【9/24】森けんたろう氏「20代の8人に1人が外国人」は本当か|福岡市の統計で検証
11月の福岡市長選に日本保守党公認で立候補を表明した森けんたろう(森健太郎)氏が、「福岡市の20代は8人に1人が外国人」と訴えています。9月24日にはX(旧Twitter)のニュース欄で、森氏の街頭演説と外国人比率の主張が話題として取り上げられ、賛否の声が広がりました。
この数字は本当なのか。福岡市が公開している住民基本台帳の年齢別人口(2026年7月末)を使い、市全体・年齢・区ごとに外国人の割合を計算し直しました。先に結論を書くと、「20代で8人に1人」「20代前半で6.6人に1人」は、市の統計とほぼ一致します。一方で、「5年後に30%超え」という見通しは、根拠となる計算が公開されていません。
この記事でわかること
- 主張の真偽:福岡市の20代に占める外国人は12.97%(約7.7人に1人)、20〜24歳は15.19%(約6.6人に1人)で、森氏の数字と合います。
- 区ごとの差:20代の外国人比率は東区17.10%・南区16.56%・博多区15.91%と高く、早良区は6.04%で、区によって3倍近い開きがあります。
- 増え方と注意点:2年前の2024年7月末は20代で9.89%でした。ただし市の人口全体で見ると外国人は3.79%で、数字は「20代に集中している」ことを示しています。
森けんたろう氏の「20代は8人に1人が外国人」は本当か
福岡市の登録人口から編集部が計算すると、20代の外国人比率は12.97%で、「8人に1人」はほぼ正しいといえます。
森氏は自身の公約ページで、福岡市について「20代では8人に1人が外国人」「20代前半に限ると6.6人に1人」と書いています(出典:森けんたろう公式サイト「公約」)。この数字を、福岡市がオープンデータとして公開している「登録人口(外国人・行政区別・男女別・年齢別)」と「登録人口(日本人と外国人の合計・行政区別・男女別・年齢別)」で確かめました(出典:BODIK 福岡市 登録人口(外国人)、BODIK 福岡市 登録人口(日本人と外国人の合計))。
2026年7月31日時点で、福岡市の20〜29歳は合計223,382人、そのうち外国人は28,963人でした。2つの表の年齢別人数を編集部が足し合わせて割ると12.97%で、人数に直すと約7.7人に1人です。「8人に1人」は、少し控えめに丸めた表現になっています。
20代前半の「6.6人に1人」も統計と一致する
20〜24歳の外国人比率は15.19%で、ちょうど約6.6人に1人にあたり、森氏の数字と一致します。
20〜24歳の合計は107,465人、うち外国人は16,322人でした。20代の中でも前半の割合が高い理由は、この統計からは特定できません。今回使った住民基本台帳の年齢別データには在留資格(留学・就労など)の内訳が無く、何の目的で住んでいる人が多いのかまでは分からないためです。
森けんたろう氏とは|福岡市長選の日本保守党公認候補
森健太郎氏は福岡市出身の48歳のエンジニアで、9月18日に日本保守党公認で福岡市長選への立候補を表明しました。
読売新聞によると、森氏は福岡大理学部を卒業後、ソフトウェア会社に勤め、タクシー関連事業「GO」でエンジニアとして働いています。2025年の参院選福岡選挙区と、2026年2月の衆院選比例九州ブロックに日本保守党公認で立候補し、いずれも落選しました(出典:読売新聞オンライン(Yahoo!ニュース))。
9月18日の会見で掲げた柱は「腐敗ゼロ」「交通課題ゼロ」「移民拡大ゼロ」の3つです。データ・マックスの報道では、腐敗ゼロとして市長報酬の見直しとワンヘルス推進宣言の撤回、交通課題ゼロとして自動運転タクシーの早期導入、移民拡大ゼロとして外国人への生活保護の停止を挙げました(出典:NetIB-News(データ・マックス))。西日本新聞も、森氏が「市政をガラス張りにし、公金の流れを検証する」と訴えたと報じています(出典:西日本新聞)。
外国人政策で森氏が訴えていること
森氏は「移民拡大ゼロ」を掲げつつ、ルールを守り日本に貢献する外国人は歓迎すると述べています。
公約ページでは、20代の外国人比率を示したうえで、子育て支援を日本国籍者に限って充実させること、外国人への生活保護を停止すること、国民健康保険の「タダ乗り」をなくすことを挙げています。同じページに「排外主義ではない」とも明記し、ルールを守り、文化を尊重し、日本に貢献する外国人住民の受け入れは続けるとしています(出典:森けんたろう公式サイト「公約」)。
