【9/27】今井路江氏が北茨城市長に初当選|前市長の息子・豊田茂氏に1504票差

2026年9月27日に投開票された茨城県北茨城市長選挙で、国民民主党が推薦した元市議の今井路江(いまい・みちえ)氏(60)が8242票を集め、初当選しました。自民党と日本維新の会の県組織が推薦し、8月に亡くなった豊田稔前市長の息子でもある前県議の豊田茂氏(55)は6738票で、1504票及びませんでした。
投票率は57.89%で、前回2023年の48.43%から9.46ポイント上がりました。この記事では、4人の得票と投票率、今井路江氏の経歴、選挙が行われた理由と争点、今井氏が組織の支援を受けた豊田氏を上回った背景、そして約9億5千万円のオートキャンプ場計画や自治体新電力会社など今井市政の最初の論点までを、茨城新聞・NHK・北茨城市の発表などの出典つきで整理します。
この記事でわかること
- 選挙結果:今井路江氏8242票、豊田茂氏6738票、松本健一郎氏3896票、今留尚人氏451票。投票率は57.89%でした。
- 今井路江氏とは:北茨城市議を通算6期務めた元市議で、国民民主党の推薦を受けて「変えなきゃ北茨城、変えよう北茨城」を掲げました。
- 今後の論点:約9億5千万円のオートキャンプ場新設と、市が準備してきた自治体新電力会社の見直しが、今井市政の最初の判断になります。
北茨城市長選の結果は?今井路江氏が初当選
今井路江氏が8242票で初当選し、2位の豊田茂氏に1504票の差をつけました。4人とも無所属の新人でした。
茨城新聞によると、当日有権者は3万3618人、投票率は57.89%(前回48.43%)でした(茨城新聞、2026年9月27日)。NHKも27日夜、前市長の死去に伴う選挙で新人で元市議の今井路江氏が初当選したと伝えています(NHKニュース、2026年9月27日)。4人の得票を表にまとめます。
| 候補者 | 得票数 | 得票率 | 推薦 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 今井路江(60) | 8,242票 | 42.6% | 国民民主党 | 当選 |
| 豊田茂(55) | 6,738票 | 34.9% | 自民党、日本維新の会県組織 | 落選 |
| 松本健一郎(71) | 3,896票 | 20.2% | なし | 落選 |
| 今留尚人(61) | 451票 | 2.3% | なし | 落選 |
得票率は、4人の得票の合計1万9327票を分母にして計算した値で、選挙情報サイトの議insが掲載している数字と同じです(議ins「北茨城市長選挙 開票結果」)。投票率の分母は当日有権者数です。今井氏は4割あまりの票で当選しており、過半数には届いていません。
得票の差を図にすると、上位2人の差と3位以下との開きが分かります。
図のとおり、上位は今井氏と豊田氏の2人でした。3位の松本氏は3896票、4位の今留氏は451票を得ています。有権者がどんな理由でそれぞれの候補を選んだかを示す出口調査の報道は、今のところありません。
今井路江氏とはどんな人か
今井路江氏は北茨城市中郷町松井の出身で、市議を通算6期務めた元市議です。社会福祉法人の理事も務めています。
茨城新聞は今井氏の経歴を「市議当選6回、社会福祉法人ときわの杜理事、大成女子高卒」と紹介しています(茨城新聞、2026年9月27日)。選挙ドットコムによると、今井氏は2005年の市議選から通算6期当選しており、市長選への立候補で市議の職を失いました(選挙ドットコム、2026年9月25日)。北茨城市議会も、今井氏が市長選に立候補したため、公職選挙法第90条により9月20日付で辞職したものとみなされ、議員は1人欠けて18人になったと発表しています(北茨城市「議員の欠員について」)。
当選が決まった夜、今井氏は「市民主役の北茨城市をつくっていく。市民と対話しながら市政発展のため全力を尽くしていく」と述べました(茨城新聞)。スローガンは「変えなきゃ北茨城、変えよう北茨城」で、子育てと福祉の充実を公約に掲げていました。
