韓国協会の性接待疑惑はなぜ今?日本人審判4人とJFA調査、15年の空白【2026】

大韓サッカー協会(KFA)が2011年から2012年にかけて、外国人審判員らに性的な接待をしていたとされる疑惑が、2026年8月に入って韓国で相次いで報じられています。対象とされた試合には日本人審判団が担当したワールドカップ予選が含まれ、日本サッカー協会(JFA)も日本人審判員4人の調査に入りました。
2026年8月12日には、JFAの宮本恒靖会長(49)が都内でのイベント後に取材に応じ、この件について初めて公の場で言及しています。ただし、報じられている内容には媒体ごとに食い違いが残っており、確定した事実と未確定の情報は分けて読む必要があります。この記事では、いま何が確認できていて、何がまだ分からないのかを日付と数字で整理します。
この記事でわかること
- 疑惑の中身:2011年3月〜2012年3月の計7試合で、KFAが法人カードで外国人審判らの接待費を決済していたとされます。
- なぜ今か:2016年に韓国政府がまとめた監査報告書が約10年間非公表のままで、2026年8月に国会議員の事務所を通じて公開されたためです。
- 日本側の現在地:JFAは日本人審判員4人を調査中で、氏名は公表せず、調査結果が出た段階で公表する方針です。
韓国サッカー協会の性接待疑惑とは?2011〜12年の7試合で何があったか
大韓サッカー協会が2011〜12年に、外国人審判員や監督官らへ計7試合分の性的な接待をしていたとされる疑惑です。
対象期間は2011年3月から2012年3月まで。報じられている内訳は、ワールドカップ予選・ロンドン五輪予選が3試合、国際親善試合が4試合です。ソウルや南東部の蔚山(ウルサン)などのマッサージ店が使われ、試合の前後や深夜に代金が支払われていたとされます。
どの試合がどう報じられているかを一覧にすると、次のようになります。
| 日付 | 対戦カード | 大会 | 報じられている内容 |
|---|---|---|---|
| 2011年3月25日 | 韓国—ホンジュラス | 国際親善試合 | 試合開始の約19時間前に審判3人が対象とされる |
| 2011年6月3日 | 韓国—セルビア | 国際親善試合 | 審判4人が対象とされる |
| 2011年9月21日 | 韓国—オマーン | ロンドン五輪予選 | 審判4人。76万ウォン(約8万5000円)が決済されたとされる |
| 2011年10月7日 | 韓国—ポーランド | 国際親善試合 | 審判3人が対象とされる |
| 2012年2月29日 | 韓国—クウェート | W杯アジア3次予選 | 審判団4人全員が日本人。うち2人が対象とされる |
| 2012年3月14日 | 韓国—カタール | ロンドン五輪予選 | 審判評価員が対象とされる |
| 日付の記載なし | 五輪代表の国際親善試合(蔚山) | 国際親善試合 | 試合終了の約3時間後に支払いがあったとされる |
7試合のうち日本人審判が明確に関わるのは、色を付けた2012年2月29日のクウェート戦です。この試合の位置づけは後半で詳しく見ます。
費用は法人カードで決済され「審判マッサージ」と記載されていた
接待の費用は協会職員が法人カードで支払い、経費報告書には「審判マッサージ」などと記載されていたとされます。
通常の飲食費やマッサージ代として計上された分もあったとされます。韓国メディアの報道によれば、1回あたりの決済額は数十万ウォンから、多い場合は100万ウォン(約11万円)を超えていました。韓国政府の監査報告書は、2011年3月から2012年3月までの1年間で、この種の支出が計約560万ウォン近くに達していたとしています。
なお同じ監査では、KFAの役職員が遊興やゴルフを含めて2億ウォン余りの予算を無分別に使っていたことも指摘され、不正使用額の返還と懲戒、捜査依頼が進められたと報じられています。つまり接待疑惑は、より大きな経費不正の一部として把握されていたことになります。
なぜ15年も経った2026年8月に表面化したのか
2016年の韓国政府の監査報告書が約10年間公表されず、2026年8月に国会議員の事務所を通じて公開されたためです。
報告書を作成したのは韓国の文化体育観光部(文化体育観光省)です。当時はスポーツ不正通報センターへの通報を受けて監査に入り、法人カードの不正使用を把握していましたが、外部には詳細が出ていませんでした。報道によれば、当時は職員個人による使い込みと受け止められていたとされます。
その報告書を韓国の放送局JTBCが入手し、2026年8月6日から7日にかけて「外国人審判への接待だった」と報じたことで一気に表面化しました。米CNNも、報告書を与党「共に民主党」のチン・ソンミ議員事務所から入手したと伝えています。
発生から公表までの流れを時系列で並べると、空白がどこにあるのかがはっきりします。
2011年3月〜2012年3月 接待があったとされる期間(計7試合)
2016年 韓国政府が監査で把握。報告書は作成されたが公表されず
2026年8月6〜7日 JTBCが報告書の内容を報道。約10年の空白が明るみに
2026年8月8日 KFAが謝罪の公式声明。8月9日にJFAが日本人審判4人の調査に着手
2026年8月12日 宮本恒靖JFA会長が「事実確認をしている状況」と言及
約10年の空白があったこと自体が、韓国国内では「なぜ公表しなかったのか」という別の論点になっています。
KFAは謝罪し「2013年に再発防止策を導入した」と説明している
KFAは2026年8月8日に謝罪の声明を出し、2013年導入の「クリーンカード制度」で再発を防いでいると説明しています。
声明では、国会での聴聞会や家宅捜索を含めた一連の問題について「懸念を招いた」と謝罪しました。そのうえで、協会の多くの関係者は報じられた出来事を把握していなかったとし、現在はそうした不適切な行為は起きていないと説明しています。再発防止策としては、2013年に「クリーンカード制度」を導入してマッサージ店やカラオケ店での法人カード使用を禁止し、外国人審判への対応は職員ではなく別に雇用した連絡担当者が行い、提供するものを交通・宿泊・食事・記念品に限定したとしています。