なお、これらは市長選の公約として森氏が述べている内容で、市長の権限でどこまで実現できるか(生活保護や国民健康保険の制度は国の法律で決まる部分が大きい)は、公約とは別に検討が必要な点です。
福岡市の住民基本台帳で見た年齢別の外国人比率
福岡市全体の外国人比率は3.79%ですが、20代では12.97%、20〜24歳では15.19%と、若い世代ほど高くなっています。
年齢区分ごとの人数と割合を、福岡市の登録人口(2026年7月末)から計算して並べると次のとおりです。分母は「日本人と外国人の合計」で、住民基本台帳に登録されている人(3か月を超えて住む外国人を含む)が対象です。
| 年齢区分(福岡市全体) | 外国人 | 日本人と外国人の合計 | 外国人の割合 | 何人に1人か |
|---|---|---|---|---|
| 全年齢 | 61,656人 | 1,628,052人 | 3.79% | 約26人に1人 |
| 20〜29歳 | 28,963人 | 223,382人 | 12.97% | 約7.7人に1人 |
| 20〜24歳 | 16,322人 | 107,465人 | 15.19% | 約6.6人に1人 |
| 0歳 | 359人 | 11,578人 | 3.10% | 約32人に1人 |
※福岡市「登録人口」2026年7月31日現在(BODIKオープンデータ)から編集部が計算。割合は小数第3位を四捨五入。
表のとおり、外国人住民の多さは「福岡市の人口全体」ではなく「20代」に集中しています。市全体で見れば約26人に1人ですが、20代に絞ると約7.7人に1人になり、この差が主張の受け止め方を大きく分けています。
20代の人口の伸びのほとんどが外国人だった
2024年7月末から2年間で福岡市の20代は8,792人増えましたが、そのうち7,737人(約88%)が外国人でした。
同じデータで2024年7月末と比べると、20代の合計は214,590人から223,382人へ、外国人は21,226人から28,963人へ増えています。差し引きすると、日本人の20代は193,364人から194,419人へ1,055人の増加にとどまります。福岡市は「若者が多い街」として知られますが、直近2年の20代の増加は、大半が外国人住民によるものでした。
区ごとに見ると東区・南区・博多区で20代の15%超が外国人
20代の外国人比率は東区17.10%、南区16.56%、博多区15.91%で、この3区は6人に1人前後にのぼります。
福岡市の7区で20代の外国人比率を比べると、区によって大きな差があります。最も高い東区と最も低い早良区では、3倍近い開きがあります。
図解:区別の20代に占める外国人の割合(2026年7月末)
図のように、東区・南区・博多区の3区が15%を超え、城南区・早良区・西区は6〜7%台です。区ごとの人数と、区の人口全体に占める外国人の割合は次の表のとおりです。
| 区 | 20代の外国人 | 20代の合計 | 20代の外国人比率 | 20〜24歳の外国人比率 | 区全体の外国人比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東区 | 7,767人 | 45,422人 | 17.10% | 20.48% | 5.09% |
| 南区 | 5,761人 | 34,787人 | 16.56% | 20.30% | 3.53% |
| 博多区 | 8,040人 | 50,539人 | 15.91% | 20.09% | 6.09% |
| 中央区 | 3,072人 | 31,241人 | 9.83% | 12.09% | 3.79% |
| 市全体 | 28,963人 | 223,382人 | 12.97% | 15.19% | 3.79% |
※福岡市「登録人口」2026年7月31日現在から編集部が計算。城南区・早良区・西区は図解を参照。
東区・南区・博多区では、20〜24歳に限ると外国人が2割を超え、5人に1人の水準です。博多区は区全体でも6.09%と市内で最も高く、同じ福岡市でも、住む区によって外国人比率に大きな地域差があります。
2年でどれだけ増えたか|「5年後に30%超え」の主張