今井氏の経歴でよく聞かれる点を1つ取り上げます。
Q. 今井路江氏は国民民主党の党員として市長になったのですか?
A. 立候補の届け出は無所属で、国民民主党は「推薦」の形で支援しました。選挙ドットコムも今井氏を「国民民主党が推薦する」無所属新人と紹介しています。
推薦した国民民主党が選挙戦でどう動いたかは、あとの勝因の節で触れます。
北茨城市長選はなぜ行われたのか
7期務めた豊田稔前市長が2026年8月14日に82歳で亡くなり、欠けた市長の席を埋めるために行われた選挙です。
北茨城市の発表によると、豊田前市長は病気療養中でしたが8月14日に亡くなり、次の市長が決まるまで鵜沼聰副市長が職務代理者を務めてきました(北茨城市「北茨城市長 豊田稔の逝去について」)。豊田氏は市議を経て1990年に市長となり、2007年に返り咲いてから5回続けて当選した、通算7期の市長でした。東日本大震災と原発事故のあとの復興や風評被害への対応にあたったことでも知られます。
選挙は9月20日に告示され、立候補したのは4人全員が無所属の新人です。前回2023年5月の市長選は豊田前市長と松本健一郎氏の一騎打ちで、投票率は48.43%でした(選挙ドットコム)。(編集部分析)今回は現職がいない選挙になったことで、前市政を継ぐか見直すかが候補者の主張の分かれ目になったとみられます。
北茨城市長選の候補者4人は誰だったのか
元市議の松本健一郎氏、元市議の今井路江氏、前県議の豊田茂氏、医師の今留尚人氏の4人で、いずれも無所属の新人です。
推薦は、今井氏に国民民主党、豊田氏に自民党と日本維新の会の県組織が付きました。豊田茂氏は亡くなった豊田稔前市長の息子で、茨城新聞は「父は稔前市長」と紹介しています(茨城新聞、2026年9月26日)。4人の経歴と推薦を表にまとめます。
| 候補者(届け出順) | 年齢 | 経歴 | 推薦 |
|---|---|---|---|
| 松本健一郎 | 71 | 元市議(当選2回)、松本商店社長 | なし |
| 今井路江 | 60 | 元市議(当選6回)、社会福祉法人ときわの杜理事 | 国民民主党 |
| 豊田茂 | 55 | 前県議(当選2回)、北茨城自動車学校監査役。父は豊田稔前市長 | 自民党、日本維新の会県組織 |
| 今留尚人 | 61 | 医師、元北茨城市民病院眼科医長 | なし |
表のとおり、政党の推薦を受けたのは今井氏と豊田氏の2人でした。松本氏は2003年から市長選に挑み続けており、選挙ドットコムによると今回で7回連続の立候補です(選挙ドットコム、2026年9月25日)。
北茨城市長選の争点は何だったのか
各候補の公約を見ると、新電力会社、オートキャンプ場の新設、市の財政の3つで、前市政の事業への姿勢が分かれました。
豊田茂氏:新電力会社など前市政の事業を引き継ぐ
豊田氏は、父の前市長が進めた自治体新電力会社の推進を掲げ、「受け継ぐべきものは受け継ぐ、改めるべきものは改める」と訴えました。
告示日の公約には、自治体新電力会社の推進のほか、花園林道事業の完遂、文化拠点を中心にした周遊観光の強化、移住交流の促進が並びました(茨城新聞、2026年9月20日)。第一声には大井川和彦知事も駆けつけています。
今井路江氏:約9億5千万円のオートキャンプ場新設を見直す
今井氏は「変えなきゃ北茨城、変えよう北茨城」を掲げ、関本富士ケ丘に計画されたオートキャンプ場の整備を見直すべきだと訴えました。
