【9/28】裏金議員の要職起用「問題だ」61%|毎日・朝日など4調査で6〜7割が否定
毎日新聞が9月26、27の両日に行った全国世論調査で、自民党の派閥裏金事件で問題となった議員を党や政府の要職に起用することについて、「問題だ」が61%を占めました。「問題だとは思わない」は22%でした。同じ26、27日に行われた朝日新聞の調査でも、裏金事件に関与した議員2人の大臣起用を「問題だ」とした人が計68%でした。
高市早苗首相は9月17日の内閣改造で、政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派の関芳弘氏を文部科学相に、簗和生氏を農林水産相に起用しました。この記事では、毎日・朝日・共同・時事の4つの世論調査の数字を並べ、誰が起用されたのか、首相がどう説明したのか、支持率との関係をどう読むかを出典つきで整理します。
この記事でわかること
- 毎日新聞の結果:裏金議員の要職起用を「問題だ」とした人は61%、「問題だとは思わない」は22%でした。
- 4つの調査の比較:毎日61%・朝日68%・共同66.6%・時事68.6%と、どの調査でも6〜7割が否定的でした。ただし設問と調査方式はそれぞれ違います。
- 起用された人:閣僚は関芳弘文科相と簗和生農相、党役員は萩生田光一幹事長代行と西村康稔選対委員長の続投です。
- 支持率との関係:毎日の内閣支持率は45%で3カ月ぶりに上昇しました。人事全体と裏金議員の起用は、分けて評価されている形です。
毎日新聞の世論調査で裏金議員の起用はどう評価されたか
裏金事件で問題となった議員の要職起用を「問題だ」とした人は61%で、「問題だとは思わない」の22%を大きく上回りました。
毎日新聞によると、調査は9月26、27の両日に行われました。設問は「自民党の派閥裏金事件で問題となった議員を自民党や政府の要職に起用すること」について尋ねるもので、閣僚だけでなく党の役員も含んだ聞き方です。毎日新聞は結果について、裏金事件への不満は依然として払拭されていないようだと伝えています(毎日新聞、2026年9月27日)。
毎日新聞の調査方式と回答者数
毎日新聞の調査は、スマートフォンを使う「dサーベイ」方式で、1944人から有効回答を得ています。
NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象としたアンケートサービスを使い、全国の18歳以上から調査対象者を無作為に抽出する方式です。電話調査や面接調査とは回答者の集め方が違うため、他社の数字と並べるときは、この点を頭に置いておく必要があります。
同じ調査の内閣支持率は45%に上昇
同じ調査の高市内閣の支持率は45%で、前回8月の41%から4ポイント上がりました。
不支持率は40%で、3カ月ぶりに支持が不支持を上回りました。
毎日新聞によると、高市内閣は昨年10月の発足後しばらく65%以上の高い支持率が続きましたが、3月から下落傾向となり、7月調査では41%まで下がっていました。9月17日の内閣改造を経て上昇に転じた形ですが、支持率は3カ月連続で50%を下回っています(毎日新聞、2026年9月27日)。
裏金議員の起用は4つの世論調査でどう出たか
9月に公表された4つの世論調査では、裏金議員の起用に否定的な回答がいずれも6〜7割を占めました。
各社の調査を、実施日・方式・設問の違いが分かる形で並べると次のとおりです。
| 調査 | 実施日 | 方式・回答者 | 聞いた対象 | 否定的な回答 | 肯定的な回答 |
|---|---|---|---|---|---|
| 毎日新聞 | 9月26〜27日 | dサーベイ・有効回答1944人 | 党・政府の要職への起用 | 問題だ 61% | 問題だとは思わない 22% |
| 朝日新聞 | 9月26〜27日 | 全国電話調査(回答者数は記事中で確認できず) | 関与した議員2人の大臣起用 | 問題だ 計68% | 問題ではない 計30% |
