【10/8】小松市議会の居眠り採決、表靖二氏が図書館予算に「反対」扱い
石川県小松市議会で、最大会派の代表を務める表靖二市議が議案の採決中に居眠りをして起立せず、本来は賛成するはずだった議案に「反対」として数えられていたことが分かりました。対象には、市が2030年の開館を目指す「未来型図書館」の施設費174億4500万円にかかわる予算案が含まれていました。北國新聞が2026年10月7日に報じ、Yahoo!ニュースのトピックスにも取り上げられています。
この記事では、10月2日の採決で何が起きたのか、なぜ居眠りが「反対」になってしまうのか、174億円の図書館事業の中身、そして表氏が前回の議会でどう投票していたかを、報道と小松市・小松市議会の公表資料をもとに整理します。
この記事でわかること
- 何が起きたか:10月2日の小松市議会定例会の最終日、表靖二市議が居眠りで起立せず、未来型図書館の予算案など3件に「反対」した扱いになりました。議案は18人の賛成で可決されています。
- なぜ反対になるのか:小松市議会は賛成する議員を立たせて数える「起立採決」です。会議規則では、議員はあとから自分の表決の訂正を求めることもできません。
- 前回はどうだったか:2025年12月議会で同じ174億4500万円の図書館費を含む補正予算が採決されたとき、表氏は賛成していました。
小松市議会の居眠り採決で何が起きたか
10月2日の定例会最終日、表靖二市議が採決中に眠っていて起立せず、議案3件に反対した扱いになりました。
北國新聞によると、表氏は市議会の最大会派「会派自民」の代表です。この日の採決では、市が2030年の開館を目指す「未来型図書館」の施設費174億4500万円の債務負担行為を含む補正予算案など3件の議案について起立せず、「反対」の意思表示をしたことになりました。表氏は採決が終わったあとで、自分が眠っていたことに気づいたといいます(北國新聞)。
反対は表氏と共産の橋本米子氏の2人、18人の賛成で可決
反対に数えられたのは表氏と共産党の橋本米子市議の2人で、残る18人が賛成し、議案は可決されました。
議案の成立そのものには影響していません。ただ、記録の上では、最大会派の代表が市の重要政策の予算に反対したことになります。北國新聞は、未来型図書館を市の重要政策と位置づけて伝えています。
今回の採決の流れ
10月2日に採決と陳謝があり、10月5日に市が事業契約の締結を公表し、10月7日に報道されました。
小松市議会の居眠り採決の経過(2026年)
市が公表した契約の内容では、契約期間の始まりを「令和8年10月2日(小松市議会において本事業契約締結に係る議案について承認がなされた日)」としています(小松市「事業契約の締結について」)。表氏が眠っていた10月2日は、174億円の契約そのものを議会が認めた日でもありました。
表靖二市議は何と説明したのか
表氏は「風邪気味で薬を飲んだら眠ってしまった」と説明し、恥ずべき行為だったと反省を口にしています。
北國新聞によると、表氏は「風邪気味で議会前に薬を飲んだら眠ってしまった。我ながら恥ずべき行為で、反省している」と釈明しました。閉会後には越田幸宏副市長と南藤陽一議長に陳謝したといいます(北國新聞)。
最大会派「会派自民」の代表という立場
表氏は小松市議会で最も人数の多い会派「会派自民」の代表で、議会の中で重い立場にあります。
小松市議会だより220号(2026年2月発行)の賛否一覧では、「会派自民」の列の最初に表氏の名前があります(小松市議会だより220号)。会派の代表が起立しなかったことで、周りの議員からは「会派として反対に回ったのか」と受け取られかねない状況だったことになります。
なぜ居眠りが「反対」になるのか
小松市議会は賛成する議員だけを立たせて数える起立採決なので、座ったままの議員は賛成の数に入りません。
小松市議会会議規則の第70条は、議長が表決を採るときは「問題を可とする者を起立させ、起立者の多少を認定して可否の結果を宣告する」と定めています(小松市議会会議規則)。賛成なら立ち、反対なら座ったまま、という仕組みです。眠っていて立てなければ、本人の考えとは関係なく賛成の数には入りません。
なお、会議規則には「起立しない者は否とみなす」という文言そのものはありません。北國新聞や議会では、起立しなかったことを「反対」の意思表示として扱っています。
居眠りから「反対」扱いまでの仕組み
賛成者だけが立ち、立った人数で可否が決まり、あとから訂正できない、という3段階で反対の記録が残ります。
起立採決の流れ(小松市議会会議規則より)
4番目の決まりがあるため、目を覚ましたあとで「本当は賛成でした」と言っても、記録を直すことはできません。
あとから「賛成でした」と訂正できない第75条
会議規則の第75条は「議員は、自己の表決の訂正を求めることができない」と定めており、反対の記録はそのまま残ります。
