【9/30】古謝玄太知事が就任|「辺野古新基地建設問題対策課」廃止へ、12年ぶり県政交代で何が変わるか

2026年9月13日の沖縄県知事選挙で初当選した古謝玄太(こじゃ・げんた)氏が、9月30日に沖縄県知事に就任し、県庁に初めて登庁しました。前日の29日には玉城デニー氏が任期満了で退任しており、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対してきた県政は、12年ぶりに移設を容認する県政へ切り替わります。

この記事では、就任初日に古謝知事が語ったこと、県庁の「辺野古新基地建設問題対策課」の廃止をはじめとする組織の見直し、退任した玉城前知事の最後の発言、国の受け止め、そして新県政の当面の日程を、沖縄の地元紙・テレビ局と全国紙の報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 就任初日:古謝知事は9月30日午前9時半に初登庁し、「共に沖縄を前に進めよう」と県の幹部に訓示しました。
  • 県庁の組織:辺野古移設に反対する立場で国との裁判などを担ってきた「辺野古新基地建設問題対策課」が、10月1日にも廃止されます。
  • 国との関係:木原稔官房長官は、古謝知事が求める「沖縄政策協議会」の再開について、知事の意見を聞きながら対応すると述べました。
目次

古謝玄太知事の就任 9月30日の初登庁で何があったか

古謝知事は9月30日午前9時半に初登庁し、事務の引き継ぎを受けて、職員との対話を重んじる県政運営の方針を語りました。

琉球新報によると、古謝知事は職員や支援者に拍手で迎えられて県庁に入り、宮城嗣吉(みやぎ・しきち)副知事から事務の引き継ぎを受けました。午前中に職員への訓示を行い、午後に就任会見に臨む日程です。

初登庁の知事室で語った県政運営の方針

古謝知事は、知事室にこもらず県庁の内外に出て話を聞くスタイルをとりたいと述べました。

琉球新報によると、古謝知事は歴代知事が執務してきた席に座り、「この席にずっと座っている知事ではなく、出来るだけ庁内とコミュニケーションとるし、庁外にも出て行くようなスタイルをとりたい」と語りました。沖縄テレビとFNNプライムオンラインによると、古謝知事は「前知事の玉城デニーさんはじめ歴代知事が引き継いできたこの職責というのをしっかり受け継ぎながら私も県民に寄り添った県政運営をしてまいりたい」とも述べています。

沖縄タイムスによると、古謝知事は同日午前、県庁の幹部を集めて「部局長を中心に、幅広い視点で県民の期待に応えてほしい。共に沖縄を前に進めよう」と訓示しました。

42歳の新知事はどんな記録を持つのか

古謝知事は42歳で、報道によれば沖縄県知事として歴代最年少、1972年の本土復帰後に生まれた初めての知事です。

琉球新報は古謝知事を「歴代最年少の42歳」「沖縄の日本復帰後生まれで初の知事」と伝え、TBSテレビは「県政史上最年少の知事」と伝えています。ここでいう歴代は、本土復帰後に県民の選挙で選ばれてきた沖縄県知事を指します。知事選では過去最多となる42万票あまりを得て初当選しました(沖縄テレビ)。

就任初日の主な動きを、時刻の順に表にまとめます。

時点(2026年) 出来事 出典
9月29日午前 玉城デニー知事が任期満了の日に退任会見 東京新聞(共同通信)
9月30日午前9時半 古謝知事が県庁に初登庁し、宮城副知事から事務を引き継ぐ 琉球新報
9月30日午前 県の幹部に訓示「共に沖縄を前に進めよう」 沖縄タイムス
9月30日午前 木原官房長官が記者会見で新知事への期待を表明 日テレNEWS・TBSテレビ
9月30日午後 古謝知事の就任会見(予定) 琉球新報

表のとおり、退任から就任までは1日で切れ目なく引き継がれました。午後の就任会見の中身は、報道が出そろい次第この記事に追記します。

(編集部分析)前知事の名前を挙げて「職責を受け継ぐ」と述べた初日の言葉は、県政の方針は大きく変えつつも、県庁の仕事そのものは止めないという意思表示と読めます。選挙で示された民意に沿って方針を改めることと、行政の継続性を保つことを両立させられるかが、若い知事の最初の試金石になると考えられます。

