【9/26】外国人起業、2026年上期は4,731社で半減|経営・管理ビザ厳格化で何が変わったか
日本で外国人が立ち上げる会社が、半年で半分に減りました。帝国データバンクが2026年9月26日に配信した分析によると、2026年1〜6月に外国人が設立したとみられる法人は4,731社で、前年同期の9,851社から52.0%減りました。2022年以降で最も少ない水準です。
帝国データバンクは、2025年10月16日に施行された在留資格「経営・管理」(いわゆる経営・管理ビザ)の基準改正が大きく影響した可能性があるとみています。この改正で資本金の目安が500万円から3,000万円に上がり、常勤職員の雇用や日本語能力も求められるようになりました。この記事では、今回の数字の中身と数え方の注意点、制度で何が変わったのか、すでに日本で会社を経営している外国人に何が起きているのかを、公的機関と報道の出典つきで整理します。
この記事でわかること
- 2026年上期の数字:外国人が設立したとみられる法人は4,731社で前年同期比52.0%減。上期ベースでは2022年の5,449社も下回りました。
- 減った理由:2025年10月16日の「経営・管理」の基準改正で、資本金3,000万円以上・常勤職員1人以上・日本語能力などが必要になりました。
- すでに経営している人への影響:経過措置は2028年10月16日まで。一方で、再入国の手続きをせずに出国した経営・管理の在留者は2026年上半期に953人と前年同期の3.9倍になっています。
外国人起業は2026年上期に何社まで減ったのか
2026年1〜6月に外国人が設立したとみられる法人は4,731社で、前年同期の9,851社から52.0%減りました。
帝国データバンクは、自社の「新設企業」データ(2026年8月時点)を使い、代表者の氏名から外国人による設立とみられる法人を抜き出して集計しました(帝国データバンク)。2024年同期の8,737社と比べても半分以下で、コロナ禍以降で最も低い水準になっています。
上期(1〜6月)ベースの推移を並べると、次のとおりです。
| 年(1〜6月) | 外国人が設立したとみられる法人 | 前年同期との比較 |
|---|---|---|
| 2022年 | 5,449社 | ― |
| 2023年 | 7,486社 | 増加 |
| 2024年 | 8,737社 | 増加 |
| 2025年 | 9,851社 | 増加(過去最多) |
| 2026年 | 4,731社 | 52.0%減 |
表のとおり、2022年から4年続けて増えていた数が、2026年に一気に半分以下へ落ちました。増え続けた流れが途中で折れたのではなく、制度の施行を境に段差がついた形です。
月ごとに見ると、減り方は強まっていたのか
強まっていました。2026年1月は前年同月比43.9%減で、5月には6割減まで広がりました。
帝国データバンクによると、2026年上期はすべての月で前年同月を下回り、6月も55.0%減でした。同社は「改正直後の一時的な反動ではなく、外国人による起業そのものが低い水準で推移している」との見方を示しています。
厳格化の直前には駆け込みがあったのか
ありました。2025年9月は3,530社と前年同月の約2.6倍で、単月で初めて3,000社を超えました。
帝国データバンクは、2026年6月に配信した前回の分析で、10月の厳格化を前にした駆け込み設立が数を押し上げた可能性があると指摘しています(帝国データバンク・2026年6月)。同じ分析では、2025年の年間は約2万社で、2024年の約1.7万社から1割超増え、コロナ禍後で最多でした。つまり「駆け込みで膨らんだ2025年」と「制度が効き始めた2026年」を比べているので、前年比の減り幅はその分大きく見える点に注意が要ります。
この「4,731社」はどうやって数えた数字なのか
国籍で数えた数ではなく、代表者の氏名の表記と音から「外国人の可能性が高い」と推定した数です。
帝国データバンクは、代表者氏名の全角・半角スペースや濁点の表記揺れを補正したうえで、音のパターン分析と、中国・韓国の姓名表記の一覧との照合を行い、日本人名である可能性が低いものを抜き出しました。同社自身が、帰化した起業家や判別が難しい日本人が一部含まれる可能性があると断っています。
このため、この記事では「外国人が設立した法人」と言い切らず、「外国人が設立したとみられる法人」と書いています。数字の読み方を整理すると、次のようになります。
分かること
外国人とみられる名前の代表者が作った会社の数が、前年の同じ時期と比べて約半分になった流れ
分からないこと
正確な国籍別の内訳、経営・管理ビザを使った設立かどうか、減った会社が実体のない会社だったかどうか
とくに最後の点は大事です。帝国データバンクも、実体の乏しい起業が減ったのかどうかは「判別は難しい」と書いています。減った数の中身までは、この統計からは言えません。
経営・管理ビザの厳格化で何が変わったのか
2025年10月16日から、資本金3,000万円以上、常勤職員1人以上、日本語能力などが新たに必要になりました。
出入国在留管理庁の案内によると、改正の中身は次のとおりです(出入国在留管理庁、同・改正概要PDF)。
| 項目 | 改正前 | 2025年10月16日以降 |
|---|---|---|
