Hatch Out破産の理由は?負債107億円、八建設も連鎖【2026年9月14日】大阪の不動産会社で過去10年最大

不動産の開発・売買を手がけていた株式会社Hatch Out(登記上の本店=大阪市天王寺区)と、関係会社で建築工事業の株式会社八建設が、2026年8月31日に大阪地裁から破産手続きの開始決定を受けました。2社の負債は合わせて約108億9535万円で、帝国データバンクによると大阪の不動産会社としては過去10年で最大です。Hatch Outは2021年9月設立の若い会社で、東京商工リサーチによると2026年1月期の売上高は約67億2600万円まで急拡大していました。90億円近い借入金を抱えるなかで不動産の販売が停滞し、2026年5月には事業を休止していたことが分かっています。本記事では、帝国データバンクと東京商工リサーチが9月14日に出した情報をもとに、何が起きたのか、両社の発表で食い違う点、取引先や入居者がこれから確認すべきことを整理します(9月15日朝の時点の情報です)。

この記事でわかること

  • 破産の中身:Hatch Outと八建設が8月31日に大阪地裁から破産開始決定。負債は2社で約108億9535万円です。
  • 破産の理由:90億円近い借入金を抱えるなかで不動産の販売が停滞し、滞納していた税金などの支払いも求められました。
  • 食い違う情報:本社の場所・売上高・八建設の所在地は、帝国データバンクと東京商工リサーチで書き方が違います。
  • これからの予定:破産管財人は岡田祐輝弁護士。財産状況報告集会は12月7日午後2時10分です。
目次

Hatch Outと八建設の破産で何が決まったのか

8月31日に大阪地裁が2社の破産手続き開始を決め、裁判所が選んだ管財人が財産の整理を始めました。

帝国データバンクは9月14日、Hatch Outと八建設の2社が8月31日に大阪地裁から破産手続き開始決定を受けたと発表しました(帝国データバンク)。同じ日に東京商工リサーチも速報を出し、時事通信・MBS・TBS・日本経済新聞などが相次いで報じています。2社の概要を表にまとめました。

破産開始決定を受けた2社の概要(帝国データバンク・東京商工リサーチ発表)
項目 株式会社Hatch Out 株式会社八建設
事業 不動産の開発・販売、事業用物件の取り扱い 建築工事業
設立 2021年9月 2024年3月
資本金 2500万円 50万円
代表 清宮直樹氏 同じ
負債 約107億6283万円(債権者約138名) 約1億3252万円(債権者約4名)
破産開始決定 2026年8月31日・大阪地裁

負債の大半はHatch Out1社のもので、八建設の負債はその約80分の1です。数字は帝国データバンクの発表によります。

負債は2社で約108億9535万円、大阪の不動産会社で過去10年最大

2社の負債の合計は約108億9535万円で、大阪の不動産会社の倒産としては過去10年で最も大きい額です。

「過去10年で最大」は帝国データバンクによる評価で、時事通信も同社の話として伝えています(時事通信)。東京商工リサーチは2社合計を約108億9400万円としており、端数の丸め方で100万円ほどの差があります。

破産管財人は岡田祐輝弁護士、財産状況報告集会は12月7日

管財人には弁護士法人御堂筋法律事務所の岡田祐輝弁護士が選ばれ、12月7日午後2時10分に集会が開かれます。

財産状況報告集会は、管財人が会社に残った財産や手続きの進み具合を債権者に報告する場です。大阪地裁によると、出席するかどうかは債権者の自由で、出席しなくても配当で不利になることはありません(大阪地方裁判所 倒産部)。

Hatch Outはどんな会社だったのか

2021年に大阪で生まれ、千葉・東京・大阪に拠点を広げながら4年半で急成長した不動産会社です。

大阪で設立し、千葉と東京に本店を置く「3本店」体制に広げた

創業地は大阪ですが、首都圏の案件が増えるにつれて東京・千葉にも本店を置き、関係会社を次々に作りました。

帝国データバンクによると、Hatch Outは地主や不動産業者から土地を仕入れ、企画・開発をしてハウスメーカーなどに売る事業を中心にしていました。首都圏の案件が増えたため東京・千葉にも本店を置く「3本店」体制を作り、複数の関係会社を設立して規模を広げています。東京商工リサーチは、その後に本社を千葉市中央区へ移し、千葉本社・大阪本店・東京本店・成田支店を構えていたと伝えています(東京商工リサーチ)。

