【10/24】OKURAが免税販売で不正還付約5億円|転売外国人と11月の新制度

【10/24】OKURAが免税販売で不正還付約5億円|転売外国人と11月の新制度

ブランド品や高級腕時計の買い取り・販売を手がける「OKURA」が、外国人客への免税販売をめぐって消費税の還付を不正に受けたとして、東京国税局から指摘を受けていたことが、2026年10月23日から24日にかけて報じられました。共同通信によると、不適切とされた還付は計約5億円で、過少申告加算税を含めた追徴額は約5億8000万円に上ります。関係者の話として、国内での転売が疑われる外国人客に十分な確認をしないまま免税価格で販売し、仕入れにかかった消費税の還付を受けていたとされています。外国人旅行者向けの免税制度は、11月1日から「出国時に返金する」リファンド方式に切り替わる直前でした。この記事では、報じられた中身、なぜ還付が認められなかったのか、報道ごとに違う追徴額、会社の説明、そして11月からの新しい免税制度で何が変わるのかを、報道と国税庁・観光庁の資料をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 何があったか:東京国税局が「OKURA」の2025年7月までの約4年間の取引について、計約5億円の還付を不適切と指摘しました。共同通信によると、過少申告加算税を含めた追徴額は約5億8000万円です。
  • なぜ不正とされたか:転売目的とみられる外国人客への販売は免税の対象にならず、仕入れの消費税の還付も受けられないと国税局が判断したと報じられています。
  • これからどう変わるか:2026年11月1日の購入分から、買う時は消費税込みで払い、出国時に税関で持ち出しを確認してから返金する方式に変わります(観光庁)。
目次

OKURAの不正還付とは|東京国税局が約5億円を追徴課税

OKURAの不正還付とは、免税で売った商品の仕入れにかかった消費税の還付を、要件を満たさないまま受けていたとされる問題です。

日本テレビによると、追徴課税を受けたのはブランド品の買い取りや販売を行う「OKURA」です(日テレNEWS「ブランド品売買『OKURA』 消費税不正還付で約5億円の追徴課税」)。テレビ朝日は同社の所在地を東京・豊島区と伝えています。東京国税局は、2025年7月までのおよそ4年間の取引を対象にしました。共同通信は、OKURAがブローカーの手配した「買い子」と呼ばれる外国人らと多数回にわたって取引し、消費税分を除いた免税価格で高級腕時計を売っていたと伝えています(共同通信「不適切還付で追徴額5.8億円 高級腕時計中古品業者に国税局」)。

テレビ朝日は、東京国税局が「免税要件を満たしていない」と判断したと伝えています(テレ朝NEWS「転売外国人に免税販売か 不正還付でブランド品販売会社に約5億円の追徴課税」)。国税局による正式な発表文は、10月24日時点で確認できていません。報道はいずれも関係者への取材にもとづいています。

対象は高級腕時計の免税販売

問題とされたのは、外国人客に高級腕時計などを免税価格で売った取引です。

日本テレビは、OKURAが転売が疑われる外国人客について十分な確認を行わず、腕時計を免税価格で販売していたと伝えています。共同通信の配信記事も「高級腕時計中古品業者」として報じ、福岡市中央区にある同社の店舗の看板の写真を添えています。

なぜ還付が認められなかった?|免税販売と消費税還付の仕組み

転売目的で買われた商品は免税の対象外なので、それを免税で売った分の仕入れの消費税は還付できない、と国税局が判断したためです。

消費税は、売上で預かった税から、仕入れで払った税を差し引いて納めます。免税店が外国人旅行者に免税で売ると売上側の消費税はかかりませんが、仕入れの際に払った消費税は差し引けるので、差額がマイナスになれば国から還付を受けます。中古の高級腕時計のように仕入れ値の高い商品を大量に免税で売るほど、還付の額は大きくなります。

仕組みを3つの段階に分けて図にしました。

1. 仕入れ
店は国内で腕時計を仕入れ、消費税を払う
2. 免税販売
外国人旅行者に消費税なしで売る(売上の税はゼロ)
3. 還付
仕入れで払った消費税を申告し、国から戻してもらう

