2つ目は軍のテロ対策部隊「センチネル」の投入、3つ目は国家警察の特殊部隊「RAID」の追加です。

ANNによると、事前の届け出がないデモに加えて、届け出があっても地元の警察が「安全が確保できない」と判断したデモは認めないことにしました。街中の警備を軍の「センチネル」に任せることで、警察と憲兵隊を暴動への対応に集中させます。覆面の集団などによる突然の破壊行為に備えて、RAIDや装甲車、放水車も追加しました。

ヌニェス内相は20日の議会で「隊員のなかには敷石を投げられて重傷を負っている者がいる。殺人未遂の被害に遭ったようなものだ」と述べ、治安部隊の厳しい状況を訴えています。

夜間外出禁止令はパリ中心部で26日朝まで

パリ中心部の夜間外出禁止は、パリ警視庁の発表で26日(月)の朝まで続きます。

産経新聞によると、パリ中心部では22日の夜で4夜続けての夜間外出禁止となり、警視庁は26日朝まで続けると発表しました。対象の区域の外でも、夜の閉店時間を早める飲食店が出ています。区域と時間の詳しい内容は、前の記事で整理しています。

フランスのデモの理由は何か

デモの理由は、物価高による生活苦と、医療や教育など公共サービスへの不満です。学生と労働組合が中心です。

NPRは、17日のデモを呼びかけたのが労働組合と学生団体、そして2018年の「黄色いベスト運動」の再燃を狙う活動家だったと伝えています。朝日新聞の取材に応じたパリの大学生(20)は「食べる量を減らすようにした」と物価高の影響を語り、「マクロン政権は国民の声を聞いていない」と話しました。

産経新聞が伝えた世論調査では、9割以上が暴動や略奪を非難する一方で、物価高に対するデモ隊の抗議の内容については93%が「正当だ」と答えています。高校生たちが求める教育現場の改善にも82%が賛同しました。

学生と高校生が前面に出ている

今回のデモでは、大学の設備不足や教育現場の改善を訴える学生と高校生が目立ち、政府も高校生との対話に動きました。

産経新聞の取材に応じたパリ郊外の大学生(25)は「17日にデモに参加し、警察の手荒な鎮圧に憤慨した。大学は機材が不足し、ひどい状況にある。政府が対応を約束するまでデモを続ける」と話しています。朝日新聞によると、24日のパリのデモの出発地点では、若者らが「マクロン(大統領)辞めろ」と叫び、医療や教育などへの不満を書いたプラカードも見られました。マクロン大統領は23日、デモを続ける高校生たちと会い、話し合いで解決する道を探る方針です。

暴動は否定、抗議の中身には賛成という世論

フランスの世論は、暴力は許さないが、生活が苦しいという訴えはもっともだ、という形に分かれています。

(編集部分析)この数字は、政府がデモを力で抑えるだけでは不満そのものは消えないことを示していると読めます。93%が抗議の内容を正当と見ている以上、物価高への手当てや公共サービスの立て直しといった中身の答えを出さない限り、デモは週末ごとに繰り返されるおそれがあります。マクロン大統領が高校生と会ったのは、その出口を探る動きと評価できます。

デモの制限に批判は出ているか

出ています。環境政党の党首や欧州評議会の人権弁務官が、デモの自由が損なわれていると懸念を示しました。

朝日新聞によると、フランスの環境政党のトンドリエ党首は23日、デモをする自由さえ損なわれたとして、ラジオ番組で「もう自分の国だと思えない」と批判しました。人権の保護などに取り組む国際機関「欧州評議会」のマイケル・オフラハティ人権弁務官も23日、欧州各地で週末にデモが行われることを踏まえ、平和的に集まる権利を保障し、警察活動が人権に合った形で行われるよう求めています。

(編集部分析)一方で、17日には商店が「数千店」被害を受け、治安部隊のけが人は997人に上りました。暮らしと商売を守るのは国家の基本の務めであり、略奪が広がった直後に場所と時間を区切ってデモを認めた判断には、一定の理由があると評価できます。問われるのは、平和的に声を上げる人と、混乱に乗じて店を襲う集団とを、どこまで区別して扱えるかです。

Q. フランスではデモをするのに届け出が要る?

A. 要ります。今回の警戒態勢では、届け出のないデモに加え、届け出があっても警察が安全を確保できないと判断したデモも認めないとされました。

制限と自由の兼ね合いは、次の週末のデモでも焦点になりそうです。

日本からフランスへ旅行する人が気をつけることは?

