【9/22】三浦市南下浦町上宮田の土砂崩れで神奈川県が自衛隊に災害派遣要請

台風25号の大雨で、神奈川県三浦市南下浦町上宮田のアパートに裏山の土砂が流れ込み、住民と連絡が取れなくなりました。神奈川県は2026年9月21日17時46分、「迅速な人命救助等を要するため」として、三浦市を区域に自衛隊の災害派遣を要請しています。本記事では、神奈川県の記者発表と被害状況の発表(第9報・22日5時)、読売新聞・TBS・NHK・毎日新聞の報道をもとに、要請の日時・対象地域・根拠・自衛隊の動きを時系列で整理します(2026年9月22日7時時点の情報です。被害の数字は今後の発表で変わる可能性があります)。

この記事でわかること

  • 要請の日時:神奈川県は9月21日17時46分、人命救助のため三浦市を区域として自衛隊に災害派遣を要請しました(県の記者発表)。
  • 対象地域:三浦市です。南下浦町上宮田のアパートと初声町和田の住宅で住民と連絡が取れていないと報じられています。
  • 自衛隊の動き:要請を受理した時点で連絡員が県庁と三浦消防署に入っており、初動対処部隊が現場へ向かいました(防衛省の説明を伝えた報道)。
  • 要請の根拠:法的な根拠は自衛隊法83条です。派遣するかどうかは、運用上、緊急性・公共性・非代替性を考えて判断されます。
  • 数字の食い違い:三浦市で連絡が取れない人は、報道では2人、県の第9報では行方不明1人です。差が出た理由は発表されていません。
目次

神奈川県が自衛隊に災害派遣要請したのはいつ?

神奈川県が自衛隊に災害派遣を要請したのは2026年9月21日17時46分で、理由は三浦市での迅速な人命救助です。

神奈川県の記者発表「令和8年台風第25号に係る神奈川県の対応について」(9月21日)によると、県は同日16時30分に災害対策本部を県庁に設置しました。そのうえで17時46分に自衛隊の災害派遣を要請し、要請理由を「迅速な人命救助等を要するため」、要請する区域を「神奈川県三浦市」としています。TBS NEWS DIGは、防衛省・自衛隊が同じ17時46分に「神奈川県知事からの人命救助に係る災害派遣要請」を受理したと伝えました。

要請のあらましを表にまとめます。

項目 内容 出典
災害対策本部の設置 2026年9月21日16時30分(県庁西庁舎6階) 神奈川県の記者発表
要請日時 2026年9月21日17時46分 神奈川県の記者発表
要請理由 迅速な人命救助等を要するため 神奈川県の記者発表
要請する区域 神奈川県三浦市 神奈川県の記者発表
受理 防衛省・自衛隊が17時46分に受理 TBS(防衛省の説明)
初動 県庁と三浦消防署に連絡員、初動対処部隊が現場へ TBS(防衛省の説明)

派遣された部隊の名称と人数は、22日7時の時点で県の発表にも報道にも出ていません。わかり次第、この記事に追記します。

三浦市南下浦町上宮田で何が起きたのか

21日14時半ごろ、三浦市南下浦町上宮田の2階建てアパートに裏山の土砂が流れ込み、住民の女性と連絡が取れなくなりました。

南下浦町上宮田のアパートに土砂が流入

通報は21日午後2時半ごろで、NHKによると「土砂でアパートが崩れている」という内容でした。

NHKは、2階建てのアパートに土砂が流れ込み、住民の女性と連絡が取れていないと警察の話として報じました。TBS NEWS DIGは、アパートが半壊し、裏山の土砂が流れ込んだと伝えています。テレビ神奈川(tvk)も21日21時の時点で、上宮田の住人と連絡が取れず救助活動が続いていると報じました。

初声町和田の住宅でも連絡が取れない人

三浦市では初声町和田の2階建て住宅にも土砂が流れ込み、住民の女性と連絡が取れていないと報じられています。

TBS NEWS DIGの22日2時36分の更新版によると、三浦市内の土砂崩れは複数か所で起きており、上宮田のアパートと初声町和田の住宅の2か所で住民と連絡が取れていません。初声町和田の通報時刻は、報道には出ていません。

上宮田は市の東側、初声町和田は市の北西側です。市内の離れた場所で同じ日に土砂が住宅へ流れ込んだことが、読売新聞の伝えた「三浦市内で複数の土砂災害を確認」という状況にあたります。

台風25号による三浦半島の被害は何人?県発表と報道の違い

神奈川県の第9報(22日5時)では、県内の死者1人(横須賀市)、行方不明3人(横須賀市2人・三浦市1人)です。

一方、TBS NEWS DIGと読売新聞は、横須賀市と三浦市で1人が死亡し、4人と連絡が取れていないと報じています。県の数字と報道の数字は、三浦市の人数で食い違っています。

県の発表と報道を並べます。

項目 神奈川県 第9報(22日5時) 報道(TBS・読売、22日0時〜2時台の更新)
死者 1人(横須賀市) 1人(横須賀市長井)
横須賀市 行方不明2人 別の住宅の2人と連絡取れず
三浦市 行方不明1人 2人と連絡取れず(上宮田・初声町和田)
住家の全壊 2棟(横須賀市・三浦市 各1) 住宅4棟が土砂崩れ(読売)
軽傷 3人(平塚市・座間市・葉山町) 記載なし

