【10/29】御厨貴氏「高市首相は一種の自閉症」発言とは?文化放送が番組内で陳謝

東京大学名誉教授で政治学者の御厨貴(みくりや・たかし)氏が、10月29日放送の文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』で、高市早苗首相を「一種の自閉症ですからね」と評し、批判が広がっています。番組では発言の約20分後、アナウンサーが「不適切な発言がありました」と陳謝しました。
この記事では、発言がどんな流れで出たのか、文化放送の対応、なぜ批判が集まっているのか、同じ番組で5月にも起きた件、御厨氏の経歴と出演の目的を、報道と公開情報で確認できた事実をもとに整理します。
この記事でわかること
- 発言の中身:御厨氏は、首相が公邸で独りで本を読むのが好きだという話から「一種の自閉症」「ほかの人の話、聞きたくないんだもん」と述べました。
- 局の対応:約20分後に砂山圭大郎アナウンサーが陳謝しましたが、どの発言の何が問題だったのかは説明していません。
- 同じ番組で2度目:5月にも作家の適菜収氏が首相に侮蔑的な呼称を使い、同局の社長がコメントを出していました。
御厨貴氏の「自閉症」発言とは?10月29日の文化放送で首相を評した言葉
御厨貴氏は10月29日の生放送で、高市首相について「一種の自閉症ですからね」「自閉症ですよ」と2度述べました。
SmartFLASHによると、発言が出たのは文化放送の昼のワイド番組『大竹まこと ゴールデンラジオ!』のゲストコーナーです。御厨氏は首相の人柄に触れ、「総理公邸に、暗い部屋に独りでこもって本を読んだりしているのが好きだっていうね……これはねぇ、一種の自閉症ですからね」と述べました。パーソナリティの大竹まこと氏が「そうですか?」と聞き返すと、御厨氏は「自閉症ですよ。だって。ほかの人の話、聞きたくないんだもん」と重ねています。
発言の要点を、確認できた範囲で表にまとめました。
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 番組 | 文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』 | SmartFLASH |
| 放送日 | 2026年10月29日(生放送) | SmartFLASH |
| 発言者 | 御厨貴氏(東京大学名誉教授・政治学者) | SmartFLASH |
| 問題の言葉 | 「一種の自閉症ですからね」「自閉症ですよ。だって。ほかの人の話、聞きたくないんだもん」 | SmartFLASH |
| 局の対応 | 約20分後、砂山圭大郎アナウンサーが番組内で陳謝 | SmartFLASH |
| 本人の説明 | 11月1日6時台に編集部が番組公式ページとGoogleニュースで確かめた範囲では見つからない | 編集部確認 |
表のとおり、発言の言葉そのものは報道で確認できますが、御厨氏本人がどういう意図だったのかは、まだ説明されていません。
発言はどんな流れで出た?大竹まこと氏の問いに「高市さんは違います」
大竹氏が、歴代首相は人の意見とすり合わせてきたが高市氏は違うのかと尋ね、その答えの中で発言が出ました。
SmartFLASHによると、大竹氏は「歴代の首相はほかの人の意見とすり合わせながら物事を進めてきた」としたうえで、「(御厨氏から見ると)高市さんは違うそうですね?」と問いかけました。御厨氏は「高市さんは違います」と即答し、続けて公邸での過ごし方を持ち出して「一種の自閉症」と述べています。首相の政治手法を批判する話の流れで、人柄の話から障害の名前へ飛んだ形です。
御厨氏は高市政権をどう評していた?「意外にこけない」
御厨氏は発言の前に、政権は「いつ、こけるのかと見ていた」が「意外にこけない」と評していました。