賃貸ポータル「Hatch Out RENT」で千葉・成田の物件を紹介していた

自社の不動産ポータルサイト「Hatch Out RENT」を運営し、テナントやオフィスビルなどの物件情報を出していました。

東京商工リサーチによると、Hatch Outは千葉県・東京都・大阪府を中心に事業用物件を扱い、このサイトで物件の情報を提供していました。編集部が9月15日に旧サイトのアドレス(hatchout-rent.com)を開いたところ、成田市の賃貸仲介「ReRENT」のサイトへ転送されました。ReRENTのサイトにはHatch Outへの言及も、事業を引き継いだというお知らせもなく、両社の関係は公表されていません。

帝国データバンクと東京商工リサーチで何が違うのか

本社の場所、主な事業、売上高、八建設の所在地で書き方が違います。差が出た理由は両社とも説明していません。

見出しだけを読むと「大阪の会社」「千葉の会社」と別の会社のように見えますが、同じ会社です。違いを表に並べました。

2つの信用調査会社の発表で違う点
項目 帝国データバンク 東京商工リサーチ
本社の場所 登記面の大阪市天王寺区筆ケ崎町 千葉市中央区富士見(登記上は大阪市天王寺区)
主な事業 土地を仕入れて開発し、ハウスメーカーなどに販売 テナント・オフィスビルなど事業用物件、投資用不動産の売買
示した売上高 2025年1月期 約15億7600万円 2025年1月期 15億7659万円、2026年1月期 約67億2600万円
八建設の所在地 Hatch Outと同じ(登記面) 千葉県成田市並木町
2社の負債合計 約108億9535万円 約108億9400万円

Hatch Outの登記上の所在地は、東京商工リサーチも大阪市天王寺区としており、両社で一致しています。売上高は、帝国データバンクが2025年1月期の数字だけを、東京商工リサーチが2026年1月期までを示しています。一方、八建設の所在地は帝国データバンクが大阪市天王寺区(登記面)、東京商工リサーチが成田市並木町(登記上も同所)としていて食い違っており、9月15日朝の時点で理由は確認できていません。

Hatch Outが破産した理由は何か

借入金で案件を増やしたところで不動産の販売が停滞し、返済の計画が崩れて資金繰りが悪化したためです。

90億円近い借入金を抱えるなかで販売が停滞した

一般企業や金融機関から90億円近くを借りて開発を進めていましたが、販売が停滞して返済の計画どおりにお金が入らなくなりました。

帝国データバンクによると、Hatch Outは開発案件を増やす際に一般企業や金融機関から90億円近い借入金を調達していました。MBSニュースは、足元の不動産販売が停滞したことで売上金による返済計画が狂い、資金繰りが急速に悪化したと伝えています(MBSニュース)。土地を仕入れて開発し、売ってから借入金を返す事業は、売れるまでの間の資金を借入でまかなう形になるため、販売の遅れがそのまま返済の遅れにつながります。

売上は1年で約15億円から約67億円へ4倍超に伸びていた

破産の直前まで売上は急拡大していて、2026年1月期は前の期の4倍を超える約67億2600万円でした。

東京商工リサーチによると、2026年1月期は投資用不動産の売買を積極的に行ったことで売上高が伸びました。しかしその後、投資用不動産の販売が想定どおりに進まず、資金繰りが急激に悪化しています。2026年1月期の決算期末から約4か月後の5月18日には事業を休止しており、急拡大のあとに販売不振で資金繰りが悪化した経過が両社の発表から確認できます。

滞納していた税金や社会保険料の支払いを求められ限界に達した

帝国データバンクは、販売の停滞に加えて、滞納していた税金などの公租公課の支払いを求められ、資金繰りが限界に達したと説明しています。

公租公課は、国税・地方税や社会保険料などのことです。MBSニュースは見出しで「年金・社会保険料払えず」と伝えています。

事業の休止から破産決定までに何があったのか

2026年5月18日に事業を止めて弁護士に後処理を任せ、約3か月半後の8月31日に破産開始が決まりました。

両社の発表で日付が分かっている出来事を、時系列で並べました。

Hatch Out設立から破産発表までの流れ

2021年9月
大阪市でHatch Outを設立
2024年3月
関係会社の八建設を設立
2025年1月期
売上高15億7659万円
2026年1月期
売上高約67億2600万円に急拡大
2026年5月18日
事業を休止し、後処理を弁護士に一任
2026年8月31日
大阪地裁が2社の破産手続き開始を決定
2026年9月14日
帝国データバンク・東京商工リサーチが発表
2026年12月7日
財産状況報告集会(午後2時10分)