この流れが成り立つのは、2の販売が本当に免税の要件を満たしているときだけです。要件を満たさない販売だと判断されると、その売上は免税ではなく通常の課税売上として扱われ、売上にかかる消費税が加わって税額が計算し直されます。仕入れの消費税を差し引けること自体は変わりませんが、還付される額は減り、すでに受け取った還付との差額などが追徴されます。共同通信は、買い子が購入した腕時計を別の人に譲渡したとみられ、国税局が免税要件を満たしていないと判断したもようだと報じています。

「販売用に買うことが明らかな物品」は免税にならない

国税庁の資料では、事業用や販売用として購入されることが明らかな物品は免税の対象に含まれないとしています。

国税庁の「輸出物品販売場制度に関するQ&A」は、免税の対象を旅行者が通常の生活に使う物品としています(国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A」)。報道によると、国税局はOKURAの取引を転売目的の購入と判断し、免税の要件を満たしていないとしました。

転売目的の外国人客とブローカー|報道で分かっている手口

報道によると、国内で転売する目的が疑われる外国人客に対し、店が十分な確認をせずに免税で販売していたとされています。

日本テレビは、取引はブローカーと店舗の従業員が協力して行ったとみられると伝え、別の記事ではブローカーが転売を主導していたとみられるとしています。フジテレビ系のFNNは、一部の取引で外部のブローカーと店の中国人従業員が協力し、転売目的の客に免税販売したケースもあったとみられると報じました(FNNプライムオンライン「ブランド買取販売『OKURA』が消費税不正還付で約5億円追徴課税」)。

いずれも関係者の話にもとづく報道で、ブローカーが誰なのか、何人の客が関わったのかといった点は明らかになっていません。従業員の関与については、次の章のとおりOKURA側が否定しています。

なぜ転売目的だと免税で買いたいのか

免税なら買うときの負担が消費税分軽くなるので、国内で売り直したときに利益を出しやすくなるからです。

実際の利益は売値や手数料などによって変わりますが、高級腕時計は1本の値段が高く、消費税分の差も大きくなります。本来は旅行者が自分で使うために国外へ持ち出すことが免税の条件で、その品が国内で売り直されると、本来かかるはずの消費税が納められないことになります。

追徴額は約5億円か5億8000万円か|報道ごとの違い

共同通信によると、約5億円は不適切とされた還付の額で、約5億8000万円は過少申告加算税を含めた追徴額です。

民放各局は「約5億円の追徴課税」と伝えていて、数字の指すものが媒体によって違います。見出しと本文で確認できた数字を表にしました。

媒体 追徴額 対象期間 表現
日本テレビ およそ5億円 2025年7月までのおよそ4年間 不正還付
FNN(フジテレビ系) 約5億円 2025年7月までの約4年間 不正還付
テレビ朝日(ANN) およそ5億円 去年までのおよそ4年分 不正還付
NHK 約5億8000万円 見出しのみ確認 不正還付
共同通信 還付約5億円/加算税込みの追徴額約5億8000万円 2025年7月までの約4年間 不適切な還付

共同通信の内訳に従えば、2つの数字の差は加算税などによるものと読めます。ただし差額のすべてが加算税なのか、延滞税などを含むのかは報じられていません。「約4年間」がどの事業年度からどの事業年度までかも、報道では示されていません。

「不正」と「不適切」の書き分け

民放各局とNHKは「不正還付」、共同通信は「不適切還付」と書いていて、言葉の強さにも差があります。

国税局が仮装・隠蔽と認めたかどうかは報じられておらず、刑事告発されたという報道もありません。報道によると、東京国税局は免税の要件を満たさないと判断して追徴課税したとされていますが、正式な発表は確認できていません。

OKURAの説明|従業員の関与は否定、追徴金は納付済み

OKURAは日本テレビの取材に対し、従業員の関与を否定したうえで、追徴金は納付済みで再発防止に努めると答えています。

日本テレビによると、同社は「今回の指摘を重く受け止め、再発防止に努めてまいります」としています。共同通信の取材には「国税局と一部見解の相違が生じる結果となったことを真摯に受け止め、管理体制の強化に努める」とコメントしており、国税局の判断のすべてに同意しているわけではないことがうかがえます。テレビ朝日(ANN)は取材を申し込んだものの、報道の時点で回答はなかったと伝えています。