同じ記事によると、御厨氏は、世間には首相が「一生懸命やってるじゃん、と見えてしまう」と語りました。さらに「会議を作るのは好きですからね。有識者会議をあんなに作る人いませんよ」「高市さん自身は、会議作ったことも忘れて、どんどん先に歩いている」と、政権運営への辛口の見方を示しています。ここまでは政策と手法への批判で、論評として成り立つ範囲の発言でした。
(編集部分析)政権の手法を批判すること自体は、言論の自由の範囲です。有識者会議の多さを問うのも、検証できる論点です。問題は、その先で政策の議論をやめ、首相の内面を障害の名前で言い表した点にあります。データや事実で反論できる批判から、反論のしようがないレッテル貼りに切り替わっており、政治学者として積み上げてきた批判の説得力を自ら削ったと評価できます。
文化放送はどう対応した?約20分後にアナウンサーが陳謝
文化放送は発言の約20分後、砂山圭大郎アナウンサーが「不適切な発言がありました」と番組内で陳謝しました。
SmartFLASHによると、陳謝の言葉は「先ほどのゲストコーナーで不適切な発言がありました。たいへん失礼いたしました」というものでした。生放送の中で局側がすぐに謝ったこと自体は、放送局としての最低限の対応です。発言から陳謝までの流れを図にしました。
10月29日の放送で起きたことの流れ
『令和政権論』の紹介を兼ねて出演
「意外にこけない」「有識者会議をあんなに作る人いない」
「一種の自閉症」「自閉症ですよ」と繰り返す
アナウンサーが「不適切な発言」と陳謝
図のとおり、局の陳謝は発言の後のコーナーで短く入っただけで、ゲスト本人の訂正や撤回ではありませんでした。
陳謝の何が足りないと言われている?
陳謝ではどの発言の何が不適切だったのかが示されず、聞いていた人に問題点が伝わらないと指摘されています。
SmartFLASHは、この説明では「どの発言の何が問題だったのかまでは伝わりません」と書いています。途中から番組を聞いた人には、何について謝っているのかも分かりません。編集部が11月1日6時台に、文化放送の番組公式ページとGoogleニュースで「御厨貴」「文化放送」を検索して確かめた範囲では、局が経緯を説明した発表や、御厨氏本人の説明・謝罪は見つかりませんでした。
(編集部分析)放送局は、政権を批判する側の発言には寛容で、批判される側が受けた言葉の重さには鈍いのではないか。そう疑われても仕方のない対応です。公共の電波を預かる局であれば、何を不適切と判断したのかを具体的に示し、ゲストにも説明を求めるのが筋だと考えます。
なぜ批判が集まった?障害の名前を悪口に使う問題
批判の中心は、首相への評価ではなく、障害の名前を人をけなす言葉として使ったことにあります。
SmartFLASHによると、X(旧ツイッター)では「個人の行動傾向を障害等で例えるのは不適切です」「玉川徹と同レベルの失言」といった声が上がりました。言論サイトのアゴラに10月31日に載った寄稿は、本を読むのが好きだという話を障害に結びつけるのは根拠のない飛躍だと批判し、政治家に向けた言葉でも、自閉症の人やその家族への偏見を強めかねないと指摘しています。
医療ではいまどう呼ぶ?「自閉スペクトラム症(ASD)」
現在の診断の分類では「自閉スペクトラム症(ASD)」という名前が使われ、自治体の案内などでも広く用いられています。
アゴラの寄稿も、医療では「自閉スペクトラム症(ASD)」と呼ぶことに触れ、放送の場では障害の名前を悪口として使わないのが基本だと書いています。さいたま市の啓発ページは、自閉スペクトラム症の特徴を「対人関係の困難さ」「コミュニケーションの困難さ」「こだわりと興味の狭さ」の3つにまとめ、原因は「脳機能の働きに生まれつきの特徴がある」と考えられ、「親の育て方など誰かの対応が原因でなるものではありません」と説明しています。本を独りで読むのが好きかどうかで決まるものではありません。人の好みや性格を診断名で言い表すことは、当事者を「人の話を聞かない人」と同じ意味で扱うことにつながります。
政治家への批判なら何を言ってもいい?
