【10/23】USJチケット不正購入で中国籍の男逮捕|張り込みに中国人観光客5人

佐賀県警は2026年10月22日、他人のクレジットカード情報で不正に買われたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のチケットを保管していたとして、さいたま市に住む中国籍の男(44)を盗品等保管の疑いで逮捕したと発表しました。チケットは日本以外のフリマアプリで売られ、利用日にパークへ現れたのは中国人観光客5人でした。この記事では、USJチケットの不正購入事件で何が起きたのか、カード情報が抜き取られてから海外で転売されるまでの流れ、なぜUSJのチケットが狙われるのか、カードの持ち主とUSJの利用者が何に気をつければよいのかを、佐賀新聞と朝日新聞の報道、USJと日本クレジット協会の公表資料をもとに整理します。
この記事でわかること
- 事件の中身:伊万里市の20代男性のカードでUSJの優先利用パス5枚(計15万650円)が勝手に買われ、中国籍の男が保管していた疑いで逮捕されました。
- 転売の流れ:チケットは東京都内のコンビニで発券され、日本以外のフリマアプリを通じて中国人観光客の手に渡っていました。
- 身を守る方法:入口はカード会社を装ったメールでした。リンクから情報を入れないことと、正規の窓口以外でチケットを買わないことが基本です。
USJチケット不正購入事件で何が起きたのか
他人のカードで買われたUSJのチケット5枚を保管した疑いで、中国籍の男が佐賀県警に逮捕されました。
佐賀新聞によると、県警サイバー犯罪対策課と伊万里署は10月22日、盗品等保管の疑いで、中国籍で自営業の男(44)=さいたま市浦和区=を逮捕したと発表しました。朝日新聞は、逮捕は21日だったと伝えています(佐賀新聞、10月23日)。
逮捕容疑は「盗品等保管」
男の容疑は、不正に買われたと知りながらUSJのチケット5枚を受け取り、保管した疑いです。
容疑は2025年6月23日ごろ、氏名の分からない人物から頼まれて、USJのチケット5枚(販売価格の合計15万650円)を保管したというものです。朝日新聞は、男が配達員を介してチケットを受け取ったと報じています。盗品等保管とは、盗まれた物や詐欺などで手に入れられた物だと知りながら、それを預かって隠しておく罪です。
男は「チケットを保管していたのは間違いないが、犯罪で手に入れたとは知らなかった」と話し、容疑を一部否認しています。起訴や有罪が決まったわけではなく、男が不正購入そのものに関わったかどうかも、10月23日時点では明らかになっていません。
被害者は伊万里市の20代男性
被害に遭ったのは佐賀県伊万里市の20代男性で、カード会社を装ったメールが入口でした。
朝日新聞によると、男性は2025年5月22日、カード会社を名乗るメールに書かれたリンクを開き、その先の画面にカード情報を入力しました。偽のサイトに誘導して情報を盗む「フィッシング詐欺」とみられています。翌日、本物のカード会社から購入を知らせる通知が届いて被害に気づき、カード会社で手続きをして被害が広がるのを防ぎ、警察に届け出ました(朝日新聞、10月22日)。
張り込みに現れた中国人観光客5人は何と説明したのか
観光客5人は、日本以外のフリマアプリでチケットを買い、日本から自宅に送られてきたと説明しました。
不正に買われたチケットは8月の利用日が指定されていたため、県警の捜査員はその日にUSJで張り込みました。チケットを持って現れたのは中国人観光客の5人連れでした。朝日新聞によると、5人は話を聞かれて、日本以外のフリマアプリで購入し、日本から自宅に送られてきたと説明したといいます。
報道では、どのフリマアプリが使われたのかは明かされていません。観光客5人が不正なチケットだと知っていたかどうかや、5人の扱いについても伝えられていません。報道を見る限り、5人は代金を払って買った側で、少なくとも県警が逮捕したのは保管役とされる男です。