| 事業の規模 | 資本金等500万円以上、または常勤職員2人以上 | 資本金等3,000万円以上(個人事業は事業に投じた総額) |
| 常勤職員 | 規模の要件の選択肢の1つ | 1人以上の雇用が必要(日本人・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・定住者など) |
| 日本語能力 | 要件なし | 申請者か常勤職員のどちらかに相当程度の日本語能力(日本語能力試験N2以上など) |
| 経歴 | 経営者本人には原則なし | 博士・修士・専門職の学位、または3年以上の経営・管理の経験 |
| 事業所 | 確保が必要 | 自宅との兼用は原則認めない |
| 事業計画 | 提出 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士の確認が必要 |
表の右側を見ると、1つの条件を満たせばよかった仕組みが、複数の条件を重ねて満たす仕組みに変わったことが分かります。小さな店を1人で開く、といった形の起業は、資本金と常勤職員の2つだけでも越えにくくなりました。
なぜ要件を厳しくしたのか
在留資格を得ることが目的の、実体のない会社(ペーパーカンパニー)の設立を防ぐためとされています。
帝国データバンクは、移住を主な目的としたペーパーカンパニーや「見せかけの起業」による悪用が問題になっていたことを、改正の背景として挙げています。日本経済新聞は、政府が要件の見直しを決めた2025年8月の時点で、資本金の目安を500万円から3,000万円に引き上げると報じていました(日本経済新聞)。
ビザの新規申請はどれくらい減ったのか
TBSの報道では、新規申請は厳格化前の月平均約1,700件から、厳格化後は月平均約70件に減りました。
この数字は、出入国在留管理庁の調査で分かったとしてTBSが2026年5月8日に報じたもので、ジャーナリストの中島恵氏がYahoo!ニュースのエキスパート記事で紹介しています(Yahoo!ニュース エキスパート(中島恵氏))。比べているのは「厳格化前の5か月間」と「厳格化後の5か月間」の月平均で、減少率は約96%です。報道では、比較に使った5か月がそれぞれ何月から何月までかは示されていません。
起業の数と申請の数はなぜ減り方が違うのか
数えている対象が違うためです。起業の数は約半分、ビザの新規申請は約96%減で、同じ物差しではありません。
帝国データバンクの数字は「外国人とみられる代表者が作った会社」で、日本にすでに住んでいる人(永住者や日本人の配偶者など、経営・管理ビザが要らない人)の起業も含まれるとみられます。一方、TBSが伝えたのは、経営・管理ビザを新たに取りたい人の申請件数です。新たにビザを取って起業する道がほぼ閉じた一方、すでに別の在留資格を持つ人の起業は続いている、と読むのが自然です(編集部の見立て)。
すでに日本で会社を経営している外国人はどうなるのか
2028年10月16日までは経過措置があり、新基準を満たさなくても経営の状況などを見て総合的に判断されます。
出入国在留管理庁によると、改正前から「経営・管理」で在留している人が更新を申請する場合、この期間中は新しい基準に合わないことだけを理由に一律で不許可にはせず、経営状況や新基準に合う見込みなどを考えて判断します。2028年10月16日を過ぎた後は新基準への適合が原則になりますが、行政書士法人の解説によると、入管庁は、経営が良好で納税などの義務を果たし、次の更新までに新基準に合う見込みがあれば、ほかの事情も含めて総合的に判断するとしています(さむらい行政書士法人)。期限を過ぎたら新基準に合わない人が一律に不許可になる、という仕組みではありません。
更新で不許可になった例はあるのか
あると報じられています。社会保険に入っていない、店舗に炊事場がある、といった理由の不許可が紹介されています。
中小事業者の団体である全国商工団体連合会(全商連)の機関紙は、2026年4月20日付で、インド料理店の経営者が「社会保険に入っていない」ことを理由に、雑貨商が「店舗に炊事スペースがある」ことを理由に、それぞれ更新を認められなかった例を伝えました(全国商工団体連合会)。経過措置があっても、2025年10月16日以降は審査自体が厳しくなっているとしています。これらは個別の例で、全体の不許可件数を示すものではありません。
日本を離れる経営者は増えているのか
増えています。再入国の手続きをせずに出国した経営・管理の在留者は、2026年上半期に953人で前年同期の3.9倍でした。
日本経済新聞が2026年9月2日に報じました(日本経済新聞)。同紙によると、2025年秋までは月に数十人でしたが、2025年12月には114人に増えています。再入国の手続きをしない出国が増えていることは示していますが、一人ひとりが出国した理由までは、この数字からは分かりません。
外国人経営の会社はどんな影響を受けているのか
東京商工リサーチの調査では、外国人経営の企業の45.2%が何らかの影響を受けると答え、5.3%が廃業を検討していました。
東京商工リサーチは2026年3月31日から4月7日にかけて、日本人が経営する会社を除いた外国人経営の企業にインターネットでアンケートを行い、299社から回答を得ました(東京商工リサーチ)。廃業を検討すると答えたのは16社です。回答が300社弱のインターネット調査なので、外国人経営の会社全体の割合をそのまま表すものではない点は割り引いて読む必要があります。