県は第9報に「市町村(消防)や県警察本部からの情報に基づき速報値として掲載したものであり、今後変更する可能性があります」と注記しています。また、県が使う「行方不明」と、報道が使う「連絡が取れない」は同じ言葉ではありません。人数に差が出た理由は、22日7時の時点で県からも報道からも説明されていません。どちらかを誤りと決めつけず、次の県の発表(第10報以降)を待つ必要があります。

なお、県の第7報(21日21時30分)では死者の欄が「平塚市・座間市で計2名」、第9報では死者1人(横須賀市)・軽傷3人(平塚市・座間市・葉山町)となっており、報によって人的被害の記載が変わっています。記載が変わった経緯は、県の発表では説明されていません。

台風25号の被害は神奈川県の外にも広がっています。千葉県袖ケ浦市では道路の復旧作業をしていた男性が亡くなりました(読売新聞)。毎日新聞によると、21日20時の時点で、千葉県内の約20万人と東京都大島町の約3000人に「緊急安全確保」が出され、関東・東海6都県の190万人以上に避難指示が出ていました。

自衛隊は三浦市で何をしているのか

要請を受理した時点で自衛隊の連絡員は県庁と三浦消防署に入っており、初動対処部隊が三浦市の現場へ向かいました。

TBS NEWS DIGが伝えた防衛省の説明によると、連絡員は要請を受理した時点で「すでに」神奈川県庁と三浦消防署に派遣されていました。いつ派遣されたかの正確な時刻は公表されていません。連絡員は、県・消防と自衛隊のあいだで、どこにどれだけの人手が要るかをすり合わせる役です。そのうえで、初動対処部隊(災害の直後にすぐ動けるよう待機している部隊)が三浦市の現場へ向かっています。

21日から22日朝までの動きを時系列で示します。

21日14時前 横須賀市長井で「土砂崩れで自宅が押しつぶされた」と通報(TBS)
21日14時半ごろ 三浦市南下浦町上宮田のアパートに土砂が流入と通報(NHK)
21日16時30分 神奈川県が災害対策本部を設置(県の記者発表)
21日17時46分 神奈川県が三浦市を区域に自衛隊の災害派遣を要請、防衛省が受理
21日21時半ごろ 横須賀市長井で住民が救助され、現場で死亡を確認(TBS)
22日5時 神奈川県が被害状況の第9報を発表(死者1人・行方不明3人)

横須賀市での救助に自衛隊が加わったかどうかは報道に出ていません。三浦市での自衛隊の活動の中身(捜索の人数・重機の投入など)も、22日7時の時点では発表されていません。

災害派遣要請の根拠は?自衛隊法83条と3要件

法的な根拠は自衛隊法83条で、派遣するかどうかは運用上、緊急性・公共性・非代替性の3つを考えて判断されます。

災害派遣を要請できるのは誰か

災害派遣を要請できるのは都道府県知事などで、要請先は防衛大臣かその指定する者です。

自衛隊法83条1項は、都道府県知事などが、災害のときに人命や財産を守るため必要と認めれば、部隊の派遣を防衛大臣やその指定する者に要請できると定めています。防衛白書(令和5年版)は、知事が要請する仕組みを採る理由を、知事などが区域の災害の状況を全般的に把握し、都道府県などの災害救助能力を考えたうえで派遣の要否を判断するのが最適という考え方によると説明しています。

今回、要請を出したのが三浦市長ではなく神奈川県知事なのは、この法律の形に沿ったものです。市町村長は、災害対策基本法68条の2にもとづき、知事に派遣の要請をするよう求めることができます。知事に求めることができないときは、市町村長が防衛大臣などに災害の状況を通知できます。これは「要請」ではなく「通知」です。

また、自衛隊法83条2項のただし書は、特に緊急で要請を待つ時間がないときに、要請を待たずに部隊を派遣できる場合を定めています(一般に「自主派遣」と呼ばれます)。今回の三浦市は、知事の要請にもとづく派遣です。

防衛大臣が派遣を決める3要件

派遣するかどうかは、緊急性・公共性・非代替性の3つを合わせて判断し、やむを得ないと認めた場合に派遣するのが原則です。

この3要件は自衛隊法の条文に並んでいるものではなく、防衛白書が示す運用上の考え方です。3要件と、今回の県の発表・報道でわかっている事実を並べます。

要件 意味 今回わかっている事実
緊急性 差し迫った必要があること 県は要請理由を「迅速な人命救助等を要するため」としている
公共性 公共の利益の観点で妥当であること 土砂災害で住民と連絡が取れない状況の救助
非代替性 自衛隊のほかに適当な手段がないこと 市内の複数か所で土砂災害が報じられている。防衛省がこの要件をどう判断したかは公表されていない

表の右の列は、県の発表と報道でわかっている事実を並べたものです。防衛省や県が「どの要件をどう判断したか」を公表したわけではありません。

(編集部分析)県は16時30分に災害対策本部を置き、その76分後に自衛隊へ要請しています。人命救助は時間との勝負で、要請が夜を待たずに出されたことは、住民の安全を最優先する判断として評価できます。一方で、派遣された部隊の規模や活動内容が早い段階で公表されないと、住民は「誰がどこで捜しているのか」をつかめません。国民の税金で動く部隊の活動だからこそ、国と県には中身をこまめに公表することが求められます。

神奈川県の自衛隊災害派遣要請は過去にもあった?