発送元をたどって男が浮上した
県警は観光客の説明をもとに、チケットを中国へ送った発送元を調べ、男の関与をつかみました。
朝日新聞は、発送元を調べる中で男の関与が浮かんだと報じています。県警は、アプリへの出品やチケットの発券には男とは別の複数の人物が関わったとみています。佐賀新聞も、県警がカード情報を手に入れた人物など指示役がいるとみて捜査していると伝えました。
不正購入から海外での転売までの流れ
カード情報の抜き取りから発券、保管、海外への発送、フリマでの販売まで、役割を分けて動いていたとみられます。
報道された事実を時間の順に並べると、次のとおりです。
県警は、出品や発券に男とは別の複数の人物が関わったとみて捜査しています。誰がどの役割を担ったのかは、10月23日時点で明らかになっていません。
(編集部分析)報道された事実を並べると、カード情報を盗む、チケットを買って発券する、預かる、海外で売る、という段階があり、それぞれを別の人物が受け持っていた可能性があります。被害の届け出から逮捕まで約1年5カ月かかっていることからも、海外のアプリを経由した取引をたどる捜査には時間がかかったとみられます。
被害額15万650円は何のチケットだったのか
買われたのはアトラクションの優先利用パス5枚で、1枚あたり平均約3万円の高額なチケットでした。
朝日新聞はチケットを「アトラクション優先利用パス」と伝えています。USJでは、人気のアトラクションに短い待ち時間で乗れる有料の券を「ユニバーサル・エクスプレス・パス」の名前で売っています。事件で使われた券の正式な商品名は報道されていませんが、入場券とは別に売られる高い券であることは共通しています。
事件の数字を整理すると次のとおりです。
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| チケット | アトラクション優先利用パス5枚 | 朝日新聞 |
| 販売価格の合計 | 15万650円(1枚あたり平均3万130円) | 佐賀新聞・朝日新聞(平均は編集部で計算) |
| 発券した場所 | 東京都内のコンビニ | 朝日新聞 |
| 逮捕された男 | さいたま市浦和区・中国籍・自営業・44歳 | 佐賀新聞・朝日新聞 |
| 捜査した部署 | 佐賀県警サイバー犯罪対策課・伊万里署 | 佐賀新聞 |
| 男の供述 | 保管は認め、犯罪で得た物とは知らなかったと一部否認 | 佐賀新聞・朝日新聞 |
1回の不正購入で、販売価格の合計が15万円を超える高額の券が5枚まとめて買われていたことになります。なお、この15万650円は販売価格の合計で、犯人側が転売で得た額や、カード名義人が最終的に負担した額とは別のものです。
なぜUSJのチケットが狙われるのか
今回の事件で確かなのは、1枚数万円の高額な券が不正に買われ、海外のフリマアプリで売られていたことです。
朝日新聞の報道によれば、不正に買われた優先利用パスは日本以外のフリマアプリで売られ、中国人観光客が代金を払って手に入れていました。高額で、売る先がある商品が不正購入の対象になったという点は、事実として確認できます。
(編集部分析)盗んだカード情報では現金を直接引き出せないため、買った物を売ってお金に換える「現金化」の手口がとられることがあります。USJの券は値段が高く、訪日客にも需要があるため、こうした現金化の対象になりやすい可能性があります。ただし、USJの券が他の商品より狙われやすいことを示す統計は公表されておらず、ここで述べたのは今回の事件から考えられる見立てです。
コンビニ発券の券は「物」として海外へ送れる
今回のチケットは東京都内のコンビニで紙に発券され、保管役を経て海外の買い手へ送られていました。
朝日新聞によると、観光客5人は「日本から自宅に送られてきた」と話しています。購入された券は東京都内のコンビニで発券され、男は2025年6月23日ごろに配達員を介して受け取ったとされています。購入、発券、保管、発送が別々の場所で行われていたことになります。