「辺野古新基地建設問題対策課」はなぜ廃止されるのか

辺野古移設を阻む目的で翁長県政が設けた課で、移設を容認する知事の就任に合わせて10月1日にも廃止されます。

NHKによると、この課は翁長雄志(おなが・たけし)元知事が、普天間飛行場の辺野古移設を阻止するために設けたもので、移設をめぐる国との裁判への対応などを担ってきました。県は古謝知事の就任に合わせ、課を10月1日にも廃止する方向で調整しています。

古謝知事は課の名前の何を問題にしたのか

古謝氏は当選直後から、課の名前にある「新基地」という言葉は自分は使わないと述べ、見直しを示していました。

沖縄タイムスによると、古謝氏は当選翌日の9月14日、課の名称について「新基地」という文言は自分は使用していないとの考えを示し、名称と業務を見直す意向を明らかにしました。琉球新報も同じ日に、古謝氏が課の廃止を検討していると伝えています。

「平和・地域外交推進課」も名前が変わる方向

玉城前知事が取り組みを強めた「平和・地域外交推進課」も、名称を変える方向で調整が進んでいます。

琉球新報によると、県は辺野古の課の廃止とあわせ、玉城県政が力を入れた「平和・地域外交推進課」の名称を変更する方向で調整しています。変更後の名称や、職員をどの部署に移すのかは、公表された情報では確認できていません。

見直しの対象になっている2つの課を、表にまとめます。

課の名前 設けた・強めた県政 これまでの役割 見直しの中身
辺野古新基地建設問題対策課 翁長県政が設置 辺野古移設をめぐる国との裁判への対応など(NHK) 10月1日にも廃止(NHK・琉球新報)
平和・地域外交推進課 玉城県政が取り組みを強化 玉城県政の地域外交の取り組み 名称を変更する方向で調整(琉球新報)

表のとおり、見直しは県の基地政策と対外発信の看板にあたる部署に集中しています。10月1日に実際にどういう組織になるかは、県の発表を待つ必要があります。

(編集部分析)県庁の組織は、知事が代わっても県民の税金で運営される行政の器です。特定の政治運動の言葉を課の名前に掲げ、国との訴訟を続けるための部署を置いてきたことこそが異例であり、選挙の結果を受けて行政の看板を中立的な形に戻すことは、筋の通った見直しと評価できます。

玉城デニー前知事は退任会見で何を語ったか

玉城前知事は9月29日の退任会見で、辺野古移設は解決策にならないとの考えを最後まで変えませんでした。

東京新聞(共同通信)によると、玉城前知事は2018年の初当選から2期8年、辺野古移設に一貫して反対してきました。退任会見では、移設は普天間飛行場の危険性を取り除く「一日も早い解決策には決してならない」と述べ、普天間の返還期日が明確になっていないことについて「日米同盟が正しく機能しているのか疑わざるを得ない状況だ」と語りました。日米両政府と県による三者協議の場を提案してきましたが、実現しませんでした。

日本経済新聞によると、玉城前知事は退任のあいさつで「県職員と仕事ができたことが、一番の幸せだ」と述べています。

(編集部分析)8年間の対立で、普天間飛行場の危険はそのまま残り、県と国の協議の場も長く開かれませんでした。返還期日が見えないことを日米同盟の問題として語る前に、県として国と交渉する回路を自ら閉ざしてきた結果を振り返る必要があったと考えられます。古謝知事が「交渉」を掲げて当選したことは、この8年への県民の評価として受け止めるべきでしょう。

12年ぶりの県政交代で沖縄の方針はどう変わるのか

辺野古移設への立場が反対から容認に変わり、国との対話の場の再開と経済の底上げが県政の柱になります。

共同通信によると、県政が辺野古移設の容認に転じるのは12年ぶりです。2014年に移設反対を掲げた翁長氏が当選して以来、翁長県政と玉城県政が反対の立場を続けてきました。琉球新報によると、古謝知事は選挙で「手取り2倍」を掲げ、普天間飛行場の辺野古移設を容認した上で返還期日の明確化を求めることなどを訴えて当選しました。