| 共同通信 | 9月17〜18日 | 全国緊急電話調査(回答者数は記事中で確認できず) | 処分を受けた議員の閣僚起用 | 適切ではない 66.6% | (記事中で確認できず) |
| 時事通信 | 9月11〜14日 | 個別面接・対象2000人(有効回収率57.1%) | 閣僚や党役員への起用(改造前) | 反対 68.6% | 賛成 11.8% |
表のとおり、聞いた対象(閣僚だけか、党役員を含むか)と、調査方式(スマートフォン・電話・面接)が各社で異なります。そのため数字の大小をそのまま比べることはできませんが、否定的な回答が過半数を大きく超えるという傾向は4調査で共通しています。
朝日新聞の調査:大臣起用「問題だ」計68%
朝日新聞の調査では、裏金問題に関与した議員2人の大臣起用を計68%が「問題だ」と答えました。
内訳は「大いに問題だ」34%、「ある程度問題だ」34%です。
「あまり問題ではない」は23%、「まったく問題ではない」は7%で、合わせて30%でした。同じ調査で内閣改造人事そのものは「評価する」35%、「評価しない」40%と割れています。内閣支持率は51%で、前回8月の53%からほぼ横ばいでした(朝日新聞、2026年9月27日)。
改造直後の共同通信と、改造前の時事通信
改造直後の共同通信では66.6%が「適切ではない」、改造前の時事通信では68.6%が起用に反対でした。
共同通信は9月17、18の両日、第2次高市改造内閣の発足を受けて全国緊急電話世論調査を行い、裏金事件で処分を受けた議員の閣僚起用について「適切ではない」が66.6%でした(共同通信、2026年9月18日)。時事通信の調査は9月11〜14日で、16日の党役員人事と17日の内閣改造より前に行われています。自民支持層に限っても反対は53.6%でした(時事通信、2026年9月17日)。
「裏金議員」として起用されたのは誰か
起用・続投したのは、閣僚の関芳弘氏と簗和生氏、党役員の萩生田光一氏と西村康稔氏の4人です。
いずれも政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派の議員です。
毎日新聞と東京新聞の報道をもとに、4人の立場を並べると次のようになります。
| 氏名 | 今回の役職 | 人事の日 | 不記載額・党の処分 |
|---|---|---|---|
| 関芳弘氏 | 文部科学相(初入閣) | 9月17日 | 836万円・戒告 |
| 簗和生氏 | 農林水産相(初入閣) | 9月17日 | 1746万円・党役職停止半年 |
| 萩生田光一氏 | 幹事長代行(続投) | 9月16日 | 不記載あり(毎日新聞) |
| 西村康稔氏 | 選挙対策委員長(続投) | 9月16日 | 不記載あり(毎日新聞) |
閣僚の2人は初入閣で、裏金事件に関わった議員が大臣に起用されるのは今回が初めてです。党役員の2人は、改造の前日の役員人事で続投が決まりました。
関芳弘文科相と簗和生農相の経歴
関氏は元経済産業副大臣、簗氏は元文部科学副大臣で、どちらも旧安倍派に所属していました。
時事通信によると、関氏は61歳、簗氏は47歳です(時事通信、2026年9月17日)。東京新聞は、簗氏の不記載額を1746万円・党役職停止半年、関氏を836万円・戒告と伝えています(東京新聞、2026年9月17日)。nippon.comの閣僚一覧では、今回の初入閣は7人で、日本維新の会の中司宏氏も規制改革担当相として初めて入閣しました(nippon.com)。改造内閣の全閣僚は、第2次高市改造内閣の閣僚名簿の記事にまとめています。
萩生田光一氏と西村康稔氏の党役員続投
萩生田氏は幹事長代行、西村氏は選挙対策委員長として、9月16日の党役員人事で続投しました。