20代の外国人比率は2年で9.89%から12.97%に上がりましたが、「5年後30%超え」の計算根拠は示されていません。
同じオープンデータで2年前と比べ、編集部が計算した結果が次の表です。どの指標も上がっており、特に東区・南区・博多区の上がり方が目立ちます。
| 指標 | 2024年7月末 | 2026年7月末 | 2年の変化 |
|---|---|---|---|
| 市全体の外国人数 | 48,711人 | 61,656人 | +12,945人 |
| 市全体の外国人比率 | 3.04% | 3.79% | +0.75ポイント |
| 20代の外国人比率 | 9.89% | 12.97% | +3.08ポイント |
| 20〜24歳の外国人比率 | 11.63% | 15.19% | +3.56ポイント |
| 東区の20代の外国人比率 | 12.58% | 17.10% | +4.52ポイント |
| 博多区の20代の外国人比率 | 12.42% | 15.91% | +3.49ポイント |
※福岡市「登録人口」各年7月31日現在から編集部が計算。
市全体の登録人口は2年で23,503人増えましたが、そのうち外国人の増加は12,945人で、増加数の約55%を占めました。20代だけでなく、市全体の人口の増加数でも外国人住民が半分を超えています。
「5年後に30%超え」には計算の根拠が示されていない
森氏の選挙ドットコムの投稿にある「20代の外国人比率15%超え、5年後に30%超え」は、算出方法や出典が示されていません。
森氏は選挙ドットコムの本人ページで、福岡の20代に占める外国人比率が「15%超え」、5年後には「30%超え」になるとの見通しを書いています(出典:選挙ドットコム 森けんたろう氏の投稿)。ただ、どの区・どの年齢・どの時点のデータを使い、どういう伸び方を仮定したのかは書かれていません。市全体の20代は12.97%で、15%を超えるのは東区・南区・博多区の3区と、市全体の20〜24歳です。
参考として、2024年7月末(9.89%)と2026年7月末(12.97%)の比率から、2026年7月末を起点に5年間延ばした場合を編集部で計算しました。毎年同じ幅で上がる場合は、年1.54ポイント(3.08÷2)×5年を足して約20.7%です。毎年同じ伸び率で上がる場合は、2年で1.31倍(12.97÷9.89)なので年約14.5%の伸びとなり、12.97%×1.145の5乗で約25.5%です。どちらも「30%超え」には届きません。これは将来を予測したものではなく、「今のペースが続いたら」という単純な試算です。留学生の受け入れ数や国の在留制度が変われば、結果は大きく変わります。(編集部分析)
外国人比率の数字を読むときの3つの注意点
数字を正しく読むには、分母が何か、住民基本台帳に誰が含まれるか、在留資格の内訳が無いこと、の3点に注意が必要です。
分母は「日本人と外国人の合計」で、観光客は含まない
この記事の割合は、住民基本台帳に登録された「日本人と外国人の合計」を分母にしており、観光客や短期滞在者は入っていません。
外国人が住民基本台帳に載るのは、原則として3か月を超えて日本に住む「中長期在留者」や特別永住者などです。街で見かける観光客は含まれないため、繁華街での体感と統計は一致しないことがあります。逆に「外国人を見かける=住民が増えた」とも言い切れません。
在留資格の内訳は年齢別データに無い
福岡市の年齢別データには在留資格の区分が無いため、20代の外国人が留学生なのか就労者なのかは分かりません。
留学生・技能実習生・就労者などの内訳を市区単位で確かめるには、出入国在留管理庁の在留外国人統計など、在留資格別の別の統計を突き合わせる必要があります。20代の外国人が増えた理由を論じるときは、この内訳を示さないと、どの政策が効くのかを判断できません。
「人口全体」と「20代」で印象が大きく変わる
同じ統計でも、市全体なら約26人に1人、20代なら約7.7人に1人と、切り取る範囲で印象が大きく変わります。
森氏の主張は20代という範囲を明示しており、その範囲では統計と合っています。一方、この数字を「福岡市民の8人に1人が外国人」と読み替えると誤りになります。この数字を共有するときは、対象が「福岡市の20代」であることも併記する必要があります。
