【9/22】ロシア下院選2026の結果|統一ロシアが過去最多355議席、圧勝の理由

ロシアで2026年9月18〜20日に行われた下院選(国家会議選挙・定数450)は、プーチン政権の与党「統一ロシア」が過去最多となる355議席を得る見通しになりました。2022年2月のウクライナ全面侵攻後、初めての下院選です。本記事では、ロシア中央選挙管理委員会の暫定集計を伝えた時事通信・中央日報・AFPBB・英字紙モスクワ・タイムズなどの報道をもとに、ロシア下院選2026の結果、圧勝の理由、帰還兵の立候補、占領地での投票、今後の日程を整理します(2026年9月22日9時時点の情報です。数字は暫定で、最終結果の発表で変わる可能性があります)。

この記事でわかること

  • 結果:統一ロシアは450議席のうち355議席の見通しです。比例代表147・小選挙区208で、過去最多だった2016年の343議席を上回ります。
  • 圧勝の理由:反戦を掲げる唯一の公式政党ヤブロコが8月に比例代表から排除され、政権批判の受け皿が大きく制限された選挙でした。
  • 戦時色:ウクライナ侵攻に参加した帰還兵が180人以上立候補し、占領下のウクライナ4地域でも初めて下院選の投票が行われました。
  • 今後:統一ロシアは下院で改憲案を可決できる300議席を1党で超えます。最終結果の確定日は報道によって「25日」と「10月5日まで」に分かれています。
目次

ロシア下院選2026の結果は?

ロシア下院選2026は、与党・統一ロシアが450議席中355議席を得る見通しで、下院の3分の2(300議席)を大きく超えました。

時事通信によると、中央選挙管理委員会は開票率約95%の段階で、統一ロシアが比例代表で147議席、小選挙区で208議席を獲得する見通しだと発表しました。時事通信は改選前の議席を310としており、そこから45議席の上積みです(2021年の選挙で得た324議席とは基準が異なり、選挙後の欠員などで改選前の保有議席が減っていたとみられますが、内訳は報道からは確認できません)。ロシア下院は比例代表225議席と小選挙区225議席の並立制で、比例代表で議席を得るには得票率5%以上が必要です。

主な政党の見通しを表にまとめます。得票率は比例代表の数字です。

政党 議席の見通し 比例代表の得票率 立ち位置
統一ロシア 355(比例147・小選挙区208) 57.83% 与党
共産党 40 13.76% 体制内野党
自由民主党 25 9.01% 民族主義の体制内野党
新しい人々 20 7.96% 中道右派
公正ロシア 4(小選挙区のみ) 5.00% 体制内野党
祖国 1(小選挙区のみ)

得票率は中央日報が伝えた開票率96.95%時点の数字、議席は時事通信とモスクワ・タイムズが伝えた中央選管の見通しです。表の議席を足すと445で、残る5議席の内訳は現時点の報道では確認できません。公正ロシアは得票率5.00%と伝えられる一方、議席は小選挙区の4だけの見通しで、集計の時点によって得票率が5%の前後で動いている可能性があります。統一ロシアは小選挙区225のうち208で先行しており、比例代表だけでなく地方区でもほぼ全勝に近い形になりました。

ロシア下院選2026の投票率は59.32%

投票率は59.32%で、6260万人以上が投票したと暫定集計されています。

中央日報によると、これは2016年の47.88%、2021年の51.72%を上回る数字です。投票は18日から20日までの3日間に分けて行われています。

統一ロシアの355議席は過去と比べてどれほど多いのか

355議席は統一ロシアが2001年に結党してから最多で、これまでの最多だった2016年の343議席を12議席上回ります。

中央日報によると、侵攻直前の2021年の下院選で統一ロシアが得たのは324議席でした(資料によっては326議席とするものもあり、集計の時点で差があります)。今回はそこから31議席多い計算になります。過去3回の下院選を並べると、議席と投票率がそろって伸びていることがわかります。

選挙 統一ロシアの議席 投票率 時期
2016年 343 47.88% クリミア併合の2年後
2021年 324 51.72% 全面侵攻の直前
2026年(暫定) 355 59.32% 侵攻後初

2016年と2021年の数字は中央日報、2026年は中央選管の暫定集計を伝えた報道によります。議席数だけを見れば「過去最高の支持」に見えますが、次の章で見るとおり、競争の条件そのものが過去の選挙と違います。