Q. 2016年の報告書はなぜ10年も公表されなかったのですか?
A. 公表されなかった理由は、現時点で公式には説明されていません。報道では、監査当時は職員個人による法人カードの使い込みと受け止められ、外国人審判への接待という中身までは外部に出ていなかったとされています。
報告書の中身が明らかになったことで、次に問われているのが接待を受けたとされる側です。
日本人審判4人は誰?JFAが名前を公表していない理由
日本サッカー協会は4人の氏名を公表しておらず、調査結果が出るまで明らかにしない方針を取っているためです。
報道によれば、2012年2月29日のW杯アジア3次予選・韓国—クウェート戦は主審と副審を含む審判団4人全員が日本人で、このうち2人が接待を受けたとされています。JFAはこの4人に対してヒアリングを実施し、調査を終えた段階で結果を公表する意向を示しています。
韓国のMBCテレビは、日本人の対象者について「Jリーグの審判を統括する人物も含まれる」と報じたとされ、韓国メディアの一部は実名にも踏み込んでいます。ただし日本側では、JFAが該当審判の名前を明らかにしていません。
当サイトでも氏名は掲載しません。現時点で公表されているのは韓国メディアが報じた内容までであり、JFAの調査結果も、韓国警察が正式な捜査に着手するかどうかも決まっていない段階だからです。接待を受けたと確定した人物がいるわけではなく、この段階で名前を並べることは実害につながります。
Q. 調査対象は2人ではなく4人なのはなぜですか?
A. 接待を受けたとされているのは2人ですが、JFAは同じ試合を担当した審判団4人全員を対象にヒアリングを行っているためです。誰が該当するかを含めて事実確認をしている段階と説明されています。
その調査について、JFAのトップが初めて公の場で語ったのが8月12日でした。
宮本恒靖会長は何と言ったのか
宮本恒靖会長は8月12日、「JFAとして、いま事実確認をしている状況」と述べるにとどめました。
事実関係の認否には踏み込んでいません。宮本会長はこの日、東京都内で開かれた「第106回天皇杯・夏休み子ども体験型イベント」に出席し、その後に報道陣の取材に応じています。日刊スポーツは「JFAとして事実確認を今している状態です」、サンケイスポーツは「その事実を確認している状況」と、それぞれ言い回しに幅のある形で伝えています。
この日はもう一つ、国際サッカー連盟(FIFA)がW杯の運営などを担う子会社を設立して外部投資家から資金を調達する計画を撤回した問題についても質問が出ました。宮本会長は「AFC(アジア連盟)の傘下にあることは一つ、判断の目安になる。ただ、公式にステートメントとして出せる段階ではない」と述べ、欧州連盟などとともにFIFAを批判する共同声明を出したAFCへの支持をにじませています。
いずれの発言も、現時点では立場の説明にとどまっており、接待の有無についてJFAが結論を出したわけではありません。
報道によって振れている3つの数字
接待を受けたとされる人数、支払われた金額の示し方、報じた放送局の3点が、媒体によって異なったまま残っています。
どこがどう振れているのかを並べると、次のとおりです。
| 論点 | 一方の伝え方 | もう一方の伝え方 |
|---|---|---|
| 対象になった人数 | 外国人審判・監督官ら10余人 | 計20人 |
| 金額の示し方 | 1年間で計約560万ウォン(監査報告書の総額) | 1回あたり数十万〜100万ウォン超(個別の決済額) |
| 報じた放送局 | 報告書の中身はJTBC(8月6日) | 日本人審判に関する詳細はMBC |
人数と金額については、数え方の違い(対象の範囲をどこまで含めるか、総額か個別額か)である可能性があります。ただし現時点でどちらかに寄せる根拠はないため、この記事では両方を併記しています。
2012年クウェート戦の結果は覆るのか
現時点で試合結果が取り消される見通しはありません。報告書は接待の事実までしか示しておらず、判定への影響は認定していないためです。
2012年2月29日のW杯アジア3次予選・韓国—クウェート戦は、韓国が2対0で勝ち、最終予選進出を決めた試合です。審判団4人全員が日本人で、そのうち2人が接待を受けたとされている——この一点が、今回の疑惑が単なる経費不正で終わらない理由になっています。