報道では、国税局の判断と会社の説明に食い違う部分があります。取引にブローカーが関わったとみられる点は日テレとFNNが伝えていますが、従業員の関与はOKURAが否定しており、どちらが正しいかはこの記事では判断できません。

11月1日から免税はリファンド方式に|何が変わるか

11月1日の購入分から、店では税込みで払い、出国時に持ち出しを確認してから消費税分を返す方式に変わります。

観光庁は、新しい制度では購入者が免税店で税込価格で買い、出国時に空港や港の免税手続用端末にパスポートを示して持ち出しの確認を受けたあと、消費税相当額が返金されると説明しています(観光庁「免税制度の見直しについて」)。確認は購入日から90日以内に行う必要があり、返金は各免税店か、委託を受けた返金事業者が行います。

今の方式と11月からの方式の違いを表にしました。

項目 2026年10月まで 2026年11月1日の購入分から
店での支払い 消費税を除いた価格 消費税込みの価格
消費税が戻る時点 買った時点で免除 出国時の持ち出し確認のあと
持ち出しの確認 出国時(確認前に免税が済んでいる) 購入から90日以内の出国時に税関で確認
国内で転売された場合 税を免除したあとなので取り戻しにくい 持ち出しが確認できないと返金されない

今回のOKURAのように、店が免税で売った品が国内で転売されると、今の方式では税を免除したあとで問題が見つかることになります。新しい方式では、持ち出しが確認できなければ返金されないので、転売目的の購入で得をする余地は小さくなります。

制度変更の背景にある「免税品の横流し」

日本テレビは、免税制度を悪用した転売や還付が相次いでいることなどから、リファンド方式が導入されると伝えています。

11月からは、金や白金の地金など、不正な目的で買われるおそれの高い物品が免税の対象から外れます(国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)」)。今回の件は、方式の切り替えを1週間後に控えたタイミングで明らかになりました。

免税制度の悪用をどう防ぐか|国税の取りっぱぐれの問題

防ぐ柱は11月からのリファンド方式ですが、移行前の取引で受けた還付を後から確かめて取り戻す調査も欠かせません。

今回の追徴は、2025年7月までの過去の取引にさかのぼって行われました。リファンド方式が始まっても、10月31日までの販売分には今の方式が適用されます(観光庁)。移行前に免税で売られた品の行方と、それにもとづく還付申告が正しかったかは、引き続き税務調査で確かめるしかありません。

(編集部分析)免税制度は、訪日客に日本で買い物をしてもらうための仕組みであって、国内で転売してもうけるための仕組みではありません。要件を満たさない販売に免税が使われれば、本来納められるべき消費税が納められず、還付として国から出ていく額も膨らみます。制度の甘さにつけこんだ転売を放置すれば、正直に税を納める国内の事業者や消費者が割を食うことになります。リファンド方式への移行は、税を「先に免除して後で確かめる」から「確かめてから返す」へ改めるもので、国益の観点から評価できます。一方で、仲介するブローカーや、それを見逃した販売店の責任をどう問うかは、今回の報道からはまだ見えません。追徴課税で終わらせず、手口と関与した者の実態を明らかにすることが、同じことを繰り返させない近道だと考えます。

なお、FNNが伝えた「中国人従業員」の関与は関係者の話にもとづく報道で、会社は否定しています。特定の国籍の人全体の問題として扱うのではなく、制度を悪用した個々の取引の問題として見るべきです。(編集部分析)

読者が気になりそうな点を、次にまとめました。

OKURAの不正還付のよくある質問

Q. 日本に住んでいる人は免税で買えますか?

A. 買えません。国税庁のQ&Aでは、国内に住所がある人や国内の事務所に勤める人、日本に入国して6か月以上たった人は、外国籍でも免税の対象外です。

Q. 免税で買った外国人客の側も責任を問われますか?

A. 今回の報道で追徴されたのは販売したOKURAで、買い子と呼ばれる客やブローカーがどう扱われたかは報じられていません。

11月1日以降に海外の家族や知人が日本で免税の買い物をする予定があれば、次の3点を伝えておくと安心です。買う店で返金の方法(店か返金事業者か)を確かめること、購入から90日以内に出国すること、出国時に空港や港の免税手続用端末でパスポートを示し、購入品の持ち出し確認を受けることです(観光庁)。

参考情報

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