毎日新聞の設問が「党や政府の要職」と党役員まで含めているのは、この2人の続投があるためです。萩生田氏については、週刊新潮が「幹事長の役割を実質的に担っている」とする政治部デスクの見方を伝えています(デイリー新潮、2026年9月23日)。ただしこれは匿名の関係者の見方で、党の公式な役割分担ではありません。
高市首相は裏金議員の起用をどう説明したか
高市首相は、2人が2回の選挙を経て国政に送り出されたことを起用の理由として説明しました。
東京新聞によると、首相は9月17日の記者会見で、過去に行ったことが「なかったこととされるわけではない」としたうえで、「その後説明を尽くし、2回の選挙を通じて国政に送り出していただいた」と述べ、襟を正して重責ある公務に臨んでほしいとの考えを示しました(東京新聞、2026年9月17日)。時事通信は、この説明を首相が「みそぎは済んだ」との認識を示したものと報じています(時事通信、2026年9月17日)。
首相の説明の軸は「選挙による信任」です。これに対して世論調査は、選挙を経たあとでも起用には否定的な人が多数だという結果を示しています。
(編集部分析)首相の説明が、まだ広く受け入れられるところまでは届いていないと受け止められます。
10月5日召集の臨時国会で裏金議員の起用はどう扱われるか
10月5日に召集予定の臨時国会では、「政治とカネ」が改めて論点の一つになるとみられ、野党は2閣僚の説明責任を追及する構えです。
時事通信によると、立憲民主党の斎藤嘉隆国対委員長は「これまで以上に説明責任を果たす必要がある」と述べ、中道の後藤祐一国対委員長も「きちんと説明し、国民が納得できるかだ」と話しています。野党は、起用した高市首相の責任も含めて追及する方針と報じられています(時事通信、2026年9月26日)。
自民党内の期待と警戒
自民党内には、ほかの裏金議員が将来の入閣に期待する声がある一方、来春の統一地方選への影響を警戒する声もあります。
同じ時事通信の記事は、裏金事件に関与した未入閣の議員が「私たちも続くことができる」と将来の入閣を期待していると伝えています。一方で党関係者は「地方選で議席を減らせば首相の求心力に直結する」と懸念しており、福岡県議会の金銭授受疑惑をめぐる混乱が続くなかで裏金問題に再び注目が集まれば、統一地方選で自民党に逆風となる可能性もあると報じています。
世論調査で否定的な回答が6〜7割にのぼっていることは、国会でのこうした追及の背景になります。
支持率は上がったのに起用は「問題」、この食い違いをどう読むか
改造後の支持率は横ばいか上昇で、一方で起用には6〜7割が否定的と、2つの数字は逆の方向を向いています。
9月の各社の支持率を並べると、改造前の時事通信は44.1%で過去最低を更新していましたが、改造後の共同通信は53%(3ポイント増)、毎日新聞は45%(4ポイント増)、朝日新聞は51%(前回53%)でした。改造後の3調査では、支持率が大きく下がった調査はありません。
9月の世論調査の流れ(裏金議員の起用と内閣支持率)
流れを見ると、裏金議員の起用への否定的な評価は改造の前後で大きく変わっていません。世論調査だけでは、支持率が下がらなかった理由までは確認できません。
(編集部分析)有権者は人事全体と起用の是非を分けて見ており、起用への不満が、内閣を支持するかどうかの判断を覆すほどにはなっていないと読むことができます。
(編集部分析)数字が示す「説明の宿題」
選挙での信任は一つの根拠ですが、世論はそれだけでは納得しておらず、説明の積み重ねが残っていると考えます。
(編集部分析)首相の「2回の選挙で国政に送り出された」という説明には、民主主義の手続きとして一定の筋があります。有権者が選挙で選び直した議員を、党の処分が終わったあとも永久に要職から外すべきだという考え方は、選挙の結果を軽く扱うことにもなりかねません。