同じ規則の第68条は「表決の際、議場にいない議員は、表決に加わることができない」とも定めています(小松市議会会議規則)。表氏は議場の席にいたため、欠席や退席ではなく「出席して起立しなかった議員」として数えられたことになります。一度宣告された採決の結果を、本人の申し出で変える道は規則の上ではありません。
174億円の「未来型図書館」とはどんな事業か
図書館を中心に博物館や市民の交流の場を合わせた複合施設で、2030年10月の開館を目指す市の大型事業です。
小松市議会だより220号によると、「未来型図書館等複合施設費」は174億4500万円で、2026年度(令和8年度)から2044年度(令和26年度)までの債務負担行為として計上されました。市制90周年の節目に開館する予定の施設です(小松市議会だより220号)。市の未来型図書館づくり推進チームのページは、開館を2030年(令和12年)10月としています(小松市 未来型図書館づくり推進チーム)。
174億円の内訳を、議会だよりの記載どおりに表にまとめます。
| 項目 | 金額・中身 |
|---|---|
| 事業費の合計 | 174億4500万円(令和8〜26年度の債務負担行為額) |
| 施設整備費 | 105億3000万円 |
| 管理運営費 | 69億1500万円(開館前3年間の準備と開館後15年間の管理運営) |
| 施設の中身 | 図書館を中心に、博物館や市民の交流・活動の機能を持つ融合型の施設 |
| 開館予定 | 2030年(令和12年)10月・市制90周年 |
整備費と運営費を合わせて、建てたあと15年分の運営まで先に約束する形の予算になっています。
債務負担行為とは何か
債務負担行為は、何年にもまたがって支払う約束を、あらかじめ予算として議会に認めてもらう手続きです。
大きな施設を建てて長く運営する事業では、1年ごとの予算だけでは契約が結べません。そこで、支払いの総額と期間を先に議会が認めておきます。174億円は今年いっぺんに出ていくお金ではなく、2044年度までの長い期間で払っていく上限の額です。支払いの上限を示すもので、その財源(市の税金のほか国の補助や借入れを使うかどうか)の内訳とは別の数字です。
議会は「毎年報告して議決を」と附帯決議を付けていた
2025年12月の議会は、この図書館費について、毎年の報告と議決、運営費の抑制などを求める附帯決議を可決しています。
附帯決議は、①各年度の設計・建設・管理運営の事業費を毎年報告・協議し、予算に計上したうえで議会の議決を得ること、②市民負担や他の事業への影響を考えて管理運営費をできる限り抑えること、③来館者が目標の40万人から離れた場合や専用駐車場が必要になった場合などは、その都度議会と協議すること、の3点を求めています(小松市議会だより220号)。議会は事業を認めつつも、お金の使い方を毎年監視する姿勢をとっていたことになります。
前回2025年12月議会では表氏は賛成していた
同じ174億4500万円の図書館費を含む2025年12月の補正予算では、表氏は賛成し、反対は橋本氏だけでした。
小松市議会だより220号の賛否一覧によると、未来型図書館等複合施設費を含む議案第72号「令和7年度小松市一般会計補正予算(第3号)」は、反対が共産の橋本米子氏1人で可決されています。表氏の欄は「○(賛成)」です(小松市議会だより220号)。2回の採決を並べると次のとおりです。
| 採決 | 表靖二氏 | 反対した議員 | 結果 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月議会 議案第72号(図書館費174億4500万円を含む補正予算) | 賛成 | 橋本米子氏の1人 | 可決(附帯決議付き) | 小松市議会だより220号 |
| 2026年10月2日 補正予算案など3件 | 起立せず(反対扱い) | 表氏・橋本氏の2人 | 18人の賛成で可決 | 北國新聞 |
記録の上では、前回は賛成した議員が今回は反対に変わったように見えますが、本人は眠っていたと説明しています。
今回の採決は174億円の事業契約を認めるものだった
10月2日の採決には、整備・運営を担う事業者と市が結ぶ174億4499万9999円の事業契約を承認する議案が含まれていました。
市が10月5日に公表した事業契約の内容によると、契約の相手は「こまつ未来型図書館パートナーズ株式会社」、契約金額は174億4499万9999円(うち消費税と地方消費税が15億8590万9091円)、契約期間は2026年10月2日から2045年3月31日までです。契約期間の始まりは、市議会で事業契約の議案が承認された日とされています(小松市「事業契約の締結について」)。
北國新聞は今回の議案を「174億4500万円の債務負担行為を含む補正予算案など3件」と報じています。同じ額の債務負担行為は2025年12月の補正予算ですでに可決されており、今回あらためて補正予算に含まれた理由は、10月8日時点で市の公表資料から確かめられていません。12月に枠を決め、10月に実際の契約を承認した、という2段階の流れになっています。
議会の中では「本心が出たのでは」という声も