神奈川県は2025年12月の伊勢原市、2026年1月の秦野市の林野火災でも、自衛隊に災害派遣を要請しています。

県の記者発表によると、伊勢原市の林野火災では2025年12月10日16時35分に自衛隊法83条1項にもとづいて第1師団長に要請し、要する事由を「鎮圧に至らず、消火の能力が不足するため」としました。秦野市堀山下(丹沢山地)の林野火災では、2026年1月11日12時14分に陸上自衛隊第1師団長へ要請し、空中からの消火活動を求めています。どちらも、必要がなくなったとして2日後に撤収を要請しました。

過去2回と今回を比べると、目的と区域が違います。

項目 2025年12月 伊勢原市 2026年1月 秦野市 2026年9月 三浦市
災害 林野火災 林野火災 台風25号の土砂災害
要請日時 12月10日16時35分 1月11日12時14分 9月21日17時46分
目的 空中からの消火 空中からの消火 迅速な人命救助等
撤収要請 12月12日17時 1月13日14時 22日7時時点で未発表

林野火災の2回は火を消すための要請でしたが、今回は人を助けるための要請です。県の発表で「人命救助」を理由に掲げたのは、この3回の中で今回だけです。

三浦ではどのくらいの雨が降ったのか

三浦の雨量は、県の第9報で降り始めから22日4時までに365.5ミリに達しました。

雨量の数字は、報道と県の発表で集計の期間が違います。

  • 365.5ミリ:降り始めから22日4時までの合計(神奈川県 第9報)
  • 296ミリ:降り始めから21日16時までの合計(テレビ神奈川)
  • 281.0ミリ:24時間降水量。統計開始の1976年以降で1位と報道(福井新聞オンラインの配信記事)

281.0ミリの記録は報道にもとづく値で、気象庁の資料との照合はまだできていません。同じ配信記事は、横浜で280.0ミリ、藤沢で215.5ミリと、9月としての記録を更新したとも伝えています。台風25号は21日16時の時点で千葉県勝浦市の南約130キロを北東へ進み、中心気圧は960ヘクトパスカルでした(毎日新聞)。雨が弱まった後も地盤が緩んでいるため、22日朝まで土砂災害への厳重な警戒が呼びかけられていました。

千葉県では8月の豪雨に続く被害となりました。8月の千葉豪雨と堤防の議論は「千葉豪雨とスーパー堤防の事業仕分け」で整理しています。

三浦市の住民がいま確認すべきこと

三浦市の住民は、避難指示が続いているか、通行止めの道路がどこか、自宅や周りの斜面が安全かの3点を確かめる必要があります。

県の第9報(22日5時)では、三浦市には避難指示が出たままです。雨がやんでも、土砂災害は時間をおいて起きることがあります。崖や裏山に面した家に戻るときは、避難指示が解除されたことを確かめたうえで、自宅や周りの斜面の安全について市の案内に従ってください。最新の避難情報は次のページで確かめられます。

道路は、三浦市内で次の区間が全面通行止めになっています(県の第9報・22日5時時点)。

  • 国道134号:三浦市初声町和田
  • 県道214号:三浦市初声町高円坊

このほか、横須賀市では国道134号(林五丁目)と県道212号(野比3丁目)も全面通行止めです。三浦半島を車で移動する予定のある人は、出発前に県の災害情報ページで最新の規制を見てください。

いま危険が迫っている、または救助が必要な場合は、ためらわず110番か119番に通報してください。緊急ではない家族や知人の安否確認は、三浦市の公式サイトの案内に従って問い合わせてください。自分で救助の現場へ行くと、重機や救助隊の動きの妨げになります。

神奈川県の自衛隊災害派遣要請についてのよくある質問

災害派遣の終わり方と、知事以外の関わり方について、制度でわかっていることをまとめます。

Q. 自衛隊の災害派遣はいつまで続くのですか?

A. 今回の終わる日は、22日7時の時点で発表されていません。神奈川県の過去2回(2025年12月の伊勢原市、2026年1月の秦野市)では、県が「派遣の必要がなくなったと認められる」として撤収を要請し、それを発表しています。今回も撤収の要請が出れば、県の記者発表で確かめられます。

Q. 知事と連絡が取れないとき、自衛隊は来ないのですか?

A. その場合は、市町村長が防衛大臣などに災害の状況を通知できます(災害対策基本法68条の2)。さらに、特に緊急で要請を待つ時間がないときは、自衛隊が要請を待たずに部隊を出せる場合があります(自衛隊法83条2項ただし書)。

最新の被害の数字と自衛隊の活動内容は、次の参考情報にある県の発表と報道で確かめてください。

参考情報

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