玉城県政と古謝県政の主な違いを、表にまとめます。

論点 玉城県政(2018〜2026年) 古謝県政(2026年9月30日〜)
辺野古移設 一貫して反対(東京新聞) 容認した上で普天間の返還期日の明確化を求める(琉球新報)
国との協議 日米と県の三者協議を提案したが実現せず(東京新聞) 沖縄政策協議会の再開を求める(琉球新報)
経済の公約 ― 「手取り2倍」(琉球新報)
自衛隊の空港・港湾利用 ― 特定利用空港・港湾の指定に協力する考え(琉球新報・共同通信)
県庁の組織 辺野古の課を存続、地域外交の課を強化 辺野古の課を廃止、地域外交の課は改称の方向(NHK・琉球新報)

表のとおり、変わるのは辺野古への立場だけではなく、国との向き合い方と県庁の組織にまで及びます。一方で、普天間の返還期日を国に求めるという点は、立場は違っても前知事と共通しています。

古謝知事が選挙で掲げた普天間の返還期日の要求の中身と市町村別の得票は「沖縄県知事選の結果|古謝玄太氏が42万票で初当選」、自衛隊の特定利用空港・港湾をめぐる動きは「自衛隊「南西シフト」は沖縄で何が動くのか」で整理しています。

(編集部分析)台湾有事が現実の問題として語られる中で、沖縄は日本の安全保障の最前線にあります。国と対立して時間を費やすより、国と交渉して返還期日や振興の具体的な約束を引き出す方が、県民の暮らしと国全体の守りの両方に資すると考えられます。容認は「言いなり」ではなく、交渉の入り口に立つことだという点を、新県政は結果で示す必要があります。

国は古謝知事の就任をどう受け止めたか

木原稔官房長官は県との連携を強調し、沖縄政策協議会の再開は知事の意見を聞きながら対応すると述べました。

日テレNEWSとTBSテレビによると、木原官房長官は9月30日午前の記者会見で「新知事が沖縄県の一層の発展に取り組んでいかれることを期待している」と述べ、「沖縄に関する政策を進めていくに当たっては、国と県との連携が非常に重要だ」と指摘しました。基地負担の軽減については「一つ一つ着実に結果を出していくことであり、基地負担軽減が目に見える形で実現できるよう、引き続き全力で取り組んでいく」と述べています。

沖縄政策協議会の再開はいつになるのか

再開の日付は決まっておらず、琉球新報は年内の再開が見込まれると伝えています。

沖縄政策協議会は、国と県が米軍基地の問題や沖縄の振興について話し合う場です。古謝知事はその開催を求めていますが、木原官房長官は9月30日の会見で「これから古謝知事から具体的なご意見を伺いながら対応していきたい」と述べるにとどめました(日テレNEWS)。琉球新報は、年内に再開が見込まれると報じています。

国の沖縄振興予算をめぐる調整は「沖縄振興予算3000億円超へ調整」で扱っています。

(編集部分析)協議の場を開くかどうかを国の判断に委ねたままでは、知事が代わっても前に進みません。国の側も「期待」を述べるだけでなく、協議会の日程を早く示し、返還期日や振興の中身で具体的に応えることが、12年ぶりに対話を選んだ県民への誠実な対応だと考えられます。

新県政の人事と当面の日程

副知事の人事案と県議会の10月定例会が、新県政が最初に越える山になります。

琉球新報によると、古謝知事は元自民党県連会長の翁長政俊(おなが・まさとし)氏(77)を新たな副知事に起用する方針で、人事案を10月の定例会に提出する予定です。宮城嗣吉副知事(60)は留任します。県議会の10月定例会は10月上旬に開会します。古謝知事は「いろんな方の意見を聞きながら動いていく形のリーダーを目指していきたい」と述べています。