統一ロシアはなぜ圧勝したのか

報道が共通して挙げるのは、反戦を掲げる政党が比例代表から排除され、政権批判の受け皿が大きく制限された選挙だったことです。

中央日報は「執権勢力の統制が強いロシアの政治環境を考慮すると選挙結果はすでにある程度予見されたものだった」と伝えています。モスクワ・タイムズは、独立系の分析者がこの選挙を現代ロシアで最も競争の無い選挙だと評したと報じました。どの要因が票をどれだけ動かしたかを比べた検証は、現時点では出ていません。

反戦政党ヤブロコは比例代表から排除

ロシア最高裁は2026年8月、反戦を掲げる唯一の公式政党ヤブロコから比例代表の候補者名簿に参加する資格を奪いました。

日本テレビの報道によると、排除の理由は「違法行為」とされ、政権批判の受け皿が失われた構図です。モスクワ・タイムズは、ヤブロコが小選挙区でも1議席も取れず、5%の壁を越えたのは地方議会選のノヴゴロド州だけだったと伝えています。

政治犯は2000人超、批判者は国外へ

人権団体「OVDインフォ」の集計では、政治的な理由で収監されている人は2000人を超えています。

この数字は中央日報が伝えたもので、集計の時点と対象の定義は記事には書かれていません。同じ記事は、政府批判者が入国禁止・投獄・国外追放などの圧力を受けてきたとも伝えています。批判的な政党が立てず、批判する個人も国内で声を上げにくいなかで、得票率57.83%という数字が出ています。

プーチン大統領は「勝利への貢献」と投票を呼びかけ

プーチン大統領は投票前の9月16日に国民向けの動画を公開し、下院選への参加が「ロシアの勝利への貢献になる」と訴えました。

日本経済新聞と毎日新聞が伝えた内容です。AP通信は、ロシア大統領府が侵攻後初の選挙を通じて戦争への国民的支持を誇示し、自国の行為に正当性を与えようとしていると分析しました(中央日報が引用)。プーチン大統領は統一ロシアの党員ではありませんが、2008〜2012年に党代表を務めており、現在も党の後ろ盾です。

選挙の流れを3日間の投票から確定までの順に図にします。

9月16日
プーチン大統領が投票を呼びかける動画を公開
9月18〜20日
3日間の投票。占領4地域でも初の実施
9月20日
投票最終日にモスクワなどへ大規模なドローン攻撃
9月21日
中央選管が355議席の見通しを発表。英など5カ国が「偽選挙」と声明
25日(予定)/10月5日(期限)
最終結果の確定(報道で日付が分かれる)

図のとおり、今回の選挙は戦争の真っただ中で行われ、投票最終日には首都が大規模な攻撃を受けていました。この戦時の空気が、次に見る候補者の顔ぶれにも表れています。

ロシア下院選で帰還兵は何人立候補したのか

ウクライナ侵攻に参加した帰還兵らは180人以上が立候補し、少なくとも86人が当選する見通しと報じられています。

日本テレビは、侵攻後初の下院選で帰還兵が180人以上立候補したと伝えました。中央日報は、統一ロシアがロシアの言う「特別軍事作戦」に参加した82人を公認したと報じています。当選の見通しについては、モスクワ・タイムズが少なくとも86人と伝えました。数字は媒体ごとに数え方が違う可能性があり、統一ロシアの公認だけを数えたものと、他党や無所属を含めたものが混ざっている点に注意が必要です。

毎日新聞の現地取材では、モスクワの元軍人の男性が「特別軍事作戦」の参加者に投票したと答えています。

(編集部分析)帰還兵を議会に送り込むことは、戦争を続ける体制を政治の側から支える意味を持つと考えられます。モスクワ・タイムズが伝えた「少なくとも86人」が当選した場合、帰還兵は議席の2割近くを占めます。そうした議会は、停戦や撤退を議論する場にはなりにくいと考えられます。戦場の経験を持つ議員が増えるほど、「戦争をやめる」という選択肢を政治の言葉にすること自体が難しくなる、という観点では注意が必要です。

帰還兵の議席は、下院の性格そのものを変えていく可能性があります。その下院選は、ロシアが一方的に編入したウクライナの地域でも行われました。

占領地の投票と「偽選挙」声明は何を意味するのか

占領下のウクライナ4地域で初めて下院選の投票が行われ、英国など5カ国は21日に「偽選挙」だと非難しました。

中央日報によると、4地域の投票率はロシア全体の59.32%を大きく上回る数字として発表されています。

地域(ロシアが編入を主張) 発表された投票率
ドネツク 81.62%
ルハンシク 79.33%
ヘルソン 74.61%
ザポロジエ 79.39%
(参考)ロシア全体 59.32%