賛成した市議からは見識を問う声が出ており、図書館への批判的な言動の本心が出たとみる関係者もいると報じられています。
北國新聞によると、議案に賛成した市議の一人は「今回は昨年度決算の認定も含めて、市にとって大事な予算案が多い。(表氏の反対に)驚いたし、議員としての見識が問われると思う」と話しました。また、「これまでの未来型図書館への批判的な言動の本心が出たか」とみる議会関係者もいると伝えています(北國新聞)。
ただし、この「本心」という見方は議会関係者の推測として報じられたもので、表氏がどのような批判的な言動をしていたのかは記事に書かれていません。前回12月の採決で表氏が賛成していたことは、上で見たとおり議会だよりの記録で確かめられます。
議会の居眠りが問題になったほかの例
議員の居眠りは小松市だけの話ではなく、奈良市議会では市民から再発防止のルールを求める陳情が出ています。
奈良市議会の2026年6月定例会には、本会議での議員の居眠りと、その場で進行役が注意しなかったことについて改善を求める陳情が提出されました。陳情は、全議員を対象に「議会中居眠り防止」のルールを明確にし、違反したときの注意や対応の手順を定めるよう求めています(奈良市議会 陳情文書表)。
国会でも採決中の居眠りが疑われたことがある
2023年4月には参議院内閣委員会の起立採決で、上田清司参院議員が職員に声をかけられて起立し、居眠りを疑われました。
日本経済新聞によると、上田氏は記者団に対して居眠りを全面的に否定し、「ちょっと考え事をしていた」と説明しました。立憲民主党は職員が起立を促したのではないかと問題にし、自民党の世耕弘成参院幹事長(当時)は採決には真剣に臨むべきだと苦言を呈しています(日本経済新聞)。起立採決では、1人が立つか立たないかで記録が変わるため、居眠りの疑いがそのまま政治の問題になります。
保守の立場から見た小松市議会の居眠り採決
(編集部分析)結果に影響がなくても、174億円の予算の採決で眠っていたことは、税金を預かる議員として重く受け止めるべきです。
事実として、議案は18人の賛成で可決され、表氏は副市長と議長に陳謝しています。一方で、表決の訂正は会議規則で認められておらず、記録の上では最大会派の代表が市の看板事業に反対したことになりました。
(編集部分析)地方議会は、国政よりも市民の暮らしに近いお金を決める場です。174億4500万円は2044年度までにわたる債務負担行為の限度額です。財源の内訳はこの記事では確かめていませんが、市が長い期間お金を払い続ける約束であることに変わりはありません。議会自身も附帯決議で「毎年監視する」と宣言していました。その議会の最大会派の代表が、肝心の採決で意思表示できなかったのは、体調のせいだったとしても、市民の目には議会の緊張感の欠如と映ります。「誰が得をするのか」という物差しで言えば、議員の役目は、市の大型事業に賛成するにせよ反対するにせよ、自分の判断を記録に残して市民に説明できるようにしておくことです。
(編集部分析)同時に、この件を一人の議員の失態で終わらせない視点も必要です。起立採決は、眠っていた、気づかなかった、というだけで意思と違う記録が残ってしまう仕組みです。電子採決や押しボタン式の導入、体調が悪いときは採決の前に議長へ申し出て退席するなどの運用を決めておけば、同じことは防げます。奈良市議会への陳情のように、居眠り防止のルールを議会自身が作ることも考えられます。議会の信頼を守るのは、まず議会自身の自浄作用だと考えます。
市民が確かめられること
小松市議会の賛否は議会だよりで、会議規則は市の例規集で、誰でも確かめられます。
小松市議会は議会だよりに「賛否が分かれた議案」の議員ごとの賛否一覧を載せています。今回の10月2日の採決も、今後の議会だよりで表氏の欄がどう記録されるかを確かめられます。会議規則は小松市の例規集で公開されており、起立採決や表決の訂正の決まりを自分で読むことができます。
最後に、検索されやすい疑問をまとめます。
小松市議会の居眠り採決のよくある質問
Q. 未来型図書館の事業を請け負うのはどこですか?
A. 市が公表した事業契約の相手は「こまつ未来型図書館パートナーズ株式会社」で、設計・建設から開館準備、運営、維持管理までを担います。
Q. あとから「本当は賛成だった」と記録を直せますか?
A. 小松市議会会議規則の第75条は、議員が自分の表決の訂正を求めることはできないと定めています。
Q. 表靖二市議に処分はありますか?
A. 10月8日時点で、議会が処分や申し合わせを決めたという報道はありません。表氏は閉会後に副市長と議長に陳謝したと報じられています。
Q. 事業契約はいつまで続きますか?
A. 市の公表では、契約期間は2026年10月2日から2045年3月31日までです。開館は2030年10月の予定なので、開館後もおよそ15年間、同じ事業者が運営を続ける形です。
議会の対応や議会だよりでの記録が分かったら、続報で追記します。地方議員の言動をめぐる話題は「岡本さゆり川口市議の敵国条項投稿」でも取り上げています。