これから予定されている節目を、図にまとめます。

9月30日
古謝知事が就任・初登庁。午後に就任会見
10月1日にも
辺野古新基地建設問題対策課を廃止
10月上旬
県議会10月定例会が開会。副知事の人事案を提出
年内(見込み)
国と県の沖縄政策協議会が再開

図のとおり、就任から数週間のうちに、組織の見直し、副知事人事、国との協議と、県政の方向を決める節目が続きます。日付が確定していないものは、報道の見込みとして載せています。

(編集部分析)副知事に党の県連会長経験者を充てる人事は、国とのパイプを太くする狙いと読めます。議会の同意が要る人事で、県議会の各会派がどう向き合うかは、新県政と議会の関係を占う最初の場面になると考えられます。

就任の前後に届いた殺害予告と爆破予告

知事選の後、古謝知事や家族、県議に対する殺害予告などが県の施設に6件届いており、県は県警に連絡しています。

琉球新報によると、9月28日、県広報課の問い合わせフォームと沖縄美ら海水族館の代表メールに、古謝知事とその家族、県議会の自民党会派の県議に対する殺害予告が届きました。県庁舎と美ら海水族館を9月30日から10月3日までの間に爆破するという内容も含まれていました。知事選の後に県が把握している殺害予告や爆破予告は、内容の重なりを含めて6件に上ります。県は県警に連絡し、各施設の管理者に警戒を促しています。

9月に届いた爆破予告と、その犯行メールに辺野古沖事故の遺族のアドレスが悪用された件は「古謝玄太氏への爆破予告|犯行メールに遺族アドレスを悪用」で詳しく扱っています。

(編集部分析)送り主の目的は明らかになっていませんが、知事や家族、県議、県の施設を狙った殺害・爆破予告は、政治的な立場を問わず看過できません。政治の違いは議論と選挙で示すべきものであり、警察には予告の送り主の特定を急ぎ、県民と観光客が安心して県の施設を使える状態を守ることが求められます。

古謝県政のこれからの焦点

焦点は、普天間の返還期日を国から引き出せるか、そして「手取り2倍」の公約を具体策に落とせるかの2点です。

古謝知事は辺野古移設を容認する一方で、返還期日の明確化を国に求めています。国との対話の場である沖縄政策協議会がいつ開かれ、そこで期日についてどこまで踏み込んだ約束が出るかが、最初の試金石になります。経済では「手取り2倍」を掲げており、県議会10月定例会や来年度予算の編成で、その具体策が示されるかが問われます。

この件の続きを自分で追うときは、①沖縄県の公式サイトの知事会見の記録、②首相官邸の官房長官会見、③琉球新報・沖縄タイムスと沖縄のテレビ局のニュースの3か所を見ると、県と国の動きをいち早く確かめられます。

(編集部分析)12年ぶりの県政交代は、沖縄が「国と対立する県」から「国と交渉する県」へ移る転換点です。基地の負担を減らすことと、日本の守りを固めることは本来対立するものではありません。その両方を現実の成果として積み上げられるかどうかに、沖縄の将来と、国の安全保障を自分たちの問題として考える日本人の姿勢が映し出されると考えられます。

古謝玄太知事の就任をめぐるよくある質問

本文で触れきれなかった周辺の疑問に、短く答えます。

Q. 古謝玄太知事の任期はいつまでですか?

A. 都道府県知事の任期は4年で、9月30日に就任した古謝知事の任期は、原則として2030年9月29日までになります(地方自治法140条)。

Q. 副知事は知事が一人で決められるのですか?

A. 決められません。副知事は知事が議会の同意を得て選ぶと定められています(地方自治法162条)。翁長政俊氏の起用も、県議会10月定例会で同意を得る必要があります。

Q. 玉城デニー前知事の今後は決まっていますか?

A. 9月29日の退任会見を伝えた報道では、今後の具体的な活動については触れられていません。9月には大学教授がノーベル平和賞の候補に推薦したと報じられています(「玉城デニー知事がノーベル平和賞候補に推薦」)。

午後の就任会見の中身を含め、続報が入り次第この記事に追記します。出典は下の参考情報にまとめています。

参考情報

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