(編集部分析)紙の券は、封筒に入れて送れば持ち主が変わります。購入、発券、保管、発送の場所がそれぞれ違うと、どこか1か所を調べただけでは全体の流れが見えにくくなります。県警が観光客の説明から発送元をたどって男の関与をつかんだのは、こうした流れを逆にさかのぼった結果とみられます。
USJは転売チケットを無効にする方針
USJは2015年から、転売が確認されたチケットをQRコードの無効化などで使えなくすると公表しています。
USJは2015年10月16日の発表で、スタジオ・パスやユニバーサル・エクスプレス・パスなどについて、転売が確認された券をパークで使えなくする方針を示し、同年11月1日の入場分から実施するとしました(USJ公式発表、2015年10月16日)。今回の事件で、観光客5人が持っていた券が当日使えたのかどうかは報道されていません。ただ、正規の窓口以外で買った券は、たとえ代金を払っていても使えなくなるおそれがあるということです。
クレジットカードの不正利用はどれくらい起きているのか
2025年のクレジットカード不正利用の被害は510.5億円で、9割超の475.4億円がカード番号を盗まれた被害でした。
日本クレジット協会が会員のカード会社から集めた数字(2025年1〜12月)によると、不正利用の被害額は510.5億円で、前の年より8.0%減りました。このうち、今回の事件と同じように番号を盗まれて使われる「番号盗用」が475.4億円で、全体の9割を超えます(フィッシング対策協議会が掲載した日本クレジット協会の集計)。
| 区分 | 2025年の被害額 | 2025年10〜12月 |
|---|---|---|
| 不正利用の合計 | 510.5億円(前年比8.0%減) | 93.9億円 |
| うち番号盗用 | 475.4億円(同7.4%減) | 86.6億円 |
| うち偽造カード | 7.2億円 | 1.0億円 |
この数字は協会がカード会社から集めたもので、届け出のなかった被害や、カード会社が補償しなかった分まで含む「日本全体の被害の総額」ではありません。それでも、偽造カードより番号の盗用が圧倒的に多いことははっきりしており、ネット上でカード番号を入れさせる手口が被害の中心になっていることが分かります(日本クレジット協会 統計)。
今回の被害を止めたのは「購入の通知」
伊万里市の男性は、本物のカード会社から届いた購入の通知で、翌日には被害に気づいていました。
朝日新聞によると、男性は偽のメールで情報を入れた翌日、カード会社からの購入通知を見て詐欺だと気づき、すぐにカード会社で手続きをして、それ以上の被害を防ぎました。番号を盗まれても、盗まれた時点では本人が気づけないことがあります。利用の通知は、知らない買い物を早く見つける手がかりになります。ただ、通知だけで被害が止まるわけではなく、男性のようにカード会社へ連絡してカードを止める手続きまで進めることが、追加の被害を防ぐうえで欠かせません。
一方で、男性がすぐに手を打っても、すでに買われた5枚のチケットは発券され、のちに国外の買い手へ渡っていました。カードを止めても、止める前に買われた物は取り戻せない場合があることを、この事件は示しています。
日本にとって何が問題なのか
日本人のカードで買われた日本の商品が、日本の外の売り場でお金に換えられ、捜査が届きにくくなっている点です。
今回の事件では、カード情報は日本の利用者から盗まれ、チケットは日本の会社が売り、日本のコンビニで発券されました。ところが、最後にお金に換わったのは日本以外のフリマアプリで、売った人物や代金の流れはまだ明らかになっていません。県警が逮捕できたのは、国内で物を預かっていたとされる1人です。