ザポロジエ地域の選挙管理委員長は高い投票率について「初めて行われる歴史的な選挙に地域住民が大きな関心を見せたため」と説明しました。一方で、英国・ノルウェー・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの5カ国は共同声明で、占領地での選挙を「ウクライナの主権と独立、国連憲章に対する重大な違反」と非難し、「偽選挙を行ったからとこれら領土の国際法上の地位は変わらない」としています。

EUも同じ21日に批判しています。AFPBBによると、カラス外交安全保障上級代表は、クレムリンが異論を封じ込め、戦争に反対する唯一の政党の出馬を阻み、国際的な選挙監視団を排除したとして「ロシアに残されているのは、見せかけの民主主義だ」と述べ、占領地でこの選挙を助長した人物への制裁を提案しました。

(編集部分析)占領地で投票を実施し、その議員を国会に迎えることは、編入を既成事実にしていく手続きの一部と見ることができます。力による現状変更を選挙という形式で上書きする手法は、日本にとっても他人事ではない、という観点で注視すべきです。

投票最終日のモスクワ攻撃で何が起きたのか

投票最終日の9月20日、ウクライナ軍はモスクワを含むロシア各地に、開戦後最大規模とされるドローン攻撃を行いました。

中央日報によると、ウクライナ軍はドローン約1600機を動員しました。モスクワのソビャーニン市長は「戦争開始後にモスクワを狙った最大規模のドローン空爆」と述べ、ロシア国防省は「ドローン約1900機と誘導航空爆弾8発、巡航ミサイル8発、ロケット砲4発を撃墜した」と主張しています。数字はいずれも当事者の発表で、第三者による確認はされていません。

「ペリカン」は弾道ミサイルか無人機か

ゼレンスキー大統領が攻撃に使ったと公表した「ペリカン」の正体は、弾道ミサイルか無人機かで報道が分かれています。

中央日報は、ゼレンスキー大統領がSNSで「モスクワ攻撃に弾道ミサイル『ペリカン』を投じた」と明らかにしたと報じ、ペリカンを防衛企業ファイアポイントが開発した地上発射型のFP-7(射程最大200キロ)だと伝えました。一方、軍事ニュースサイトの航空万能論は、大統領が戦果報告で挙げたのは兵器の名前で、ウクライナのメディアRBC-UkraineとKyiv Independentはペリカンを弾道ミサイルではなく無人機だと報じたと伝えています。同サイトは、FP-7の射程ではモスクワ州に届かないとも指摘しています。本記事では、どちらが正しいかは断定しません。

攻撃の規模と兵器の正体は今後も続報が出る可能性があります。ただし選挙の結果そのものに、攻撃が目に見える影響を与えた形跡は、現時点の報道には出ていません。

ロシア下院選の最終結果はいつ確定し、何が変わるのか

最終結果は、中央日報が「25日に確定予定」、モスクワ・タイムズが「10月5日までに発表」と伝えており、報道で日付が分かれています。

中央日報は、中央選管が開票と異議申し立ての検討などを経て25日に最終結果を確定する予定だと伝えました。モスクワ・タイムズは、最終結果の発表を遅くとも10月5日までとしています。25日を予定日、10月5日を期限と読むこともできますが、両者の関係は現時点の報道からは確認できません。

改憲ラインの300議席を1党で超える

統一ロシアは、下院で憲法改正案を可決するのに必要な3分の2(300議席)を、他党の協力なしに1党で超えます。

時事通信は、単独で憲法改正が可能な3分の2以上の議席維持は確実と伝えています。ただしロシア憲法の改正には、改める章によって上院や連邦構成主体(州など)の承認も必要で、下院の議席だけで改正が決まるわけではありません。中央日報は、ウクライナの攻勢のなかでもプーチン大統領の政局掌握力は一層強化される見通しだと報じました。下院の任期は5年です。

選挙後の「動員」への不安

ロシア国内では、選挙が終わったあとに兵員を増やす動きが出るのではないかと警戒する声が出ています。

毎日新聞によると、国外へ一時的に退避する人も一部で出ており、プーチン大統領は「兵員数に問題はない」と繰り返し否定しています。モスクワの幼稚園教諭は「与党が勝利し、何も変わらないだろう」、主婦は「いつかロシアは普通の国にならなければ」と答えています。選挙後に動員があるかどうかは、現時点ではどの報道も確認していません。

これらは取材に応じた一部の有権者の声で、世論全体を示すものではありません。それでも、得票率の数字だけでは見えない受け止め方の一端として、今後の政権運営を見る材料になります。