数字の出し方そのものは公的統計と合っており、選挙で外国人政策を論じる材料として使える水準です。論点は「数字が正しいか」よりも、「若い世代で外国人の割合が急速に上がっていることを、市の政策としてどう受け止めるか」に移っているといえます。住民の構成が変われば、学校・住宅・ごみ出しなど生活ルールの周知、社会保障の費用負担の在り方も問われます。有権者が判断できるよう、各候補者が在留資格別の内訳など、より細かいデータを示して議論することが望まれます。(編集部分析)
福岡市長選の構図と外国人政策の争点
福岡市長選は11月1日告示・11月15日投開票で、高島宗一郎市長の不出馬により新人同士の争いになる見通しです。
4期16年務めた高島宗一郎市長は8月23日、自身のSNSで5選に立候補しない意向を明らかにしました(出典:TNCテレビ西日本)。その後、9月18日までに新人9人が立候補を表明しています(出典:読売新聞オンライン(Yahoo!ニュース))。高島市長の不出馬の経緯は「高島宗一郎が福岡市長選不出馬|4期16年で退く理由」で、同じ日に出馬を表明した候補者の経歴は「佐々木彩乃は保守か?福岡市長選に出馬表明した29歳の経歴と過去の発言」で整理しています。
選挙の日程は、福岡市選挙管理委員会が11月1日告示・11月15日投票と決めており、期日前投票は11月2日から14日までです(出典:福岡市選挙管理委員会「福岡市長選挙の選挙期日等を決定しました」)。
森氏は外国人政策を公約の3本柱の1つに掲げています。ほかの候補者が外国人住民の増加をどう位置づけるかは、告示までの討論会や公約発表で比べられるようになります。
投票までに有権者が確かめられること
森氏の数字は公開データで自分でも確かめられ、各候補の公約も数字の範囲と市の権限の2点で比べられます。
具体的には次の3つの手順です。
- BODIKの福岡市「登録人口」から2026年7月末のCSVを2つ(外国人/日本人と外国人の合計)開き、20〜29歳の人数を足して割る。森氏の12.97%前後の数字を自分で再現できます。
- 森氏の公式サイトの公約ページで、外国人政策の中身(生活保護・国民健康保険・子育て支援)を確認し、国の制度で決まる部分と市が決められる部分を分けて読む。
- ほかの候補の公式サイトや、告示後に市選挙管理委員会が配る選挙公報で、外国人住民についての考え方と数字の出典を比べる。
最後に、森氏の主張と統計について、よく聞かれる点をまとめます。
森けんたろう氏の外国人比率に関するよくある質問
外国人の選挙権、期日前投票の場所、区別データの見方について、よく聞かれる3点に答えます。
Q. 外国人住民は福岡市長選で投票できますか?
A. 投票できません。地方自治法第18条は、市長などの選挙権を持つのは「日本国民たる」満18歳以上の住民と定めており、住民基本台帳に載っている外国人住民には選挙権がありません(出典:e-Gov法令検索 地方自治法)。
Q. 期日前投票はどこでできますか?
A. 11月2日(月)から14日(土)まで、各区役所などの期日前投票所で投票できます。投票所の場所と受付時間は、福岡市選挙管理委員会の案内ページで確認できます(出典:福岡市選挙管理委員会「期日前投票」)。
Q. 自分の住む区や町の外国人比率はどう調べますか?
A. 区単位ならBODIKの「登録人口(外国人)」の区名の行を見ます。町名単位の外国人数は、福岡市の「登録人口(公称町別)」で公開されています。年齢別まで細かく見られるのは区単位までです。
数字の元データは下の参考情報から確かめられます。
参考情報
- 森けんたろう公式サイト「福岡市長選 公約」
- 選挙ドットコム 森けんたろう氏の投稿(20代の外国人比率)
- BODIK 福岡市 登録人口(外国人・行政区別・男女別・年齢別)
- BODIK 福岡市 登録人口(日本人と外国人の合計・行政区別・男女別・年齢別)
- 読売新聞オンライン「福岡市長選挙、新人の森健太郎氏が日本保守党公認で立候補表明」(2026年9月19日)
- NetIB-News「福岡市長選・日本保守党公認で森健太郎氏、立候補表明」
- 西日本新聞「日本保守党の森健太郎氏が福岡市長選立候補会見」
- TNCテレビ西日本「福岡市の高島市長が5選不出馬へ」(2026年8月24日)
- 福岡市選挙管理委員会「福岡市長選挙の選挙期日等を決定しました」
- e-Gov法令検索「地方自治法」