(編集部分析)今回の捜査で具体的にどんな障害があったのかは明らかになっていません。それでも、不正に手に入れた物が国外の売り場で売られると、売った人物や代金の流れをたどるには国外の事業者や捜査機関の協力が必要になり、国内だけで完結する事件より手間がかかると考えられます。日本の利用者の財産が国外で現金化される構図であり、自国民の財産をどう守るかという主権に関わる問題として捉える必要があります。国外のアプリの運営会社に情報の提供を求める手続きや、国際的な捜査協力が実際に機能するかが問われます。
(編集部分析)同時に、この事件を国籍への偏見に結びつけてはいけません。逮捕された男は容疑を一部否認しており、観光客5人はお金を払って券を買った側です。問題にすべきは、盗んだカード情報を現金化する犯罪の仕組みと、フリマアプリ上の不正な出品をどう防ぐかという課題であって、中国の一般の人々や在日中国人ではありません。今回使われたアプリの運営会社の対応は報道されておらず、その管理に問題があったとは言えません。
では、カードの持ち主とUSJの利用者は、具体的に何をすればよいのでしょうか。
カードの持ち主とUSJの利用者が気をつけること
カード会社を名乗るメールのリンクから情報を入れないことと、USJの券を正規の窓口以外で買わないことが基本です。
今回の被害は、カード会社を装ったメールから始まりました。被害者の男性は、本物のカード会社からの購入通知ですぐに気づいたため、被害の拡大を防げています。次の点を確かめておくと安心です。
- カード会社を名乗るメールやSMSのリンクは開かず、公式アプリやブックマークした公式サイトから確かめる
- カードの利用通知(メールやアプリの通知)を必ず受け取る設定にし、身に覚えのない利用があればすぐカード会社に連絡する
- カード情報を入れてしまったと気づいたら、カード会社に連絡してカードを止め、警察にも相談する(警察相談専用電話は#9110)
- USJの券は、公式のWEBチケットストアや正規の販売窓口で買う。フリマアプリや個人から買った券は使えなくなるおそれがある
- 家族や知人に海外からの旅行者がいる場合も、安すぎる券や個人売買の券を勧めない
不正利用に気づいたときの手順
カードの裏面にある電話番号か公式アプリからカード会社に連絡し、カードを止めることが最初の一歩です。
- カードの裏面に書かれた番号、またはカード会社の公式アプリ・公式サイトから連絡する(届いたメールやSMSに書かれた番号やリンクは使わない)
- 利用明細を見て、身に覚えのない利用をすべて伝える
- カードの利用停止と再発行を頼み、補償の申請に必要な手続きと期限を確かめる
- カード会社に案内された内容をもとに、最寄りの警察署に被害を届け出る
- 偽のサイトで入れたパスワードを、ほかのサービスでも使っていれば変える
補償の条件や申請の期限はカード会社ごとに違うため、自分のカードの会員規約を確かめておくと、いざというときに慌てずに済みます。
最後に、この事件について多く寄せられそうな疑問をまとめます。
USJチケット不正購入のよくある質問
検索で多く調べられそうな疑問に、短く答えます。
Q. 不正に買われたチケットを知らずに買った人も罪になりますか?
A. 盗品等の罪は「盗まれた物などと知っていたか」が問われるため、知らずに買っただけで直ちに罪になるとは限りません。ただし券は使えなくなるおそれがあり、支払った代金が戻る保証もありません。今回の観光客5人の扱いは報道されていません。
Q. フリマアプリでUSJの券を買ってしまったらどうすればいいですか?
A. USJは転売を確認した券を使えなくする方針を公表しているため、当日入れないおそれがあります。出品者とのやりとりや支払いの記録を残し、アプリの運営会社に相談してください。不正に買われた券だと分かった場合は、警察にも相談します。
Q. 逮捕された男は不正購入をした本人ですか?
A. 逮捕容疑はチケットの保管で、不正購入をしたかどうかは10月23日時点で明らかになっていません。男は犯罪で手に入れた物とは知らなかったと話しており、県警は指示役など別の人物の関与を調べています。
県警は指示役などの捜査を続けています。新しい発表があれば、この記事に追記します。