政治家の政策や手法は厳しく批判してよい一方、障害や性別を使って人をおとしめる言葉は批判とは別物です。
首相は国のかじ取りを任された公人で、その判断は常に検証され、批判されるべきものです。御厨氏が挙げた「有識者会議の多さ」も、会議の数や成果を調べれば確かめられる論点です。ところが「自閉症だから人の話を聞かない」という言い方は、事実で確かめることができません。聞く側は反論の材料を持てず、言われた側も否定のしようがありません。批判の形を取っていても、中身は政策の議論から外れています。
(編集部分析)首相に厳しい言葉を向ける自由はあります。しかし、診断名をけなし言葉に使えば、傷つくのは首相ではなく、その名前とともに暮らす子どもや家族です。言葉の責任を問うのは、首相を守るためではなく、無関係な国民を守るためだと考えます。
同じ番組で2度目?5月にも適菜収氏の発言で社長がコメント
同じ番組では2026年5月にも、作家の適菜収氏が首相に侮蔑的な呼称を使い、文化放送の社長がコメントを出していました。
SmartFLASHによると、適菜氏は首相の外交姿勢を批判する文脈で、終戦直後に占領軍兵士と親密だった女性への侮蔑的な呼称を使いました。この件では同局の社長がコメントを出す事態になっています。半年のうちに、同じ番組のゲストが首相に向けて人をおとしめる言葉を使ったのは、今回で2度目です。
2つの件を並べると、違いと共通点が見えます。
| 項目 | 2026年5月 | 2026年10月29日 |
|---|---|---|
| 発言者 | 作家の適菜収氏 | 政治学者の御厨貴氏 |
| 向けた相手 | 高市首相 | 高市首相 |
| 言葉の種類 | 女性への侮蔑的な呼称 | 障害の名前 |
| 局の対応 | 社長がコメント | アナウンサーが番組内で陳謝(11月1日朝時点) |
表のとおり、どちらも政権批判の流れで、政策ではなく首相という人をおとしめる言葉が出ています。
(編集部分析)同じ番組で首相への不適切な発言が半年に2度続いた以上、局には番組の運営を検証する責任があると考えます。政権に批判的なゲストを呼ぶこと自体は自由ですが、生放送で人をおとしめる言葉が繰り返されるなら、ゲストの選び方と進行のあり方が問われます。仮に局が自らの番組づくりを検証しないまま「不適切でした」の一言で済ませるなら、聴取者の信頼は戻りにくいでしょう。
御厨貴氏とは?『時事放談』の元司会で『令和政権論』の共著者
御厨貴氏は東京大学名誉教授の政治学者で、TBS系『時事放談』の司会を2007年から11年間務めた人物です。
SmartFLASHによると、御厨氏は10月29日、政治ジャーナリストの芹川洋一氏との共著『令和政権論 今なぜ高市首相なのか』の紹介を兼ねて番組に出演していました。日経BPのサイトに載った同書の「はじめに」によると、本は日経プレミアシリーズの1冊で、価格は1,320円(税込)です。御厨氏はその中で、高市政権の誕生を「こんなにおもしろい政治状況」と捉え、なぜこの政権が生まれたのかを論じるとしています。
『令和政権論』はどんな本?高市政権から安倍政権へさかのぼる対談
御厨氏と芹川氏が「なぜ高市政権が出来たのか」を、高市・石破・岸田・菅・安倍の順にさかのぼって語る対談本です。
日経BPのサイトに載った「はじめに」によると、2人の共著は12年間で5冊目で、対談の形で政治を語る「現代政治講談」の続編にあたります。結果が分かった過去から順にさかのぼる「逆上り方式」を取り、先の見えない今の政治を扱うため、見立てが外れる可能性もあると御厨氏自身が書いています。番組への出演は、この本の紹介を兼ねたものでした。
(編集部分析)政権を論じる本を出した直後の宣伝出演で、論じる相手を障害の名前で呼んだことになります。本の中身で勝負すべき場面で、論評とは別の言葉が話題をさらった形で、学者の発言が持つ重みを本人がどう考えているのかが問われます。
この発言で何が問われている?言論の自由と言葉の責任
問われているのは首相批判の是非ではなく、公共の電波で人をおとしめる言葉を使ったときの責任の取り方です。
首相の政策や手法を厳しく批判するのは、民主主義に欠かせない言論です。一方で、障害の名前や侮蔑的な呼称を使えば、議論は政策から人格攻撃へ移り、反論の余地のないレッテル貼りになります。今回は局が番組内で陳謝しましたが、発言した本人の説明は、編集部が確かめた範囲ではまだ見つかっていません。
放送局に求められているルールは?放送法第4条
放送局は放送法第4条で、善良な風俗を害しないことや、政治的に公平であることを求められています。
放送法第4条第1項は、番組の編集にあたって「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」の4つを定めています。ゲストの発言をどこまで局の責任と見るかには議論がありますが、生放送で出た言葉への対応を決めるのは局です。今回の陳謝がどの考えにもとづくものだったのかは、まだ説明されていません。
放送を自分で確かめるには?