(編集部分析)一方で、4つの調査で6〜7割が否定的で、時事通信では自民支持層でも反対が過半数だったことは重く見る必要があります。選挙で当選したことと、不記載の経緯を国民に説明し終えたことは、同じではないと受け止められていると考えられます。保守政権が掲げる改革や安全保障の政策を前に進めるためにも、起用した閣僚が国会で経緯を自ら説明し、政治資金の透明化で結果を出すことが、支持を安定させる近道だと評価できます。
世論調査の数字を読むときの注意点
各社の数字は設問・対象・方式が違うため、「どの社が高い・低い」ではなく、否定的な回答が多数という共通の傾向として読むのが適切です。
具体的な違いは次の3点です。
- 聞いた対象:毎日新聞は「党や政府の要職」、時事通信は「閣僚や党役員」と党役員まで含めて聞いています。朝日新聞は「議員2人の大臣起用」、共同通信は「閣僚起用」です。
- 選択肢の形:朝日新聞は「大いに」「ある程度」などの4段階を合計した数字です。毎日新聞は「問題だ」「問題だとは思わない」の2つの回答で、合計83%です。残りの17%の内訳は記事中で示されていません。
- 調査方式:毎日新聞はスマートフォンのdサーベイ、朝日新聞・共同通信は電話、時事通信は個別面接です。回答者の集め方が違うと、同じ質問でも数字がずれることがあります。
こうした違いがあるため、この記事の比較表は、傾向を確かめるための並べ方として使ってください。
裏金議員の起用と世論調査のよくある質問
本文で触れきれなかった「呼び方」「数字の扱い方」「次に見る点」を、Q&Aで補います。
Q. 「裏金議員」は正式な呼び方ですか?
A. 正式な法律用語ではありません。政治資金パーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかった議員を、報道で「裏金議員」と呼んでいます。毎日新聞は「裏金事件で問題となった議員」、朝日新聞は「裏金問題に関与した議員」など、各社で言い方が違います。
Q. 4つの調査の数字を平均して「約66%」と言ってよいですか?
A. おすすめしません。聞いた対象(閣僚だけか党役員を含むか)、選択肢の形、調査方式、実施時期(改造前か後か)がそれぞれ違うためです。「どの調査でも否定的な回答が6〜7割」という幅で伝えるのが正確です。
Q. 次の世論調査では何を見ればよいですか?
A. ①裏金議員の起用への否定的な回答が6〜7割から動くか、②内閣支持率が改造後の水準を保つか、の2点です。起用への評価が下がらないまま支持率が落ち始めれば、人事の影響が支持に波及したと読めます。
読み終えたあとに確認したいのは、次の2つです。1つは、10月5日召集予定の臨時国会で関芳弘文科相と簗和生農相が不記載の経緯を自らどう説明するかです。もう1つは、10月以降の各社の世論調査で、起用への評価と内閣支持率がどう動くかです。この記事の比較表は、次の調査が出たときに見比べる基準として使えます。
参考情報
- 毎日新聞「裏金事件で問題の議員、要職起用『問題だ』61% 世論調査」(2026年9月27日)
- 毎日新聞「内閣支持率45%に上昇、3カ月ぶり不支持率を逆転 世論調査」(2026年9月27日)
- 朝日新聞「内閣改造、評価割れる 裏金関与議員起用『問題だ』68% 朝日世論」(2026年9月27日)
- 共同通信「裏金処分議員の閣僚登用、不適切66%」(2026年9月18日)
- 時事通信「内閣支持44%、最低更新 『裏金』登用に7割反対―時事世論調査」(2026年9月17日)
- 時事通信「第2次高市改造内閣が発足 『決断と実行』主要閣僚留任」(2026年9月17日)
- 時事通信「自民『政治とカネ』再燃警戒 『裏金』初入閣、野党追及へ―高市政権」(2026年9月26日)
- 東京新聞「第2次高市改造内閣、閣僚に裏金議員を初起用」(2026年9月17日)
- nippon.com「第2次高市改造内閣の顔ぶれ:裏金議員2人が初入閣、維新も閣内へ」
- デイリー新潮「萩生田光一氏が腐した『三人の高市首相側近』」(2026年9月23日)
