【10/23】北海道庁職員がインターン生にセクハラか|鈴木知事「許されない」

北海道が開いたインターンシップで、学生の指導を担当していた道の男性職員が、参加した就職活動中の女子学生にLINEで私的な連絡を繰り返していたことが分かりました。鈴木直道知事は2026年10月23日の記者会見で「許されない行為」と述べて謝罪し、事実関係を調べたうえで厳正に対処する考えを示しました。この記事では、インターンで何があったのか、知事の発言と道の対応、職員の処分の見通し、10月1日から事業主の義務になった「就活セクハラ」対策との関係を、毎日新聞とUHB(北海道文化放送)の報道、厚生労働省と北海道の公表資料をもとに整理します。
この記事でわかること
- 何があったか:指導担当の職員が「資料を渡す」としてLINEを交換し、「かわいい」「下の名前で呼んでいい?」と送り、断られた後も誘い続けました。
- 道の対応:道は学生に謝罪し、職員を担当から外しました。セクハラに当たる可能性があるとみて処分を検討しています。
- 制度との関係:就活生へのセクハラ対策は10月1日から全ての事業主の義務になり、道も10月に自らの基本指針を改正したばかりでした。
北海道庁のインターンで何があったのか
インターンの指導を担当した道職員が、参加した女子学生に「かわいい」などとLINEを送り、食事や夜の外出に誘っていました。
毎日新聞によると、道主催のインターンは2026年8〜9月に開かれ、道への就職を希望する大学生ら計291人が参加しました(この人数が全コースの合計か、職種ごとの内訳はどうかは報じられていません)。男性職員は所属する部局で、参加した学生の指導などを担当していました。問題は、女子学生が道の担当部局に相談したことで分かりました。
「資料を渡したい」とLINEを交換
職員は8月、「資料を後日渡したい」と言って、女子学生とLINEの連絡先を交換しました。
UHBによると、職員はその後、女子学生に「かわいい」「下の名前で呼んでいい?」といったメッセージを送り、食事に誘いました(UHB、10月21日)。資料を渡すという仕事の用件で交換した連絡先が、その後、私的な誘いに使われたことになります。
断られた後も誘いは続いた
女子学生は食事の誘いを断りましたが、職員は「インターン終了後の夜に遊びに行こう」と連絡を続けました。
毎日新聞も、女子学生が断った後に職員がさらに連絡を重ねたと伝えています。職員は、こうした言動をおおむね認めているということです。
報道された流れを順に並べると、次のとおりです。
相談した日や、連絡が何回あったのかは、10月23日時点の報道では明らかになっていません。
鈴木知事は何と述べて謝罪したのか
鈴木知事は10月23日の会見で、学生への繰り返しの私的な連絡を「許されない行為」と述べ、謝罪しました。
UHBによると、知事は「インターンシップに参加された学生に対し、繰り返し私的な連絡を行うなどの不適切な事案が発生した。これは許されない行為」と述べました。そのうえで「道の職員になりたいと思っていただいている方に受験していただき、インターンシップ先として選んでいただけるよう、職員みんなで一生懸命取り組んでいる。信頼回復に向けて、やれることをしっかりやっていきたい」と話し、事実関係を調べて厳正に対処する考えを示しました(UHB、10月23日)。
道人事課の担当者も毎日新聞の取材に「参加した学生の期待を裏切る行為。再発防止に努めたい」とコメントしています。
道職員の処分はどうなるのか
道はセクハラに当たる可能性があるとみて処分を検討していますが、10月23日時点で処分は決まっていません。
毎日新聞によると、道は「事実関係を調査中」として、10月20日時点では男性職員を処分していませんでした。職員の年齢や所属部局、職名は公表されていません。処分の種類(懲戒か、それより軽い措置か)も、今後の調査の結果を待つことになります。