国民民主党によると、今井氏は出陣式で「約9億5千万円かけてオートキャンプ場を新設するのは大変心配だ」と述べ、物価高のなかでこの政策が正しいのかを選挙で問いたいと続けました。出陣式には榛葉賀津也幹事長が応援に立っています(国民民主党、2026年9月20日)。9月24日には玉木雄一郎代表も北茨城市に入り、「市民の感覚で予算を組み替える」とする今井氏の街頭演説に加わりました(国民民主党、2026年9月24日)。
松本健一郎氏と今留尚人氏:財政の見直しと問題提起
松本氏は市の将来負担比率の高さを挙げて財政の健全化を訴え、今留氏は公約を「特にない」としたうえで問題提起を掲げました。
松本氏は「しがらみのない政策ができる」と完全無所属を強調し、行政のコンプライアンス意識の改革やオーガニック給食の推進を公約にしました。今留氏は、地方都市の将来が従来のまちづくりの延長では描けないことを「市民に気付かせたい」と話しています(茨城新聞、2026年9月26日)。
なぜ今井路江氏は自民・維新推薦の豊田茂氏に勝てたのか
茨城新聞は、大型事業の再検討を掲げた今井氏が「変革を求める市民の票を集めた」と分析しています。組織戦の豊田氏は及びませんでした。
茨城新聞の開票結果の記事によると、今井氏は約20年にわたって市民の声を聞いてきた実績を強調し、前市長のもとで進んだオートキャンプ場整備と自治体新電力会社の再検討を掲げました。豊田氏は前市長の市政の継承を掲げて組織戦を展開しましたが及ばず、松本氏は財政や市政の健全化を訴えたものの支持が広がらなかった、としています(茨城新聞、2026年9月27日)。
投票率が約9.5ポイント上がった
投票率は前回の48.43%から57.89%へ、9.46ポイント上がりました。上がった理由を特定できる調査は確認できていません。
今回の当日有権者3万3618人がそのままで投票率が前回と同じ48.43%だったと仮定すると、投票者は約1万6280人です。実際の投票者は約1万9460人で、その差は約3180人になります(編集部計算。前回の実際の投票者数との比較ではありません)。増えた票がどの候補に流れたかを示す調査も、今のところ報じられていません。
「世襲」への見方と国民民主党の応援
国民民主党は今井氏を、世襲で続いてきた市政を改めるために立ち上がった候補と位置づけ、党の幹部が相次いで応援に入りました。
国民民主党の出陣式の報告は、今井氏を「これまでの世襲で繋がれてきた北茨城市政を改めるべく立ち上がった」候補と紹介しています(国民民主党、2026年9月20日)。一方の豊田氏側には大井川知事が告示日に駆けつけ、自民党と日本維新の会の県組織が推薦していました。開票後の28日朝の時点で、豊田氏本人や自民党茨城県連の詳しい談話を伝える報道は確認できていません。
(編集部分析)自民党と維新の推薦、知事の応援という組織の支えがありながら、豊田氏は1504票差で届きませんでした。前市長の急逝から告示まで約1か月しかなく、継承を訴える側にとって政策を練り直す時間は限られていたとみられます。また、物価高のなかで約9億5千万円の新設事業を続けるのかという今井氏の問いかけは、保守の立場から見ても財政規律を問う筋の通った論点であり、党派を超えて響いた可能性があります。ただし、票の流れを裏づける出口調査の報道はなく、勝因を1つに決めることはできません。