もっとも、「接待があった」ことと「判定が歪められた」ことは別の問題です。報道されている範囲では、この試合の具体的な判定について問題が指摘されたという記述は確認できません。仮に判定への影響を問うなら、個別のジャッジを検証したうえで、競技規則や倫理規程に基づく手続きが必要になります。
加えて、事案は14年以上前のものです。韓国の解説者からは国際問題に発展しかねないという指摘も出ていますが、公訴時効や競技団体の処分時効について、明確な見解を示した報道は現時点では見当たりません。結果が動くかどうかを論じるには材料が足りない、というのが実情です。
今後どうなる?調査結果・処分・韓国警察の判断
JFAが日本人審判員4人の調査結果を公表するかどうかと、韓国警察が正式な捜査に着手するかどうか。この2つが次の焦点になります。
JFAは調査を終えた段階で結果を公表する方針を示しており、内容によっては処分に踏み込む可能性も報じられています。公表時期は明らかにされていません。
韓国側では、警察当局が正式な捜査対象とするかどうかを検討している段階です。文化体育観光部も「約10年前のものだが、その重要性に鑑みて問題を注視している」として、さらなる調査に回すとともにKFAに対策を指示したと伝えられています。
確定していること・していないことの線引き
確定しているのは監査報告書の記載、JFAの調査着手、宮本会長の発言の3点で、接待の有無や処分は未確定です。
具体的には「韓国政府の監査報告書にそうした記載がある」「JFAが日本人審判員4人を調査している」「宮本会長が事実確認中と述べた」までが確認できる事実です。一方で、誰が接待を受けたのか、判定に影響があったのか、処分があるのかは、いずれもまだ決まっていません。続報を読むときは、この線引きを持っておくと情報を取り違えずに済みます。
韓国協会の性接待疑惑のよくある質問
報道を追ううえで疑問になりやすい点をまとめました。
Q. 大韓サッカー協会(KFA)は疑惑を認めているのですか?
A. KFAは2026年8月8日の声明で懸念を招いたことを謝罪しましたが、協会の多くの関係者は報じられた出来事を把握していなかったと説明しています。個々の接待の有無を全面的に認めたという報道は確認できません。
Q. 対象になったのは日本人審判だけですか?
A. いいえ。報道によれば対象は外国人審判員や監督官らで、2011〜2012年には中国サッカー協会の関係者3人への費用支払いも報告書に記載されていたとされます。日本人審判は、そのうち1試合に関わる形で名前が挙がっています。
Q. 現在も同じことが行われている可能性はありますか?
A. KFAは2013年に「クリーンカード制度」を導入し、マッサージ店やカラオケ店での法人カード使用を禁止したと説明しています。現在はそうした行為は起きていないというのがKFA側の主張で、これを検証した報道は現時点では確認できません。
今後の続報は、JFAの調査結果の公表と韓国警察の判断が中心になります。
参考情報
- 読売新聞オンライン「韓国サッカー協会による外国人審判らの性接待疑惑、日本サッカー協会の宮本会長『事実確認をしている状況』」(2026年8月12日)
- 日刊スポーツ「宮本恒靖会長『事実確認を今している』韓国サッカー協会の審判員性接待疑惑に」(2026年8月12日)
- デイリースポーツ「宮本恒靖会長、韓国サッカー協会の性接待疑惑に言及『事実確認をしている』 疑惑の対象に日本人審判員含まれる」(2026年8月12日)
- 中日スポーツ「韓国サッカー協会の性接待問題、日本サッカー協会・宮本会長『事実確認をいましている状況』」(2026年8月12日)
- サンケイスポーツ「日本協会・宮本会長、韓国サッカー協会からの審判の性接待疑惑に『その事実を確認している状況』」(2026年8月12日)
- CNN.co.jp「『外国人審判に性接待』、歴史的規模の疑惑に揺れる韓国サッカー協会」https://www.cnn.co.jp/showbiz/35251510.html
- サカノワ「韓国サッカー『性接待』、なぜ15年前の情報がいま? より詳細が明らかに…」https://sakanowa.jp/topics/111385
- ハンギョレ新聞「『審判マッサージ』と記載しマッサージ店で決済…大韓サッカー協会、組織的に審判接待」(2026年8月)
- 中央日報日本語版「日本サッカー協会、韓国協会の性接待疑惑関連で日本人審判4人を調査中」(2026年8月)