ロシア下院選の結果は日本にどう関係するのか

本記事が確認した報道の範囲では、9月21日までに日本政府がロシア下院選について示した公式見解は見当たりません。

ただし、日本とロシアの間には北方領土の問題があり、ウクライナとの間では防衛協力の話が進んでいます。北方領土をめぐっては2026年8月にロシアが日本の大使を呼び出した経緯を「【8/18】北方領土めぐりロシアが日本大使呼び出し|対抗措置の応酬」で、ウクライナが高市首相に首脳会談を求め、無人機協力を打診している件を「【9/20】JUDCとは|ウクライナが高市首相に首脳会談を要請、日本との無人機協力の現在地」で整理しています。

(編集部分析)議会の4分の3以上を与党が握り、反戦を掲げる政党が下院で議席を得られなかったことで、ロシアが対外姿勢を和らげる国内の圧力はさらに弱まったと評価できます。北方領土の交渉やエネルギー事業(サハリン2など)で、日本が「相手の国内事情が変われば譲歩が引き出せる」と期待できる余地は小さくなった、という観点で見ておく必要があります。一方で、G7の一員として占領地での選挙を認めない立場をはっきり示すことは、日本自身の領土問題での一貫性にもつながります。

読者として押さえておきたいのは、25日(予定)から10月5日(期限)までに出る最終結果と、選挙後に動員の正式発表が出るかどうかの2点です。最終結果はロシア中央選挙管理委員会の発表と、それを伝える国内外の報道で確認できます。この記事は最終結果が出た時点で追記します。

ロシア下院選2026のよくある質問

本文で触れきれなかった周辺の疑問に答えます。

Q. ロシア下院選の正式な結果はどこで確認できますか?

A. ロシア中央選挙管理委員会が公表します。発表はロシア語のため、日本語では時事通信・共同通信・NHKなどの報道で確認するのが早い方法です。

Q. 下院選の結果でプーチン大統領が替わることはありますか?

A. ありません。大統領は別の選挙で選ばれ、下院選は議会の構成を決める選挙です。プーチン大統領は2024年の大統領選で再選されています。

Q. 同じ時期にほかの選挙もあったのですか?

A. あります。地方の首長選や議会選が同時に行われ、チェチェン共和国ではカディロフ首長が公式発表で99.85%の得票で再選されたとモスクワ・タイムズが伝えています。

数字や日程は暫定のため、確定後に以下の出典とあわせて更新します。

参考情報

  • 時事通信「プーチン政権与党、355議席獲得か 過去最多で『圧勝』へ―ロシア下院選」(2026年9月21日)
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2026092100123&g=int
  • 中央日報日本語版「ロシア与党、ウクライナ戦争開始後初の総選挙で圧勝…プーチン体制がより強固に(1)」(2026年9月22日)
    https://news.yahoo.co.jp/articles/b3ec3b0c301600e3b412649bc8929ff42f72832a
  • 中央日報日本語版「同(2)」(2026年9月22日)
    https://news.yahoo.co.jp/articles/0d5f50bf0dd730e178ef46fd106bbf814f7d2419
  • AFPBB News「与党『統一ロシア』が過去最多355議席獲得 ロシア下院選の暫定結果」(2026年9月21日)
    https://www.afpbb.com/articles/-/3653933
  • AFPBB News「EU、ロシア下院選は『偽り』と一蹴 占領地での選挙関与者に制裁提案」(2026年9月21日)
    https://www.afpbb.com/articles/-/3653938
  • The Moscow Times「United Russia Set for Record Parliament Majority in First Wartime Elections」(2026年9月21日)
    https://www.themoscowtimes.com/2026/09/21/united-russia-set-for-record-parliament-majority-in-first-wartime-elections-a93754
  • 日テレNEWS NNN「侵攻後初のロシア下院選 帰還兵が180人以上立候補 与党圧勝狙う」
    https://news.yahoo.co.jp/articles/ab10565682a231c941421033f6750066aff82831
  • 中央日報日本語版「ロシア総選挙にウクライナ参戦兵士が相次ぎ出馬…統一ロシア、82人を公認」
    https://news.yahoo.co.jp/articles/7f709fbe53b2aab654e3ca8bc67de64e3aab01be
  • 毎日新聞「『いつか普通の国に』ロシア下院選始まる 選挙後の動員に不安も」
    https://news.yahoo.co.jp/articles/be814d48085c12748dcfba60a9422bdf0aac3123
  • 日本経済新聞「プーチン氏、侵略後初の下院選『ロシアの勝利に貢献』 団結呼びかけ」
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR16BKF0W6A910C2000000/
  • 航空万能論GF「ロシア攻撃にFP-7使用は誤報、ペリカンは弾道ミサイルではなく無人機」
    https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/reports-of-fp-7-use-in-russian-attacks-are-incorrect-pelican-is-a-drone-not-a-ballistic-missile/
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