今回の結果をめぐっては、次のような疑問も出ています。
Q. 豊田氏と松本氏の票を合わせると今井氏を上回りますか?
A. 上回ります。2人の合計は1万634票で、今井氏の8242票より多い計算です。ただし2人の主張は「継承」と「財政の見直し」で異なり、1人に絞られていたら結果が変わったかは分かりません。
次の節では、当選した今井氏が最初に向き合う課題を見ていきます。
今井市政で何が変わるのか
選挙で見直しを掲げたオートキャンプ場の新設と、市が準備してきた自治体新電力会社の扱いが、最初の判断になります。
約9億5千万円のオートキャンプ場計画
今井氏は選挙中、関本富士ケ丘のオートキャンプ場新設を「大変心配だ」と述べ、見直しを訴えてきました。
計画を続けるのか、規模を縮めるのか、取りやめるのかは、市長の判断だけでなく、予算を議決する市議会の判断も関わります。今井氏は当選後、「市民と対話しながら」市政を進めると述べており、就任後の予算編成や議会での説明が最初の見どころになります(茨城新聞)。
自治体新電力会社の準備
北茨城市は2026年8月、新電力会社の設立に向けて商工会や金融機関など4団体と協定を結んでおり、この事業の扱いが問われます。
市の発表によると、協定は8月5日付で、北茨城市商工会、筑波銀行、茨城県信用組合、常陸農業協同組合と結びました。目的は「地域の発展及びゼロカーボンシティの実現」とエネルギーの地産地消による地域経済の活性化です(北茨城市「地域脱炭素推進及びエネルギーの地産地消に関する協定」)。豊田氏はこの事業の推進を公約の柱にしていましたが、今井氏は再検討を掲げていました。すでに協定を結んだ相手がいるため、白紙にするのか、形を変えて続けるのかの説明が求められます。
(編集部分析)新電力会社は、電気代を地域の中で回す狙いがある一方、電力の調達価格の変動など事業のリスクをどう管理するかも論点になります。市の出資や公共施設との契約がどうなるのかを数字で示すことが、市民への説明として欠かせません。
市議会の欠員
今井氏が市長選に立候補したことで、北茨城市議会は定数より1人少ない18人になっています。
市議会は、今井氏が公職選挙法第90条により9月20日付で辞職したものとみなされたと発表しています(北茨城市)。オートキャンプ場や新電力会社の予算を市議会がどう審議するかも、今後の確認点です。市議会の日程や市長の初登庁日は、北茨城市のホームページで発表されます。
北茨城市長選のよくある質問
今井氏の名前の読み方、豊田氏の県議の職、正式な結果の確認先をQ&Aで整理します。
Q. 今井路江氏の名前は何と読みますか?
A. 「いまい・みちえ」と読みます。選挙戦では「今井みちえ」とひらがなを交えた表記も使われ、国民民主党の発表もこの表記です。
Q. 豊田茂氏は茨城県議を辞めて立候補したのですか?
A. 辞めています。選挙ドットコムによると、豊田氏は2018年から茨城県議を2期務め、市長選に向けて2026年9月に辞職しました。
Q. 北茨城市の選挙結果の正式な数字はどこで確認できますか?
A. 北茨城市選挙管理委員会のページで確認できます。この記事の数字は、選挙翌朝時点の茨城新聞と議insの開票結果に基づいています。
市の公式な結果は、北茨城市選挙管理委員会のページで確認してください。
参考情報
- 茨城新聞「北茨城市長に今井氏 4新人の争い制し初当選」(2026年9月27日)
- NHKニュース「茨城 北茨城市長選挙 新人の今井路江氏が初当選」(2026年9月27日)
- 議ins「北茨城市長選挙 開票結果」
- 茨城新聞「北茨城市長選 27日投票 新人4氏 支持訴え」(2026年9月26日)
- 茨城新聞「北茨城市長選 新人4氏の争い 子育て支援や観光振興で論戦」(2026年9月20日)
- 選挙ドットコム「北茨城市長選挙は新人4名の戦い!9月27日投票」(2026年9月25日)
- 国民民主党「北茨城市長選 出陣式」(2026年9月20日)
- 国民民主党「今井みちえ候補が玉木代表と街頭演説」(2026年9月24日)
- 北茨城市「北茨城市長 豊田稔の逝去について」
- 北茨城市「議員の欠員について」
- 北茨城市「地域脱炭素推進及びエネルギーの地産地消に関する協定」
- 選挙ドットコム「北茨城市長選挙」