週末のデモの日はパリ中心部を避け、美術館や地下鉄の運行を公式の発表で確かめてから動くことが大切です。

24日のようにデモの日は、ルーブル美術館やオルセー美術館が急に閉館し、中心部の地下鉄駅が閉鎖されることがあります。パリ中心部の夜間外出禁止は26日朝まで続くため、それまでは夜の外出の予定も見直しが必要です。24日に止まったり制限されたりしたものを表にまとめます。

場所・もの 24日の状況 出どころ
ルーブル美術館・オルセー美術館 閉館 産経新聞
シャンゼリゼ通り周辺など中心部の地下鉄駅 閉鎖 産経新聞
パリ中心部での集会 禁止。デモは南部のイタリア広場周辺で 産経新聞
パリ中心部の夜の外出 夜間外出禁止(26日朝まで) 産経新聞(パリ警視庁の発表)
マルセイユ・モンペリエ・ニースのデモ 開催禁止 産経新聞(各県庁の判断)

観光の中心であるパリの美術館と地下鉄が、デモの日にまとめて止まったことになります。旅行の日程に土曜が入っている人は、とくに注意が必要です。

  • 出発の前に、外務省の海外安全ホームページでフランスの最新の情報を確かめる
  • 旅行の日程を外務省のたびレジに登録し、現地の注意喚起をメールで受け取る
  • 美術館はルーブル美術館やオルセー美術館の公式サイトで当日の開館を確かめる。デモの予定がある日は特に注意する
  • 地下鉄の駅の閉鎖は、パリの交通公社RATPの公式サイトやアプリで確かめる
  • デモの列や人だかりには近づかない。写真を撮るために立ち止まらない

現地の状況は日ごとに変わるので、出発の直前と現地に着いてからも、もう一度確かめてください。

日本はフランスのデモから何を学ぶべきか

物価高で生活が苦しくなると、不満は一気に街頭へ噴き出し、治安と経済の両方を傷つけるということです。

17日の暴動では「数千店」が被害を受け、24日には観光の顔であるルーブル美術館が閉まりました。デモに参加した学生は「食べる量を減らした」と語り、世論の93%は抗議の中身を正当と見ています。

(編集部分析)日本も物価高が続き、暮らしの負担は重くなっています。フランスの事例は、国民の可処分所得を守る手を打たずに負担だけを重ねれば、政治への不信が社会の安定を揺るがしかねないことを示しています。減税や賃上げで国民の手元に残るお金を増やし、生活の不安を政治が先回りして和らげることが、治安を守る一番の備えになると考えられます。同時に、混乱に乗じた略奪には毅然と対処できる治安の力を保つことも、国家として欠かせません。

(編集部分析)もう1つの教訓は、観光への打撃の大きさです。パリは世界でも有数の観光都市ですが、デモの日には美術館も地下鉄も止まりました。訪日客が増え続ける日本にとっても、治安の安定は観光という産業そのものを支える土台です。社会の不満を放置せず、平時のうちに手当てしておくことが、国の稼ぐ力を守ることにもつながると考えられます。

フランスのデモのよくある質問

今回のデモについて、検索されやすい疑問に答えます。

Q. 次のデモはいつ?

A. 大きな労働組合のCGTが、11月5日(木)のストライキとデモを呼びかけています。フランスの議会ニュースサイトPublic Sénatによると、ルコルニュ首相と労働組合の会談のあとに呼びかけたものです。

Q. フランスの首相は誰?

A. セバスチャン・ルコルニュ氏です。大統領はエマニュエル・マクロン氏で、今回のデモではマクロン大統領が高校生との会談など前面に立っています。

Q. 「黄色いベスト運動」とは?

A. 2018年に燃料税の引き上げへの反対から広がった抗議運動で、参加者が黄色い安全ベストを着たことからこう呼ばれます。今回は、その再燃を狙う活動家もデモを呼びかけました。

デモの経緯は、17日の暴動を扱った前の記事とあわせて読むと流れがつかめます。

参考情報

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