5月の事業休止は東京商工リサーチの発表で分かったもので、帝国データバンクの発表には書かれていません。破産の申し立てがいつだったかは、9月15日朝の時点で公表されていません。

関係会社の八建設はなぜ一緒に破産したのか

八建設はHatch Outの開発案件の施工に携わっており、信用調査会社2社はいずれもHatch Outに連鎖したとしています。

帝国データバンクによると、八建設は2024年3月に設立された建築工事業者で、Hatch Outの開発案件の施工に携わっていました。東京商工リサーチも、八建設は建設業が中心で、Hatch Outに連鎖したとしています。取引の内訳や未回収の工事代金があったかどうかは公表されていません。八建設の債権者は約4名と少なく、負債も約1億3252万円にとどまります。

取引先・債権者・入居者はこれから何をすればいいのか

債権者は管財人からの通知を待ち、書類が届いたら期限までに出すことが第一です。入居者は家賃の振込先を確認します。

債権者は破産債権届出書が届いたら必ず出す

届出書は配当の見込みが立った段階で送られてきます。出さないと配当を受けられないことがあるので注意が必要です。

大阪地裁の倒産部の案内によると、管財事件では破産管財人が会社の財産を処分し、得たお金を債権者に配当します。破産債権届出書は配当できる見込みになった段階で送られ、届け出をしないと配当を受けられないことがあります(大阪地方裁判所 倒産部)。問い合わせは、通知書に書かれた管財人(本件は御堂筋法律事務所の岡田祐輝弁護士)が窓口です。

賃貸の入居者やオーナーは家賃の振込先を確かめる

Hatch Outが物件の管理までしていたかは報道で分かっていません。管理を任せていた場合は、家賃の流れを早めに確認します。

賃貸管理に詳しい亀井英樹弁護士の解説では、管理委託契約は管理会社の破産で当然に終わり(民法653条2号)、オーナーはすぐに入居者へ送金先の変更を知らせることができます。一方で、管理会社がすでに預かっていた家賃は、破産手続きの中でほかの債権者と同じように回収するしかありません。サブリース(一括借り上げ)の場合は、契約が当然には終わらず、管財人か原賃貸人による解除が必要です(リプロス 亀井英樹弁護士の解説)。入居者は、自分の契約書で貸主と家賃の振込先を確かめ、オーナーや管財人から案内が来たらそれに従います。

不動産業の倒産は増えているのか

2026年8月の不動産業の倒産は前年より減りましたが、仲介業に絞ると過去最多に迫るペースが続いています。

東京商工リサーチの8月の全国企業倒産集計と、帝国データバンクの業種別レポートの数字を表にしました。

企業倒産と不動産業の倒産の動き(2026年)
集計 数字 出典
全国企業倒産(8月) 830件(前年同月比3.1%増)・負債1447億2800万円(同26.5%増) 東京商工リサーチ
全国企業倒産(8月) 827件(前年同月比10.1%増)・3か月連続で前年を上回る 帝国データバンク
不動産業(8月) 前年同月比19.3%減 東京商工リサーチ
不動産代理・仲介業(1〜8月) 86件・負債約79億8300万円(前年同期比66.6%増)。通年で約130件ペース 帝国データバンク

2つの会社は集計の基準が違うため、8月の件数が少しずれています。

仲介業の倒産は小さな会社が中心で、Hatch Outは大型の例外

仲介業の倒産の約7割は負債5000万円未満の小さな会社で、100億円を超えるHatch Outは規模の面で異例です。

帝国データバンクによると、2026年1〜8月の不動産代理・仲介業の倒産86件のうち、負債5000万円未満が60件でした。過去最多だった2025年の133件に迫るペースで、地域別では関東38件、近畿24件と大都市圏に集中しています(帝国データバンク)。Hatch Outは開発・売買が中心で、この仲介業の集計にそのまま入るとは限りません。

よくある質問

Q. 破産の申し立ては誰がしたのですか?

A. 9月15日朝の時点で、会社が自分で申し立てたのか債権者が申し立てたのかは公表されていません。

東京商工リサーチは、5月18日に事後処理を弁護士に一任していたと伝えていますが、申し立ての主体までは書いていません。

Q. 債権者への配当はありますか?

A. まだ分かりません。配当の見込みが立てば、管財人から破産債権届出書が送られてきます。

負債約107億円に対して、会社にどれだけ財産が残っているかは公表されていません。12月7日の集会で管財人から報告される見込みです。

参考情報

本記事は2026年9月15日朝の時点で公表・報道されている情報に基づいています。財産状況報告集会の結果など新しい情報が出たら、確認でき次第追記します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次