放送の中身を確かめたいときは、切り取られた投稿ではなく、番組の公式の配信と報道の全文を当たるのが確実です。
文化放送の番組公式ページ(https://www.joqr.co.jp/qr/program/golden/)には、radiko・ポッドキャスト・YouTubeへの配信の入口がまとまっています。ラジオ番組はradikoのタイムフリー機能で放送から1週間ほど聞き直せることがありますが、10月29日の該当部分がどの配信で聞けるかは、この記事を書いた時点で確かめられていません。SNSでは発言の一部だけを切り出した投稿も出回るため、前後の流れを含めて判断することが大切です。
(編集部分析)日本の言論空間を健全に保つには、政権を批判する側にも、守る側にも、同じ物差しを当てる必要があります。保守の側が言葉を荒らげれば厳しく問われるのと同じように、権威ある学者や放送局も、自らの言葉に責任を持つべきです。誇りある国の言論とは、相手を論破することではなく、事実と政策で語ることだと考えます。
御厨貴氏の発言のよくある質問
最後に、今回の発言について検索されやすい疑問をまとめます。
Q. 謝ったのはゲストですか、局ですか?
A. 番組内で謝ったのは文化放送の砂山圭大郎アナウンサーで、局としての陳謝です。ゲストの発言を局が謝る形は、生放送のラジオやテレビでよく取られる対応で、発言した本人の撤回や謝罪とは別のものです。
Q. 首相側は何か反応していますか?
A. 編集部が11月1日6時台にGoogleニュースで確かめた範囲では、首相や官邸がこの発言に反応したという報道は見つかりませんでした。
Q. 放送の内容に意見を伝えるにはどうすればいいですか?
A. 番組への意見は、文化放送の番組公式ページ(https://www.joqr.co.jp/qr/program/golden/)にあるお便りの送り先から届けられます。放送倫理の問題として伝えたい場合は、放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送へのご意見」のページ(https://www.bpo.gr.jp/?page_id=1119)から送ることができます。
今回の件は、局と本人がこの先どう説明するかで評価が変わります。続報を追うなら、文化放送の番組公式ページと、Googleニュースで「御厨貴」と検索した結果を数日おきに確かめるのが手早い方法です。意見を伝えたい人は、上の番組ページとBPOの窓口を使えます。
参考情報
- SmartFLASH「大竹まことのラジオ番組に出演した東大名誉教授、高市首相を『一種の自閉症』発言に集まる批判」(2026年10月31日) https://smart-flash.jp/entertainment/entertainment-news/436694/
- アゴラ「高市首相は『自閉症』という御厨貴さんの発言に非難が集まる」(2026年10月31日) https://agora-web.jp/archives/261031131950.html
- さいたま市「世界自閉症啓発デー及び発達障害啓発週間について」 https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/004/003/009/p012851.html
- 文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」番組公式ページ https://www.joqr.co.jp/qr/program/golden/
- e-Gov法令検索「放送法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000132
- 日経BP「はじめに:『令和政権論 今なぜ高市首相なのか(日経プレミアシリーズ)』」(2026年9月11日) https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/032900009/082701373/