影響の広がりを、ここまでの数字で並べると次のようになります。
| 段階 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| ビザの新規申請 | 月平均約1,700件 → 約70件(約96%減) | TBS(2026年5月) |
| 会社の設立 | 2026年上期4,731社(前年同期比52.0%減) | 帝国データバンク(2026年9月) |
| 既存の会社の経営 | 影響あり45.2%・廃業検討5.3%(299社) | 東京商工リサーチ(2026年4月) |
| 日本からの出国 | 2026年上半期953人(前年同期の3.9倍) | 日本経済新聞(2026年9月) |
入口(申請)から出口(出国)まで、どの段階でも数字が動いていることが分かります。ただし、4つは調べた機関も時期も違うので、足したり割ったりして1つの比率にはできません。
どの地域で外国人の起業が多かったのか
東京・銀座1丁目などの都心部と、大阪市西成区の萩之茶屋や淀川区の十三本町で相対的に多いとされています。
帝国データバンクが2026年6月の分析で示した地域の傾向です。同社は、萩之茶屋では新規に登記された会社のかなりの数が外国人によって設立されたとみられると書いています。一方、9月26日の最新の分析では地域別の数字は示されておらず、厳格化の後に地域ごとの偏りがどう変わったかはまだ分かりません。
制度の厳格化は成功だったと言えるのか
帝国データバンクは抑制効果が出た可能性が高いとみる一方、意欲ある起業家を狭める懸念も示しています。
同社は「制度改正は一定の抑制効果を発揮した可能性が高い」としつつ、「起業意欲の高い外国人の参入機会まで狭めている懸念もある」と書き、制度の健全化と起業の後押しの両立が問われていると結んでいます。TBSの報道では、厳格化の後に許可を得ているのは上場企業の役員クラスが多いとの見方も伝えられました。
(編集部分析)数字から言えるのは「入口が大きく絞られた」ことまでで、「実体のない会社が狙いどおり減った」ことまでは言えません。実体のない会社がどれだけあったのかを示す公的な数字は出ていないためです。評価を左右するのは、2028年10月の経過措置の終わりに向けて、実体のある既存の会社がどれだけ残れるかと、政府が進める外国人材の受け入れ策と、この入口の絞り込みをどう両立させるかです。今後は、出入国在留管理庁の在留外国人統計で「経営・管理」の在留者数がどう動くかが、次に見るべき数字になります。
外国人起業と経営・管理ビザのよくある質問
Q. 外国人を雇いたい日本の会社にも関係がありますか?
A. 経営・管理ビザは経営者本人の在留資格なので、社員として外国人を雇う場合の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)とは別です。ただし、外国人の経営者と取引している会社は、相手が2028年10月16日までに新基準に合わせられるかを確認しておくと安心です。
Q. 会社を作らない個人事業主でも3,000万円の基準はかかりますか?
A. かかります。出入国在留管理庁は、法人は払込済みの資本金、個人事業主は事業に投じている総額で3,000万円以上かどうかを見るとしています。どの支出が総額に含まれるかは、同庁の改正概要(PDF)で確かめてください。
Q. 経営・管理ビザの手続きの最新情報はどこで確かめられますか?
A. 出入国在留管理庁の「在留資格『経営・管理』」のページに、基準や必要書類、オンライン申請の案内がまとまっています。個別の事情は、地方出入国在留管理局や、ビザ申請を扱う行政書士に相談するのが確実です(出入国在留管理庁)。
数字と制度の原文は、以下の出典で確かめられます。
参考情報
- 外国人起業、2026年上期は4,731社 前年比52%減、過去5年で最低 制度厳格化で急減(帝国データバンク、2026年9月26日)
- 外国人の起業、法改正後に4割減 2025年はコロナ禍後で最多(帝国データバンク、2026年6月6日)
- 在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について(出入国在留管理庁)
- 「経営・管理」の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)(出入国在留管理庁)
- 在留資格「経営・管理」(出入国在留管理庁)
- 「経営・管理」ビザの新規申請件数は96%減(中島恵、Yahoo!ニュース エキスパート、2026年5月9日)
- 「経営」資格の外国人、上半期の出国3.9倍 資本金など在留要件厳しく(日本経済新聞、2026年9月2日)
- 政府、外国人の「経営ビザ」要件を厳格化 資本金500万円→3000万円に(日本経済新聞)
- 「在留資格の厳格化」 企業の5%が廃業検討(東京商工リサーチ、2026年4月23日)
- 経営管理ビザ厳格化|3000万円・日本語要件と経過措置を解説(さむらい行政書士法人)
- 外国人経営者が「経営・管理ビザ」の厳格化で国外退去の危機(全国商工団体連合会、2026年4月20日)