すでに取られた対応は、学生への謝罪と、職員をインターンの担当から外したことの2つです。
Q. 職員の名前は公表されますか?
A. 10月23日時点では公表されていません。処分が決まった段階で道が発表する内容は、処分の重さなどによって変わるため、続報を待つ必要があります。
処分とは別に、道は仕組みの面からも手を打つとしています。
北海道の再発防止策は何か
道はインターンの受け入れルールと職員の行動基準をまとめたマニュアルを、新たに作る方針です。
UHBによると、道は10月に「ハラスメントの防止等に関する基本指針」を改正し、求職者へのハラスメントの防止や相談窓口を定めて、職員に周知していました。今回のマニュアルは、それをインターンの現場で守らせるための具体的な決まりという位置づけになります。
道のインターンの案内ページには、インターンや業務説明会で道職員からセクハラを受けたと思う人は「北海道庁ハラスメント相談窓口」に相談するよう書かれています(北海道「令和8年度北海道庁インターンシップ・仕事体験プログラム【技術系職種】」)。
(編集部分析)問題の連絡があったのは8月で、道が基本指針を改正したのはその後の10月です。指針の文言を整えることと、インターンの指導担当という学生に最も近い立場の職員がそれを守ることは別の話です。マニュアルの中身として、学生との個人的な連絡先の交換を認めるのかどうか、連絡を誰が見られる仕組みにするのかまで踏み込めるかが、実効性を分けると評価できます。
10月1日から義務になった「就活セクハラ」対策とは
2026年10月1日から、就活生など求職者へのセクハラを防ぐ対策が、全ての事業主の義務になりました。
厚生労働省は、10月1日からカスタマーハラスメントと「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」の対策が全ての事業主の義務になったと案内しています。具体的な中身は、厚労省の指針(令和8年厚生労働省告示第52号)で定められています(厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 始まった日 | 2026年10月1日 |
| 誰の義務か | 全ての事業主(厚生労働省の案内) |
| 守る相手 | 求職者等(就職活動中の学生などを含む) |
| 中身を定めたもの | 令和8年厚生労働省告示第52号の指針 |
| 北海道の動き | 10月に道の「ハラスメントの防止等に関する基本指針」を改正し、求職者へのハラスメント防止と相談窓口を規定 |
今回の連絡があったのは8月で、義務化の前です。また、道の職員は地方公務員で、民間企業と同じ法律の枠組みがどこまで当てはまるかについて、報道は触れていません。道が独自に基本指針を改正したのは、その意味でも自らの職場の決まりとして整えたものといえます。
インターン中の個人LINEはなぜ問題になるのか
指導する職員と、その職場への就職を望む学生とでは立場に差があり、学生は誘いを断りにくいからです。
今回のインターンの参加者は、道への就職を希望する学生でした。(編集部分析)指導担当の職員は学生にとって志望先の職員です。実際に採用選考に関わる立場だったかは報じられていませんが、誘いを断ると選考に響くのではないかと学生に心配させかねない関係だといえます。毎日新聞は、こうした就職活動中の学生が被害に遭うセクハラを「就活セクハラ」と呼んで報じています。
今回、職員は「資料を後日渡したい」という仕事上の理由で連絡先を聞いていました。仕事の用件で始まった連絡でも、私的な誘いに使えば問題になるという点は、受け入れる側の自治体や企業が押さえておくべきところです。
(編集部分析)道の職員は道民の税で働く公務員であり、インターンは将来の道政を担う人材を集めるための公の事業です。その場が個人の私的な目的に使われたことは、本人の問題にとどまらず、北海道の採用活動への信頼にも影響しかねません。知事が掲げた「信頼回復」が言葉だけでないことを、処分の重さと再発防止の中身の両方で示す必要があると評価できます。
就活生が被害に遭ったと思ったらどこに相談できるか
北海道のインターンで道職員から被害を受けた場合は、道が案内する「北海道庁ハラスメント相談窓口」が窓口です。
道のインターンの案内ページは、インターンや業務説明会でセクハラを受けたと思う人に、この窓口への相談を呼びかけています。厚生労働省は学生向けに「学生・生徒の皆さまへ 求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」というリーフレットも出しています。
受け入れ先の職員から私的な連絡が来たときに、学生がまずできることは次のとおりです。
- メッセージを消さずに残しておく(画面の保存も含む)
- 一人で抱え込まず、受け入れ先の相談窓口や大学のキャリアセンターに伝える
- 相談したことを理由に選考で不利に扱われないかが不安なときは、そのことも含めて窓口に伝える
今回の件も、女子学生が道に相談したことで問題が明らかになりました。
北海道庁インターンのセクハラ問題のよくある質問
道のインターンの中止は発表されておらず、職員の処分は調査の結果を待つ段階です。そのほかの疑問をまとめます。
Q. 民間企業のインターンで同じことがあったら、どこに相談できますか?
A. まず受け入れ先の企業の相談窓口や大学のキャリアセンターです。10月1日からは、求職者等へのセクハラ対策が全ての事業主の義務になっており、厚生労働省は学生向けのリーフレットで相談の仕組みを案内しています。
処分の内容やマニュアルの中身が決まれば、続報で確かめる必要があります。
参考情報
- UHB北海道文化放送「北海道庁の男性職員がインターン参加の就活女子学生にしつこく迫り担当解任…鈴木知事『許されない行為』」2026年10月23日
- UHB北海道文化放送「北海道庁の男性職員が就活女子学生にLINEで”しつこく”迫る」2026年10月21日
- 毎日新聞「北海道職員が『就活セクハラ』か 女子学生に不適切なLINE繰り返す」2026年10月21日
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
- 北海道「令和8年度北海道庁インターンシップ・仕事体験プログラム【技術系職種】」
